日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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労働時間規制緩和 撤回しかない 財界圧力に屈するな 参院厚労委 厚労相に小池氏

2014年05月29日

「赤旗」5月31日付
 

写真

(写真)質問する小池晃議員
=29日、参院厚労委

 日本共産党の小池晃議員は29日の参院厚労委員会で、政府の産業競争力会議で議論されている労働時間の規制を撤廃する制度の導入について、「『残業代ゼロ』『過労死促進』につながる」と批判し、撤回を求めました。

 小池氏は、同会議メンバーの竹中平蔵慶応大学教授が”小さく生んで大きく育てよう”と制度設計の狙いを語っていることも紹介し、「厚労省が財界の圧力に屈して、労働法制の大原則である労働時間規制を取り払う提案を行うなど許されない」と批判しました。

 また、産業競争力会議には労働者代表がおらず、労働政策の立案は公労使の3者構成で行うという国際的に確立されたルールにも反すると指摘しました。

 田村厚労相は「(産業競争力会議で)議論が煮詰まってくれば、(労働者代表も入る)労働政策審議会で議論をしっかりしていただく」と答えました。

 小池氏は「産業競争力会議で議論を煮詰めて方向性を決めるのなら、労制審の議論が形骸化しかねない。労働者を守るという厚労省の存在意義が問われる」と述べ、提案を撤回するよう重ねて求めました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
年金記録問題について伺います。
一月に社会保障審議会の年金記録問題に関する特別委員会から報告書が出されて、その冒頭で、この報告書は年金記録問題の幕引きの報告書ではないと強調しております。今後の課題への万全の対応を切望すると述べていますが、大臣にまず、この報告書を受けた今後の基本方針、決意、伺います。

○国務大臣(田村憲久君) 五千万件強の年金記録自体が結び付いていなかったということで、コンピューター記録と突合させて、その後、紙台帳等と、これも七千九百万人分、六億件でありますけれども、これとも、コンピューター記録、さらにはコンピューター記録でつながらなかった五千万件からの残り、これとぶつけてみまして、いろいろとやってきたわけでありますが、いまだに二千百万件、これが残っておるわけであります。この二千百万件に関しましては、ねんきんネットというような形でこれを公開をさせていただく中においてPRをさせていただいて、御本人からの申請等々、これを呼びかけさせていただきまして、既に二十二万件がアクセスがあり、二万件が記録に結び付いていったということで、九%という比較的高い結び付きというものがあったわけであります。
更なるこのねんきんネットへの御協力ということで、これはスマホでも使えるようにしようということもやってきておるわけでありますが、併せて、それだけではなくて、例えばでありますけれども、いろいろと年金事務所の方に相談に来られて、結果結び付かなかったような事例があるわけであります。それは紙でいろんな積み重なっているんですが、なかなかそれをチェックするのは難しいんですが、先進的な年金事務所ではデータベース化しておるものでありますから、そのデータベース化したもののフォローというものはできますので、こういうものを更に掘り下げてやってみるということ。
さらに、幾つか私も頭の中で、これならば費用対効果的に何とかうまく高い精度で、確率で結び付く可能性があるんじゃないのかなというふうに思っておるものもありまして、そういうものを今、事務方の方に検討してみろというような話もさせていただいております。これ、受給資格期間が、要は二十五年から十年にやがてなるわけでございますので、すると、短期間の記録が多いものでありますから、結び付かなかった、受給に、という方々が結び付く可能性もございますので、これを機に更にPRしっかりやって、とにかく御本人にもう一度記憶を呼び戻していただくと同時に、我々の方もあらゆる可能性というものを対応していきながら、一件でも多くの記録回復に向かって努力をしてまいりたい、このように考えております。

○小池晃君 報告書は、紙台帳とコンピューター記録の突き合わせが終了して一つの節目を迎えて、これ以上は御本人からの申出と記憶などを基に調査していく方法しかないと書いてあって、これでもう本人任せかというふうにも読んだんですが、今の大臣の話を聞くと、決してその本人からというだけではなくて、いろんな努力をしたいというふうに私は聞きました。そのことは非常に大事だというふうに思うんですね。これはもう安倍首相も、第一次安倍政権のとき私も国会で質問して、最後の一人までというふうに約束をしたわけですから、これは徹底的な努力が必要だというふうに思うんですが、じゃ、何が必要なのかと。
今もありましたように、二千百万件未解明のものが残っております。そのうち死亡した者等の記録と考えられるものを除くそれ以外の記録、これは千五百七十万件あるわけですが、厚労省、加入期間別に分布を言うとどういったことになるでしょうか。

