日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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論戦ハイライト/裁量労働制 先送りやめ きっぱり断念を/小池書記局長が追及 参院予算委

2018年03月03日

赤旗2018年3月3日付

日本共産党の小池晃書記局長は2日の参院予算委員会で、森友学園疑惑、裁量労働制と「残業代ゼロ制度」、「攻撃型空母」の保有問題を取り上げて、安倍政権の姿勢をただしました。


残業代ゼロ

年6000時間も違法にならず

加藤厚労相「労働時間規制する規定ない」

写真

(写真)安倍首相らに質問する小池晃書記局長(右端)
=2日、参院予算委

小池氏は、安倍晋三首相が「法案の大きな柱の一つ」としてきた裁量労働制の対象拡大を法案から切り離した問題を追及しました。

小池 偽りの答弁を3年も繰り返してきた。総理の責任は重大だ。

安倍首相 私の答弁を撤回し、おわびした。データは厚労省で精査する。

自らの責任にふれない安倍首相に対し、小池氏は「首相の責任を明らかにしないと前に進めない」と批判しました。

小池氏は、高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)の導入について、「裁量労働制と根は同じで、さらに危険が大きい」と指摘。裁量制では残業の三六協定の締結と割増賃金の支払い、休日・深夜労働で割増賃金の支払いが必要になります。小池氏が「残業代ゼロ制度ではどうなるか」とただすと、山越敬一労働基準局長は、いずれも「適用されない」として、長時間労働に歯止めがないことを認めました。

小池氏は「残業代ゼロ制度は、年次有給休暇以外の労働時間規制をすべて適用除外するもので、異次元の危険性がある」と告発し、迫りました。

小池 法律上104日休めば、年間6000時間を超える労働をしても違法にならない。

加藤勝信厚労相 それ自体を規制する規定はない。

小池氏は、「実際に過労死が起きている。それを止める仕組みが労働基準法だ。こんなことでは労働者を守れない」と批判。安倍首相は「これからつくるので問題が起きているわけではない」と弁明しました。

小池氏は、経団連の榊原定征会長が年収要件1075万円以上の緩和を求めていると指摘。「残業代を含めて1075万円を超える人は、残業代ゼロ制度の対象になるか」と聞くと、加藤厚労相は、「残業代を含め1100万の方が高プロに変わり、1100万払うのなら(要件を)クリアする。800万円なら対象外」と述べ、適用のさいの年収に残業代も含まれると認めました。

残業代ゼロ制度や裁量制について、安倍首相が「自律的な働き方」と語っていることについて、小池氏は「自らの裁量で決定できるのは、業務の遂行手段、時間配分だけだ。業務量は自ら決定できない」と指摘。加藤厚労相は「使用者から与えられる業務量は、働き手が裁量的に決められるものではない」と認めました。

裁量制

実労働時間を把握せず

加藤氏「データは白紙に、新たに調査」

図

小池氏は、裁量労働制を導入しているトヨタ自動車の実態を示しました。

2016年10月からの半年間、みなし労働1日9時間の対象者は370人。うち、限度を超えた長時間労働のため裁量制の適用除外になったのが11人、健康診断を受けるなど健康に懸念を感じる人が309人、8割にも上ります。残業の最大は企画業務型で月95・4時間、専門業務型で月100・5時間。「過労死ライン」を超えています。

小池 自律的に働けるような環境ではない。先送りでなく、きっぱり撤回すべきだ。

首相 裁量労働制については法案から削除した。厚労省で現状を把握した上で判断していく。

裁量制に関しては、安倍首相の「裁量制の方が労働時間が短い」とする答弁の基となった「労働時間等総合実態調査」にデータの誤りが次々と見つかり、安倍首相は答弁撤回に追い込まれました。

小池氏は「答弁だけでなくデータも撤回せよ」と要求。安倍首相は「精査して判断したい」と撤回を拒否しました。

小池氏は「そのデータは精査に耐えるものなのか」として、データにある「平均的な者」とはどういう定義なのか、実労働時間を調べたのかと質問。厚労省の山越敬一労働基準局長は、調査は使用者による報告で「必ずしも実労働時間と一致しない」と答弁、実態を反映していないことを認めました。

小池 裁量労働制は労働時間を把握しなくていいから調査もできない。調査のやり方から考え直さない限り、実態はつかめない。

首相 実態把握は、小池委員も指摘されたように、今までの調査の仕方でいいのかも含め、考える。

厚労相 (データは)白紙とし、新たな調査を実施する。

加藤厚労相がデータを事実上撤回することを表明したことで、裁量制と残業代ゼロの前提が崩れました。小池氏は「労働者を対象とした調査を行うべきだ」と強調しました。

小池氏「強引な決定、首相の責任」

小池氏は、裁量労働制が一般労働者より労働時間が長いことを示す労働政策研究・研修機構(JILPT)のデータが労政審に示されなかった問題を追及しました。

安倍首相が議長をつとめる産業競争力会議で、2013年に決定した「日本再興戦略」では裁量労働制の拡大などが盛り込まれ、それを受けて開かれた労政審分科会で「実労働時間を調査する」と説明されていました。

しかし、JILPTの調査結果は関係機関に報告されず、14年6月の「日本再興戦略」では、次期通常国会に「残業代ゼロ制度」とともに法案提出が決められました。

小池氏は、当時の厚労省課長が「2014年の日本再興戦略で1回リセットになった」「JILPTの非常に貴重な調査を使えなかった」と語ったことを指摘し、こう迫りました。

小池 今回の事態は、安倍首相による強引な政策変更、政策決定の圧力の中で起きた。首相自身の責任は極めて重大だ。

首相 提案はしたが、労働者の代表も入る労政審で判断している。

安倍首相は、ここでも言い訳に終始し、みずからの責任を認めませんでした。

小池氏は、今日の事態を招いたのは、裁量制では「みなし労働時間制」のため労働時間を把握する仕組みがないからだと指摘。「労基法には、職場全員の労働時間の客観的な把握・管理を義務づける規定はあるか」と追及すると、山越局長は、すべての労働者が対象ではないと認めました。

小池氏は、労働基準監督官へのアンケートで、労働時間規制の最も有効な対策は「実労働時間の把握義務の法定化」だと指摘。「すべての労働者の労働時間管理簿を法律で義務づけることが必要だ」と強調。安倍首相は、「実労働時間を把握し、管理することは健康確保の観点から大変重要」と答えました。

小池氏は、週15時間、月45時間、年間360時間を例外のない残業時間の上限として法令化し、連続11時間のインターバル規制の導入が必要だと求めました。

「いずも」でF35Bの運用を検討

小池氏質問で明らかに

憲法9条改定で海外での制約なき戦争へ向かう危険

国の在り方変える重大答弁

図

小野寺五典防衛相は、小池氏の追及に対して、海上自衛隊最大の艦船であるヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」で、対地攻撃を主任務とするステルス戦闘機F35Bの運用に関する調査・研究を行っていることを初めて明らかにしました。政府は従来、「攻撃的兵器」の保有は憲法上できないとしてきました。その例として、多数の対地攻撃機を主力とする「攻撃型空母」をあげています。

これに照らせば、「いずも」でのF35Bの運用は憲法9条違反となります。小池氏は、政府が「いずも」の空母化を検討し、F35Bの導入を検討しているという報道が相次いでいることに言及。小野寺防衛相が2月8日の衆院予算委員会で、「いずも」に艦載する「新種航空機」を研究していると答弁したことにふれ、見解をただしました。

小池 大臣の念頭にある「新種航空機」のなかにF35Bは含まれるのか。

小野寺防衛相 短距離離陸、垂直着陸機の代表例としてF35Bを調査している。

安倍晋三首相 さまざまな検討は当然だ。危機が生じてから装備を導入しようというのはまさに泥縄式だ。

F35Bの「いずも」への導入の検討を認めた発言に小池氏は「根本的なこの国の在り方を変えるということを検討していることを認めた重大答弁だ」と批判しました。

強襲揚陸艦とほぼ同じ規模

小池氏は、11年からF35Bの離着陸訓練を開始し、1月には佐世保基地(長崎県)に配備された米軍の強襲揚陸艦「ワスプ」と「いずも」の概略図を示したパネル(図)を示し、両艦の規模がほぼ同じだと指摘。小野寺防衛相が14年7月、米海軍サンディエゴ基地を訪れ、最新鋭の強襲揚陸艦「マキンアイランド」を視察し「このような輸送艦について検討することを決めている」と述べたことに言及し認識をただしました。

小池 ワスプのような強襲揚陸艦であれば、憲法上保有は可能であるということか。

防衛相 ワスプが憲法に抵触する攻撃型空母に該当するかは、その時々の国際情勢を踏まえる必要がある。大規模災害対応や水陸両用作戦における能力向上を図れるのではないかと考え、視察した。

政府は“災害対応”を口実に強襲揚陸艦の保有を否定しませんでした。

しかし、強襲揚陸艦は海兵隊が敵地へ上陸する場合、兵員や物資を迅速に陸揚げするため、兵員、戦車、火砲などの上陸部隊、それを揚陸する舟艇やヘリコプター、さらには上空から援護する航空部隊をワンパッケージで運べる機能を持ち、海外遠征での「殴り込み部隊」の中心を担います。F35Bが導入されれば、海外で攻撃される前に敵国の基地を破壊する敵基地攻撃能力の保有が実現します。

また小池氏は、15年の安保法制に関わる質疑の際に入手した自衛隊のヘリ空母から米軍ヘリが給油や整備のため離着陸し対潜水艦戦を行う旨を記載した内部文書に言及しF35Bも自衛隊の空母を利用する危険をただしました。

米軍と一体の軍事行動展開

小池 この米軍ヘリがF35Bに置き換わっても、法制上は実施可能か。

防衛相 具体的に想定していないので、法制上可能かも答えられない。

小池氏は「『専守防衛』の建前さえ投げ捨てた。米軍と一体となった軍事行動を展開しようとしている」と批判。「戦争法を強行し、歯止めなく軍拡を進め、この上に憲法9条に自衛隊を書き込んでしまえば、何の制約もなく海外で戦争することになってしまう」と指摘し「9条改憲のための国会発議は絶対に許さない」と表明しました。


速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 働き方改革、これは、過労死基準をはるかに超える月百時間まで残業を可能にする上限規制、労働時間規制そのものをなくす高度プロフェッショナル、そして裁量労働制の対象拡大が盛り込まれておりました。そして、総理は、裁量労働制の拡大は法案の大きな柱の一つだとおっしゃっていました。それを一旦法案から切り離さざるを得なくなった。これはまさに、全国過労死を考える家族の会の皆さんの命懸けの訴え、そして結束した野党と急速に高まった国民の反対世論の力だと思います。
 しかし、法案切り離しで一件落着にはなりません。裁量制で労働時間が長くなって過労死が続出するのではないかという野党の批判に対して、安倍政権として三年間、総理、偽りの答弁繰り返してきたわけですよ。総理の責任重大じゃないですか。それを明らかにしなければ、これ、それこそ前に進めないと思うんです。
 総理自身の責任どう考えておられるか、まず冒頭お聞きします。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回の裁量労働制に関する厚生労働省のデータに対して、国民の皆様に疑念を生じさせることになりました。このため、裁量労働制については今回の改正から全面削除する、そして、裁量労働制の実態について厚生労働省においてしっかりと把握し直すこととしたところでございまして、こうしたデータを基に答弁をいたしましたことに対しましては、答弁を撤回をし、そしておわびを申し上げたところでございます。言わば答弁をした総理大臣としておわびを申し上げたところでございます。

