日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2016年3月22日 財政金融委員会 速記録

2016年03月22日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。よろしくお願いします。
 来年四月の消費税一〇%増税についてですが、与党の中からも、これは実施延期、中止、そういう声が出ております。自民党の稲田朋美政調会長は十七日の記者会見で、増税延期の判断も含めて注視していかなければならないとおっしゃいました。それから、日曜日には、溝手顕正参議院議員会長も、増税が基本だが絶対ではない、来年四月というタイミングは良くない、参院選のテーマになるのは大変だと、こう述べたというんですね。
 大臣にまず、与党内からこういろんな声が上がっていますが、どう受け止めていらっしゃいますか。

○国務大臣(麻生太郎君) 与党の幹部の方々という、一くくりで言えばそういう表現なんでしょうけれども、方々に逐一コメントする立場にはないとはっきりしております、私のところの立場はね。ただ、報道については、発言の一部だけ切り取られているというのはしょっちゅうある話ですから、それも私もよくやられていましたので、それについても一々コメントすることは差し控えさせていただきます。
 いずれにいたしましても、私どもは、総理がおっしゃっておられるように、消費税率一〇%への引上げというものにつきましては、一昨年のような景気判断を行わないということを言っておられますので、リーマン・ショックというような言葉を使われておりますが、リーマン・ショック、大震災といったような重大な事態が発生しない限り、いわゆる確実に実行をさせていただきたいと考えております。

○小池晃君 ただ、そうは言っても、ただの幹部でないわけで、政策責任者あるいは参議院の最高幹部が言っているわけですね。
 私は、予算委員会で、八%への増税のときに家計消費どうなりましたかという質問をした際に、安倍首相は、家計消費が予想以上に落ち込んで、予想以上に長引いたというふうに率直に認められたわけですよ。
 これは一昨年、大門実紀史議員が、ここじゃないですけれども、予算委員会ですけど、質問した際に、総理はワンショットだと言っていたわけですけれども、これはワンショットでなくて長引いたということを認めたわけですね。ならば、この見通しが誤っていたことを率直に私は認めるべきだと思うんですよ。やっぱり消費税八%に引き上げたことが今のこの日本の経済に重大な打撃を与えたという、失敗だったということを認めるべきだと思うんですね。それで中止だと。
 ところが、今の議論というのは、何か官邸が国際金融経済分析会合なるものを開いて、ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ・コロンビア大学教授を招いた。スティグリッツさんは、現在のタイミングでは消費税を引き上げるべきでないとおっしゃったというふうに報道されています。
 今日は、何か、これまたノーベル経済学賞のクルーグマン教授から話を聞くそうであります。クルーグマン氏も消費税増税には慎重だというふうに報道もされている。
 私には、何かこの消費税増税中止を、これ世界の声だと、世界経済のせいにしようとしているんじゃないかというふうに思えて仕方がないんですが。これは率直にやっぱり、さっき言ったみたいに、増税中止するならばやっぱり自らの増税の誤り、アベノミクスの行き詰まりをちゃんと認めるべきじゃないですかね。それをやらないで何か世界のせいにする、ちょっとこのやり方ってどうかと私は思うんですが、大臣、こういうやり方って正しい政治の在り方だと思いますか。いかがですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 国際金融経済分析会合と、正式にはそう言うんだそうですけれども、これは今回、御存じのように五月にはG7のサミットをやりますので、その議長国をやりますので、現下の世界的な経済状況等々につきまして、これは適切に対応するために開催するものであり、消費税率の引上げについて判断をするために開いているものではないと、私どもの理解はそう理解しておりまして、事実そう言っておられますから、私どもはそう承知をしております。
 また、各有識者が様々な意見を言われるというのは毎度のことですから、私どもとしては、率直な意見というものを伺うという環境を確保するためにも有識者の個別の見解について一々コメントすることもありません。