○政府参考人(樽見英樹君) 今年の一月の年金記録に関する特別委員会の報告書にあることでございますけれども、未解明記録、これ二千百万件、その中から死亡した方などの記録と考えられる五百三十八万件を差し引くと千五百七十万件。その千五百七十万件について年齢分布を見ますと、五十歳代までが四割弱……

○小池晃君 年齢じゃないよ、加入期間。

○政府参考人(樽見英樹君) 加入期間、はい。
加入期間で見ますと、一年未満の者が五三七%、一年以上五年未満の者が三五一%で、この二つで合わせると約九割を占める状況ということになってございます。

○小池晃君 今日お配りした資料の中に加入期間別の推計あるんですが、一年以上だけでもう全部足し合わせると七百十五万件あるわけですね。一年以上の記録となれば、これは年金の増額にも少なくない影響を与えます。五年、十年の記録ともなれば、これは受給資格にも大きく関わってくることにこれからなってくるわけですね。
私、大臣に先ほど言ったように、やっぱり御本人の自主申告待ちというのではなくて、やっぱりここはもう頑張る必要あるんじゃないかと。やっぱり各年金事務所に専門体制つくる、調査、対面などもやはり徹底してやっていくということをやっぱりもっとやるべきでないかと。
それから、消費税増税キャンペーンには十二億六千万円投入したというわけですよ。そんなことに血税使う余地があるんであれば、一年以上の加入記録が七百万件以上残っています、記録見付かればあなたの年金増えるかもしれません、あるいは年金受け取れるようになるかもしれませんという、それこそ大キャンペーンをやるというようなことをやっぱり今の時点でもう一回、これ、まき直してやるべきじゃないですか。大臣、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) これ、リーフレット等やまたホームページ等々でしっかりとPRしていくことも必要であろうと思いますし、受給資格期間が十年ということでございますから、そういう方々で例えば今までは対象になれなかった方々に対して、十年なら対象になるという方々に対しては、これは勧奨をしっかりやっていく必要があろうというふうに思います。
今委員がおっしゃられたのは、それだけじゃなくて、年金記録回復につながるというようなお話であったと思います。それに関しても、やはり今ほど来話がありましたとおり、短期間の記録、分からない記録というのは多いものでありますから、そこはしっかりPRをしていく必要があろうというふうに思いますし、もちろん、来てくださればそれに対応する窓口というものはしっかり体制整備はしていくわけでありますけれども。
ただ一方で、これ現役の方々、まだ裁定されていない方々に関して申し上げれば、いろいろとこれもうこの記録だろうなというふうにある程度我々としても認識して通知を、通知といいますか、手紙を送らさせていただいた方々おられるわけでありますけれども、そういう方々の中にも返事がない方々がおられますが、そういう方々に関して申し上げれば、これは裁定のときに、一応記録くっついておりますので、そういうものを確認していただければ、そのときにはもうじかに御本人と面と向かって、これ、あなたの記録じゃないですかという確認ができますから、そういうものに関してはそういう対応をしてまいりたいというふうに思っております。
いずれにいたしましても、しっかりとした対応ができるようにこれからも努力をしてまいりたいというふうに思っております。

○小池晃君 何かやっぱり聞いているとちょっと待ちの姿勢という感じがするんですね。
やっぱり積極的にやはりこちらからどんどんアプローチするということをもっとまだまだやらなきゃいけない時期ではないかというふうに思うんですね。
それから、今こんなことが起こっています。
先日、私の事務所に連絡、電話がありまして、北海道にお住まいの八十六歳の男性なんですが、去年の十二月に年金機構から、昭和十八年から二十年までどこかで働いていませんでしたかという通知が来たと。確かに秋田で働いていたという記憶があったので、場所や仕事内容を回答する文書を送った。そうしたらば、機構から年金記録がありますという通知があって、時効を遡って支給を求めるかどうか選択を問われたので、年金記録の訂正と支給を選択したというんですね。ところが、二月になっても四月になっても年金振り込み額は変わらないと。年金事務所に電話したらば、非常に込み合っているので遅くなっているというふうに言われたというんですね。家族の方は、込み合っていると言うけれども、お店で物買うとは違うんだと、本人は八十六歳でいつどうなるか分からないと、年金額増えたことを知らせて喜ばせてあげたいというわけですよ。私も本当にこの気持ちはよく分かる。
厚労省に聞きますが、年金記録の再裁定の平均処理期間と未処理件数の最近の推移どうなっているか、もう簡単に二〇一三年の三月と二〇一四年の三月の比較で示していただきたい。
○政府参考人(樽見英樹君) 二〇一三年三月時点の再裁定の平均処理期間は約二二か月、その時点での未処理件数が四四万件ということでございます。二〇一四年三月時点での再裁定の平均処理期間は三二か月、未処理件数は十七九万件。したがって、平均処理期間が一か月増えて、未処理件数がややたまっているということでございます。
なお、この再裁定の平均処理期間、再裁定、このデータを取り始めた、年金記録問題が非常に大きくやっている頃から取っていたわけでございますけれども、ちなみに二〇〇九年、平成二十一年のときは、平均処理期間は五五か月掛かって、未処理件数が七十四万件というようなことになっておりまして、それから比べますと減ったんですが、最近またちょっと増えていると、そういう状況です。