○小池晃君 今回だけじゃない、三年間繰り返したことの責任をどう考えておられるか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) このことにつきましては、まさに厚生労働省においてしっかりとこのデータについて精査をすることが必要だろうと、こう考えております。

○小池晃君 そうじゃないでしょう。責任、安倍政権としての責任どう考えているか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、このデータについて、現在データを精査中ということでございます。

○小池晃君 これは駄目ですよ、駄目。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 速記を止めてください。
 〔速記中止〕
○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私が答弁をいたしましたのは一回でございますが、この三年間の厚生労働省の答弁ということだと思いますが、その間の答弁も含めまして、そのデータが果たしてどうだったかということについて、まだ私どもこのデータ自体は撤回をしていないのでございまして、そのために精査をすることが大切だろうと。
 その上において、どうしてこうしたデータについて、言わば提出をしたかということについてつまびらかにしていかなければならないと、こういうことでございます。

○小池晃君 駄目ですよ。厚生労働大臣の答弁というのは政府の答弁なんですよ。安倍政権の答弁なんですよ。三年間やったんですよ。その責任をどう考えているのかと言っているんです。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、繰り返し答弁をさせていただいておりますように、このデータについて、私は、私が申し上げた答弁については撤回をし、おわびをさせていただいたところでございます。
 そして、その間、厚生労働省においてデータについて答弁をしているところでございますが、そのデータそのものについて現在まだ精査をしているということでございます。

○小池晃君 データの問題だけじゃないんですよ。政権としての責任をはっきり取ってもらわないと前に進めないと言っているんですよ。
 厚生労働省の責任だって重大ですよ。ところが、野党六党のヒアリングを牧原副大臣は公開リンチだと言った。誤ったデータの責任を棚上げにしておいて、何なんですか、これ。言語道断じゃありませんか。加藤大臣は、厚労省の責任どう考えているのか、どのように責任を取るおつもりなんですか。

○国務大臣(加藤勝信君) まず、これまでの、今委員御指摘の三年間ということもございました。それから、私もこの委員会で、本来比較をすべきでないデータをお示しをし、答弁をさせていただきました。それらも含めて、そうしたデータをお示しし、答弁をさせたことについては撤回をし、おわびをさせていただいたところでございますし、また、過去の大臣の答弁、これは私が撤回できるかどうか分かりませんけれども、もし撤回できるものであれば、私としては撤回をしたいというふうに思っているところでございます。
 そういった意味において、こうしたおわびを含め、そしてこれを一つの反省材料として、大きな反省材料として、しっかりこれから取り組んでいきたいと思います。
 その中で、今委員御指摘のあった、私のところの副大臣の発言でございます。発言について、私ども自民党の厚生労働部会において発言があったということ、そしてそれは大変不適切だということで、おわびの上、撤回したいということが私のところに報告があり、私もそのように対応すべきと指示をしたところでございます。
 本人も、これまでも一生懸命努力をしておりました。また仕事にも取り組んでおりました。また、今回の発言についても不適切であるということで速やかに撤回し、おわびをしているということでございますので、引き続きその職責を、今回のことをしっかり反省しながら果たしていただきたいと、こう思っております。

○小池晃君 責任ということは、最後まで、総理も厚労大臣も一言も言わない。責任取らなきゃ、こんなの前へ進めませんよ、こんな、国会も欺いてきたわけですからね。このことを、ちょっと具体的には午後取り上げたいと思います。
 あわせて、森友学園の問題から午後は入りたいというふうに思いますので、一旦ここで終わります。

○委員長(金子原二郎君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。

   午前十一時四十三分休憩
    ――――・――――
   午後一時開会

○委員長(金子原二郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成三十年度総予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。小池晃君。

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 森友学園の国有地取引の財務省の決裁文書が書き換えられていたという報道が今朝なされました。これは本委員会の開示請求で出された文書でありますし、極めて重大です。
 報道によれば、元の文書にあった特殊的な内容、本件の特殊性、そして学園の提案に応じて鑑定評価を行い、価格提示を行う等が削除されているとのことであります。
 ちょうど一年前のこの場所で私はこの問題を質問しました。当時の佐川理財局長は、先方に対して具体的な貸付料など提示したことはない、することはない、価格を提示したこともないし、先方から幾らで買いたいと希望があったこともないと答弁されたわけですね。
 麻生大臣、この元の文書を出してください。

○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘のありました今朝の報道につきましては、これはもう今現在大阪地検において背任、証拠隠滅、また公用文書の毀棄等々について今告発を受けて捜査を受けている最中というのは御存じのとおりなんで、財務省としては、この捜査に全面的に協力しているという段階でありますんで、今のような御質問に対してお答えするとかいうのは、捜査にどのような影響を与えるかということが予見し難いため、差し控えさせていただくということであろうと存じます。

○小池晃君 あのね、捜査に影響を与えるということは、元の文書あるということじゃないですか。だって、ないんだったら捜査に影響はないでしょう。ないと言って済む話じゃないですか。捜査に影響があると言って出せないということは、あるということじゃないですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 今、私どもの手元にその資料は一切ありませんので何ともお答えをしようがないんですが、私どもは、捜査に影響がないと考えられるんであれば、その段階で必要があるんであれば調べることとさせていただきます。

○小池晃君 だから、捜査には出しているわけでしょう。出しているわけでしょう。だったらば、その元の文書なるものはない、改ざんしたことがないというんだったら、ないと言えばいいじゃないですか。何でそう言わない。言わないということは、あると認めたということになりますよ。

○国務大臣(麻生太郎君) 今、私どものところにその資料がありませんのでお答えのしようがないと申し上げております。

○小池晃君 近畿財務局にないということですか、財務省本省にないということですか。

○政府参考人(太田充君) 近畿財務局で保存をしておる、把握をして保存しておるものというものは国会に御提出をしているものということでございます。

○小池晃君 じゃ、それ以外のものはないんですね。ないんだったらないと言えばいいじゃないですか。何でないと言えないんですか。ないと言わないということは、あると認めていることにこれなりますよ。

○政府参考人(太田充君) 先ほど大臣から御答弁がありましたとおりでございます。
 大阪地検において背任のほか証拠隠滅、公用文書等毀棄で告発を受けて捜査が行われております。財務省としては、捜査に全面的に協力している段階であって、お答えすることが捜査にどのような影響を与えるか予見し難いので、答弁は差し控えさせていただきたいということでございます。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 速記を止めてください。
 〔速記中止〕
○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(太田充君) 御質問は、あるのかないのかという御質問だと思いますが、その御質問のお答えは、これまでと同じで恐縮ですが、現在、大阪地検において、背任のほか、証拠隠滅、公用文書等毀棄について告発を受けて捜査が行われている状況でございまして、この捜査に全面的に協力している段階であって、お答えをすることが捜査にどのような影響を与えるか予見し難いため、あるなし含めて答弁は差し控えさせていただきたいということでございます。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 速記を止めてください。
 〔速記中止〕
○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(太田充君) もう一度お答えをさせていただきます。
 私がここで御答弁を申し上げますのは、財務省として責任を持って御答弁をさせていただくということでございます。
 あるなしというようなお尋ねがございましたが、御指摘の報道については、現在、大阪地検において、背任のほか、証拠隠滅や公用文書等毀棄について告発を受けて捜査が行われている状況でございます。財務省としてはこの捜査に全面的に協力している段階でございまして、お答えをすることが捜査にどのような影響を与えるか予見し難いため、答弁は差し控えさせていただきたいということでございます。

○小池晃君 もう全然答えになっていませんよ。
 今までだってリーガルチェックなんか出しているわけじゃないですか、文書を。何でこれだけ出さないんですか。何でこれだけ捜査に影響出るんですか。文書全然出していないわけじゃないですよ。求めに応じて出しているのに、何でこれだけ出さないんですか。

○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
 国会での御議論、御指摘を踏まえて、森友学園の土地の貸付けあるいは売却に係ることについては誠心誠意調べをしてお答えを申し上げているというつもりでございます。
 ただ、何度も申し上げて恐縮ですが、これは、現在、大阪地検において、背任、証拠隠滅、公用文書等毀棄についての告発を受けて捜査が行われているということで、財務省とすればこれに全面的に協力している段階でございます。お答えすることが捜査にどのような影響を与えるか予見し難いということのために答弁は差し控えさせていただいているということでございます。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 速記を止めてください。
 〔速記中止〕
○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
 法律相談文書の件も含め、先ほども申し上げましたが、国会での御指摘、御論議を踏まえ、できるだけお出しをして答えられるようにと努力をしてまいりました。
 ただ、本件は、先ほど来申し上げておりますが、背任のほか、証拠隠滅、公用文書等毀棄という告発を受けてということで、ある意味で今回の報道は証拠隠滅、公用文書等毀棄のそのもののお話でございますので、それは、捜査に全面的に協力するという段階でお答えをすることは捜査にどのような影響を与えるか予見がし難いということで、お答えを差し控えざるを得ない、差し控えさせていただいているということでございます。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 速記を止めてください。
 〔速記中止〕
○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。

○小池晃君 いや、だから、私は非常に素直なことを聞いているんですよ。改ざんなんかしていませんと、元の文書なんてないんですと、お出ししたものが正しいんですと言えばいいじゃないですか。何でそれが言えないんですか。それが捜査に支障があるから言えないってことは、別のものがあるということにどう考えてもなるでしょうってことなんです。何でそれが言えないのかと言っているんです。

○政府参考人(太田充君) 再三のお答えで大変恐縮なんですけれども、告発を受けているのは、証拠隠滅、公用文書等毀棄についても告発を受けているということでございまして、今日の報道はその犯罪、犯罪というか告発そのものみたいなお話でございますので、それについて、私どもとすれば、捜査に全面的に、今捜査が行われている状況においては捜査に全面的に協力するというのがまず第一義だと考えております。そういう意味で、捜査にどのような影響を与えるか予見し難い段階で答弁をすることを差し控えさせていただきたいということでございます。

○小池晃君 改ざんしていませんと言えないんですか。

○政府参考人(太田充君) 捜査に全面的に協力するということから、どのような影響を与えるか予見し難いということで、今ほどのことも答弁は差し控えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 速記を止めてください。
 〔速記中止〕
○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(太田充君) 私ども、現在、捜査に全面的に協力している段階だと申し上げました。その上で、それは捜査にどのような影響を与えるか予見し難いことからと申し上げました。
 その上で、捜査に影響がないと考えられる段階において、なお必要があれば調べるということはさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 速記を止めてください。
 〔速記中止〕
○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
 本件、今ほど来の御議論は、国政調査権ということも含めて、国会の御議論であることは重々重く承知をしております。その上で、ただ、現在捜査が行われている段階で、まず第一義的に捜査に全面的に協力するというのが最優先であろうと思っています。
 ただ、国会の御審議、国政調査権ということは重々承知をしておりますので、捜査の影響がないと考えられる段階において、私どもとしてなお必要があれば調べるということは責任を持って対応させていただきたいと思います。