○小池晃君 私は、今の経済情勢あるいは国民の生活実態から見れば、やっぱり増税は中止すべきだというふうに改めて申し上げたいと思うんですが。
 今日は軽減税率について聞きたいと思うんです。
 この軽減税率は、税制抜本改革法を根拠に導入する低所得者対策だという御説明なんですね。消費税率を一〇%に引き上げるのを前提にすれば軽減税率によって逆進性は緩和されるから、だから低所得者対策だというんですが、これは一月の補正予算の予算委員会で私が質問した際に、たとえ軽減税率があっても一〇%に増税すれば八%時よりも逆進性は高まるのではないかと、麻生大臣はそれは当然のことだというふうにお答えになっているわけですよ。そうなると、これは一体どこが軽減税率なのか、低所得者対策なのかと。これは、八から比べれば明らかに逆進性強まる、どこが低所得者対策なんですか。

○国務大臣(麻生太郎君) これは、御存じのように、社会保障と税の一体改革というのは、これは消費税率の引き上げました分に関しましては増収分を活用して社会保障の充実と安定化を図るということであって、社会保障制度というものを持続可能なものとしてということをこれ度々申し上げてきたところであります。
 したがいまして、消費税率一〇%への引き上げた後には、低所得者に対する配慮という観点から、我々はこれまで実施している国民健康保険料の軽減の拡充というものに加えまして、介護保険料の軽減の強化ということで、御存じのように、二〇%になりますと一万三千二百円程度の軽減になろうかと思います。
 また、年金生活支援給付金ということにつきましても、これにつきましても年額最大六万円等々、社会保障の更なる充実を図ることといたしておりますので、さらに軽減税率制度について言わせていただければ、こうした社会保障の充実と併せて、簡素な給付措置や子育て世帯臨時特例給付金といった臨時的な対応ではなくて、少なくとも恒久的な対応として、幅広い消費者がいわゆる消費等々に利活用しておられます消費税というものの負担を直接軽減することにより、いわゆる逆進性を緩和、また痛税感の緩和ということをやる利点があろうと思っております。
 したがいまして、私どもとしては、社会保障と税の一体改革という全体の枠組みを踏まえれば、低所得者への配慮というものは十分になされておるのではないかと、そう思っております。

○小池晃君 いや、その社会保障の問題はこれは予算委員会で何度ももうやっていて、小泉政権のとき以上にやっぱり自然増抑制やっているわけだから、これ社会保障のためだという言い訳はもうやめた方がいいと思うんですが。
 今、簡素な給付措置についてもお話がありました。確かに、この税制改革法の原案では、給付付き税額控除か社会保障の総合合算制度か、そこにその複数税率というのが入ってきたわけですよ。
 その低所得者への配慮の恒久的な措置ができるまでのつなぎとして、八%時には簡素な給付措置ということが導入されたわけですよね。今日お配りしているような資料で、こういう給付措置ができたと。
 確認しますけれども、この臨時福祉給付金などの給付措置の金額の計算の根拠というのは、この考え方というのは、食料品の増税五から八への三%の増税分に相当する額を低所得者に給付して言わば戻す、返還すると、そういう考え方で組み立てられているという理解でよろしいですね。

○国務大臣(麻生太郎君) 基本的にそうです。

○小池晃君 ということだと。
 二〇一二年のこの税制改革法の三党合意の後の国会の審議、議事録を私も見てみましたけれども、公明党の皆さんは八%への増税時から簡素な給付措置かあるいは複数税率を導入すべきだというふうに主張されていました。食料品の税率の世界標準は四%から五%だからということで、それで簡素な給付措置は食料品五から八に増税する分を補うものとして導入されたと、そういう計算で出されたというのは今お認めになったと思うんですが。
 少なくとも、大臣、この時点での低所得者対策の考え方というのは、建前というのは、これは住民税非課税世帯の食料品の消費税の負担を税率五%に相当する状態に据え置くというのが政策の目標だったから、だから、五から八の分のその食料品の増税分を戻すという考え方でやったわけでしょう。
 ところが、今回、食料品に軽減税率導入するけれども、八%に据え置いちゃったわけだから、これ、結局、給付金の対象世帯にとってみれば、簡素な給付措置が廃止された上に食料品以外の消費税率上がるわけだから、これダブルパンチということになりますよねと、これもう事実の問題です。
 そういうことになりますよねということなんですが、確認していただきたいんですけど。

