日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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インボイスは廃止せよ 軽減打ち切るな 小池書記局長追及 参院財金委

2025年06月11日

赤旗2025年6月11日付

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(写真)質問する小池晃書記局長=10日、参院財金委

 日本共産党の小池晃書記局長は10日の参院財政金融委員会で、インボイス登録事業者の約8割が消費税負担や事務コストを価格に転嫁できないなどの実態を突きつけ、「インボイスはきっぱり廃止すべきだ」と指摘し、少なくとも「2割特例」などの軽減措置を来年10月以降延長するよう政府に迫りました。

 

 小池氏は「インボイス制度を考えるフリーランスの会」の実態調査で、インボイス登録事業者の4割超が消費税などの支払いを「所得や貯蓄」から捻出し「借金」して支払った登録事業者が1割超にのぼったとの結果を示し、「円滑な価格転嫁はまったくできていない」と指摘。年間売り上げ330万円のフリーランスデザイナーは、消費税の納税額が2023年度(3カ月分)は1万5000円、24年度(1年分)は6万円、2割特例が終了すると15万円になると予想され、「来年10月から今の倍以上の消費税が全額価格転嫁できると思うか」と追及しました。

 

 加藤勝信財務相が「円滑な価格転嫁が行われるようしっかり取り組んでいく」と強弁したのに対し、小池氏は「実態調査でもインボイス制度を機に価格交渉を行った登録事業者は2割にすぎない」と強調。建設業では一人親方などの免税事業者との取引が多く、企業側が消費税を負担しており、経営者から「今は軽減措置でなんとかやっているが、これから先やっていけない」との声が出ていると指摘しました。

 

 小池氏は、インボイス廃止と消費税の5%減税・廃止を要求。来年10月までの「2割特例、8割控除」の軽減措置の延長を迫りました。加藤財務相は「慎重に検討していきたい」と答えるにとどめました。

 