○小池晃君 前より減ったからいいというもんじゃないんですね、これ。最近増えてきているわけですよ。何で最近になってこう増えてきているんですか。理由を説明してください。

○政府参考人(樽見英樹君) 紙台帳とコンピューターの突き合わせ作業、これを今年の三月末までにやるということで頑張ってやったところでございます。その突き合わせの結果のお知らせというものが平成二十五年度中目途にお送りしたということで、去年の末ぐらいからお知らせに対する回答というのが大幅に増加をしているということで、それに基づく再裁定の受付件数も増えていると、そういう状況でございます。
まさにお支払いをお待ちの方には大変申し訳ないというふうに思っておりますので、一刻も早くお支払いできるように全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

○小池晃君 再裁定に関わる職員体制はどうなっているんでしょうか。この間の推移も簡単に説明してください。

○政府参考人(樽見英樹君) 再裁定の審査処理の職員体制ということでございますけれども、平成二十六年四月時点では約四百人の体制ということでやっているところでございます。これが二十五年の││失礼しました、二十六年のところは約四百人とございますが、二十五年の四月では合計で三百四十五人、二十四年では三百五十人程度、二十三年はやはり三百九十人程度、そういうような形になっています。

○小池晃君 今説明なかったんですけれども、正規と准職員は体制は余り変わっていないんだけれども、特定業務契約社員が増えているというふうに聞いているんですね。
紙台帳との突合結果を受けて通知が行っているわけだから、回答がどんどん入ってきて処理すべき案件が増えるのはこれは分かっていたはずなんですよ。そういう中で今増やしているのは特定業務契約社員ということですね。実際にはその平均処理期間が今急激に伸びてきていると。私ね、体制の不備は明らかではないかなというふうに思うんです。
しかも、大臣、これ紙台帳に残っていた記録というのは、これは多くは昭和十年代から三十年代ぐらいの旧法適用分ですから、この年金記録を訂正して年金額の計算をやり直すとすると、これは手計算でないと、コンピューターに入力してできるものじゃないんですよ。かなりしっかりした知識と技術がないとこの作業はできないというわけですね、旧法を参照しながら手計算で年金額を出していくと。
やはり、突合分の照会のために拡充するというのはこれは当然なんだけど、頭数だけじゃ大丈夫と言えないと思うんですね。やっぱり、旧法も含めて法令実務に精通した人材をやっぱり緊急に集めて対応する必要もあるんではないかと。
大臣、未解明の年金記録について、厚労省、機構側から調査を行って記録の持ち主を探していく、それから記録訂正を申し出てくれた人への対応を迅速化する、これを実行するためにやっぱりエキスパートの力を私は引き出すべきだと。この間、社保庁解体のときに分限免職になった方、あるいはこの間に退職したOB、OGなど、やはりそういった専門家に助力を求めて緊急に体制強化を図るというようなことも考えるべきじゃないですか、いかがでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) 今もお話がありましたが、今、体制は四百人ということで、正規職員というものを確保しつつ、特定業務契約職員の方々を増員してきたわけであります。
現状、数としては、回っておるとは思いますが、必要に応じて、これは再雇用職員も含めて対応していくことはあろうというふうに思います。

