日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2015年8月11日 参院安保法制特別委員会 速記録

2015年08月11日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
七月二十九日の当委員会で示した海上自衛隊の内部文書、「平和安全法制案について」、これ、昨日、防衛省から理事会に提出をされました。これは、海上幕僚監部防衛課と幹部学校作戦法規研究室の両者で作成したというふうにされております。
こうした文書があるのは海上自衛隊だけではないんではないか。
陸上自衛隊、航空自衛隊の幹部学校では作っていないというのが昨日の回答だったそうでありますが、そうではなくて、やはりそれぞれの、陸自、空自の内部で、やはり隊員に趣旨を徹底するためということでこういう文書を作っているはずだと私思います。
委員長にお願いしたいのは、やはり陸自、空自でのこういった説明資料、引き続き当委員会に提出させるよう求めていただきたいと思います。

○委員長(鴻池祥肇君) ただいまの申出につきましては、後の理事会において諮るようにいたします。

○小池晃君 本日は、新たな資料をお示しをいたします。これは、統合幕僚監部の、私どもが入手した内部文書であります。これは、ガイドライン及び平和安全法制関連法案についてということで、五月の末に作成されたようです。
四月二十七日に日米両政府は、日米防衛協力のための指針、以下、新ガイドラインとしますが、これ、十八年ぶりの再改定を合意しました。新ガイドラインは、集団的自衛権行使、米国などに対する武力攻撃への共同対処を明記するとともに、アジア太平洋地域及びこれを超えたグローバルな協力を打ち出して、地球規模で自衛隊が米軍に協力をし、従来の戦闘地域にまで行って軍事支援をすることをうたっている。
これは日米安保条約の実質的な改定であって、地球規模の軍事同盟への根本的転換だと思います。
こういう大転換を国会での法案審議が行われてもいないのにアメリカに誓約してきた。これは日本の独立と主権をないがしろにする異常な対米従属の姿勢だというふうに言わざるを得ません。
資料の二枚目を見ていただきたい。ガイドラインと平和安全法制関連法案の関係に係る概念イメージとして、ガイドラインの記載内容に、現行法制下で実施可能なもの、現行法制に加えてSDC文書と言われる別途文書が必要なもの、そして安保法制成立後に実施可能となるものがあることが明示されております。
図表の下に、これ全部プレゼンテーションの多分原稿が書かれているんだと思うんですが、この説明文章の中にこうあります。ガイドラインの記載内容については、既存の現行法制で実施可能なものと平和安全法制関連法案の成立を待つ必要があるものがあり、ガイドラインの中ではこれらが区別されることなく記載されていると。これ、本当に率直に書かれているんですね。
大臣、法案が成立しなければ実施できない内容を、国会で議論もしないうちに日米合意し、発表したことになる、そういうことですね。

○国務大臣(中谷元君) この資料につきまして、突然の御指摘でございまして、御提示をいただいている資料がいかなるものかは承知をいたしておりません。また、提示の資料につきましては、少なくとも防衛省といたしまして、これまで公表した資料にあるとは承知をしておりません。
どういった経緯によって入手されたものか明らかでない限りは、真贋や位置付けについて即答をすることは困難でございます。

○小池晃君 この文書、存在確認してください、じゃ。すぐにそれ確認してください。

○委員長(鴻池祥肇君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕

○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
暫時休憩いたします。
午後三時二十五分休憩

――――――――・――――――――

 午後三時三十二分開会

○委員長(鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
中谷大臣。

○国務大臣(中谷元君) 事前の通告なく提出された資料でございまして、確認するのに時間が掛かりましたけれども、同じ表題の資料、これは存在をいたします。ただ、示された資料と同一なものなのか、いろいろ文言も書かれておりまして、細部までこれ確認、特定するには多少時間が掛かるということでございますが、同じ表題の資料、これは存在するということでございます。

○小池晃君 こういうガイドラインと法案の関係を示す重大な文書ですよ、これ。根幹問題ですよ。
それを大臣が知らないということ自体が私、これ大問題だと思うんですよ。
結局、この内部文書が私、大問題だと思っているのは、内容でいうとその次のページですが、この統幕内部文書、「ガイドライン及び平和安全法制関連法案を受けた今後の方向性」となっているわけですよ。まだ国会で審議の真っ最中ですよ。
それを受けた今後の方向性を統幕が議論しているというわけですよ。
大臣、統合幕僚監部が既に新ガイドライン、法案を受けた今後の方向性の検討に入っていることを御存じでしたか。

○国務大臣(中谷元君) どういう経緯によって入手されたものか明らかでない限り、この内容について即答するのは困難でございますが、防衛省といたしましては、やはり法案、これの審議、これがまず第一でございまして、今部内で実施していることは、法案の内容を十分に研究、分析しつつ、現場の隊員にもよりよく理解をしてもらうということが重要でございまして、国会の審議中に法案の内容を先取りをするようなことは控えなければならないものだと考えております。

○小池晃君 これは法案の説明じゃないんですよ、今後の方向性ですよ。こういったことを議論しているかどうかは、これは私は答えられるはずだと思う。答えていただきたい。

○国務大臣(中谷元君) この安保法案につきましては国会の審議が第一でございますし、また、法案が成立した後、これは検討を始めるべきものでございます。
ガイドラインにつきましては今年四月に日米間で合意をしたものでございますので、この内容について検討をするということは、これは当然のことだと思っております。

○小池晃君 今、大臣は、法案が成立してから検討すべきものだとおっしゃった。だとすれば、統幕でこういう検討をしていたら大問題じゃないですか。これはどう対処されるんですか。