○小池晃君 あのね、捜査に影響がないと思われる段階というのがおかしいんですよ。すぐに調査しなきゃ駄目なんですよ。こんなのじゃ駄目。

○政府参考人(太田充君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、国会の御審議の重さは重々承知をしております。ただ、今、捜査中でございますので、まずは、まずは捜査が最優先だろうというふうに考えてございます。
 そういうことを申し上げておりますが、その上で、捜査に影響がないというふうに考えられる段階においてはということで御答弁を申し上げているということでございます。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 速記を止めてください。
 〔速記中止〕
○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
 財務省として捜査に全面的に協力している段階であり、捜査にどのような影響を与えるか予見し難いことからというふうに申し上げてまいりました。それを踏まえて、捜査に対する影響というのを十分配意しつつ調査をしてまいりたいと思います。その上で、捜査の最終的な影響ということも十分見極めながら、私どもとして、国政調査権ということも重々踏まえて適切に対応させていただきたいというふうに考えております。

○小池晃君 何でこんなことが答えられないのかなと。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 御静粛に、御静粛に。

○小池晃君 大臣、麻生大臣に聞きます。麻生大臣、文書の書換え、やっていないならやっていないとこの場で言ってくださいよ。やっていないんですね。

○国務大臣(麻生太郎君) 度々答弁をさせていただいておりますとおりなんで、私どもとしては、今、書類等々につきましては、太田が申し上げましたように全面的に協力している段階ですから、その段階で、だから言いようが、私どもの段階で、私の段階で分かるわけがありませんので、私どもとしては今お答えは申し上げられないということですよ。

○小池晃君 結局、書き換えていないって言えないわけですよ。これは誰が見たって、今の経過見ておられる国民の皆さんは、これは何かやったんだなと。
 麻生大臣、今日、会見で、朝日新聞でこれ報道されたわけですよ、別の新聞社の記者から聞かれて、この報道は朝日でしたかね、おたく、〇〇新聞はそんな取材能力がねえか、残念だったねとおっしゃった。ということは、朝日の報道の取材能力を認めているんですね。この報道が正しいということなんですね。

○国務大臣(麻生太郎君) たしか東京新聞だったと思うんですね、あの記者、記憶は。東京新聞が言ったので、自分で調べて残念だという話だったから、朝日新聞の人にそう答えただけですよ。

○小池晃君 そんな取材能力がねえか、残念だったねと言ったんでしょう。朝日は取材能力があると、これ事実上、認めていることになりますよ、この発言は。
 じゃ、この報道、今朝の報道が誤報なんですか。はっきりしてください。

○国務大臣(麻生太郎君) 私どもは誤報かどうかを判断するという現在立場にありませんから、朝日新聞に書かれたという事実に基づいて、朝日新聞に書かれた事実に基づいて話をしているのであって、私どもはそれに対して別の新聞社からの質問だったからそのとおりにお答えさせていただきました。

○小池晃君 語るに落ちたって話ですよ。だって、財務省のこと、近畿財務局のことが報道されているのに分からないって、当事者がそういうことを言うわけないでしょう。間違っているんだったら間違っているって言わない。改ざんしていないんだったら改ざんしていないって言わない。書き換えているんだったら書き換えているって、書き換え、そんなことしていませんって言えばいいのに言わない。結局認めているんですよ、これはね。重大だと、これは。
 これは、委員長、これは、当委員会が求めた開示資料が、これが書き換えられていたという重大な問題です。これは直ちに調査を求めて、委員会としてこれは調査を求め、この委員会に報告を求めてください。

○委員長(金子原二郎君) 後刻理事会で協議をさせていただきます。

○小池晃君 これはもう重大な問題だというふうに思いますので、引き続きこの問題を取り上げていきたいと思います。
 午前中に続いて働き方改革ですが、裁量労働制は切り離したと。しかし、高度プロフェッショナル、いわゆる高プロ、これは裁量労働制と根っこは同じです。更に危険が大きい。
 ちょっとパネルを御覧いただきたいんですけれども、(資料提示)裁量労働制と高プロの違いをちょっと確認していきたいと思うんですが、時間外の割増し賃金、厚労大臣、これ、裁量労働制では、みなし労働時間が八時間を超えた部分は割増し賃金を払う、三六協定の締結をする。
 高プロではどうですか。

○政府参考人(山越敬一君) 一般の労働者の場合は、法定労働時間を超えた部分については割増し賃金の支払が必要かと思います。
 高度プロフェッショナル制度につきましては労働基準法の第四章を適用除外いたしますので、そこに書いてある割増し賃金の規定は適用にならないことになろうかと思います。

○小池晃君 丁寧に通告してあるんだから、丁寧に答えてくださいよ。三六協定の締結も割増し賃金の支払も必要ないわけですね。
 それから、裁量労働制では、休日、夜間に、深夜に労働した場合は割増し賃金支払わなきゃいけませんが、高プロはどうですか。

○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
 一つ前の御質問でございますけれども、裁量労働制につきましては、これはみなし労働時間制でございますので、そのみなされた時間に応じて、法定労働時間を超える場合はその分の割増し賃金が必要になるものでございます。
 それから、休憩時間について……(発言する者あり)済みません。
 深夜割増しにつきましては、高度プロフェッショナル制度につきましてはこれは第四章の規定が適用されないことになりますので、適用されないということでございます。(発言する者あり)休日も第四章でございますので、適用されないということになります。

○小池晃君 きちんと答えてくださいね、正確にね。
 裁量制では、毎日の労働時間に応じた休憩を取らなければいけませんが、高プロではどうですか。

○政府参考人(山越敬一君) 休憩時間についても、第四章の中に規定されている事項でございますので、これ労働基準法三十四条でございますので、高度プロフェッショナル制度については適用されないということになります。

○小池晃君 つまり、高プロというのは、そもそも年次有給休暇以外の労働時間の規制全て適用除外とする。この表を見ていただければ分かるように、バツ、バツ、バツ、バツ、バツ、バツ、まさに異次元の危険性があるわけですよ。対象労働者を労働時間管理の対象から外して何時間働いても残業代支払わなくてもいい、今の説明にあるように。だからもう残業代ゼロ制度と呼ぶほかないわけですね。働かせる側にとっては極めて使い勝手いいですけれども、働く側はもう何時間も長時間労働になる、歯止めが全くない。
 総理は、裁量労働制については答弁を撤回しました。法案から切り離すということにした。ならば、裁量労働制の拡大とともに検討され、裁量制より一層歯止めのない高プロも、これも撤回して検討し直すべきではありませんか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) その考えはございません。理由については厚労大臣から答弁させます。

○国務大臣(加藤勝信君) 高度プロフェッショナル制度は、時間ではなく成果で評価される働き方を自ら選択することができる高い交渉力を有する高度専門職が働き過ぎを防止するための措置を講じつつ意欲や能力を発揮できる、そうした新たな働き方の選択を提供するというものであります。
 この制度、今委員から御指摘のように、労働時間、休日等、労働時間制は外すことにしていますが、同時に、働く方の健康を確保するため、一般の労働時間制と比べてより直截な措置を講じているところでございます。
 また、昨年七月、連合の神津会長からも要請をいただいた内容も踏まえて今検討しております法律案の中においては、年間百四日かつ四週間当たり四日以上の休日取得を義務付ける。一般労働者の休日取得義務は原則週一日であります。さらに、三六協定を締結すれば休日労働が可能になりますが、これに対して、この年間百四日の休日は必ず取得しなければならない、不履行の場合には制度そのものの適用がなされないと、こういう仕組みになっております。
 また、健康管理時間の客観的な把握を義務付けた上で、労使委員会の五分の四以上の多数で決議した選択的な健康確保措置を更に実施をするということになっております。さらには、働く方が自分の判断で働いても、健康管理時間が長時間に及ぶ場合には、労働安全衛生法を改正し、医師による面接指導を、これは本人の申出ではなく一律に、しかも罰則付きで義務付けることを予定をしているところでございます。
 そういった意味で、こうした措置をしっかりとりながら、そうした高度な技能を持っている方々が意欲や能力を発揮できる、そういった仕組みをしっかり組み込んでいくことが様々な方々が状況に応じてその力や能力を発揮していただける多様な選択肢の提供につながると、こういうふうに考えております。

○小池晃君 連合、連合と言うけれども、連合は、裁量制の拡大、高プロの導入反対の基本的な考え方は変わらないと声明で表明しています。高プロに対する要請出しましたけれども、これは懸念を少しでも払拭するためだと。合意は何にもないんですよ、これ。
 それから、健康確保措置で、今、年百四日以上の休日と言ったけど、年百四日というのは週休二日で当てはまるわけですね。土日さえ休ませれば、盆も正月も祝日もゴールデンウイークも全部働かせてもいいんだと。しかも、毎週二日を休日とすることじゃないんです、これ。四週で四日以上です。だから、理論的に言えば、理論的に言えば、四週間で最初の四日間さえ休ませれば、あとの二十四日間は、しかも休日も時間制限もないわけだから、二十四時間ずうっと働かせる、これが、いや、論理的には、この法律の枠組みではできるようになるじゃないですか。私が言ったことが法律上排除されていますか。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 静粛に。

○国務大臣(加藤勝信君) 委員が言われた働かせるという状況ではなくて、働かせるということであれば本来この制度というのは適用できなくなってまいりますので、そういった意味では、あくまでも本人が自分で仕事を割り振りして、より効率的な、そして自分の力が発揮できる、こういった状況をつくっていくということであります。

○小池晃君 高プロで労働時間の指示ができないという規定が法律上ありますか。

○国務大臣(加藤勝信君) そういったことはこれから指針を作ることになっております。法律に基づく指針、そして、その指針にのっとって労使委員会で決議をしていただく、こういうプロセスがありますので、その指針の中身に今御指摘のことも含めて、これまあ法律が通ればの話ですけれども、労働政策審議会で御議論いただくことになるというふうに考えております。

○小池晃君 法律上全くないわけですね。
 それで、私の質問に答えていないんですよ。四日間休ませれば、あとはずっと働かせることが、百四日間を除けばずうっと働かせることができる。計算すればこれ六千時間になりますよ、六千時間を超えますよ。これを排除する仕組みが法律上ありますかと聞いている。

○国務大臣(加藤勝信君) ですから、今申し上げましたように、働かせるということ自体がですね……(発言する者あり)いや、働かせるということ自体がこの制度にはなじまないということでありますから、ですから、それを踏まえて、先ほど申し上げて、法の趣旨を踏まえた指針を作っていく、そして、指針に基づく決議を決めていただく、そして、決議は指針に遵守しなければならない、こういった議論がなされているわけでありますから、今委員おっしゃったようなことにはならないだろうというふうに思います。

○小池晃君 私は質問ちゃんと言っているんです。なるかならないかと聞いているんじゃない。法律上排除されることになっていますかと、私が今指摘したような働き方は法律上できないという規定に合っていますかと聞いているんです。