○小池晃君 日本年金機構全体の体制、私、大変問題はあるんじゃないかというふうに思うんですね。
機構は発足時に大幅に人員削減をしたわけです。
一昨年以降、紙台帳とコンピューターとの突き合わせが終わる前から、准職員と特定業務契約職員アシスタントで三千百四十八人人減らしをしてきております。
今日の資料の三枚目にありますが、これ見ますと、非常に複雑な職員構成になっております。現在の機構の職員には、正規職員以外にアソシエート職員という人も含めて、労働条件の異なる様々な有期雇用の職員がいると聞いておりますが、厚労省、現状の内訳を一番直近でいいですから説明してください。

○政府参考人(樽見英樹君) 平成二十六年四月時点の日本年金機構の職種ごとの職員数ということでお答えいたします。
正規職員が約一万八百八十人、准職員が約三千人、特定業務契約職員が約八千七百人でありまして、特定業務契約職員のうちアソシエート職員と言っています、言わば、何というんですか、能力の比較的高い職員が約千二百人ということでございます。また、アシスタント契約職員が約四百人というふうになってございます。

○小池晃君 何か物すごい複雑な雇用形態になっているわけですよ。
職員の六割以上が有期雇用なんですね。通常の基幹業務も行っているような、経験を積んだ有期雇用職員が更新の上限を迎えようとしているというふうに聞いています。
年金機構は無期雇用化を図る方針だと聞いていますけれども、有期雇用の職員、全員対象になるんでしょうか。その処遇体制、これはどのようにこれからなっていくんでしょうか。

○政府参考人(樽見英樹君) 日本年金機構で職員の有期雇用職員の無期化ということについて検討しているということで聞いておりますけれども、准職員、特定業務契約職員及びアシスタント契約職員のうち、本人からの応募を受けまして、勤務成績や面接審査の結果によりまして、対象者を選考するというふうに聞いております。
また、処遇につきましては、現在、日本年金機構内において検討中ということで聞いておりますので、今申し上げられる内容はございません。

○小池晃君 大臣は、衆議院の委員会の審議の中で、必要な体制は確保する、正規化も進めていきたいというふうに答弁されていますが、現場では雇い止めが横行している実態があります。こういう雇い止めやめる、不利益な条件変更は行わないように、私は厚労省としてしっかり物を言うべきだというふうに思うんです。
そもそも、先ほど言ったように、日本年金機構は発足時に五百二十五名の分限免職を行いました。
これはもう新聞でも朝日新聞などは政治のパワハラだというふうに厳しく指摘をしたわけですね。
司法の判断も出ているわけです。旧社会保険庁の定員と比べて二千二百人を超える正規職員の定員削減も行われています。その後、年金記録問題解決のために一万人の有期雇用職員を雇用したことで、今職員の六割以上が有期雇用になっているわけですね。
経験や知識がある職員が職場を去ってしまって、複雑な年金業務に支障が来ている。やっぱりベテラン職員の雇い止めはやめて、無期雇用の正規職員としてその力を発揮してもらうべきだと私は思うんです。
ところが、今回無期雇用化する職員についても、事務センターについては、広域センターの設置に伴い集約された場合はその時点で雇用を終了する予定というふうに言われているそうです。まるで限定正社員ですよ、これ。
日本年金機構の理事長は、今年の年頭メッセージでこう言っています。就任して一年がたちました。この間強く感じたことは、組織が職員を大事にしていない、優しさが足りないのではないかということですと。理事長はこう言っているんですね。まさに理事長も認めざるを得ないように、この日本年金機構の今の雇用の在り方は、職員を余りに大事にしていないんではないか。こんなことで年金受給権の保障という大事な仕事を担っていけるんだろうかと。
私は、今回、この年金機構の職員構成を聞いて、やっぱり何か雇用改悪の先取りみたいな、もう非正規雇用、有期雇用がどんどんどんどん増えていく。こういうやり方をこのままやらせておいていいんですか。厚労省所管の機構で。私は、大臣、しっかりこれは物を言うべきじゃないかと。もっときちっと安定した雇用にせよと、無期雇用を増やす、正規雇用を増やすという方向に進むべきだと、大臣、物を言うべきじゃないですか。

○国務大臣(田村憲久君) これは平成二十年の基本計画、閣議決定されているわけでございまして、この日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画というものの中に方向性というのは示されているわけであります。
これ、紙台帳との突合という突き合わせ、これが二十五年度でほぼ終わったわけでありまして、そういう意味では、現在、業務量に応じた体制になりつつあるというふうに考えております。やはり効率化というものは、これは不断に進めていかなければならぬわけでありますし、これ税金使われるわけでございますので、そういうこともしっかりと検討しなければならないという中において、必要な体制、これはしっかりと組んでいくということでございますので、有能な人材に関しましては正規雇用化も含めて積極的に対応してまいるということであります。

