日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

検索

国会ハイライト

国会質問・速記録・質問

旧姓使用で解決せず 参院委 小池氏「選択的別姓を」

2025年06月09日

赤旗2025年6月7日付

写真

(写真)質問する小池晃書記局長=5日、参院財金委

 日本共産党の小池晃書記局長は5日の参院財政金融委員会で、選択的夫婦別姓制度をめぐり、旧姓の通称使用で不便が解消されるとする議論について、金融機関での対応の実例を示し、旧姓の通称使用では問題が解決できないとし選択的夫婦別姓制度の導入を求めました。

 

 金融庁と内閣府が2022年に公表したアンケート調査結果によると、旧姓による預金口座開設などに対応している金融機関は、銀行は68・8%、信用金庫は58・3%、信用組合は12・4%にすぎません。

 

 小池氏は、金融機関で旧姓使用が進まない背景に、周知が不十分で、旧姓で申し込みを受けても簡単に認めないケースが多いと指摘し、旧姓で口座開設ができると聞いて申し込んだが認められず、業務で送金するたびに身分証明をしなければならないという山口県の弁護士の事例を紹介。証券や株式、投資信託、国債、社債、個人型確定拠出年金などの取引で旧姓口座使用できるかただしました。金融庁の伊藤豊監督局長は「旧姓口座で有価証券の取引ができる金融機関は承知していない」と答えました。

 

 小池氏は「一人の個人を単一名称で管理しなければ名寄せや適正な課税ができず、不正な取引やマネーロンダリング、脱税を防止できないため、当然の対応だ」と指摘。クレジットカード作成や住宅ローン、生命保険の締結などでも旧姓使用ができない場合が多いとして、「旧姓の使用では十分な経済活動はできず社会的信用を得られない」と強調し、「人権とアイデンティティーの問題だ。国際的基準で対応できるよう、選択的夫婦別姓の導入こそ必要だ」と迫りました。

 

 加藤勝信金融担当相が、旧姓の口座開設を周知し「支障ができるだけないようにする」と答えたのに対し、小池氏は「選択的夫婦別姓を実施すれば支障は全くなくなる」と改めて訴えました。

 