○国務大臣(加藤勝信君) ですから、一般であれば、残業が命じられて、そしてそれにのっとって仕事をしなきゃならないわけであります。しかし、この高度プロフェッショナルはそういう仕組みになっていないんです。法の趣旨もそうでないんです。したがって、それに基づいた、先ほど申し上げた、法律に具体的にというお話がありましたけれども、その法案の趣旨を踏まえて指針にしっかり盛り込めば、それは法律的な効果を、先ほど申し上げたように生んでいくということであります。

○小池晃君 答えていないです、答えていないんですよ。
 その趣旨がとかと言うけど、法律上そういったことが禁止されていますかと聞いているんです。イエスかノーかではっきり答えてください。

○国務大臣(加藤勝信君) ですから、先ほど申し上げた仕組み全体の中でそうしたことにならないという形をつくっていきたいと、こういうふうに考えているわけであります。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 速記止めてください。
 〔速記中止〕
○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(加藤勝信君) 先ほどから同じ答弁になって恐縮でございますけれども、その法律の仕組みの中で、今申し上げたこと、そうした懸念を排除していく、そういったことを考えていきたいと、こういうふうに考えております。

○小池晃君 全く答え、逃げている。
 じゃ、こういうふうに聞きますね。百四日間さえ休めば、残り年間六千時間を超える労働をしても、それは違法にはなりませんね、今回の高プロの仕組みでいえば違法にはなりませんね。

○国務大臣(加藤勝信君) その違法という意味はあれですけれども……(発言する者あり)いやいや、ですから、それ自体を規制するという規定はありません。ただし、ただし、それはさっきも申し上げたような、指針をどう作り、そしてそれをどう決議していくのか。(発言する者あり)いや、この仕組みはですね、いやいや、労使委員会で決めた仕組みの中でやっていくということが大前提になっているんでありますから、それを無視して法律だけでは全てが規定されないと、そういう前提になっているということを御理解いただきたいと思います。

○小池晃君 最初の一言を言えばいいんですよ。
 法律上はそれは違法になっていないわけですよ。そんなことはあり得ないとか業務命令出ないとか、そんなのは合意にならないとか幾ら言ったって、実際に過労死起きているんですよ。とんでもない経営者がいっぱいいるわけですよ。それを強行的に止める仕組みが労働基準法なんですよ。労働基準法というのは、第一条で「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」となっているんですよ。この強行規定である労働基準法でこんな緩いことをしてしまったら、幾ら指針があります、労使合意がありますといったって、労働者守れないんですよ。そういう法律をあなた方は作ろうとしているんですよ、高プロというのは。
 総理、こんな年間六千時間働くことが違法とされない、こんな仕組みをつくってしまっていいんですか。これで人たるに値する生活を労働者が送ることできるんですか。どうなんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 裁量労働制と違って、これは、高プロは今度これからつくる制度でありますから、この制度に起因する何か問題が起こっているということではもちろん今まではないわけであります。今までないんですから、この仕組みはですね、これからつくっていこうということであります。
 そして、その上において、先ほど大臣から既に答弁をさせていただいておりますように、書面で本人が希望するということでありますし、平均給与の三倍、千七十五万円の方々ということになれば相当の交渉力があるわけでありまして、また、企業にとってもなくてはならない人々であろうと。これは、管理職でなくて千七十五万円以上ということであります。
 そういう一定の能力を持っている方々に対するニーズが高い中において、その方々は、言わば普通の働き方ではなくて成果に準ずる働き方を、効率的な働き方を自ら選んでしたいと、こういうことでございまして、ですから、言わば自らそういう働き方を選択をしているということの前提に立ってこの仕組みはつくられていると。なおかつ、健康確保措置はとられていると、こういうことであります。

○小池晃君 あのね、同意がある、同意があるといったって、上司から言われたら拒否なんかできないんですよ。今、本当に、部屋に閉じ込められて、もう、やれ、やれ、やれ、やれと迫られると。笑っている場合じゃないよ、菅さん。それが現場の実態ですよ。全く分かっていない、実態が。
 それから、年収要件が一千七十五万円でごく一部だと言うけれども、日本経団連の榊原……(発言する者あり)うるさいな、ちょっと、自民党席、うるさ過ぎます。日本経団連の榊原会長はこの年収要件の緩和を繰り返し求めていました。
 二〇一五年四月の経営者の会合で当時の塩崎厚生労働大臣はこう言っています。経団連が早速一千七十五万円を下げるんだと言ったものだから、あれでまた質問がむちゃくちゃ来ましたよ、ですから、皆さんそれはぐっと我慢していただいてですね、取りあえず通すことだといって合意をしてくれると大変有り難いと思っていますと。私はこの直後の国会の質問でこれ聞いたら、塩崎さんは、そこはぐっと我慢してくださいねと言っているだけで、私はストレートに言えば、そういうことを言うのはやめてくれということですよと。財界には、年収要件緩和は黙っておいてくださいと、とにかく法案通させてくださいと。
 大臣、前の大臣の発言ではあるけど、こんなことでは年収要件なんというのはアリの一穴でどんどん広がるんじゃないですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 今の法律要綱では、高度プロフェッショナル制度の対象となる方の賃金額の要件を、労働契約により使用者から支払われると見込まれる年間の賃金の額が平均給与額の三倍の額を相当程度上回る水準、こういうことを法定するということになっております。大体それがどのくらいかということで千七十五万という数字は出ておりますが、それはこれから決めていくことになりますが、この考え方は法律を改正しない限り変えることができないわけであります。
 私どもとしては、高度プロフェッショナル制度というこの制度があるので、その趣旨に反してそうした要件を緩和していくという考えは持っておりません。

○小池晃君 緩和する考えは持っていないと。
 しかし、じゃ、今の千七十五万円はどうなのか。長時間労働、過労死がしばしば問題になるのはやっぱり大企業なんですね。例えば、高橋まつりさんの過労自死、電通。有価証券報告書によると、高橋まつりさんが亡くなった直後の電通の従業員七千二百六十一名の平均年間給与は一千二百万円を超えるわけです。こういう実態がある。長時間労働がありますからね。年収を押し上げているわけですよ。
 確認しますけれども、本人同意などの高プロの条件を満たした場合、例えば基本給が五、六百万であっても、残業代も含めて年収一千七十五万円を超えれば、これは高プロの対象になりますね。

○国務大臣(加藤勝信君) 先ほど申し上げましたけど、確実に支払われることが見込まれる賃金ということであります。したがって、残業代は確実に……(発言する者あり)いや、ですから、そんな毎年じゃなくて、その契約の中で確実に見込まれるものでなきゃなりません。残業は確実に見込まれませんから、今の場合には対象になりません。

○小池晃君 昨日は、なるという回答が厚労省から返ってきたんですが、変わったんですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 済みません。そのやり取りが私分かりませんけれども、例えば、今残業代を含めて例えば一千百万の方がおられる、その方が、今度高プロ制度ができて、変わって、じゃ千百万円払いますよということであれば、これはもちろんクリアいたします。ただ、そのときに、八百万ですよ、ベースはと、そこから何ぼ出すかは働き方次第ですよということであれば、それは確実に見込まれる金額ではありませんから、そういったものは本件の対象にはならない、こういう対象であります。

○小池晃君 長時間労働が常態化している人は対象になるということですね。

○国務大臣(加藤勝信君) 今申し上げたこれは新たな契約でありますから、ただ、今私はその比較を言っただけでありまして、したがって、今度高プロの中で、どういう業務量をもらうよ、そして、それに対してこれはしっかり書面で決めることになっています。そして、それに対して、じゃ幾らいただきますよという交渉をして、そして、しかも高度な技能がある方ですから交渉力も高いというふうに想定をしておりますから、そういった中で、しかも本人が同意しなければ、先ほど総理も言っていましたけれども、これは適用されないという、そういう仕組みになっております。

○小池晃君 これ、ちょっと重大な論点になると、これからなると思いますから、これ、引き続きちょっとこの問題取り上げていきたいと思いますが。
 結局、私の質問に、二〇一五年には有期雇用であってもこれ高プロの対象だと厚労省は答えていますね。これはもう変わっていませんか。

○政府参考人(山越敬一君) この法案要綱でございますけれども、労働契約により使用者から支払われると見込まれる年間の賃金の額が平均給与額の三倍の額を相当上回る水準のものとして法定を上回る年収が見込まれる者に対象になるものでございますので、有期契約かどうかということはまた別の問題かというふうに思います。

○小池晃君 年収が見込まれるだから、要するに残業代も含めて一千七十五万円の年収が見込まれれば、これは対象になりますよね。

○政府参考人(山越敬一君) これは、確実に支払われることが見込まれる額ということでございますので、時間外労働に応じて変動するようなものはこれに入るものではないというふうに考えます。

○小池晃君 恒常的に残業代も含めて一千七十五万円超えている、残業代も含めて恒常的に超えている、次の年も見込まれる、確実に見込まれるであろうという判断をされれば対象になるんですね。

○政府参考人(山越敬一君) 労働契約によりまして使用者から支払われると見込まれる額が一定の額ということでございますので、時間外労働によって変動するようなものは含まれないんだというふうに思います。

○小池晃君 ということは、基本給が一千七十五万円超えないと対象にならないということですか。

○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
 労働契約によりまして使用者から支払われると見込まれる年間の賃金の額が平均給与額の三倍の額を相当程度上回る額として法定したものを上回るということが必要だということでございます。

○小池晃君 基本給かどうかと聞いています。

○政府参考人(山越敬一君) 労働契約により使用者から支払われると見込まれる年間の賃金の額がその一定の額以上であることが要件かというふうに思います。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) もう一回質問してください。

○小池晃君 今のはやっぱり非常に曖昧ですね。やっぱりこれ、結局残業代なんか、だって、それが入ってこなければ、やっぱり長時間労働をやっている労働者の年収が反映される仕組みであると思いますよ、今の発言で言えばね。結局やっぱりそういったことになっていく可能性が高い。
 総理、裁量労働制を切り離すんだったらば、それ以上の労働条件の悪化をもたらす、私今言ってきたように、労働時間規制外れるんだから、これも併せて再調査、労政審の再検討をするのは当然筋じゃないですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは必要ないと考えております。
 ただいま大臣からもるる説明をしていただいたように、言わばこの高プロで働きたいという方は、自らの、自らの能力に言わばある意味においては自信を持って成果に応じた働き方をしていきたいと、こういうことでありまして、時間に応じて報酬をもらうというよりも成果に応じた報酬をもらうと、こういうことでありますから、そういう契約の仕方と変わっていくということでありますから、今小池委員が言われている議論とは言わば形態が異なるというふうに御理解をいただきたいと、こう思うわけでございまして、交渉力もあるわけでありますから、当然、本人が望むという形で、その書面で望む方がそういう働き方を選んでいくということではないかと思います。

○小池晃君 一千七十五万超えれば交渉力があるというのは全く根拠ないと私は思います。
 同時に、先ほどから自律的な働き方だと、裁量労働制も高プロもそうだというふうにおっしゃるんですけど、実態はどうなのか。
 裁量制について、ちょっと大臣、これ、裁量制というのは、業務の遂行手段や時間配分は裁量で決定できますけれども、業務量は裁量で決定できませんよね。