○小池晃君 年金問題の解決、特に記録問題というのは本当にやっぱり力が要るわけですよ。例えば、この記録を見てぴんとくる、これはこういう職歴だったんではないかというようなことは、やっぱりかなり経験がないと、特にやっぱりいろいろ聞くとGHQ時代の職歴とか、年金記録とか、そういったことを見ただけでぴんと分かるような人がいるというんですよ、エキスパートの中には。
やっぱりそういう人をもっと大事にしないと、本当にそういう非常に特殊な、やはり経験や技術が必要な分野だというふうにも思っておりますし、そういった方々の中には、処分もされていないのに分限免職された方もいるわけですよね。こういう人たちにも呼びかけて、本当にやっぱり年金記録の解決のために力貸してほしいと私は呼びかける、そういうときだというふうに思います。改めてそのことを求めておきたいと思います。
それから、今回の法案は私ども賛成です、様々な改善の部分ありますが。しかし、一点納得できないところが、後納制度を五年にしてしまう、それから時限措置のままであるということであります。私は、何で十年間後払いできる制度を五年にしなきゃいけないのか、これ十年間の後納制度のままで恒久措置にすべきじゃないかと思うんですが、なぜそうしないのか全く分かりません。大臣は、衆議院の議論の中で、関係者の理解が得られない、何が関係者なのかよく分かりませんがと率直に述べていますね。私も本当によく分かりません。納得のいく説明してください。

○国務大臣(田村憲久君) いろんな議論の中にあるのは、やはりこれ、期限を切らなければ、ずっと要するに続けるわけでありますから、納める意欲というものが低下してしまう。つまり、今ですよ、今納める意欲というものが低下してしまう。
後になって納めればいいやと。その期間が長ければ長いほど、それだけ納めない期間が増えるわけであります。
ちょうどこれ、受給資格期間を二十五年から十年という形で法律改正して、やがてこれが施行されるわけでありますが、これ十年を五年にする、十年のままですとそもそも何も納めなくて、最後十年これを納めればそれで受給権が発生するということが起こるわけでございまして、そういうことも含めて、やはり今まで特例納付等々も含めて期限があったということがある、それと、この十年というものが、それによって余計に納めないというような、そういう意識が芽生える可能性があるというようなことの中において、五年そして有期、時限ということで、このような形で今般提案をさせていただいたわけであります。

○小池晃君 後で納めればいいと思うと言うけど、保険料は高くなるわけですからね。しかも、最後に例えば十年だけ納めればいいやと言うけれども、十年分の保険料を一気に納めるということは百八十万円ぐらい納めるということですよ。それでもらえる年金というのは年額十九万三千二百円。わざわざそんなことを選択するわけないと私は思うんですよ。
それは、やっぱり今納めた方が保険料だってこれは明らかに有利なわけですから。
これ、そもそも私、議論の前提が違うんじゃないかなと。何かこういうやり方だと、得か損かという話じゃないと思うんです、これは。やっぱり何を目的とした制度なのかと、この後納制度というのは。この後納制度というのは、できるだけ幅広く年金受給権を保障するためのものだと思うんですね。この間、この後払い制度によって一万五千人が受給権を得たというわけですよ。これは私は意義は大変大きかったと思うんですよ。本来は、受給権を保障するためには私は最低保障年金制度をつくるべきだというふうに思っております。それが世界の趨勢でもあると思いますし、国連も日本に実現を求めているわけですね。
それがない下でせめてもの措置として、やはりこの後納制度を恒久措置にして一人でも多くの方に年金を支給できるようにするということは必要なんじゃないかと。
大臣、この後払いの制度、後納制度の政策目的というのは、私は年金受給権を保障することにあると思いますよ。そう思いませんか。