○国務大臣(麻生太郎君) 現金給付の増減のみで勘案して消費税率一〇%への引上げにおける低所得者への給付とか負担の増減というのを考えれば、それぞれの年齢や収入に応じてこれはプラスマイナスは様々になるんだと想定されます。
 一方で、社会保障と税の一体改革による社会保障の充実というものは、先ほど例として申し上げましたように、いわゆる現金給付の充実のみならず保育の受皿の拡大等いろいろやらせていただきますし、地域包括ケアシステムの構築とか医療とか介護とか、いろいろ御存じのようにさせていただきますので、現物給付の充実も図ることとしておりますので、低所得者層に対する社会保障の充実の保障をいわゆる現金給付の増減のみで判断するというのは適当ではないのではないかと、基本的にそう思っております。

〔委員長退席、理事長峯誠君着席〕

 いずれにしても、社会保障と税の一体改革というものは国民の各階層に幅広く消費税の負担をお願いするわけですから、社会保障制度というものを持続可能なものにさせていただいて、低所得者の方々を含めて国民一人一人が将来にわたって安心した制度というものを利用していけるように引き続き持続させていくためのものでありまして、引き続きこうした趣旨を踏まえて改革を着実に実行に進めていくということが大事だろうと思っております。

○小池晃君 いや、私が聞いているのは、八から一〇への増税については、これは軽減税率ということが低所得者対策だというのがそちらの言い分なんでしょう。じゃ、その五から八への低所得者対策でやった簡素な給付措置は、これはどうなんですか。まだ決定していないのかもしれないけど、やめちゃう可能性高いんでしょう。そうなると、結局、その五から八への低所得者対策はもうやらなくてもいいという認識なんですかということなんですよ、私が聞いているのは。

○国務大臣(麻生太郎君) 私どもは、基本として、今回の軽減税率を導入するに当たりましては、今言われたような方向で事を考えておるのが実態であります。いずれにしても、これはお金の掛かる話でありますので、少なくとも、こういった形で、私どもは、軽減税率を導入するに当たって約一兆円前後のものが掛かる、そこまで掛からなければいいとは思いますけれども、掛かると予想されますので、そういった意味におきましては、少なくとも今までのやらせていただいた分のうち約四千億ぐらいのものに当たろうと思いますので、そういったものはこの際軽減税率に置き換わっていくということで考えているというのが基本であります。

○小池晃君 結局、低所得者対策というのは、何か理念とか哲学があってやるんじゃなくて、やっぱり増税したときの一時的な負担を緩和するだけだということじゃないですか、そうすると。結局、そういうことにしかならないということだと私は今の答弁を受け止める。
 結局、低所得者対策になっているのか。なっていないんですよ、これ。景気対策にもなっていない。何でこんな軽減税率にこれだけこだわるのだろうかと、私さっぱり分からなかったんですけど、ある雑誌の記事を見て、ああ、こういうことだったのかというふうに大変よく分かったんですが、二枚目に資料で入れておりますけれども、これは週刊東洋経済に掲載された斉藤鉄夫公明党税制調査会長のインタビューなんですね。これはこう書かれているわけです。
 将来、消費税率は一三から一五%、ひょっとすると欧州のように二〇%になっているかもしれない。そのときでも食べ物は八%に据え置かれる。
 今回、たった二ポイントの軽減だが、食べ物の税率を一桁に固定したことは非常に大きい。将来、この後はちょっと括弧付きですけど、消費税の本則税率が上がったときにこの幅は大きくなる。そのときに初めて軽減税率の意味が出てくると。
 これ非常に分かりやすいんです、これは。これは、自民党の谷垣幹事長も、消費税の将来を考えたときのインフラ整備だというふうに言っているわけで、その発言とも平仄がこれ合う。