○国務大臣(加藤勝信君) 今委員御指摘のように、裁量労働制は対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定について使用者が具体的に指示を行う制度、そういうことであります。
 使用者から与えられる業務量について、対象となる働き手ですね、働き手方で裁量的に決められるものではありませんが、ただ、JILPTの調査を見ていますと、この目標、まず目標がありますよね、その目標の決定については、上司が設定する、あるいは自分の意見を踏まえて上司が設定するというのは約四割。他方、上司と相談して自分が決定する、取引先、顧客と相談しながら自ら決定するなど最終的に自ら決定している割合が五六%と、こういうことにもなっているわけでございます。

○小池晃君 いろいろ言うけど、業務量は自ら裁量できないんです、これはね。
 裁量制を導入しているトヨタ自動車の実態。トヨタ労組が組合員に示した資料、これ二〇一六年の十月から半年間の資料があるんですが、企画業務型裁量労働で、みなし労働時間一日九時間の対象者三百七十名、このうち限度を超えた長時間労働で適用除外になったのが十一名、それ以外に健康調査票を出した人、健診を受けた人などが三百九名、実に八割の方が健康状態に懸念があると。半年間で超過勤務時間が最大で企画業務では月九十五・四時間、専門業務型で月百・五時間、まさに過労死水準なんですね。
 これ、労働組合が労働者の声を紹介しています。短納期の突発対応を全て請け負わされるなど次から次へと業務を付与され、まとまった業務付与となっていないため裁量が発揮できる状態にない、あるいは、本来目指すべき姿に沿わないような業務付与をさせられている。業務量については労働者に裁量権ないから日常的にみなし時間との大きな乖離が起こって健康被害生まれている。
 総理、これがあなた方今までずっと言ってきた自律的な働かせ方の実態なんですよ。とても自律的に働けるような環境じゃないんですよ。
 今日もお見えになっていますけれども、過労死家族の会の皆さんが声を寄せていて、夫である小児科医を過労自死で失った中原のり子さんは、今日手紙をいただきました。働き方改革という名の下に人の命を奪う、過労死を増やす法律を強行するのは絶対やめてほしい、これは、高プロも上限設定も白紙撤回すべきだ、私たち遺族は三十年も前からこの声を上げ続けています、どれほど犠牲者が出たら政府は分かってくれるのでしょうかと、こういう声ですよ、総理。
 裁量労働制の拡大は先送りでは駄目ですよ。きっぱりと撤回すると、そうお答えいただきたい。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今のは裁量労働制についての御質問でございますね。裁量労働制につきましては今回提出する法案から削除をさせていただきました。その上で、厚生労働省において現状をしっかりと把握をしていくということをまず行っていきたいと、把握した上で判断をしていくと、こういうことでございます。
 また、高プロにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、時間ではなく成果で評価される働き方でありまして、自ら選択することができるものでありまして、自らの創造性を発揮できるようにするための制度であるということは重ねて申し上げておきたいと思います。

○小池晃君 断念とは言わないんですね。
 先ほど、午前中の質疑の中で、総理はデータは撤回しないと言ったんです、裁量労働制の時間の。データは撤回しないってどういうことなんですか。実態把握をしなきゃいけないというんでしょう。厚労省のデータは間違っていたわけでしょう。その間違ったデータに基づいて答弁したんでしょう。なのに、データは撤回しません、納得できません。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私が答弁を撤回をしたのは、まず精査に時間が掛かっているということについて、この精査に時間が掛かるデータに基づいて答弁をしたことについては撤回をさせていただいたということであります。その後、調査によって、厚労省の調査によって比べてはならないデータというものを比べたということでございましたので、重ねておわびを申し上げたところでございます。他方、データそのものについてはまだ精査中ということでございますので、まずはしっかりと精査をしてもらうと、こういうことでございます。
 いずれにいたしましても、今回は提出について、この裁量労働制については全面削除をしております。そして、再び提出する際には、先ほど厚労大臣が答弁をいたしましたように、新たにしっかりと実態を把握をしたいと、こういうことでございます。

○小池晃君 だから、実態を把握しなきゃいけないということは、実態が現時点では把握できていないということだから、今まで使ってきたデータは間違っていたんだから、データは撤回しなきゃいけないじゃないですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 正確を期したいということでありまして、まずは精査をしてから判断したいと、こういうことでございます。

○小池晃君 じゃ、そのデータなるものが精査に耐え得るものなのか論証をしていきたいと思います。
 企画業務型の裁量労働制を導入した企業には半年ごとの定期報告がございます。定期報告における一日の労働時間として平均的な者、これはどのように、具体的にどういう方法でどういう数式で、あるいはどういう定義で、誰がこれ、ちょっと基準局長、聞いていますか、これ答えてください。

○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
 定期報告におけますその平均的な者につきましては、一日の労働時間として平均的な者の労働時間の状況を報告することとしております。
 それから、平成二十五年度の労働時間等総合実態調査の平均的な者でございますけれども、これは一日で見て最も多くの労働者が属すると思われる労働時間の層に含まれる労働者の労働時間を記入することとしております。

○小池晃君 あのね、今の質問は、本当に訳が分からないんですね。平均的な労働時間じゃないんです、平均的な者。この平均的な者の、じゃ、定義は何ですか。

○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
 平成二十五年度の労働時間等総合実態調査の平均的な者でございますけれども、これは一日で見て最も多くの労働者の属すると思われる労働時間の層に含まれるその労働者の労働時間を記入するということが、平成十七年度の実態調査における疑義応答で示されているところでございます。

○小池晃君 それは、その説明では何も分からないんですね。
 それから、じゃ、定期報告の方は、その報告は誰がやるんですか。

○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
 定期報告は使用者が行うものというふうに承知をしております。

○小池晃君 要するに、労働者並べて使用者が、これが平均的なものだと。何の基準もないわけじゃないですか。これが平均的なものだと判断すれば、それが報告になるんですね。

○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
 この定期報告でございますけれども、平均的なものについて使用者から御報告をしていただくことになっておりまして、これは一日の労働時間として平均的なものの労働時間の状況を報告していただいているものだというふうに考えます。

○小池晃君 これは苦しいんですよ。基準、何にもないんですよ。結局、使用者側がこれが平均的だと判断したら、それが定期報告出てくるわけですよ。今回の問題になった平成二十五年労働時間等実態調査は、それも使ってもいいとなっているんですよ。こういうでたらめなことだから、結局あれだけのデータの間違いが出てくるんじゃないですか。
 しかも、平均的なものの労働時間には休憩時間入るんですか。

○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
 労働時間の状況でございますけれども、これは、出退勤時刻、入退室時刻の記録等によって、いかなる時間帯にどの程度の時間在社し、労務を提供し得る状態にあったかなど、対象労働者の勤務状況を指すものだというふうに考えております。
(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) ちょっともう一回、小池委員、もう一回質問してください。(発言する者あり)いや、中身がよく分かっていない。
(発言する者あり)
 山越労働基準局長。

○政府参考人(山越敬一君) 労働時間の状況でございますけれども、これは、出退勤時刻、入退室時刻の記録などによりまして、いかなる時間帯にどの程度の時間在社し、労務を提供し得る状態にあったか、そういった勤務状況を示すものだというふうに考えているところでございます。

○小池晃君 つまり、これは実労働時間ではありません、休憩を含むものもあれば含まないものもあります、ばらばらなんですと、そういうことですね。

○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
 労働時間の状況とは今申しましたようなことでございますので、これは必ずしも実労働時間と一致しないものだと思います。実労働時間がおっしゃられましたような休憩時間などを含んだものになっている場合もあるというふうに考えます。

○小池晃君 何か頼りないなと思うんですけどね。
 実労働時間じゃないんですよ、これはね。休憩時間入っているものもあれば入っていないものもあるんですよ。ところが、労政審では実労働時間を調べますと、これ赤線で引きましたけど、そう約束していたじゃないですか。それ、やらなかったということですよね。

○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
 この労政審で調べると言っておりましたものは、こうした今申しましたような意味での実労働時間ということで、調べるということになっていたのではないかというふうに思っております。

○小池晃君 何言っているの。実労働時間に実労働時間AとBがあるんですか。こんなでたらめ、こんな答弁じゃ駄目です。(発言する者あり)

○委員長(金子原二郎君) 速記止めてください。
 〔速記中止〕
○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(加藤勝信君) ちょっと整理をさせていただかなきゃいけないと思いますので。
 もちろん、資料には実労働時間等々をお出しするということでありますけれども、労政審においては、先ほど局長が説明した労働時間の状況、これを説明したということでございます。

○小池晃君 労政審に出した資料に実労働時間数って書いてあるでしょうと私言っているんです、これ。見てください。

○国務大臣(加藤勝信君) 調査についてそういったものをするということでこれはお出しした資料でございますけれども、最終的にお示しをさせていただいたのは、先ほど申し上げた労働時間の状況について報告をさせていただいたということでございます。

○小池晃君 やっていないんですよ、だからまともな調査をね。だから、これは精査なんてするものじゃないんですよ。根本的に駄目なんですよ、この調査は。定義もでたらめなんですよ。勝手に選べばいいんですよ、平均的なものとか言って。実労働時間数調べると言ったけど、休憩入っているものもあれば入っていないものもある。
 総理、これは細かいことじゃないんです。裁量労働制というのはそうなんですよ。労働時間の把握しなくてもいい仕組みなんですよ。だから、調査しろと言ったってできないんですよ。だから、こういうばらばらの数字が出てくるんですよ。だから、私申し上げているように、このデータは撤回をして、もう一回調査のやり方から含めて根本的に考え直す、それをやらない限り裁量労働制の実態をつかむことはできないんですよ。
 総理、そういうことをやるというふうにはっきり言っていただきたい。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 具体的には厚労大臣から答弁をさせていただきますが、言わば、私は、撤回したのは私の答弁でございます。そして、その基となったデータについては精査をしているということでございます。
 一方ですね、一方、裁量労働制についての実態把握については、今、小池委員も指摘をされたように、裁量労働制についての実態調査というのは今までのアプローチでいいのか、今までの調査の仕方でいいのかということも含めて厚労大臣の方からお答えをさせて、考えていることをですね、お答えをさせていただきたいと思います。

○国務大臣(加藤勝信君) 総理から実態について厚生労働省においてしっかり把握し直すという指示をいただいているわけですから、把握し直すということは、現在把握しているものを白紙、ないものとして新たにやると、こういうふうに私は受け止めさせていただいております。したがって、平成二十五年度の実態調査と、しかも把握方法については、新たな形式による調査などを考えていきたいというふうに思っております。

○小池晃君 データは撤回して再調査すると言ってください。

○国務大臣(加藤勝信君) ですから、白紙のものとして新たな調査等を実施し、そして改めて実態を把握し、その上に立って議論をし直していくと、こういうことで対応していきたいと思っております。

○小池晃君 白紙というのは撤回ということですよ。
 どうやって調べたら、じゃ正確につかめるか。結局、事業主は把握していないんだから、賃金台帳にはみなし労働時間しか書いていないわけだから、これ労働者に聞くしかないわけですね。
 労働者を対象にした調査はありますか。