○国務大臣(田村憲久君) 今まで年金を払ってこられなくて、結果、低年金等々を防ぐために、これ、常にやってきたわけではありませんから、今まで三回でしたっけ、四回でしたっけ、やってきたわけでありまして、そういうものを見ながら今回もこれを延長させていただくということであります。
でありますから、やはり時限であるからこそ納めようという意識も湧いてくるわけですね。そういうことを考えれば、やはり、いつまでもこれをやるということになれば、人間はいろんな方がおられますので、それがあったって納めるときには納めようという方もおられれば、いや、後で納めればいいやと思われて納めない方もおられる。
本来はそのとき納めていただくのが年金制度であります。納められなければ本来は免除等々を申請していただけるというのが本来でありますので、そういうものを使っていただければ有り難いですけれども、今回に関しては、ちょうど三党協議を行って、税と社会保障の一体改革という流れの象徴的なときでございますので、今まで納め忘れのあられる方々に対して低年金を何とか防いでいただこうということで今般延長をさせていただいたということであります。

○小池晃君 三党協議で合意があったから象徴的だからというのは、それは政治の側の理屈であって、受給者の事情と全く関係ない話ですからね。
私は、考え方として、受給権を保障すると。やっぱり二年という時効だって短過ぎるんですよ、本来は。そこをじゃ見直すとか、やっぱり幅広く年金受給できる、そういう権利を保障する方向での政策が必要だと。これはちょっとかみ合いませんけれども、改めて求めたいと思います。
それから、順番ちょっと変わりますけど、学生納付特例事務法人について聞きますが、これは今回の制度でいい点だと思うんですが、大学とか専門学校の窓口で学生納付特例の申請を委託できるようにするということで、今回、今までの制度では納付猶予の申請日は大学、学校側が厚労省に当該申請を提出した日となっていたんだけど、これを学生が大学、学校に申請委託日に変えるというわけで、これは実態に合っていると思いますよ。
ただ、これ、大学、専門学校側が手を挙げてもらって適用する制度だと聞いておりますが、一体、学生が在籍する教育施設、事務法人の全体数と、そのうちどれだけの法人がこれを適用を受けているか、数字をお示しください。

○政府参考人(樽見英樹君) 学生納付特例事務法人の指定の対象となり得る母数ですね、大学、短期大学及び専修学校の合計数。これ、文部科学省の学校基本調査、平成二十五年の学校基本調査によると、平成二十五年五月一日現在で四千三百五十七校というふうになっております。
一方、学生納付特例事務法人の指定を受けている法人等の数は、平成二十五年度末現在でございますけれども、百八十というふうになっています。

○小池晃君 私、今、資料の二ページにどの学校が申請しているか出ているんですが、これ見てびっくりしちゃったんですね。非常に限られているわけですよ。あの大学もあの大学もないわけですね。厚労省辺りにかなり多数輩出しているであろう大学なんかもないわけですよ。私の母校はあったのでほっとしたんですけれども。ちょっとこれ、どうなっているのかなと。国立大学法人なんかで手を挙げているところは極めて少ないわけですね。
文部科学省に聞きますが、これは厚労省と文科省が協力して進めているものですが、この到達点、どう考えていらっしゃるんでしょうか。どうされるつもりでしょうか。

○政府参考人(佐野太君) 先生御指摘の学生納付特例事務法人については、現在、二十六年度三月末時点におきましては、国立大学法人につきましては六法人が指定されているところでございます。学生納付特例事務法人として指定を受ける大学が増え、学生の納付特例の申請手続の利便性の向上が図られることは、学生の年金受給権の確保を図る観点からも望ましいことと我々も認識しておるところでございます。
文科省としては、これまでも学生納付特例事務法人制度を始めとする公的年金制度につきまして、大学へ公文書を発出して通知するということのほか、大学等が自らが主宰する学生担当の教職員が参加する会議におきましても、そういった会議におきましても周知を図ってきたところでありますが、今後、厚生労働省とも一層連携を深めながら、今般の制度の見直しを契機といたしまして国立大学等の指定が促進されますよう、更なる周知を図ってまいりたいと思っております。

○小池晃君 これは学生の年金権の保障という点で、やっぱり余りにもこれでは駄目だと思いますので、万全の対策を厚労省、文科省共に求めたいというふうに思います。
それから、年金にも深く関わる雇用の問題ですが、昨日の産業競争力会議で議論された新たな労働時間制度についてお聞きをします。
民間議員の提案というのは、幹部候補生などを対象に年収要件も外して労働時間規制を外すと。
これでは残業代ゼロの対象が際限なく広がることになる、断じて認められないです。同時に、厚労省も大臣は、成果で評価できる世界レベルの高度専門職については、新たな労働時間制度の構築を提案した、裁量労働制の拡大も提案したと。
何でこんな提案をしたんですか。

