日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2016年3月23日 財政金融委員会 速記録

2016年03月23日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 昨年十一月の政府税調の経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理を見ますと、個人所得課税について大幅な累進緩和がなされたため、所得再分配機能が低下したことは否めないとした上で、個人所得課税については、所得再分配機能の回復を図り、経済力に応じた公平な負担を実現するための見直しを行う必要があるというふうにしております。
 大臣に伺いますが、この政府税調の指摘について、同様の認識でしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 昨年の六月の骨太方針において、いわゆる低所得者というか、低所得の若年層並びに子育て世代の活力の維持、また格差の固定化防止等々の観点から、個人所得課税について総合的かつ一体的に税負担構造の見直しを行うということになっておりますのは御存じのとおりです。
 こうした方針を受けまして、昨年十一月の政府税制調査会の中間的な論点整理において、個人所得課税につきましては、若年層を中心とする低所得者層の働く意欲を阻害せず、安心して結婚し共に働きつつ子供を産み育てることができる生活基盤を確保するため、経済力に応じ必要な負担を求めるとの方針が示されたところであります。
 政府税制調査会におきましても、この中間的な論点整理を踏まえまして引き続き議論が行われていくものと承知をいたしておりますので、私どもとしても、その議論の方向性を踏まえつつ、引き続き検討を、この線に沿って検討を進めてまいりたいと考えております。

○小池晃君 個人所得課税の分野で、じゃ、どのような再分配機能の回復のための見直しを考えていらっしゃるんですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 所得配分からの回復を図るという観点から、近年の税制改正におきましては、所得税の最高税率を四〇%から四五%に引き上げるとか、また、給与所得控除の見直しということで、控除が頭打ちとなりますのは千五百万円のところを千二百万円にし、今、千万円まで引き下げてきたということだと思います。また、金融所得課税の見直しということで、これは、従来税率で一〇%までしてあったものを二〇%といったような取組を実施しておりますので、こうした見直しが与える影響というものを注目してまいりたいと思っておりますので、所得再配分機能の回復というものを図って、経済力に応じた応分の負担をされることが必要だろうと思っておりますので、私どももこの方向で引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。

○小池晃君 その最後に言われた金融課税の問題なんですが、参議院本会議での私の質問に対して、総理は、二〇一四年から上場株式等の配当、譲渡益の一〇%の軽減税率を廃止して、地方税含めて二〇%の本則税率としたと、これにより所得税の負担率は高所得者ほど上昇する傾向が見られ、所得再配分機能の回復に一定の効果があったという答弁されたんですが、大臣も総理と同様に、証券優遇税制、この軽減税率の廃止が所得再配分機能の回復につながったという御認識でしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 一部つながったと思います。

○小池晃君 今日、資料お配りしております。これ、やっぱり効果あったというふうにこれ見ると思うんですね。二〇一四年分の申告納税者の所得税負担率と、二枚目が二〇一三年分で、これ、二〇一四年に証券優遇税制が廃止された結果、百億円以上の方の所得税の負担率は一一・一%から一七%に上昇して、これ重ねてこうやって透かして見ると、明らかに上がってきているわけですね。
 総理の答弁のとおり、所得再分配機能の回復に一定の効果があったというふうに思うんですが、これはやっぱり更に見直すべきではないかと、更にもっと踏み込むべきではないかというふうに思うんです。
 主税局長にお伺いしますが、海外の証券税制と比較した場合、例えば上場株式の一億円以上の株式譲渡益に対する税率は、日本、それからアメリカのニューヨーク市、イギリス、ドイツ、フランスでそれぞれ何%になるでしょうか。

○政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。
 一億円以上の株式譲渡益に対して課税されます個人所得課税の限界税率ということでございます。
 日本は二〇%でございます。アメリカは、ニューヨーク市の場合は三〇・七二六%、イギリスが二八%、ドイツが二六・三七五%、フランスが六〇・五%ということでございます。

○小池晃君 日本がやっぱり株式譲渡益課税の税率は最も低くなっているわけですね。
 総理は、本会議での私の質問に対して、この譲渡益課税の今後の税率水準について、社会の情勢の変化や税制全体の在り方の中での位置付けを踏まえて検討するというふうに答弁されているんですが、大臣ね、高額の株式譲渡益に対する税率は三〇%に引き上げるべきじゃないでしょうか。これは国際的に見ても決して何ら問題ないというか、国際水準ではないかというふうに思うんですが、いかがですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 総理の御答弁にもありましたとおりに、税率の水準につきましては、今私どもとしては、景気情勢とか市場の動向とかいろんなものを考えないかぬところがいっぱいありますし、勤労所得に対する課税とのバランスとかリスク資産への投資促進という面も踏まえて、私どもとしては、金融所得全体というものの、金融所得課税全体の在り方を考えないかぬところと思っておりますので、今直ちに、小池さんに三〇いいですねなんというようなことを言うはずはありませんので、検討させていただきたいと存じます。

○小池晃君 いや、でも、やったこといいって珍しく私ども言っているんですから、更にやったらどうかと。国際水準から見たってこのくらいは妥当な線じゃないかということなんですけれども、どうですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 先ほども申し上げましたように程度の問題だと思っておりますし、時間の問題もありますし、一〇%から二〇%台で、翌年三〇%、じゃ再来年は四〇%ですかというような話を言いかねないところの方々とお話をしていると話が難しくなりますので、私どもとしては慎重に答えさせていただいております。

○小池晃君 別に四〇にしろなんて言っていませんから、でもそういう方向でやっぱり検討するという思いは感じたような気もしますので。うなずくぐらいしてくださいよ。
 やっぱり株式譲渡益とか配当に対する税率の低さが日本の個人所得課税の再分配機能を低下させてきた最大の原因の一つなわけですから、これやっぱり見直すべきだと。高額の株式譲渡益には欧米並みの三〇%の税率を課し、配当所得に対してはやっぱり総合課税にしていくということを私ども提案しておりますので、格差の是正のための証券課税の抜本的な見直しを引き続き検討していただきたいということを求めて、質問を終わります。

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