日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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税のゆがみただし財源確保を 消費税減税 小池書記局長が追及 参院財金委

2025年05月29日

赤旗2025年5月28日付

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(写真)質問する小池晃書記局長=27日、参院財金委

 日本共産党の小池晃書記局長は27日の参院財政金融委員会で、経済界からも富裕層への増税が必要との声があがっていることなどを示し、「富裕層や大企業への減税を見直し、税の不公正を正せば消費税減税の財源はつくれる」と強く迫りました。

 

 消費税減税について石破茂首相は「減収はどこから手当てするのか」などと述べています。小池氏は、法人税率が消費税導入前の42%から現在は23・2%、所得税の最高税率も60%から45%に引き下げられたとし、税収を増やすには税の取り分の不公平をただすべきだと指摘しました。

 

 日本経団連の十倉雅和会長が近著で、税と社会保険料を合わせた負担のあり方の見直しにあたってはまず「応能負担の徹底である」とし、再分配機能強化のため「富裕層への負担増を考えざるを得ない」、所得が1億円を超えると逆に税負担率が減る「1億円の壁」についても税負担率を引き上げるとともに、個人所得税の累進性を高めることも考えられると主張していると紹介しました。

 

 また、小池氏は法人税の実質的な負担割合が投資などに及ぼす影響を分析した財務省作成の資料を提示。法人税減税について、企業の収益を改善させたが投資の増加には効果的でなかったとし、「今後は幅広い法人税減税には慎重になるべきだ」と結論づけていると指摘。「法人税負担の抜本改革を行うべきだ」と求めました。

 