○国務大臣(加藤勝信君) 労働政策研究・研修機構が、いわゆるJILPTですね、が実施している調査があるというふうに承知しています。

○小池晃君 これ以外にはないんですよ、労働者対象にした調査は。その調査では裁量労働制の方が労働時間長くなったんですよ。
 総理、今これしかないんです、データは。短いという答弁撤回したんです、総理は。ならば、やはりこれしかデータないんだから、政府としては裁量労働制の方が労働時間が長いと今は答弁すべきじゃないですか。

○国務大臣(加藤勝信君) これ、今申し上げたJILPTが平成二十六年に実施した、これ労働者、働く人に、アンケート調査であります。一か月の実労働時間の平均については、通常の形で働いている方は労働時間制度は百八十六・七時間、そこに書いてありますね、それから企画業務型裁量労働制は百九十四・四時間でありますから、この両者を比較すれば、通常、企画業務型裁量労働制の方が長いということではありますが、ただ、申し上げているように、その表にも出ておりますように、裁量労働制でもまさにブルーの方があるように、また、一般の方において、赤は長い方ですよね、赤やオレンジがあるようにということでありますから、まさにそれぞれの企業においてそれをどう使うかということでそういった違いも出てくるということでございます。

○小池晃君 長いんですよ、裁量労働制の方がね。
 大臣、やっぱりこういうふうに労働者に聞かないと駄目でしょう。再調査するんだったら労働者に聞いてくださいね。それ、やるんですね。

○国務大臣(加藤勝信君) 今の御指摘も踏まえて、具体的にどうやるかはこれから検討していきたいと思います。

○小池晃君 やると言ってやってくれればいいと思うんですけど、言わないんですね。素直じゃないと思いますけど。やるべきです、やんなきゃ分かんないんだから。やんなきゃ分かんないんだから、これやんなきゃ駄目ですよ。
 どうしてこの重要なデータが労政審にも示されずにきたのかなんです、問題は。
 二〇一二年十二月に第二次安倍政権が発足します。二〇一三年六月に日本再興戦略二〇一三が閣議決定されます。その閣議決定で、裁量労働制について早急に実態把握、調査、分析を実施するとしました。そして、先ほどの労政審労働条件分科会で実労働時間を調査するというふうに厚労省は報告した。そして、JILPTは同時に労働者に対する調査をその間実施した。そして、翌年五月三十日、JILPTのこの重要な結果が出た。ところが、六月二十四日の閣議決定で日本再興戦略改訂二〇一四が閣議決定をし、次期通常国会に高プロも裁量も法案を提出するというふうに決めたわけですね。結局、こういう経過の中でJILPTのデータは無視され、そして突き進んでいったんですよ。
 二月二十二日の野党の合同レクチャーで、当時の労働条件政策課長はこう言っています。大きなターニングポイントは二〇一四、日本再興戦略改訂二〇一四、これで一回リセットになった。二〇一三は一年で結論を得るとしていた。それをオーバーライドするのが二〇一四。二〇一三が出て、我々もそれに沿ってJILPTに調査依頼した。JILPTの調査をどう活用するかとか、最初に考えていたところが大きく変わった。JILPTの非常に貴重な調査を十分使えなかったというのは、一担当官としては反省の念を持っておりますと。環境の影響も大きかったというのが、言い訳するつもりないけど、そういったことがあると、こういうふうにおっしゃっているんですね。
 産業競争力会議の議長は総理ですよ。総理が閣議決定したわけですよ。労政審やJILPTが進めていた調査はリセットされて、実態調査も不十分なまま一年後にはまた産業競争力会議で、裁量労働制、高プロ、これを決めた、閣議決定した。こういった経過の中でJILPTの非常に貴重な調査を使えなかったと、当時の労働政策課長は言っているわけですね。
 まさに今回の事態というのは、政策決定の積み重ねを無視した官邸、安倍首相による強引な政策変更、政策決定が、菅さん、笑っている場合じゃないですよ、こういう大きな圧力の中で混乱をして、結局データもああいう形になって、結局答弁の撤回まで追い込まれた。総理自身の責任、極めて重大ではありませんか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、産業競争力会議において言わば裁量労働制等々についての提案をさせていただいたところでございますが、しかし、法案を作成していく上においては、これは労政審にかけるということになっているわけであります。労政審においてこれは判断をしていただくと。そこはまさに労働者の皆さんの代表も入っているわけであります。また、働き方改革の中におきましては神津会長にも御参加をいただき、様々な御議論をいただいたところでございます。
 その中で、こうしたこのデータにおいて国民の皆様に疑いを抱かせる結果となったことをもって我々は法案は撤回、法案は削除させていただいたと、こういうことでございます。削除させていただいたということであります。
 そこでですね、(発言する者あり)削除させていただいたところでございますが、そこでですね、JILPTについての今御議論があったところでございますが、このJILPTの議論においても、アンケート調査は、調査時点で裁量労働制で働く方と一般労働者の方の労働時間をそれぞれ、これそれぞれ別々にこの調査をしたということでありまして、裁量労働制が適用されることによって適用される前よりも労働時間が長くなることを示したものではないということでございまして、ですから、この比較というのはなかなか確かに難しい面もあるということを考慮しながら、しっかりと実態を把握をしていきたいと、こう思う次第でございます。
 JILPTの調査において、我々、JILPTの調査を全くそれは無視をしているということでもないわけでありまして、私も何回かJILPTの調査の結果として、満足、おおむね満足という方、企画業務型の方々においては約八割弱の方々はやや満足も含めれば満足しているという実態もあるということも考慮しながら、その中で選べる仕組みをつくっていきたいと、こう思ってきたところでございますが、今回はこういうことで削除させていただいたということでございます。

○小池晃君 JILPTを言っているんだけど、JILPTの満足度の調査というのは、各事業所に二人ずつ任意で事業主が選んだ人が答えている、そういったことも考慮して私は判断した方がいいと思います。それでも労働時間は長いという結果が出ているわけです。
 私は、結局、今回の混乱の根本にある、裁量労働制というものが持っている労働時間が全く把握できない、こういう実態がやっぱり今回の事態になっているというふうに言わざるを得ないと思うんですね。
 大臣に聞きますけれども、今の労働基準法には職場全員の労働時間の客観的な把握、管理を義務付ける規定というのはありますか。

○国務大臣(加藤勝信君) 労働基準法においては、使用者に対し賃金台帳への労働時間の記入、これを義務付ける規定はございます。また、労働時間の適正な把握を徹底するため、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン、これを昨年一月二十日に策定をし、現在周知を図っているところでもあります。(発言する者あり)いや、ですから、賃金台帳へ労働時間の記入を義務付ける、こういう規定はありますと。

○小池晃君 だから、裁量労働制の労働者であるとか、あるいは管理監督者は対象外ですね。

○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
 この賃金台帳への労働時間の記入でございますけれども、一般労働者などについてでございまして、必ずしも管理監督者まではカバーしているものではございません。

○小池晃君 結局、職場全員の労働時間を管理する、把握する義務がないんですね。ガイドラインしかない。ガイドラインも今のような人は対象外にしているわけです。罰則規定もないわけです。
 全労働省労働組合が労働基準監督官を対象として行ったアンケートでは、労働時間規制で最も有効な対策は実労働時間の把握義務の法定化、その次が時間外・休日労働に係る上限規制の導入です。野党四党は二〇一六年に長時間労働規制法案を提出いたしましたが、そこでは労働時間管理簿の義務付けを含んでいました。
 総理、やっぱりこの間の経過を踏まえれば、実労働時間の把握義務の法定化ということをやるべきじゃないですか。総理。

○国務大臣(加藤勝信君) 裁量労働制含めて労働時間の実態を把握するということは大変大事だというふうに思っております。
 このため、今回の働き方改革では、裁量労働制で働く方も含めて客観的な方法によって労働時間を把握することなどを義務付けることとしておりまして、そのための、これは安全衛生法に基づく省令でありますけれども、その省令改正を今考えているところでございます。

○小池晃君 安衛法の省令だから罰則ないですね。

○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
 現在、これは建議の中に盛り込まれた事項でございますけれども、この建議の中で盛り込まれている省令改正につきましては、罰則ということは適用を想定していないという形でこの建議の中では書かれております。

○小池晃君 罰則ないんですよ。だから、それじゃ駄目だと言っているんです。義務化すべきじゃないかと。私、前向きな提案しているんですよ、これ。
 やっぱり本気で長時間労働を是正する、そこに踏み出すべきなんですよ。やっぱり大臣告示どおり、週十五時間、月四十五時間、年間三百六十時間を例外のない残業の上限として法令化する。それから、EUで行われているようなインターバル規制、勤務が終わって次の勤務が始まるまで連続して十一時間休める。そして、管理監督者やみなし労働制の対象者も含めて、全ての労働者の労働時間管理簿を法で義務付ける、罰則規定も置く。こういうことをやるべきじゃないですか、総理。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは裁量労働制についての御議論だと思いますが、いずれにいたしましても、裁量労働制の下で働く方も含め、使用者が実労働時間を把握し管理することは、健康確保の観点から大変重要であると我々も考えているんです。このため、今回の働き方改革では、裁量労働制で働く方も含め、客観的な方法によって労働時間を把握することを使用者に義務付けることとしております。

○小池晃君 それ、さっき言ったように罰則がないんですよ。そういうんじゃなくて、もっときちっとした罰則付きの規定を作らなきゃ駄目でしょうと言っているんですよ。真剣に検討すべきだということを申し上げます。
 日本国憲法第九条は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」とし、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」としています。にもかかわらず、政府は、自衛のための必要最小限度の実力を保持することは憲法九条の禁ずるところではないとして、自衛隊を合憲としています。
 聞きますが、自衛のための必要最小限を超える攻撃的兵器とはいかなるものですか。

○国務大臣(小野寺五典君) 政府は、従来から、自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは憲法九条第二項によって禁じられていないと解しております。他方、従来から、性能上専ら他国の国土の壊滅的な破壊のためのみに用いられる兵器、いわゆる攻撃的兵器を保有することは、自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるため、憲法上許されないと考えております。例えば、大陸間弾道ミサイル、ICBM、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母については、保有することは許されないものと考えております。
 その上で、憲法上保持が許される自衛のための必要最小限の自衛力の具体的な限度については、その時々の国際情勢や科学的技術等の諸条件によって左右される相対的な面を有することは否定できないものと考えております。このため、最終的に、毎年度の予算等の審議を通じて国民の代表である国会において判断されるものと考えております。これは政府として一貫して申し上げております。

○小池晃君 今答弁にあった攻撃的空母、憲法上保有することが許されない攻撃的空母とはいかなるものですか。

○国務大臣(小野寺五典君) 憲法上保有することが許されない攻撃型空母でありますが、憲法上の制約の下において保持が許される自衛力の具体的な限度については、その時々の国際情勢や科学技術等の諸条件によって左右される相対的なものであることを申し上げておりますが、いかなるものが攻撃型空母に当たるのかについては、一概に申し上げることは困難であります。
 その上で申し上げると、昭和六十三年の答弁においては、当時の軍事常識を前提として、それ自体直ちに憲法上保有することが許されない攻撃型空母とは、例えば極めて大きな破壊力を有する爆弾を積めるなど大きな攻撃能力を持つ多数の対地攻撃機を主力とし、さらにそれに援護戦闘機や警戒管制機等を搭載して、これらの全航空機を含めてそれらが全体となって一つのシステムとして機能するような大型の艦艇などで、その性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のために用いられるようなものが該当するのではないかという形の答弁をしているところであります。