〔理事長峯誠君退席、委員長着席〕

 大臣、今回の軽減税率制度というのは、これは消費税率が一〇%を超え引き上げることに備えたインフラ整備という側面もあるということでよろしいんでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 重ねて申し上げますけど、幹事長であろうと与党の政調会長だった方であろうと、政調会長ですか、何ですか、公明党は政審会長というんですかな、政調会長とは言わないんじゃないの。(発言する者あり)ああ、与党。まあどうでもいい話ですけれども。その与党議員の偉い方だということで拾っておられるんでしょうけれども、発言として、政府として一々、逐一コメントすることはありません。
 その上で、消費税の軽減税率制度の導入については、これは税制抜本改革法第七条というのに基づく消費税率の一〇%への引上げに伴う低所得者への配慮として、ほぼ全ての人が毎日購入している酒類及び外食を除く飲料品などの税率を八%に据え置くことにより、所得の低い方ほど収入に占める消費税負担の割合が高いといういわゆる消費税の逆進性を緩和し、また日々の生活の中で買物の都度、痛税感を緩和を実施していただくために導入するものでありまして、したがって、消費税率の更なる引上げのために導入するという御指摘は全く当たらないと我々は考えております。

○小池晃君 いや、しかし、斉藤さんは毎日新聞のインタビューでもこう言っているんです。少子高齢化の中で社会保障を支えるため、今後更に消費税率が高くなることも考えられる、消費税率が二桁になっても、生きていく上で必要な食べ物の税率は一桁に抑えられれば、国民も安心し社会保障の持続性にもつながるということを言っていて、一貫しているんですね。やっぱりそういう議論があったんじゃないかなと、これを見ると。しかも、自民党は言っていないとおっしゃるけれども、しかし谷垣さんだってそれに近いことを言っているわけですから、私紹介したように。谷垣さんと言っていることともほとんど平仄は合うんですね。
 それから、財務省でもそういう議論があるんじゃないかと。これ、軽減税率が、今後一五、二〇と消費税増税更に上げることをやりやすくするための制度をビルトインしたものではないかということについて、資料の三枚目見ていただきたいんですが、これ福井新聞という地方紙なんですけれども、今日お見えいただいております財務省の主税局担当の矢野大臣官房審議官が福井新聞社で懇談した内容が翌日の同紙で報道されているわけです。
 氏の発言として引用されている部分ちょっと読み上げますと、「消費税率一二%の議論になっても生活に身近な飲食料品は八%のまま。国民理解はある程度得られ、引き上げやすくなる」、「一二%に上げても軽減税率があるので賛成・反対は五対五になるかもしれない。(税率を)」、ここは括弧付きなのでちゃんと言っておきます、括弧付きで、「(税率を)上げる決断をする政権は、やりやすくなるだろう」と。これは斉藤税調会長と全く同じ認識なわけで、しかも一二%というのはすごいリアルな数字なんですよね。
 御本人に来ていただいたんですが、財務省内では、これ軽減税率によって消費税を一二%に引き上げやすくなるだろうというような議論があるんですか。

○政府参考人(矢野康治君) お答え申し上げます。
 そのような数字はございません。本報道は、三月三日、財務局主催の福井県での講演会が終了した後、地元新聞社を訪問した際のやり取りに関してその一部を報道されたものと承知しておりますけれども、委員が御指摘の、あるいは本会議でも御指摘をされました、軽減税率の導入は消費税率を一〇%超に引き上げた際に初めて意味が出てくるなどということは、私は一言も申し上げておりません。したがいまして、軽減税率の導入は消費税率を一〇%超に引き上げるための布石であるとか、あるいは準備であるという趣旨も全く申し上げておりません。
 それから、私の講演につきましてですけれども、総理が国会等の場において、自らの政権においては消費税率の更なる引上げを行うことはないということを明言しておられるということを前置きをしっかりした上でお話をさせていただいておりますし、私からは、軽減税率につきまして、その趣旨を、日々の生活において幅広い消費者が消費、利用している野菜や果物やお総菜といった飲食料品についてはその消費税負担を直接軽減するということになりますので、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるという利点がありますことから今般導入されることになりましたという趣旨をるる説明して、それから指摘されております線引き問題、財源問題、事務負担問題について、どういう整理をしたかということをるる御説明をしました。
 その上で、それしかないのかということを言われますとと言って、この話をさせていただきました。
 そして、そのときに、一二という数字ですけれども、我が国においては社会保障、受益と負担のバランスを取っていく必要がありますけれども、向こう半世紀以上にわたって少子高齢化が進んでいくということが見込まれておりますので、一体改革の考え方からいたしますと、消費税率を据え置いて社会保障経費がどんどん累増していくということになりますとというお話をさせていただいた次第でございます。