○国務大臣(中谷元君) 法案の中身までこれ踏み込んでいるかどうか、恐らく一般的に法案に書かれたことの理解だと思いますが、しかし、ガイドラインにつきましては今年の四月に日米間で合意をし公表をされたものでございますので、これについて中身を検討するということは防衛省の中としては当然のことだと思っております。

○小池晃君 そうじゃないんですよ。これは、ガイドライン及び関連法案を受けた今後の方向性ですよ。
そのことを実際に検討していたということを知らなかったんですね、じゃ、大臣は。

○国務大臣(中谷元君) ガイドラインについては、これはもう合意されたことでございますので検討はしてもいいと思いますが、法案につきましては現在参議院で審議中でございますので、中身の運用とかの検討におきましては、これは当然、法案が通った後の作業になるわけでございます。
しかしながら、この法案の中身がどのような内容であるのか、これは、担当官庁の職員としては十分認識をするのは当然のことでございまして、この法案の中身、内容等については、組織としては検討するのは当然のことだと思っております。
(発言する者あり)

○委員長(鴻池祥肇君) 速記を止めて。
〔速記中止〕

○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。

○小池晃君 大臣は先ほど、法案成立後に検討するんだったらいいけれども、中身を前もって検討することはそれはおかしいというふうに認められたんですが、この中身、ちょっと見てくださいよ。
例えばその次のページ、これは新ガイドラインで新たに設けられることになった同盟調整メカニズム、ACMが常設になることが明記されているんですね。ACM内には運用面の調整を実施する軍軍間の、軍軍間の調整所が設置される、軍軍間って何ですか。自衛隊と米軍ですか。自衛隊はいつから軍になったんですか。こんな軍軍間の調整所なんということは、ガイドラインにだってこんな文章はないんですよ、法案にだってないんですよ。だから、大臣、先ほどおっしゃったけれども、これはまさに法案がもう成立する前提で、その後のことを検討している文書じゃないですか。
一番端的なのは最後の日程表ですよ。これ、見てくださいよ。五月のところに現時点とちゃんと書いてある。八月に法案成立と書いてあるわけですよ。一月にキーンエッジ、これKE16 というのは多分キーンエッジ16 でしょう。それを受けて、二月から法施行と書いてある。ほかにも、例えばPKOのところで見ますと、これ九次隊が出発をして、年明けの二月からは新法制に基づく運用をするということなので、南スーダンPKOを年明けから今度の法制に基づく運用をすると書いてあるわけですよ。そんなことをどこで議論しましたか。
大臣、こんな検討をしているということが許されるんですか、どうなんですか。

○国務大臣(中谷元君) 今日、突然の御指摘でございますので、御提示いただいている資料がいかなるものか、コメントは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げますが、九七年のガイドラインの下での計画検討作業については、包括的メカニズムを通じて、主として自衛隊と米軍の間の組織である共同計画検討委員会、BPCにおいて行う一方、日米安全保障協議委員会、2プラス2が、下部組織である防衛協力小委員会、SDCの補佐を受けつつ、方向性の提示、作業の進捗の確認などについて責任を有してきたと。新たなガイドラインの下でも、共同作業の策定について、共同計画策定メカニズムを通じて行うことになりますが、ガイドラインに明記されているとおり、日米の2プラス2が引き続き同様の責任を有することには変わりなく、この御指摘には当たらないと。あくまでもガイドラインの合意に基づいた検討でございます。
それから、スーダンのPKO、UNMISSについては、宿営地の共同防衛に係る武器使用の権限は法律の施行後に伴い行使可能となる権限、よってスーダンPKOにおいては当該の権限は法律の施行に伴い行使することができるということでございまして、教育訓練等も含めて、必要な事項の取扱いは法案成立後に検討すべきことでございます。
それから、この資料、確たることはまだ申し上げられませんが、この中で平和安全法制関連法案の成立を待つ必要があるものについては、法制が成立して以降、施行されて以降実施をするということでございまして、あくまでもこれはガイドラインに対する検討でもありますし、また防衛省としては、法案の内容を十分に分析、研究しつつ、隊員によく理解してもらうという上での検討だと認識しております。

○小池晃君 これ、全く今の説明になっていないんですよ。例えばPKOだって、延長を決めた閣議決定、先週の金曜日じゃないですか、先週の金曜日に閣議決定したんですよ。だから、八月の末に終わる予定だったわけじゃないですか。それがもう九次隊ということで書かれているわけですよ。
それが新法制の下で運用すると書いてあるわけですよ。
それから、ガイドラインの具体化だって、これをSDCの文書を発出して、もうガイドラインの、要するに今の答弁でいうと、防衛協力小委員会の文書作成はもう始まっているということですね。
そして、法案成立前に基本計画を修正するということもこの後、下の方には書かれているわけですよ。これ全て、法案の成立を前提とした克明な自衛隊の部隊の編成の計画まで含めて出されているじゃないですか。
こんなことは戦前の軍部の独走ですよ。こんなことは絶対許されない。こんなものが出たままで議論なんかできないじゃないですか、この法案の。
もうこの法案、撤回するしかないですよ。これはもう、ちょっと止めていただきたい。はっきりさせていかないと、これ以上議論できない。

○委員長(鴻池祥肇君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕

○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
暫時休憩いたします。
午後三時四十八分休憩

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 午後四時七分開会

○委員長(鴻池祥肇君) ただいまから我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会を再開いたします。
本日はこれにて散会いたします。

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