日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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相談支援事業非課税に 小池氏 社会福祉事業化へ提起 参院財金委

2024年04月26日

赤旗2024年4月26日付

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(写真)質問する小池晃書記局長=25日、参院財金委

 日本共産党の小池晃書記局長は25日の参院財政金融委員会で、障害者総合支援法に基づく「障害者相談支援事業」を民間委託する自治体の多くが、委託料を消費税非課税と誤認し、委託先業者の未納分の消費税を負担している問題を巡り、同事業を非課税の社会福祉事業とするよう提起しました。

 

 小池氏は、同支援法に基づき同様の相談業務を行う「一般相談支援事業」などは非課税の社会福祉事業だと指摘。厚生労働省の辺見聡障害保健福祉部長は「障害者相談支援事業は市町村が実施主体となることを勘案し社会福祉事業として位置づけていない」と答弁しました。

 

 小池氏は「社会福祉事業かどうかのメルクマール(指標)は実施主体が市町村か民間かどうかだ」と指摘し、中日新聞の調査で東海地方など140市で9割近くの自治体が同事業を民間委託しており「社会福祉事業として非課税と判断するのは無理もない」と強調。兵庫県尼崎市は約1億円の財政負担をするなど「多くの自治体が苦しんでいる。社会福祉事業とすべきだ」と迫りました。

 