○国務大臣(田村憲久君) 時間で測るというよりかは成果で測る働き方というものはあるわけでありまして、例としてファンドマネジャーでありますとか為替ディーラーでありますとか、そういう方々を例に挙げておりますけれども、更に申し上げれば、そこで一定程度の所得以上の方、これは労働契約等々において交渉力があるという意味であります。
そういう方々に関しては確かに時間で測るというよりかは成果で測るわけでありますから、それに、そういう方々を時間で測るというのは合理的ではないというような話もあるわけでございまして、そういう提案をさせていただきました。
裁量労働制に関しましては、これは時間で測っておるわけでございますので、今もある裁量労働制でございますから、その裁量労働制を広げるような形において、働く方々の健康面でありますとか留意をしながら生産性を上げていただくというような形の中で提案をさせていただいたということであります。

○小池晃君 時間で測るのが労働者保護の大原則じゃないですか、労働法の。そこをやっぱり厚生労働省自らが例外をつくるような議論をするのはおかしいですよ。
今日お配りしている資料の最後に、雑誌で竹中平蔵氏がこんなことを言っているわけです。上の方ですが、ようやく話が進もうとしているので、制度設計は慎重に、非常に限られた範囲で行うこともあり得ると。ただ本当に柔軟な働き方をしたいと思っている人はたくさんいる。残業代ゼロになるとあおる議論もあるが、今でもアーティストは残業代ゼロなんですよと。
こういう、アーティストだとか浅はかな認識で、労働者保護の大原則である労働時間規制に穴を開けていいはずがないじゃないですか。しかも、ここにはっきり本音が出ていると思うんだけれども、最初は極めて限定すると。しかし、これは一旦入れてしまったらば大きく広げようという狙いも、はっきりこれ露骨にこう言っているわけですね。
私は、この間の労働法制の改悪の歴史を見れば、派遣法なんか典型ですよ。やっぱり、例外だといって始めたものがどんどんどんどん拡大していったと、一旦例外をつくってしまったら果てしなく広がってきたと、これが歴史の教訓なんですよ。
労働者をやっぱり守る、そのためにもう本当に、近代も含めて戦いで勝ち取ってきたのが労働時間規制じゃないですか。それを取り払うようなことを、厚労省が財界の圧力に屈してこんな提案を行ったというのは私は許せないことだというふうに思っています。
この産業競争力会議での厚労省提案、大臣の提案、撤回してください。

○国務大臣(田村憲久君) 成果で測る働き方というのはヨーロッパでもあるわけでありまして、日本だけこれを取り入れるわけではありません。申し上げれば、逆に言えば成果で測れない働き方、これは時間でないと測れない働き方、そういうものはやはり適用除外というわけにはいかないということを私は申し上げました。
裁量労働制というのは時間で労働量を測るわけであります。みなし労働時間というものを測るわけでありまして、そういう意味では、裁量労働制はやはり時間という概念があります。一方で、成果で測る働き方、つまり適用除外というものは時間というようなもので測れないという、あくまで成果で測るというところでありますので、そこの色分けをしっかりすることは大事であろうというふうに考えておりますし、重ねて申し上げますが、成果で測るとはいえ、交渉力のないような方々は、これはさすがに過大な成果を課されればやはり交渉力のない中でお困りになられるということでございますから、一定の所得のある方々であるということを申し上げたというのはこういうことでございますので、その点、何ら我々としては不合理なことを申し上げておるというふうには認識いたしておりません。

○小池晃君 今だって労働基準法で、実際には残業時間の上限が法定されていないわけですよ。そういう中でサービス残業が横行しているわけですよ。長時間労働が広がっているわけですよ。だから、過労死防止法を超党派で作ったわけじゃないですか。その流れと全く逆行するようなことを何でやっていいのかと。
大臣いろいろ言うけれども、結局例外をつくってしまったらそこから広がってしまいますよ。労働時間規制が今もこの現行法でも守られていないときに、その例外をつくるようなことをやってしまったら、労働者を守ることできないじゃないですか。全く今、全体としてやっぱり過労死という言葉をこの国からなくそうと言っているときに、逆行だというふうに私言わざるを得ないと思いますよ。
そもそも、この議論を何で労働者代表のいない産業競争力会議でどんどんどんどん進めているんですか。労働政策の立案は公労使の三者構成の審議会で行うというのは、これは大原則ですよ。この大原則を壊すようなやり方を、産業競争力会議で議論になった途端に大臣は、こんなことをここで議論すべきでないと、公労使三者構成のところで議論すべきだと言って席を立つという対応をすべきじゃなかったんですか。