 〔委員長退席、理事宇都隆史君着席〕

○小池晃君 今の答弁につながる答弁として、そのときに日吉防衛局長は、攻撃型でない空母として、例えば潜水艦哨戒を主たる目的とした対潜水艦哨戒機としての対潜ヘリコプターを搭載して海上を哨戒するのを主たる目的とする艦艇という答弁をしています。
 この答弁に照らせば、対地攻撃、対艦攻撃の能力を持つ戦闘機を搭載した空母は、政府の見解でも保有できないんじゃありませんか。

○国務大臣(小野寺五典君) 憲法上の制約の下において保持される自衛力の具体的な限度については、その時々の国際情勢や科学技術等の諸条件によって左右される相対的なものであることでありますので、一概に申し上げることは困難であります。

○小池晃君 いや、だってさっき、その前段読んだじゃないですか。後段の攻撃的でない空母は何で読めないんですか。それは認めるのかどうかと聞いているんですよ。

○国務大臣(小野寺五典君) まず前提としては、やはりその時々の国際情勢や科学技術等の諸条件によって左右される相対的なものであるということを申し上げました。そして、委員の方から攻撃型空母の定義という御質問がありましたから、そのことについて答弁をしたということであります。

○小池晃君 いや、だから、攻撃型空母の定義は読み上げられたわけですけど、その答弁、その日の、その国会で、その後で、攻撃型でない空母という定義を読んでいるわけですよ。それは何で言わないんですか。
 それは、今も、じゃそれは続くんですね。要するに、対潜水艦哨戒を主たる目的とした対潜水艦哨戒機としての対潜ヘリコプターを搭載して海上を哨戒するのを主たる目的とする艦艇、これに照らせば、対地攻撃、対艦攻撃を目的とする攻撃力を持つ戦闘機を搭載した空母は憲法上保有できないですねと。

○国務大臣(小野寺五典君) 委員の御質問は攻撃型空母の定義ということでありましたので、私は、昭和六十三年の答弁においては、当時の軍事常識を前提としてという先ほど来の答弁をさせていただいております。

○小池晃君 その上で、私が引いた、私が引用した、今、小野寺大臣が使った答弁の後で言ったこの引用に照らせば、対地攻撃、対艦攻撃を、能力を持っている攻撃機、戦闘機を載せる空母を持つことはできませんねと聞いているんです。

 〔理事宇都隆史君退席、委員長着席〕

○国務大臣(小野寺五典君) まず、繰り返しますが、前提は、その時々の国際情勢や科学技術等々の諸条件によって左右される相対的なものということであります。そして、攻撃型空母ということに関しては、正確にお話をしますと、極めて大きな破壊力を有する爆弾を積めるなど大きな攻撃能力を持つ多数の対地攻撃機を主力として、さらにそれに援護戦闘機や警戒管制機等を搭載して、これらの全航空機を含めてそれらが全体となって一つのシステムとして機能するような大型の艦艇などで、その性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のために用いられるようなものが該当するということでお話をしております。

○小池晃君 よくないですよ。都合のいいところだけ読んで、私が指摘したところは全く読まないんですよね。
 このときは、攻撃型でない、要するに憲法上持てる空母というのはこういうものだと言っているわけですよ。その答弁は認めないんですか。認めないんですか、どうなんですか。

○国務大臣(小野寺五典君) あくまで先ほど来、私ども、私の方からお話をしているのは、憲法上認められないものは何かということなので、認められないものは、大きな攻撃力を持つ多数の対地攻撃力を主力としたものと、それから援護戦闘機、警戒監視等を搭載して、これら全航空機を含め全体となって一つのシステムとして機能するような大型の艦艇などで、その性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のために用いられるものが該当すると。ですから、これが憲法上認められないものということであります。

○小池晃君 今までの話、架空の話ではありませんで、ヘリ空母「いずも」について聞きたいと思います。
 昨年、海上自衛隊は「いずも」、「ひゅうが」などのDDHの航空運用能力向上に係る調査研究を公募して、この調査研究について大臣は、衆議院で、どのような航空機が離発着可能であるか等について基礎的な調査研究を行うと答弁されました。
 この調査研究の仕様書、これ私どもいただきましたけれども、航空機の長期間多数機、多種機による連続運用とありますが、そうした調査研究をしているんですね。

○国務大臣(小野寺五典君) 済みません、質問をもうちょっとゆっくり言っていただければ正確に分かると思いますが。
 今、DDHの航空機運用能力の向上に係る調査研究の御指摘だったと思います。現状においても、「ひゅうが」及び「いずも」型護衛艦は、その艦上において哨戒ヘリ及び輸送ヘリという複数の機種の同時に運用することを想定をしております。御指摘の記述は、航空運用能力の向上という調査の趣旨を踏まえて、護衛艦においての運用する機数及び機種数を増加させ、長期間継続的に運用することを想定した場合に必要となる整備や燃料補給等に必要な艦内及び艦上の装備品や設備について調査する旨を述べたものと理解をしております。
 このような項目は、「ひゅうが」及び「いずも」型の護衛艦について、変化する安全保障環境や急速な技術革新に対応できるのか、どの程度の拡張性を有しているのか、最新の航空機のうちどのようなものが離発着可能なのかなど、現有艦の最大限の潜在的能力を客観的に把握するという今回の調査に合致したものと考えております。

○小池晃君 大臣は衆議院で、調査研究の応募要件として、DDHに関する知識とともに、新種航空機を運用するために必要な機能や性能を評価、検討する能力が必要であると説明されています。新種航空機とは、DDHの航空運用能力向上に資する可能性のある最近開発された航空機を念頭に置いているとも答弁されています。今も最新の戦闘機という、航空機という答弁がありました。
 大臣がここで言っている念頭にある新種航空機、この中にはF35Bは含まれますか。

○国務大臣(小野寺五典君) まず、護衛艦「いずも」を今後どのように運用していくか、F35Bを自衛隊が導入するか否か、護衛艦「いずも」にF35Bを搭載させるか否かということについては何ら決まっておりません。まずこのことを明確に申し上げたいと思います。そしてまた、防衛省として、これまでも我が国の今後の防衛力の在り方について様々な検討を不断に行っているということであります。
 御指摘の調査も、今後の防衛力の在り方を広く調査し、関連する情報を収集する一環として行っているものです。「いずも」型護衛艦は三年前に就役した比較的新しい護衛艦であり、今後四十年程度は我が国の防衛任務に当たることになります。こうした観点について、将来を見据えた活用方法についても基礎的な調査を行い情報を収集することは、国民の命と平和な暮らしを守り抜くということに責任を持つ防衛省・自衛隊として当然の責務であり、様々な情報収集を行っております。
 本調査については、最終的な報告書は引き続き作成途上にあるというふうに伺っておりますが、先日の国会において御指摘があったことを受け、現時点で把握できる調査内容を聴取いたしました。今回の調査は、「ひゅうが」型及び「いずも」型の護衛艦について、変化する安全保障環境や急速な技術革新に対応できるのか、どの程度の拡張性を有しているのか、最新の航空機のうちどのようなものが離発着可能なのかなど、現有艦艇の最大限の潜在力を客観的に把握するために必要な基礎調査であります。
 「ひゅうが」、「いずも」においては、回転翼有人機、これヘリコプターでありますが、これだけを現在運用しておりますが、運用していない有人の固定翼機や無人の回転翼機、固定翼機といった新しいカテゴリーの機体について調査を行っております。新型機種としては、こういう意味で、このカテゴリーごとに調査をしており、具体的には、米軍が運用しているものとして、まず、固定翼有人機のうち艦艇に離発着できる短距離離陸・垂直着陸機の代表例としてF35B、それから回転翼無人機の代表例としてMQ8C、ファイアースカウト、固定翼無人機の代表例としてRQ21A、ブラックジャックを調査しておりますが、自衛隊がこれらの機体を導入することを前提としているわけではありません。
 このように、今後の結論を予断せずに様々な基礎的な情報収集をするものであり、「いずも」等の空母化に向けた具体的検討をしているわけではありません。

○小池晃君 重大な答弁ですよ。結局、F35Bも検討の対象になって調査研究やっているんじゃないですか。まさに空母、いいことだという、今自民党の席からいいことだという、そういう発言があった。これ、認めているんですよ。F35Bもその調査研究の対象になっていると、はっきり今F35Bとおっしゃった。これは極めて私、重大だと思いますよ。
 結局、今まで、空母化はないんだ、F35Bは念頭にないんだと言ってきたけれども、初めて今日この調査研究でF35Bも対象にしていると。これ、実際にもう新聞ではどんどん出ているわけです。読売新聞、去年の十二月、そして二月と。F35Bを導入する、そしてヘリ空母、「いずも」を空母に改修する、こういったことがどんどん出てきているわけですね。
 総理、F35B、この二月の記事では、年末にまとめる次期中期防で調達する機数を盛り込むんだ、早ければ一九年度予算案に関連経費を計上し、二四年度頃からの納入を想定していると。総理、次期中期防でF35Bの調達を検討しているんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 護衛艦「いずも」に関して、平素から行っている調査研究は、結論を予断するものではなく、あくまでも客観的な基礎情報を収集するものであります。
 政府として、現在保有している装備について今後の拡張性に関する客観的なデータを把握したり、現在保有していない装備について我が国での運用可能性を調査するなど基礎的な調査研究を行うことは、これは当然のことだと考えています。
 我が国をめぐる安全保障環境は大変厳しさを増しているわけでございまして、北朝鮮においては日本を射程に入れたノドン、これ数百基、これは配備をされているという状況であります。そのとき、日本の国民の命を守り、そのための抑止力をしっかりと確保する上において様々な調査研究を行うことは私たちのこれは責任だと、こう思っているところでありまして、今後も不断の検討を行っていきたいと、このように考えております。

○小池晃君 専守防衛だと言ってきた、空母は持たないと言ってきた、その根本的なこの国の在り方を変えるということを検討しているということを認めたわけですよ。これ、重大だと私は思う。
 総理は、衆議院で「いずも」について、将来の活用方策に関する基礎的な調査研究や情報収集などは防衛省によって行っていると答弁して、今も検討していると言っている。この活用方策には、米軍のF35Bの発着艦も含まれるんですか。