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 インボイス制度を考えるフリーランスの会が行った一万人のインボイス実態調査、先ほど柴理事も取り上げた問題ですけれども、大臣御覧になったというので、話は早いと思います。私、これは、調査結果見て、やっぱり八割が価格転嫁できていない、四割超が消費税等の支払、所得や貯蓄から捻出をしている、やっぱりこういう借金をして払っている登録事業者、一割超。私は価格転嫁が円滑にできていないという実態示されていると思いますが、円滑な価格転嫁は現時点ではできていませんよね。
   〔委員長退席、理事船橋利実君着席〕
○国務大臣(加藤勝信君) 先ほど申し上げました御指摘の実態調査については、小池委員からも速報版のお話があり、先般、最終版というんでしょうか、全体版についても、あっ、今回の正式な調査結果にも目を通させていただきました。インボイス制度に関する調査は本件以外にも様々なものが公表されておりますので、そうした実態調査について、そこで出てきた意見、これを一つ一つ受け止めていかなければならないと考えております。
 その上で、御指摘の消費税の納付額等を所得や貯蓄、借入れによって補填したという回答が多かったという点については別の調査結果においても指摘されているものと承知をしております。
 具体的には、フリーランス協会が三月末に公表した調査結果では、課税事業者であるフリーランスがやり取りした請求書、支払明細の九割で消費税額が記載されているという結果が示されていると承知をしており、売上げに際して消費税を受け取っておらず、その一部から納税することがそもそもできないといった状況にある事業者が少なくないことがうかがわれるわけであります。
 また、全国建設労働組合総連合が昨日公表したアンケート調査の結果でも、課税転換した事業者の八割以上が消費税分が上乗せされていると回答しているとの結果が示されたと承知をしており、この結果は二〇二三年十二月のときの三割に比べて大きく増加しているところでございます。
 政府としても、こうしたインボイスの円滑な実施に際し適切な価格転嫁が行われることが大変重要と認識をしており、特に中小・小規模事業者の方については、その事業の実態も踏まえつつ、価格転嫁等が適切に進むよう政府一丸で取り組みたいと考えております。
○小池晃君 今の答弁は、要するに、いろんな調査、円滑な価格転嫁できていないということが実態だということをお認めになっているわけですよね。
 この実態調査の中でも紹介されている例で、年間売上げ三百三十万円のフリーランスデザイナー、制度開始前には消費税ゼロだった。二〇二三年度は課税期間三か月なんで一万五千円、二四年度は一年分になって六万円、二割特例が終了する二六年十月以降は、これ十五万円になるということが予想されていると。今の六万円の分も価格転嫁できていない。大臣、来年十月までに今の倍以上の消費税、全額価格転嫁できるようになると思いますか。
○国務大臣(加藤勝信君) 先ほど申し上げた別の状況に対する調査結果があるということで、済みません、売上げに際して消費税を受け取っておらず、その一部から納税することがそもそもできないといった状況にある事業者は少なくないと言いましたが、少ないことがうかがわれるということでございますので、訂正させていただきたいと思っております。
 そうした認識の下において、政府として、先ほど申し上げたように、インボイスの円滑な実施に際しては適切な価格転嫁が行われることが重要と考えております。
 具体的に、これまでもインボイス制度の導入に伴い、課税転嫁した事業者が消費税の適正な転嫁をしようとした場合、その取引先が不当に価格を据え置くことは独占禁止法上問題になることを明らかにし、注意喚起を図り、また公取においても、そうした動きがないか監視し、必要な厳正な対応が行っており、先ほども公取からそうした答弁がなされたものと承知をしているところでございます。引き続き政府として円滑な価格転嫁が行われていけるようにしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
   〔理事船橋利実君退席、委員長着席〕
○小池晃君 円滑な価格転嫁というふうに繰り返されるんですけど、価格交渉するといっても、この実態調査でも、インボイス制度を機に価格交渉を行った登録事業者は二割にすぎないわけですね。圧倒的な力関係の差があるわけですよ。特にやっぱり小規模、フリーランスというのは重層下請構造の中でも一番下にいる。そういう中でやっぱりこの価格転嫁はできない実態はある、間違いなく。
 人手不足問題になっている建設業では、先ほど建設業の話もありましたが、一人親方などの免税事業者との取引が多いところ、これは企業側が消費税負担している、経営者からは、今は軽減で何とかやっているけれども、これから先、これはやっていけないという声が出ているわけですね。
 私は、インボイスはもうきっぱり廃止すべきだと思いますよ。消費税は五%に、複数税率やめる、そして廃止するということは必要だと思いますが、これ、先ほどから、やっぱり二割特例、八割控除、これをどうするのかということがありました。大臣は、円滑な導入のための経過措置だと言われた。円滑な導入できてないじゃないですか。来年十月までにできないですよ、この実態で。やっぱり、慎重にこれは検討するという言い方でしたけど、価格転嫁が来年十月にもできてないという実態があれば、これは延長するということは必要になると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 同じ答弁になってしまいますけれども、今回、インボイス制度の円滑な導入、定着を図る観点から、激変緩和、負担軽減措置等として期限を区切って設けたところでございますので、あくまでも制度の円滑な導入や定着を図るために設けられたものでありますんで、その延長などについては、こうした目的なども踏まえて慎重に検討していきたいと考えております。
○小池晃君 だから、円滑な導入できていなかったら、それは延長するということでしょうと言っているんです。
○国務大臣(加藤勝信君) ですから、同じことを申し上げさせていただきますけれども、まさにそうした目的なども踏まえて慎重に検討させていただきたいと考えております。
○小池晃君 これは、このまんまやっぱり納税額倍なんかになったら、もう小規模事業者やフリーランス、ばたばた倒れてしまいますよ。