○国務大臣(田村憲久君) これ、いろんな議論をしておる場でありますが、当然、これを基に法制化を進める、制度化を進めるということになれば、これは労働政策審議会にかけるのが当たり前でございまして、そういうのをかけるべきではないというような御意見を言われる方もおられますが、私は徹底してそこは闘って、労働政策審議会で御議論をいただくことが必要であると申し上げておるわけでございまして、そこを外しておるわけではございません。

○小池晃君 そう言うけれども、実際には首相が参加する場で政府の大方針として、あんな産業競争力会議で方針を議論していってしまったらば、実際には労政審の議論は形骸化するということになるじゃないですか。それが今回、労働者派遣法出てきた経過として大問題になっているのに、また同じことを、しかもこの労働時間規制という労働法制の根幹に関わる問題を、私はこんなやり方で議論すること自体に厚労省はノーと言うべきだというふうに思いますよ。大臣がこんな提案をしてしまうということは、結局あんなやり方を認めることになるじゃないですか。それで労働者を守れるんですか。厚生労働省が何で存在しているんですか。労働者を守るための役所として存在しているんじゃないですか。私は今回のやり方は納得できない。これは、こんな議論はやめるように主張すべきだ。

○国務大臣(田村憲久君) 成果で測るというものに関して、これ厳格に、明確に成果で測れるものというものをこれから我々としてもどういうものかというものを示していかなきゃならぬというふうに思いますが、それは過労死につながるものではなくて、成果を出すという意味からすれば、成果が出れば、それでいて短時間で労働が終わるという場合もあるわけであります。ただし、時間で測らなければならない労働に関して、これを適用除外してしまうとこれは大変であります。でありますから、時間で測れる、そういう労働に関しては、これは適用除外は我々は許さないという話をさせていただいております。
重ねて申し上げれば、こういう議論の中においてこれから議論がある程度煮詰まってくれば、そこは労働政策審議会で御議論をしっかりいただくわけでございまして、その中の御議論というものを受けて我々は制度化を果たしてまいるということであります。

○小池晃君 煮詰まっちゃったらまずいじゃないですか。産業競争力会議で煮詰まって、大体方向決まってしまいましたと。首相もいるわけですよ。
そこで決めた政府の大方針だなんということになったら、労政審の議論形骸化するじゃないですか。こんな議論のやり方認めていいんですかと言っているんですよ。

○国務大臣(田村憲久君) だから、決まったわけじゃないんです。

○小池晃君 煮詰まったわけじゃないですか。

○国務大臣(田村憲久君) いや、煮詰まったというのは、そこの議論の会議で煮詰まったという話であるだけの話であって、それが労働政策審議会でどうなるかというのは、審議会で御議論をいただかなければ決まらないのは当たり前の話じゃないですか、それは。
でありますから、労働政策審議会を、もうこれをやらなくてもいいという御意見もあります。ありますが、私は労働政策審議会、これは政労使でしっかりと議論をできなければ、これは何ら話にならないではないですかと、それが今までの方向性じゃないですかと、こういう御議論をさせていただいて、それに対しては徹底的に闘っておるわけであります。
そこは御理解をいただきたいと思いますし、これで物事が決まるわけではありません。そこの議論としてある程度決まってきたものに対して労働政策審議会で幅広く御議論をいただいて、その結果をいただいた上で我々は制度化を果たすわけでございますので、決して産業競争力会議でいろいろと話がある程度決まってきたものがそのまま決まるとは限らないわけであります。
労働者派遣法に関しましても、例えば特定派遣をやめるというような、これは派遣業者にとってみればよろしくないことも実はこの中において決まってきておるわけでございますので、そう考えていただければ有り難いというふうに思います。

○小池晃君 煮詰めるという議論がありましたけれども、やっぱり煮詰めちゃいけないんですよ。
やっぱり、こんなことでやったらば本当に労働政策立案の大原則が壊れることになりますよ。企業側の委員なんかは労使の合意があればいいんだと言っているけれども、労使の合意があれば何でもやれるということになったら、本当に日本の労働法制というのは崩壊しますよ。
そういう意味では、きちっとやっぱり厚労省は労働者を守るために頑張るべきだと。今のような提案は撤回をするということをしなければ存在意義が問われるというふうに思います。田村大臣の提案は撤回していただくことを求めて、質問を終わります。

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