 辺見部長が「社会福祉事業の性格に必ずしもなじまない」と述べたのに対し、小池氏は「あいまいで誤解を招く。税の基準は、誰が見ても分かりやすいものでなくてはならない」と強調。税務行政を扱う財務省が厚労省に基準を改めるよう申し入れるべきだと求めました。鈴木俊一財務相は「誤解があるということは認識している。まずは周知が必要」と述べました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 国家公務員旅費法の改正案ですが、これは出張旅費等を実費弁償とするなどの必要な措置でありますので、賛成をいたします。
 その上で、今日は障害者相談支援委託料の消費税の課税の問題について聞きたいんですが。
 これ、お配りしているのはちょっと前の報道になりますけれども、自治体が障害者総合支援法に基づいて社会福祉法人などに委託している障害者総合支援事業、これ、中部地方の約半数の自治体がこれ委託料の消費税を非課税にしていると、誤認しているという報道がありました。自治体の半数が誤認していたというのは、これは驚くべきことだと思うんですね。これ、今も私の事務所にも全国の自治体から問合せまだあるんです。何とかならないかという声も寄せられております。
 厚生労働省にお聞きしたいんですが、なぜこうした事態が生じたのか。そもそもは、同じ障害者総合支援法に基づく相談事業である一般相談支援事業あるいは特定相談支援事業、これは非課税なんですね。一方で、障害者相談支援事業は消費税の課税対象になる。これはなぜか、御説明ください。
○政府参考人(辺見聡君) お答え申し上げます。
 御質問をいただきました一般相談支援事業及び特定相談支援事業でございますが、指定を受けた事業者が障害福祉サービス等の支給決定を受けている障害者を対象として相談等を行うものであり、こちらの事業は指定基準を満たした事業者であれば参入をすることができるものでございます。
 他方、障害者相談支援事業につきましては、市町村が住民に対するサービスとして、障害福祉サービス等の支給決定を受けている障害者を中心に、生活上の課題などの様々な相談支援を行うものでございまして、こちらの事業は市町村との間で委託契約を結んだ事業者に限って事業が行われているものでございます。
 消費税の取扱いにつきましては、社会福祉法に規定する社会福祉事業に該当するものが非課税とされているところでございますが、社会福祉事業に位置付けるか否かは、公的な助成を通じた普及や育成が必要な事業であることや、サービスの質の確保のための公的な規制が必要な事業であることなどの要素を総合的に勘案して判断することとしているところでございますが、障害者相談支援事業につきましては、市町村が実施主体として実施するものなどを総合的に勘案し、社会福祉法上の社会福祉事業として位置付けていないところでございます。
○小池晃君 ちょっとこの説明はなかなか分かりにくいんですよね。
 それで、衆議院の厚生労働委員会でも武見大臣も、私もレクを受けるときに理解するのが相当大変でしたというふうに答弁されていますよ。もう本当、同じようなことをやっているわけですね、相談事業としては、障害者のあるいは障害者の家族に対する相談事業。で、一方は社会福祉事業だから非課税だと、一方は社会福祉事業ではないので課税だと、まあそういうことですよね。
 それでは、その社会福祉事業かどうかのメルクマールというのは何なんでしょうか。
○政府参考人(辺見聡君) 先ほどの御説明の中にも含めておりましたが、社会福祉法に規定する社会福祉事業に位置付けるかどうかにつきましては、公的な助成を通じた普及や育成が必要な事業であることや、サービスの質の確保のための公的な規制が必要な事業であることなどの要素を総合的に勘案して判断することとしております。
○小池晃君 そのメルクマールというのは、今日、資料の二枚目にお配りをしておりまして、中央社会福祉審議会の分科会で配られているもの。要するに、端的に言うと、メルクマールというのは実施主体が市町村か民間かということが大きなメルクマールだということですね。
○政府参考人(辺見聡君) メルクマールといたしましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、相談事業の、一般相談支援事業等と障害者相談支援事業の違いは、一般相談支援事業については基準を満たした事業者が参入可能であること、相談支援事業については契約を締結した事業者のみが参入すること、こうした違いを総合的に勘案しているものでございます。
○小池晃君 要するに、市町村が行う事業と、それから指定を受けた相談指定、指定相談支援事業者が実施する、この違いだと。
 ただ、中日新聞の報道にもあるように、これ東海地方などの百四十市調査したところ、九割近くの自治体は民間に委託しているというわけですよ。だから、自治体にしてみれば、これ民間に委託していますから、相談事業としては同様の中身なので、この障害者相談支援事業もやっぱり社会福祉事業だろうというふうに判断する。で、消費税非課税だというふうに理解していたと。
 これ、私、無理からぬことではないかなと思うんですね。大体、自治体の半分以上が誤認していたというのは、これはほとんどないことだと思うんですよ。そういう事態になってしまっている。
 国税庁に聞きますが、消費税が課税、非課税になる場合というのはどういうものか。もしも、この障害者相談支援事業が厚生労働省が社会福祉事業というふうに位置付けた場合には、課税の扱いはどうなるんでしょうか。
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
 障害者相談支援事業を社会福祉法に規定する、社会福祉事業として位置付けるか否かにつきましては国税庁としてお答えを差し控えさせていただきますが、その上で、消費税法におきましては、国内において行われる資産の譲渡等のうち、消費税法別表第二に掲げるものにつきましては非課税とされておりまして、社会福祉法に規定する社会福祉事業として行われる資産の譲渡等につきましてもこれに該当するということで、消費税が非課税とされるということでございます。
○小池晃君 誤認していた自治体多いんですね。それで、今財政負担が生じているわけです。尼崎市、お聞きしましたらば、令和五年分で一千七百万円、過年度分で八千三百万円、一億円負担しなきゃいけないと。堺市は、一億五千万円負担になるというふうに報道されています。多くの自治体が突然の財政負担に本当に苦しんでいます。
 厚生労働省、これ、障害者相談支援事業を社会福祉事業に位置付けると、そういうふうにしたらどうですか。
○政府参考人(辺見聡君) 社会福祉法に規定する社会福祉事業の基本的な考え方は、公的な助成を通じた普及や育成が必要な事業であることや、サービスの質の確保のための公的な規制が必要な事業であることなどの要素を総合的に勘案して判断しているところでございますが、障害者相談事業につきましては、市町村が実施主体として実施をする事業であり、公的な助成や規制の必要性などの要素等を総合的に勘案して、いたしまして、社会福祉上の生活、社会福祉事業の性格には必ずしもなじまないというふうに考えているところでございます。
○小池晃君 いや、だから、私言ったように、市町村と言うけど、実際は民間委託をほとんどしているんですね。
 大臣、税金が掛かるかどうかという基準は、これ誰が見ても分かりやすいものでなきゃいけないと私は思うんですよ。自治体の半分が誤認しちゃうような、こういうことというのは私はこのままにしておいていいはずはないと思うんです。
 これはもちろん、この原因つくっているのは厚生労働省ですよ、財務省が悪いわけじゃないですよ。厚生労働省が、やっぱり社会福祉事業かどうかということの基準が非常に曖昧で、普通に考えたら誤解しちゃうような、そういう基準でやっているからこういう事態が生まれているんだけど、やっぱり税務行政を扱う財務省として、こういう誤認を生じるような在り方はいかがなものかというふうにやっぱりきちんと厚生労働省に物を言うべきじゃないかと私は思うんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 課税の対象の話でありますけれども、この例に限らず、税法におきましては、他の法律で定められた制度でありますとか定義、これをベースにしつつ、公平性などの観点から課税の範囲を定める仕組みとなっております。
 したがいまして、こうした定義が変わらない限りにおいて課税するということにはもちろんならないわけでございまして、この障害者相談支援事業について、これを社会福祉事業に、今後どうされるか、どうされないのかというのは、これはやはり厚生労働省において御検討をいただくということになるんだと思います。
○小池晃君 いや、でも、公平性とおっしゃるけれども、これまさに、自治体はもう混乱するぐらい分かりにくいわけですよね。公平性に欠けているんじゃないですか、こういうのはね。
 だから、私、決めるのはやっぱり厚生労働省ですよ。財務省が決める問題じゃない、基準は厚生労働省だというのはそのとおりだと思うけれども、やっぱり、こういうことはきちっと分かりやすい形にすべきだという意見をやっぱり具申するべきじゃないかと、意見をやっぱり厚生労働省に伝えるべきじゃないかと思いますが、重ねてお願いします。
○国務大臣(鈴木俊一君) まずは、今の状況で、この障害者相談支援事業というものが福祉事業に含まれていない、したがって消費税課税の対象になっているということについて、先生御指摘のとおり、誤解があるということ、これは認識をしているところでございます。
 したがいまして、今の制度がそうなっているということを、まずはしっかりと周知をして、その誤解を解くということがまずやるべき最初のことではないかと思います。
○小池晃君 周知はようやく始めたんですよ、厚生労働省が、こういう報道もあって。去年そういう通知も出して、今年の会議でもそのことは伝えるということやっているんだけど、そういったことをしなければもう理解できないほど本当に曖昧な制度だったということだと思うんですね。それで、そういったことが去年から今年にかけてやられたもんだから、自治体は大慌てで、今それ財政負担しているわけですよ。
 やっぱり、こういう原因つくったのはやっぱりひとえに厚生労働省の対応だと私思うんで、やっぱりこれ、税制に関わる問題ですから、やっぱり財務省としてもきちんと物を言うということをやるべきだということを重ねて申し上げて、質問を終わりたいと思います。

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