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 今回の法案は、金融のデジタル化の進行の下で、利用者保護、一定の保護を図るもので、必要な措置だと思います。全体として規制を強める。
 ただ、その暗号資産仲介業の創設というのは規制の緩和ということになるのではないかという、投資家保護という点から、この懸念にはどうお答えになりますか、大臣。
○国務大臣(加藤勝信君) 仲介業については、利用者保護の観点から、暗号資産は詐欺等のリスクが存在するとともに、その価値の変動が厳しく、保有者に損失を生じるおそれがあることも踏まえ、媒介を行う者として、暗号資産交換業者等と同等の説明義務や広告規制を課すこととしております。
 また、今般の改正法案ではいわゆる所属制を採用し、中間業者が利用者に損害を与えた場合には、当該仲介業者が所属する先の暗号資産交換業者等が利用者に対する賠償責任を負う仕組みとしており、暗号資産交換業者等自身にも仲介業者を適切に指導、監督する誘因が働く仕組みとしております。
 仮に仲介業者において法令違反が生じた場合には、当該仲介業者に対して直接監督上の措置を講ずることが可能であることに加えて、中間業者が所属する暗号資産交換業者等に対しても、仲介業者に対する指導監督義務が十分履行できていないことを理由として監督上の措置を講ずることが可能となっております。
 このように、新たに創設する中間業については、所属制の採用など事業の特性に応じた過不足のない規制を適用しつつ、新たに暗号資産の取引を始める方を含め、利用者の保護にも万全を期してまいりたいと考えております。
○小池晃君 大臣は衆議院で、オンラインカジノへの入口をしっかり遮断すべく、関係省庁とも連携しながら取り組みたいとおっしゃっております。
 オンラインカジノは海外で合法的に運営されているものが多いわけですが、スマホなどで手軽にアクセスして、金をもうければこれ刑法の、金を賭ければね、刑法の賭博罪にこれは該当するわけで、いろんな社会問題化している。今後、どのような対策を政府全体として行っていくんでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) オンラインカジノへの入口となる海外送金の遮断に向けて、まずは今般の改正法案によって国境をまたぐ送金を取り扱う収納代行業者を規制対象にするということで、賭博行為への関与の有無にかかわらず、国外の収納代行先に送金する場合には、適用除外に該当する場合を除き、資金移動業の登録が必要とするとしています。
 また、この措置によって、登録段階でオンラインカジノへの送金への関与が認められた場合には、登録拒否要件に該当し、資金移動業の登録が認められないため、無登録業者としての取締りが可能となります。金融庁としては、無登録業者の取締りに当たっては、警察庁の情報交換等を通じて緊密に連携を図っていきたいと考えております。また、加えて、五月十四日には、金融庁、検察庁の連名で、金融機関に対し、オンラインカジノに係る賭博事犯の発生を防止するための取組を要請をいたしました。
 今後、オンラインカジノや送金など、不正利用が疑われる口座の特定について先進的な取組を行っている事例を金融機関等と共有するとともに、全国銀行協会において現在検討が進められておりますが、不正利用の疑いのある口座情報を銀行間で迅速に共有する仕組みの構築に向けて積極的な後押しを行っていきたいと考えております。
 引き続き、検察庁又は金融機関等の関係者と連携をし、オンラインカジノへの送金を止めるための取組を具体的に進めてまいります。
○小池晃君 法成立後も万全の対策を求めたいと思います。
 選択的夫婦別姓法案の審議が始まっております。旧姓の通称使用によって不便は解消しているという議論があるので、金融機関における対応どうなっているのかということをこれから取り上げたいと思います。
 金融庁と内閣府が二〇二二年九月六日に、旧姓による預金口座開設等に係るアンケート結果概要、これによる金融機関別のその対応状況、お示しください。
○政府参考人(伊藤豊君) お答えします。
 今御指摘の二〇二二年九月のアンケートにおきまして、普通預金について、旧姓による新規口座開設に対応しているか、また、口座開設者が婚姻等により改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めているかという問いに対しまして、結果ですけれども、銀行は六八・八%、信用金庫は五八・三%、信用組合は一二・四%が旧姓口座に対応しているという結果を公表しております。
○小池晃君 信用組合では約九割が対応していないわけですね。
 その今の調査で、金融機関が対応してない理由について多かったものをお示しいただきたいと思います。
○政府参考人(伊藤豊君) お答え申し上げます。
 旧姓による預金口座開設等に未対応の理由につきまして、一番多かったのは、マネーロンダリング及びテロ資金供与防止に懸念が生じるため、次が、旧姓名義による普通預金口座開設のニーズがないため、三番目、システム改修が必要となるためといった理由が挙げられております。
○小池晃君 旧姓による新規の預金口座開設に応じている金融機関でも、そのことがどのように周知されているのか、その状況はどのようになっているでしょうか。
○政府参考人(伊藤豊君) お答え申し上げます。
 旧姓口座に対応している金融機関において、その際の手続についてホームページなどで顧客に対して周知をしていますかという問いに対しまして、この周知をしていますという方ですけれども、銀行では一四・〇%、信用金庫では八・八%、信用組合では一一・一%でございました。
○小池晃君 今紹介していただいたのはちょっと前の調査ではあるんですが、こういう状況だと。
 ゆうちょ銀行も昨年十月から旧姓の通称使用での口座開設対応するようになったんだけれども、顧客から問合せがあったらその場合に対応するということで、ホームページには掲載されていないんですね。積極的な周知はされていません。
 さらに、様々金融機関で、個人から旧姓口座開設の申込みを受けた場合であっても、簡単にそれを認めないというケースが多いということが言われています。