 やっぱり日本の文化にとっても本当に損失になるような事態になりますから、私は、これは真剣に検討すると、慎重に検討するじゃなくて真剣に検討すると。やっぱり、今までの、今のまんまだったら円滑な導入にはならないと思います、この実態見ればね。これは少なくとも、私は、廃止ですよ、もちろん、廃止すべきだけれども、やっぱりこれ、延長を最低限でもするという決断をすべきだということを申し上げたいと思います。
 日本の税務行政の問題を取り上げますが、今年三月の所得税法の改正案に対する附帯決議で、納税者権利憲章の策定を含め納税環境整備について検討を行うということが附帯決議、全会一致で採択されました。
 大臣、政府としても納税者権利憲章の策定を早急に進めるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 納税者権利憲章は、一般に、納税者の権利義務を分かりやすい言葉で説明し、より多くの納税者に周知しようとする試みと承知しており、御指摘の附帯決議が出されたことも認識をしております。
 重要なことは、形式にかかわらず、実際に納税者の視点に立った利益の保護や利便性の向上に向けた措置を手当てするとともに、その内容を適切に説明していくことだと考えており、政府としても、この間、税務手続の法定化、また納税者利便の向上のための様々な措置を講じたところでございます。
 引き続き、本年三月の所得税法改正法への附帯決議も踏まえつつ、更なる納税環境の整備を図り、公平公正な課税徴収を行うことで、税務行政への信頼確保を図るべく努力をしてまいります。
○小池晃君 いや、形はともかくって、納税者権利憲章の策定も含めてという附帯決議ですからね、これやっぱり実現をしていただきたい。
 その上で聞きます。諸外国では、納税者の苦情を聞く独立した機関が設けられております。日本には納税者支援調整官制度ありますが、職員は全国でどれだけ配置されていますでしょう。
○政府参考人(小宮敦史君) お答え申し上げます。
 御指摘の納税者支援調整官でございますが、税務一般に関する納税者からの苦情に対して、当該納税者が適正かつ円滑に納税義務を履行するために必要な助言や調整等を行う者でございまして、配置状況につきましては、全国の国税局、税務署におきまして、合計七十四名の納税者支援調整官が職務に当たっておりまして、全ての国税局に配置されている状況でございます。
○小池晃君 これ、法的根拠ないんですよね。財務省組織規則に基づく制度ということ。それで、全国で七十四人しかいない。国税不服審判所のような、国税庁から独立した機関じゃないわけですね。
 この運営についてはどのように定めているのか、またその定めは公表されているのか。事務運営についての年次報告書は作成されていますか。
○政府参考人(小宮敦史君) お答え申し上げます。
 納税者支援調整官の事務運営でございますが、これは国税庁で定めております事務運営指針に沿って職務に当たっております。この指針につきましては、国税庁の内部規定でありますので、公表は行ってございません。
 また、報告書につきましてですが、国税庁におきましては、毎年、国税庁実績評価書を作成、公表をしております。その中で、納税者支援調整官の取組も含めまして、納税者からの相談等への適切な対応、また納税者からの苦情等への迅速、適切な対応の評価を行っているところでございます。具体的には、その納税者支援調整官が、職員研修の実施や苦情等の未然防止に関する情報周知を通じて、応接態度や事務運営の改善に向けて取り組んでいるといった旨を公表しているところでございます。
○小池晃君 改善のまあ指針というか、改善の中身、努力、そういうのを公表しているということで、どんな苦情が出てきて、どのように処理して、一体何件この苦情があったのか、活動内容はこれ報告すらされていないわけですよ。
 大臣、納税者権利憲章、権利章典に定めているアメリカの課税庁、IRS、これ、非常勤含めると約九万五千人の職員がいると。で、年間二億件以上の納税申告取り扱っている。で、IRSの中には、現業部門から独立して納税者からの駆け込み救済に当たる納税者権利擁護官サービス、TAS、これ二千二百人から三百人の職員がいて、年間約三十万件の苦情の処理、救済依頼に応じているそうです。年次報告書を作成し、連邦議会に提出し、ホームページにも公表しています。
 私は、行政が第三者評価を受けるというのは、これは今日の民主主義のスタンダードだと思うんですね。やっぱり、納税者からの苦情処理をやっているのであれば、それをきちんと年次報告書という形で公表すべきだと思いますし、私はこの納税者支援調整官というのは大事な制度だと思うんですが、これ法的規定はないわけですから、やっぱりこれは法律に定めて、税務行政をきちんと監視できる、そういうシステムに変えるべきではないかというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今、米国の例を出されましたけれど、それぞれ制度が違いますので、それに応じた対応を取っているということだと思いますが、国税庁においては、税務一般に関する納税者の苦情等に対応する納税者支援調整官のほか、一般的な相談等に対応する税務相談官を各国税局に設置するなど、納税者からの苦情や相談に迅速かつ的確に対応しているところでございますし、今御指摘のあった法令の話であれば、これ、こうした体制は、省令である財務省組織規則に明記されているところでございます。
 また、公正な第三者的な立場ということであれば、国税に関する法律に基づく処分についての審査請求に対する裁決を行う国税不服審判所が設置をされ、適正かつ迅速な事件処理を通じて、納税者の権利利益の救済も図っていると、救済を図ることとしているところであります。
 こうした体制に基づき、納税者の視点に立って迅速かつ的確に対応しているところでありますが、御指摘のように、税制は国民の信頼の上に成り立つものでありますので、納税者の利益の保護等の観点も含め、引き続き適正かつ円滑な税務行政に取り組んでまいります。
○小池晃君 いろいろおっしゃいましたけど、結局、財務省の中の内部の規定だけなわけですよ。それでいいのかと私は言っている。やっぱり大事な組織だと思うんです、これ。だったらば、きちっと法的な根拠を設けるべきではないかと、そして、その活動内容についてもきちんと公表をするという形で、今大臣は税務行政に対する信頼性等々おっしゃった、これ大事なことですから、きちんとそういう対応をするということを是非検討していただきたいと申し上げて、質問を終わります。

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