 加藤勝信財務相は法人税減税は意図した成果をあげなかったと認めた上で「法人税率を引き上げつつ、ターゲットを絞った政策対応を実施する」などと答弁。小池氏は「それでは結局、大企業に対する負担はトータルでは求めないということになりかねない」と指摘し、大企業に応分の負担を求めて消費税減税の財源にするよう強調しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 消費税の減税について聞きます。
 時事通信の世論調査では、食料品に限って税率を下げるべき三五・一%、一律で税率を下げるべき二四・五%、廃止すべき一四・九%で、合わせて七四・五%です。同様の調査で、朝日は七六%、毎日は七二%、共同通信は七三・二%なんですね。
 大臣、世論調査では、消費税の減税あるいは廃止を求める声が軒並み七割以上です。どう受け止めていらっしゃいますか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今お話があった世論調査の結果も承知しておりますが、他方で、五月二十三日から二十五日にかけて行われた消費税減税と社会保障財源との関係を明示した形での日経、テレ東の世論調査では、社会保障の財源を確保するために税率を維持すべきだと答えた方が五五%、赤字国債を発行しても税率を下げるべきだの三八%を上回っていたということで、世論調査によってそれぞれ、また聞き方によっても違うのかなというふうには思いますが。
 ただ、いずれにしても、こうした減税等を求める声の背景には、身近なものの価格が上昇する中で、それぞれ皆さんの負担軽減を求めるこういった声があるということは承知をしているところでございますので、これまでも申し上げておりますように、一連の政策、これを総動員をまずしていきたいと、そして、家計や事業活動に与える影響に細心の注意を払いながら物価高対策に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○小池晃君 私たち、赤字国債でやれとは言っていませんので、ちゃんと財源をつくってやるべきだと。そこをちゃんと示せば、私はやっぱり減税という声が多数になると思うんですね。
 二十三日の自民税調の勉強会でも消費税減税を求める声が相次いだと聞いておりますが、どういう声が出されたんでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 政府として個別の政党における御意見を紹介する立場にはないこと……(発言する者あり)いや、私は政府の立場でございますから、御理解いただきたいと思いますが、その上で、会議終了後の取材で税制調査会の幹部の方の御説明を少し申し上げさせていただければ、実質賃金が伸びない中で物価対策を行う必要があり、とにかく消費税を引き下げるということは国民の理解を得やすいのではないかという御意見があった一方、一時的、短期間の税率引下げについては、引下げ前の買い控え等や税率を元に戻す際の買いだめ等により経済取引を非常に混乱させるのではないか、消費税は地方財源として大切である、消費税減税が難しいのであれば、国民にも分かりやすいしっかりとした政策メッセージが必要であるといった意見もあったとの説明がなされたものと承知をしております。
○小池晃君 かなり少数意見を強調したような発言だと思いますけど、減税を求める声が相次いだというような報道です。
 やっぱり野党各党も減税を求めるようになりましたし、今、都議会議員選挙に向けて、消費税減税を訴えるチラシまいている自民党の候補者いますよ。こういう声が広がっているんですよ。それでもやっぱり背を向け続けていいのか。
 先日の党首討論で石破首相は、消費税減税について問われて、高所得者が裨益をするということ、期間が一年以上掛かるということ、それによる減収はどこから手当てするのかということ、そこについて総合的にお示ししなければ、責任ある政策にならないと答えたので、一つずつ聞きたい。
 首相は、消費税の税率を変更する際はスーパーのシステムを変えるだけで一年は掛かると述べましたが、その根拠は何ですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 大手スーパーマーケットやコンビニ等で用いられ、販売情報や在庫管理、顧客情報の管理などとリンクしているPOSレジシステムについて、財務省から複数の大手システム事業者に対し税率引下げに必要な期間を確認をしたところであります。
 過去の税率引上げ時に、税率に関して自由度の高いシステムを構築しているため比較的短期間で対応可能とする事業者があった一方で、そのようなシステムを構築していない事業者からは、全ての顧客でのシステム改修を終えるまでには相当な期間を有し、過去の引上げ時と同様に、少なくとも一年は要すると見込む事業者も複数あった、このことを踏まえたものと考えております。
○小池晃君 私、POSシステム使っているのは大手のチェーンで、システム変更というのはすぐできると思いますよ。それから、テレビ番組でも、商店街で商店主さんに聞いたら、もう一日でできる、一晩でできるという声が相次いでいたんですね。消費税というのは事業者が払うわけですから、税率下がるんだったらみんな喜んで対応しますよ。時間が掛かるというのは、私、根拠がない言いがかりだと思います。
 それから、さらに、首相は、高額所得者が裨益すると言うんですが、年収に占める消費税負担率は高額所得者ほど低い、これはお認めになりますね。
○国務大臣(加藤勝信君) 今のレジのやつですが、個人商店の場合は割と簡易なシステムでありますから、そういった声も確かにあるんだろうというふうには思います。
 それから、党首討論で、消費税減税は高額所得者が裨益するということでございますが、確かに年収に対する消費税負担の割合、これは高所得者ほど低いというのはそのとおりでございますが、金額で見れば、より多くの消費を行う高額所得者の方が多くなるということでございます。
 総理は、消費税を減税することとなりますと、これは所得が高い、消費が多い方ほど裨益をする、そういうことになりますと発言をしているところでございますので、消費税の減税について、高所得者や高額消費も含めて負担軽減がなされることとなるため、物価高に最も苦しんでいる低所得者への支援という意味では効率性が乏しいということを指摘する趣旨であったものと理解をしております。
○小池晃君 だから、そういうことを心配するんだったらば、高額所得者に対して十分な負担を求めることとセットでやって財源もできる、これが一番いいと私は思うんですね。
 その財源問題です。減収をどこから手当てするのかということでいうと、一九八九年、消費税導入した際には、大企業などの法人税率四二%、これが今や二三・二%ですよ。所得税の最高税率も六〇から四五に引き下げられてきた。
 私は、国の税収を増やすためにも、行き過ぎた法人税や富裕層への減税を見直して、税の取り方の不公平を正すということをやれば、高額所得者が裨益するという議論だって解消できるじゃないかと思うんですが、そういう見直しをする気は全くないんですか。