○国務大臣(小野寺五典君) まず、「いずも」という護衛艦があり、これをどう活用していくかということを様々検討するということは私は大切なことだと思いますし、そのために、現在どのような航空機があって、どのようなものがあるかということを私どもは広く調べるというのが今回の調査であります。なお、調査費は約四百万円弱でありますので、決して何か綿密な調査をするわけではなく、公開している情報を広く集める、そのような調査というふうに理解していただければと思います。なお、同様の調査は、防衛省・自衛隊にとっては様々やっておりますので、私どもとしては様々な情報を集めるということが大切だと思います。
 今委員の御指摘がありましたが、まず護衛艦「いずも」を今後どのように運用していくか。F35Bを自衛隊が導入するか否か、護衛艦「いずも」を、F35Bを搭載させるか否かということについては何ら決まっていない。これを改めて明確に申し上げさせていただきたいと思います。また、私は、防衛省として、防衛大臣として、これまで我が国の今後の防衛力の在り方について様々な検討を不断に行っているということを申し上げております。
 御指摘の今後の防衛力の在り方を広く調査し、関連する情報を収集する一環として行っている調査でありますが、「いずも」型は三年前に就役した新しい船であり、四十年間は我が国の防衛任務に当たります。そのために私ども広く情報を集めるということになりますが、この調査のことについて最終的な報告はまだ引き続き作成途上であります。ですから、委員から御指摘があったので、改めて調べて今報告をさせていただいております。
 今回の調査は、「ひゅうが」型及び「いずも」型護衛艦について、変化する安全保障環境や急速な技術革新に対応できるのか、どの程度の拡張性を有しているのか、最新の航空機のうちどのようなものが離発着可能なのかなど、現有艦艇の最大限の能力を客観的に把握するために必要な調査であります。
 いずれにしても、今御指摘がありますような、私ども、現在予備的調査であります様々なことを検討していくということで、御指摘のようなことを具体的に決めているということはございません。

○小池晃君 決まっていることはないと言うんですが、検討対象にF35Bというのはさっきもう答弁しているんですね。
 二日前の東洋経済オンラインに、自衛艦隊の山下司令官のインタビューが掲載されています。山下司令官は「いずも」にF35Bの搭載を検討しているかという質問に、大臣が答えられているとおりだ、ただ、その拡張性という意味においては当然いろいろなことを考えていかなくてはいけないことのうちの一つだと言っています。
 これ、大臣も同じ考え方ですか。

○国務大臣(小野寺五典君) 「いずも」は、当然、まだ就役して三年、今後四十年以上使う船であります。様々な私どもとして将来の使い方ということを検討する、そしてまた安全保障環境というのはこれは日々様々変わっていくということ、様々なことを想定してしっかり調査研究をすることは我が国の防衛にとって重要なことだと思っております。

○小池晃君 総理が今そうだと自席でおっしゃいました。そうなんですね。F35Bの搭載を考えているんですね。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば、このF35Bの導入を前提としているわけではないということは大臣から答弁をさせていただいたとおりであります。
 そして、この拡張性について様々な検討を行うことは当然のことであろうと、こう思う次第でございます。言わば、危機が生じてから様々な装備を導入しようというのは、まさにこれ泥縄式ということになってしまうわけでございまして、我々、北朝鮮のミサイル性能の向上に対して、例えばイージス・アショアを導入することを決定をいたしましたが、しかし実際に導入されるのは数年後になってしまうわけでありまして、ですから、起こるかもしれないという危機に対応してどういう可能性があるかということについて、これは調査をしていくことは、あるいは常に不断の検討をしていくことは当然のことではないかと、こう考えているところでございます。

○小池晃君 事実上認める発言ですよ、これは検討している一つの対象だということをはっきり認めた。これは私、重大だと思います。
 米軍の強襲揚陸艦ワスプ、これは、二〇一一年からF35Bの離発着訓練を開始して、二〇一六年にはオスプレイを搭載して、中東にも派遣されています。F35Bは、米海兵隊岩国基地に昨年一月配備され、今年一月にはワスプが佐世保基地に配備されています。強襲揚陸艦は元々、第二次大戦後、迅速な揚陸作戦のために空母を改装して造られたもの。そして、アメリカ太平洋艦隊司令官は、F35Bと強襲揚陸艦ワスプの日本派遣に関連をして、ワスプを中心とした水陸両用即応群が空母攻撃群にも劣らない部隊になると発言をしています。
 これ、ワスプと「いずも」ですね。もう一枚のパネルを出してほしいんですけど、これはワスプと「いずも」を上から見たところですが、自衛隊のヘリ空母「いずも」と、それから米軍の強襲揚陸艦ワスプ、ほとんど同じ規模の艦艇であるということが分かります。
 小野寺大臣は、二〇一四年七月に米海軍サンディエゴ基地を訪問して、そして最新鋭の強襲揚陸艦マキンアイランドを視察されています。そこで、私ども、防衛大綱、中期防の中でこのような輸送艦について検討することを決めておりますので、今回の視察を参考にして、日米の様々な協力を受けながら最新鋭のものを考えていきたいと述べています。
 大臣、ワスプのような強襲揚陸艦であれば、憲法上保有は可能だというのが大臣の考えですか。

○国務大臣(小野寺五典君) まず冒頭、繰り返しますが、護衛艦「いずも」を今後どのように運用していくか、F35Bを自衛隊が導入するか否かについて、護衛艦「いずも」にF35Bを搭載させるか否かについては何ら決まっていないということを明確に申し上げさせていただきます。
 その上で、御指摘の強襲揚陸艦ワスプがいわゆる憲法に抵触するような攻撃型空母に該当するか否かについては、その時々の国際情勢を踏まえる必要があり、また、米国の装備品でありますので、我が国の考え方を当てはめることは困難だと思います。
 なお、御指摘のとおり、私は、平成二十六年七月七日にサンディエゴの海軍基地において、災害対応等も踏まえた防衛力整備に向けた参考のため、揚陸艦サンディエゴと強襲揚陸艦マキンアイランドを視察をしております。
 この私の認識は、東日本震災において、強襲揚陸艦エセックスが救援活動を行い非常に活躍してくれました。私の地元、宮城県気仙沼もその支援を受け、私は直接見ておりました。また、平成二十五年十一月に発生したフィリピン国際緊急援助活動に当たっては、私も実際現地に行きましたが、海上自衛隊は、護衛艦「いせ」、輸送艦「おおすみ」、補給艦「とわだ」の三隻を派遣しました。それぞれの艦艇がヘリコプター運用機能、大規模輸送機能、補給機能の役割を果たしましたが、様々な任務がある中、三隻の派遣というのは大変調整に困難を来しました。
 このような経緯を踏まえ、この三隻を一つの、一隻で機能を果たせるような多機能艦艇を装備することができれば、大規模災害対処や水陸両用作戦における能力向上が図れるのではないかと考え、そのような能力を有し、参考となる米国の揚陸艦を視察したということであります。私が揚陸艦を見たかったのは、東日本震災で有効に機能したその能力を見たかったと思っておりました。
 なお、この多機能艦艇の在り方の検討については、中期防にも明記をし、海外調査などを行っております。

○小池晃君 中期防には書いてあるけど、災害対応って書いていないですよ。水陸両用作戦等における指揮統制、大規模輸送、航空運用能力を兼ね備えた多機能艦艇の在り方について検討の上結論を得るでしょう。
 それは、災害対応のための自衛隊の役割は我々は否定していないですよ。でも、災害対応のために空母に改修するんですか。強襲揚陸艦ですよ。強襲揚陸艦じゃないですか。災害対応が目的の船じゃないでしょう。私、結局、この今の答弁で強襲揚陸艦、この保有を否定しなかったわけですね、憲法上可能だと。これ、非常に重大だというふうに思います。F35Bも対象だ、強襲揚陸艦、これを持つことも、「いずも」を、ヘリ空母を、完全な空母ですよ、これを強襲揚陸艦に改装することも憲法上認めると。これ、重大だと思います。
 東京新聞は、一月二十一日付けで、この海自「いずも」空母改修案について、アメリカの戦闘機の発着、給油もやると、有事の共同運用を想定というふうに書きました。
 この問題で、私は二〇一五年の安保法制の質疑の際に自衛隊の内部文書としてこれを示しました。これでは、重要影響事態、国際平和共同対処事態の際に、米軍のヘリが敵潜水艦を攻撃した後、米軍ヘリが自衛隊のDDH、ヘリ空母に戻って燃料給油を行うと。当時の中谷防衛大臣は、これは安保法制成立すれば、これはこういった活動可能になると言いました。この文書は正式なものだと認められました。
 大臣、この米軍ヘリがF35Bに置き換わっても、法制上はこれは実施可能ですね。

○国務大臣(小野寺五典君) F35Bには、対潜哨戒ヘリとは異なり、御指摘のような対潜水艦作戦を実施する能力はありません。ですから、御指摘の運用そのものが成り立たないと思います。

○小池晃君 そこを聞いているんじゃなくて、DDHに、DDH離発着して給油するということが法制上は可能ですねというふうに聞いているんです。

○国務大臣(小野寺五典君) 済みません、その御指摘の絵が潜水艦戦の絵だったものですから、F35Bはそんな能力はありませんとお答えをさせていただきました。
 繰り返しますけれども、F35Bには対潜水艦作戦を実施する能力はないと承知をしております。海上自衛隊が現在運用している護衛艦「いずも」型及び「ひゅうが」型護衛艦は、ヘリコプターの運用を目的とした護衛艦であり、F35Bの運用を目的としたものではありません。したがって、F35Bの運用能力は有しておらず、御指摘のような運用は具体的に想定しておりません。このため、法制上の検討もしておらず、法制上そのような運用は可能かということをお答えすることも困難だと思います。

○小池晃君 実際の運用を聞いたんじゃないんですよ。法制上可能かどうかと聞いたけど、それにはお答えにならない。これ、可能ということにこの間の答弁からいったらなっちゃうと思いますよ、これ。
 この間、何が起こっているかというと、安保法制で米軍の艦船などを守る武器等防護をやっています。これ、米艦艇と航空機の防護の任務に当たったと。いつどこでどのような防護をやったんですか。

○国務大臣(小野寺五典君) 米軍の武器等の防護については、昨年、日米共同訓練の機会に、米軍の艦艇に対して自衛隊の艦艇が一回、米軍の航空機に対し自衛隊の航空機が一回、合計二回の警護任務を実施しました。
 自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に従事する米軍部隊の武器等を防護することにより、日米の連携が一層強化されたものと考えております。

○小池晃君 何にも答えていないんですね。私はどこで何をやったのかと聞いたのに、何にも答えない。で、発表した文書、これだけですよ。我が国が防衛するために必要な能力を向上させるための共同訓練を一回ずつやりましたと。
 総理は国会答弁で、米軍の武器等防護だって丁寧に説明すると言っていましたよ。ところが、実際やったらこれしか発表しないわけですよ。このままでは、自衛隊が空母を保有して、その空母から米軍の戦闘機が離発着して戦闘作戦行動を行っても、もう国民には何にも知らされないままどんどん事が進んでいくということになりかねない。
 安倍首相は憲法に自衛隊を明記しても自衛隊は今と全く変わらないというふうに言ったけれども、私、今これ議論してきたように、本当に大きな変化が起きている。空母も持つ、F35Bも持つ、こんなことになってきている。安保法制、戦争法強行して、歯止めなき大軍拡を進めて、専守防衛の建前さえ投げ捨てて、巡航ミサイルも持てる、空母も持てる、そして米軍と一体になった軍事行動を展開しようとしている。こんな中で憲法九条に自衛隊を書き込んでしまったら、それこそ何の制約もなく海外で戦争することになってしまう。絶対にこんなことは許されない。憲法九条の改憲のための国会発議は絶対に許さないということを申し上げて、私は質問を終わります。

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