○小池晃君 いや、今の答弁は、ここの部分は、じゃ言ったということですよ。それ以外にいろいろ言ったけれども、そこは切り取られたけれどもこの部分は言ったという答弁ですよね。
 私は、あれですよ、何だっけ、初めて意味が出てくるなんてことは先ほど言っていないです。初めて意味が出てくるとおっしゃったのは斉藤鉄夫さんなんですね。それ、矢野さんが言ったとは言っていないんですよ。私が読み上げたのは純粋に矢野さんが言った部分なんです。そこはお認めになった。今後そういったことになるだろうということを言ったということなわけで、結局、これ、低所得者対策だというふうに言いつつ再増税対策も含まれたものであるということを、これはもう認めたということに私なると思うんですね。これ、やっぱり重大だというふうに言わざるを得ません。
 低所得者での消費税負担、本当に深刻になっているという実態をちょっと次のところで、資料の四ページと五ページで引いておりますが、これ家計調査、まあ家計調査はいろいろちょっと問題あったという議論は予算委員会でもありましたけれども、もうそれしかないのでそれでやりますが、これで収入階級別に税項目ごとにどれだけ負担しているかを試算してみますと、これは、最も所得の低い第一分位では、一か月の収入が二十七万六千七百四十一円に対して消費税が一万四千八百六十五円、所得税二千六百六十一円、住民税四千五百五十一円、その他税収含めて納税総額二万八千九百四十四円。だから、納税総額に占める消費税の割合は五一・四%ですから、税金の半分消費税だということになっています。低所得層では消費税が所得税の五・六倍課税されていると、税負担の半分は消費税だと。一方で、最も所得の高い第十分位で見ますと、一か月の収入九十六万九千百六十九円に対して消費税負担は三万六千三十一円、所得税六万四千九百五十円、住民税五万二千二百十四円、納税総額は十六万七千四百七十六円ですから、納税総額に占める消費税の割合はおよそ二割なんですね。
 これはもう財務省的に言えば、税金の仕組みはこうだからこうなるんだということになるかもしれませんけど、大臣、やっぱり税負担の在り方としてこれ適正なんでしょうか。こういった在り方でいいというふうに大臣はお考えですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 消費税の負担について言われておりますので、消費税の負担のみで見れば、御指摘のいわゆる一つ目の、いわゆる負担が重いという一つ目の話ですけど、低所得者ほど収入に占める税負担の割合が高いという意味ではいわゆる逆進性を有するものではあるということだと思いますが、社会保障と税の一体改革の中で、その増収分は社会保障の充実、安定化というものに充てるということにしております。その受益は低所得者ほど大きいと、それは分かりますよね。
 その所得の再分配というものはそうやってつながるという面がありますので、そうした受益の面と併せて評価をしていただかないと、この面だけされても、それはなかなか話としては難しいと思いますね。
 加えて、今般の消費税率一〇%への引上げに当たりましては、全ての方々がほぼ毎日購入していらっしゃいますいわゆる酒類とか外食を除く飲食料品を対象に軽減税率制度を導入することによって、いわゆる逆進性を緩和することができるということを考えております。
 他方、低所得者ほど税率負担に占める消費の割合が高いという二つ目の御指摘ですが、これは消費税のみをもって税負担を考えることは適当ではないので、他の税負担も併せて税制全体として所得の再分配を考えることが重要ではないか、これはずっと申し上げているとおりです。
 したがいまして、日本の税制は全体として累進的でありますから、更に再分配機能の回復というものを図る観点から、近年の税制改正、今年もそうですけど、税制改正において、所得税の最高税率とか相続税とかそういったものの見直し等々などを行っているところでもあります。