○国務大臣(加藤勝信君) まず、多分、総理は、社会保障の財源をどこに求めるのかということをおっしゃったのではないかなというふうに思いますが、消費税は税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定している、働く世代などの特定の層に負担が集中することがないという特徴を有しており、こうした特徴も踏まえて、少子高齢化が進む我が国においては消費税が全世代型社会保障を支える重要な財源としてこれまで位置付けられたところでございます。税制の在り方を考える上では、こうしたこれまでの経緯も踏まえて議論する必要があると考えます。
 税制については、これまでも中長期的視点に立ち、持続可能な経済財政運営を行う観点から、経済社会の構造変化を踏まえて、応能負担を通じた再分配機能の向上、格差の固定化防止を図りつつ、累次の見直しを進めてきたところでありますし、引き続きあるべき税制の具体化に向けて検討を進めていきたいと考えています。
○小池晃君 要するに、法人税や富裕層への減税を見直すということも検討課題だということですね。
○国務大臣(加藤勝信君) 法人税については、既に令和七年度与党税制改正大綱において、法人税率を引き上げつつ、ターゲットを絞った政策対応を実施するなど、めり張りのある法人税体系を構築していくということになっているところでございます。また、所得税についても、これまでも累次の改正を行ってきたところでございます。
 今後とも、こうした点も踏まえながら税制の在り方を考える際には、所得、消費、資産などの課税ベースのバランス、こういったことも含めて必要な検討をしていく必要があると考えています。
○小池晃君 所得税の累次の改正というのは、やっぱり高額所得者に有利な方向に、若干例えば金融証券税率一〇%から二〇%にしたとかありますけど、全体でしたら所得税最高税率下げてきたわけですよ。
 間もなく日本経団連の会長を退任される十倉雅和さんが、最近の著書「FUTURE DESIGN 二〇四〇 成長と分配の好循環」でこう書かれているんですね。税と社会保険料を合わせた負担の在り方の見直しに当たっては、どういった手法を用いるか、その順番と実施時期をどうするかを考えなければならない。そこで、まず考えられるのは、応能負担、富裕層の負担増の徹底であると。可処分所得の底上げを図る必要があることに加え、格差是正や再分配機能の強化の観点からも、まずは富裕層への負担増を考えざるを得ない。それから、いわゆる一億円の壁についても、今は年間所得三十億円以上だけれども、これを引き下げて対象者を拡大することや税負担率の引上げ、個人所得税の累進制を高めることも考えられると。
 私が経団連の会長さんの本を紹介するというのは余りないことだと思いますが、私はこれを読んで非常に傾聴に値する意見だと思いましたよ。大臣、そう思いませんか。
○国務大臣(加藤勝信君) 先ほど申し上げましたけど、税制についても、経済社会の情勢変化を踏まえて再分配機能などをどうするか、こうした観点から検討することは重要だと思います。
 所得税についても、確かに簡素化している時期もありましたけれども、所得再配分機能強化を図る観点から、平成二十五年度改正で最高税率の引上げを行うなど、そうした方向での累次の改正を行ってきたところでございます。
 昭和六十年当時にまさに税制改革いろいろ進んで、先ほど申し上げた累進構造の緩和、簡素化が行われたわけでありますけれども、そういった時代と比較すれば、少子高齢化を始めとした中長期的な経済社会の構造、これは大きく変化しているというのはそのとおりだと認識をしております。
 当然、税制の在り方を考える際には、そうした点も踏まえて、先ほど申し上げた所得、消費、資産などの課税のベースのバランスも含めて今後の在り方を考えていく必要があるというふうに認識をしております。
○小池晃君 そうしたことをやってきたけれども、十倉会長は、もっとやっぱり所得税、累進課税強める、あるいは富裕層への負担を求めるべきじゃないかと言っているんですから、やっぱりそういったことを検討すべき。
 それから、法人税の問題なんですが、昨年十二月の与党税調では、法人税率が設備投資や賃金に与える影響が限定的であり、我が国の法人税改革が国内投資に効果的ではなかったという分析を出していますね。この元データ何なのかと厚労省に聞いたらば、出してきたのが今お配りをしている資料なんですよ。
 これ、企業レベルのパネルデータを用いて、法人税の実質的な負担割合が現預金保有及び投資に及ぼす影響を推定したということなんですね。その結果、書いてありますが、法人税負担の軽減は、企業の収益を改善させたが、投資を増加させるに効果的ではなかった。企業が投資や賃金を増加させず、現預金保有に回した。財政コストや既に積み上がった公的債務を考えれば、今後は幅広い法人税減税には慎重になるべきだというふうにしているんですね。
 やっぱり企業利益が賃上げや投資に回っていないという指摘、これはあるわけですから、やっぱり法人税の抜本改革をすべきじゃないですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 我が国の法人税、確かに世界的な法人税率の引下げ競争が展開される中で、二〇一〇年代、投資や雇用、賃上げの促進を図るため、税率を二三・二%まで引き下げ、また経済界にはその趣旨を踏まえた対応を求めてまいりましたが、今御指摘の令和七年度の与党税制改正大綱においても述べられておりますが、現預金等の積み上がりが指摘されつつ、こうした振り返りを踏まえれば、法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ずと評価されたほか、今後の法人税の在り方については、先ほど申し上げましたが、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、めり張りのある法人税体系を構築していくとされているところであります。
 政府としても、今後の法人税の在り方については、このような与党税制改正大綱で示された考え方、また経済情勢の変化、国際的な動向なども踏まえながら検討していく必要があるというふうに考えております。
○小池晃君 今の話なんだけど、要するに法人税率、これ歳入中立ということですか。レベニュー・ニュートラルということですか。大企業の負担もう増やしませんと、税率は下げたとしても租特で取りますよと、大企業の負担はもうこれ以上追加負担求めないという、そういう意味ですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 税制改正の中においては、委員御指摘のように、レベニュー・ニュートラルの観点からもという記述があるものと承知をしておりますが、それらも踏まえて、引き続き、与党における議論は今後深められると承知をしておりますし、そうした議論も踏まえながら、政府としても必要な対応を図っていきたいと考えています。
○委員長(三宅伸吾君) 時間が来ておりますので。
○小池晃君 はい、分かりました。
 結局、法人税率についていろいろ言いつつ、ターゲットを絞って政策対応を実施するというと、結局、大企業に対する負担をトータルでは求めないということになりかねない議論ですよ、これは。それでは財源にもならないし、税のゆがみを正すことできないということを申し上げて、質問を終わります。

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