 実例ちょっと紹介したいんですが、今年の三月なんですけど、山口県の弁護士の女性なんですが、この方は旧姓で仕事をされているので、成年後見業務などで郵便局で送金をするとき、毎回身分証明書の確認をしなければならないと。気心知れた地元の郵便局で毎回それやっているということなんですね。
 遺産分割の事件があって、被相続人が貸したお金をゆうちょ銀行で受け取っていたために、こちらの預り金口座もゆうちょ銀行で作ろうとして、また戸籍姓で作らなきゃいけないのかと負担に感じていたらば、知り合いの郵便局員から、先生、旧姓で口座作れますよと言われたということで作ることにしたと。で、提出したのは旧姓併記のない運転免許証と旧姓併記されている弁護士会の身分証明書と申込書なんですね。簡単にその通常の口座開設のようにいくかと思って待っていたらば、職員が何度も電話を掛けていて、先生、五分、十分で確認できそうにないので一旦事務所に戻ってくださいと言われて、事務所に帰った。すると、二時間以上たってから電話が掛かってきて、先生ごめんなさい、ゆうちょ銀行本部に確認したんですけど、やはりできないと言われましたということなんですね。
 この方は、結局また送金のたびに毎度戸籍謄本を出して証明し続けるのかとがっくりきたとおっしゃっているんですよ。
 まあこれは一つのケースなんですが、金融庁、政府は積極的に旧姓口座開設を呼びかけているにもかかわらず、やっぱり現場においては十分な対応を周知されていないというのが実態だと思うんですが、これ一体なぜこういうふうになっているのかとお考えでしょうか。
○政府参考人(伊藤豊君) お答えします。
 金融機関におきまして理由は様々だと思いますが、私どもといたしましては、対応しているにもかかわらず、現場の支店、現場の職員においてこれがよく周知されておらず、お客様に対して不十分な説明若しくは手間をお掛けしているという状況は非常によろしくないと当然思っておりまして、これは本部から各現場、支店に対して、よく周知するようにということを重ねて申し上げている、重ねて要請しているところでございます。
○小池晃君 ただ、それぞれ顧客に対してはほとんど周知という努力がされていない。先ほどアンケート調査見ても、一割台しか周知していない、ホームページでもそのことを伝えていないというのが実態としてはある。
 お配りしたのは、ちょっとこれ二〇二三年の朝日新聞の記事なんですけど、やっぱりネックは口座の開設だという記事で、結局金融機関によってばらつきがあると、私が紹介したような同じようなケースを紹介していて、京都の方のケースなんですけど、結局、最後は京都信用金庫だけで作れたという。
 この記事の最後の方に大手銀行関係者の話ということで、旧姓口座はできないことはないが、マネロン対策もあり、本当は余り広めたくはない、大々的に周知はしていないのが現状だというふうに報じている記事であります。
 証券会社での取引は旧姓の使用はできるんでしょうか。
○政府参考人(伊藤豊君) 私ども把握している限りにおきまして、証券会社で旧姓の通称使用に関して対応している証券会社はないというふうに承知をしています。
○小池晃君 株式、投資信託、国債、社債、iDeCo、こういったものはどうなんでしょうか。
○政府参考人(伊藤豊君) お答えします。
 私どもといたしまして、旧姓口座で御指摘いただいたような有価証券の取引ができる金融機関は承知をしておりません。
○小池晃君 ましてや海外株式の購入など、海外商品の取引はおよそこれはもう不可能と。やっぱり一人の個人を単一の名称で管理しなければ、名寄せ、適正な課税できませんから、不正な取引、マネーロンダリング、脱税を防止することはできないので、やっぱりこれ金融機関としては当然の対応ではないかなと。
 このほか、クレジットカードを作る、あるいは住宅ローン、生命保険の締結など、旧姓が使用できない場面は大変多いわけですね。結局、旧姓の通称使用ということでは十分な経済活動ができない、社会的な信用が得られないと。こういったことがあるから、日本経団連も、やっぱりこれは旧姓の通称使用では解決しないということを言われているんだと思います。
 私は、旧姓使用の拡大などで時間とお金を費やすのではなくて、やっぱり国際基準で対応できるようにすべきだと、何よりこれは人権の問題だと、アイデンティティーの問題だと思います。
 大臣、金融機関において夫婦の姓の扱いについて国際基準で対応できるようにするためにも、私はこれ選択的夫婦別姓を導入するということが必要だと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) まさに今御指摘の夫婦の氏の在り方については様々な意見があることを考慮の上、今、国会においてもいろんな議論が行われているというふうに承知をしておりますし、より幅広い国民の理解が形成されることがそのためにも重要だと考えております。
 その中で、今委員御指摘の預金口座等でありますけれども、まさに日常生活に不可欠でありますし、また旧姓使用のニーズも強いものでありますので、我々としては、先ほどの金融機関に対するアンケート調査等も、そうした旧姓使用による預金口座開設等への対応を推進するという観点からも行ったところでございますし、またその中身についてもしっかりフォローさせていただくとともに、また積極的な周知、またそうした預金口座の開設に対する要請というのをまたいろんな機会に申し上げているところでありますので、引き続きこうした努力を続けることによって、日常生活におけるそうした支障ができるだけない、こういった状況を我々としてはできる範囲の中で進めていきたいと考えています。
○小池晃君 選択的夫婦別姓実現すれば支障は全くなくなるわけですから。
 様々な意見があるとおっしゃいますけど、日本経団連も言っている、日本経団連と日本共産党が同じことを言っているのはめったにあることじゃないんで、これはやっぱり、そんなに、あの辺りに強硬な反対論がありますけど、しかし、全体としては、世論としては認める方向なわけですから、前に進めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
    ─────────────

閉じる

ご意見・ご要望