○小池晃君 社会保障のことはさっき言ったとおりです。
 今、税制全体で見てくれというお話だったので、ちょっと、資料の最後に飛びますけれども、ちょっと見ていただきたいんですけど、じゃ、税制全体でどうかと。消費税など間接税による逆進性が、直接税や所得税や住民税によってじゃ逆進性解消しているかということで見てみると、これ、勤労者世帯の年収別の負担率、計算してみたんですが、これは一応消費税率を一〇%にした場合ですよ。
 軽減税率を含む形で試算してもらった数字を基に作ったグラフでありますけど、大臣、このグラフ見ていただくと、消費税のところは、これは大臣も先ほどお認めになったように、消費税のところはたとえ軽減税率導入されてもこれ逆進的ですよ、どう見ても。
 ここに、じゃ、累進課税である直接税が加わると、その逆進性が解消されるかということでこれ計算してみました。所得税、住民税、これを上乗せして、税負担率どれだけになるかというのを見てみました。これ、所得一千万円超える部分、まあ千五百万円超える部分辺りを除くと大体フラットになってきちゃっているんですよ。ほとんど負担率は一一%から一四%台ですよ。これが今の日本の税の実態なわけですね。消費税の増税と所得税率の最高税率の引下げによって、税による所得の再配分機能がこれ失われてきているんじゃないかと。
 先ほど、税全体で見れば累進的だとおっしゃったけれども、実態を見るとそうなっていないんじゃないですか。だから、私は消費税のことだけを申し上げているんじゃない。日本のやっぱり税負担の在り方をこのままでいいのかと、これ根本的にやっぱり見直すべきなんじゃないかというふうに思いませんか。こういう実態になっているというふうにお認めになりますか。

○国務大臣(麻生太郎君) 税負担の水準というのは、これは同じ年収であっても世帯類型によって大きく異なっておりますのは、もう小池先生御存じのとおりでありますので、御指摘のこのグラフはどのように作成されたものか詳細は不明ですけれども、例えば家計調査の二人以上の世帯というものにおいては、年収の多い世帯というのは世帯人員が多いという傾向にありますので、各収入の階層に様々な世帯類型が存在をいたしております。
 他方、これを夫婦、子供二人の民間給与所得について比較をさせていただきますと、年収二百万円ぐらいのところでいきますと消費税負担の割合は四・五%でありますけれども、いわゆる年収千万円以上、三・二%になるという話だと思いますが、収入に占めます税負担全体の割合でいきますと、これは年収二百万円のところで四・五%、千万円以上のところで一三%と。
 これ、夫婦、子供二人でやると、きちんとそうやってやるとそういった形になるという数字も我々としては関心を持っておかにゃいかぬところだと思っております。

○小池晃君 これは家計調査を基に、まあ個別間接税のところはこれ仮定の数字で入れていますけれども、これは消費税のところは財務省からいただいた数字ですよ。それを基にこれを計算した。
 やっぱりこういう実態になってきているわけですよ。やっぱりそのことを、ちょっとこれは、もう数字の話これ以上やっても平行線になっちゃうかもしれないのでこのくらいにしておきますけれども、やっぱり全体として消費税の増税と、それから所得税の累進課税、最高税率の引下げという方向によって、やっぱり所得の再配分機能がどんどんどんどん奪われつつあるという実態があるというふうに思います。そこはやっぱり見直していく時期だと。それを更にこの軽減税率を導入することによって一〇%以上に増税する準備を、インフラ整備をしたということになればこれは重大だというふうに言わざるを得ないし、この法案は断じて許されないということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。
 以上で終わります。

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