日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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ブラック企業対策 企業の離職率公表へ 規制法案と同じ方向 小池氏に厚労相

2013年12月03日

「赤旗」12月4日付け

 若者を使い捨てにする「ブラック企業」対策として田村憲久厚労相は3日、ハローワークを通じて大学生や大学院生を採用する企業について、離職率を公表していくことを明らかにしました。同日の参院厚生労働委員会で日本共産党の小池晃議員の質問に答えました。

離職率はブラック企業の有力な判断材料。日本共産党が今国会に提出しているブラック企業規制法案でも、企業が採用者数と離職者数を公表することを掲げており、小池氏は「われわれの提案と同じ方向のもので歓迎したい」とのべました。

同省は14年度からハローワークの求人票に大学・院生の過去3年間の採用者、離職者数について記入欄を設けます。対象求人数は17万~18万人。田村氏は「書いていただくことで(離職者)データを出している企業と認識できる。大変意味がある」とのべました。

小池氏はブラック企業規制法案で掲げるサービス残業根絶や長時間労働の是正、パワーハラスメント根絶についても「厚労省の政策方向と一致している」と指摘。田村氏は「長時間労働やサービス残業は減らしていかねばならない。大変重要なことだと認識している」と答弁しました。

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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
ちょっと冒頭、雇用のことをお聞きをしたいと思うんですが、やっぱり社会保障の土台は雇用です。雇用の安定それ自体大事であるとともに、社会保障の支え手を強化してまいります。
若者を使い捨てにするブラック企業対策、これは人間らしい雇用を実現する上でも待ったなしだと思いますが、昨日、ある新聞の報道で、厚労省がブラック企業対策として離職率を公表するというふうにされておりますが、どのような中身でしょうか。対象となる求人数というのはどの程度なのでしょうか。お答えください。

○委員長(石井みどり君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕

○委員長(石井みどり君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(田村憲久君) 離職率の話ですか。
離職率を公表するとは言っていないわけでありまして、大卒のハローワークの求人、これの中において離職者数、この枠を設けたということでございまして、これは書く、書かないはそれぞれの事業者の自由でございます。そのような意味でそのような枠をつくったわけでございまして、そこに書いていただくだけで、それは求職する側からしてみれば、そのようなことに対してデータを出しておられる企業だというようなことを認識できるということでございまして、それはそれで大変意味のあることであろうというふうな思いの中でそのような枠をつくったわけでありますが、高校卒業の場合はもう既にあったものでございまして、来年度から大学もこのような形で枠を導入するということでございます。

○小池晃君 対象者数は、十七万人から十八万人新たに増えるというふうに聞いているんですが。
大臣が今御紹介された離職数ですね、離職数。
私ども日本共産党が参議院に提出したブラック企業規制法案でも、これは職業安定法の改正で企業が採用者数と離職者数を公表することを盛り込んでおります。今度の厚労省の措置は我々の提案とも同じ方向のものだというふうにこれは受け止め、歓迎したいと思っているんですね。
大臣に、このブラック企業規制法案、私ども出しましたが、この中には例えばサービス残業の根絶、労働時間の上限規制など長時間労働の是正、パワーハラスメントの根絶などの課題を掲げております。この課題は、やはり厚労省が掲げている政策方向とも私は一致しているというふうに考えるんですが、大臣の政治家としての御見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(田村憲久君) なかなかお答えしづらい部分ではありますけれども、御党の出された法律案、これに関しては承知をいたしておりますが、国会の中で御議論をいただく話であろうというふうに思います。
我々厚生労働省として、労働者の権利をしっかり守るということは念頭に置きながら、これからも行政を続けてまいりたいというふうに思っております。

○小池晃君 いや、法案についてどうこうというとそれは言いにくいでしょうから、私は、そういう課題は、例えば今、私言いましたね、長時間労働是正、サービス残業根絶、パワーハラスメントの根絶、これは厚労省の目指している政策方向と一致するんではないですかというふうに聞いているんです。

○国務大臣(田村憲久君) いや、それは長時間労働というものは減らしていかなければならないというふうに思っておりますし、サービス残業なるものは、これは労働基準法で禁じられておるわけでございますから、そういうような意味では、サービス残業等々というものも減らしていくということは当然我々としては大変重要なことであろうというふうに認識いたしております。

○小池晃君 私は、この中身、かなり多くの部分というのは厚労省が掲げている方向と一致する部分もあるというふうに思っておりまして、このブラック企業規制法案、幾つかの会派にも説明をさせていただきました。是非、党派を超えて取り組むべき課題だと思っていますので、国会でも御審議をいただきたいというふうに思っているということを申し上げておきたいと思います。法案に入ります。介護保険の問題です。
介護サービスの範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を掲げておりまして、要支援者への予防給付のうち、訪問介護と通所介護を新しい地域支援事業に移行させるといいます。
しかし、新事業の内容は市町村の裁量、そして人員基準、運営基準はありません。
要支援者の実態は一体どうか。北海道民医連が行った調査紹介しますと、例えば、要支援二で、肺がんの術後、両膝関節が人工関節という七十八歳の女性です。一人では階段昇降ができずに、週一回のデイサービスが唯一の外出の機会になっている。週二回の訪問介護で掃除、ごみ出しができる。配食サービスも利用して何とか在宅生活を続けている。年金が減らされ、介護サービスも利用できなくなるのかと嘆きの声を上げていらっしゃいます。
要支援一で、ペースメーカー装着、高血圧の八十四歳の女性の例です。訪問介護を利用して在宅生活を続けています。週二回ヘルパーが自宅に来てくれるのが精神的な支えになっているそうです。
独居生活に強い不安を持って、ヘルパーが来てくれないと困ると言っています。このように、大臣、やはり要支援者といっても、かなり身体上、生活上の困難を抱えていて、きめ細かな支援を必要とする人は大変多いわけですね。こうした高齢者を予防給付から地域支援事業に移し替えれば、私は、支援が大きく後退し、困難が増していくということになることを大変危惧します。いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 予防給付を地域支援事業の方に移行していこうということを今議論をいただいておるわけであります。
その中において、医療系のサービスに関しては、これはなかなか専門性も高いということもございますので、そのまま介護保険の方に残した方がいいのではないかと、こういう議論もその中ではいただいておりますが、介護予防・生活支援サービスに関しましては、特に軽度の高齢者に関しては様々なニーズがあるということでありまして、画一的な介護保険サービスだけではなくて、各地域地域の実情に応じた、きめ細かなサービスを各自治体の中において御議論をいただいて提供いただけるような体制を取っていただくということでございまして、これに関しましてはガイドライン等々、我々も示してまいりたいと思っておりますし、あわせて好事例等々はこれは広めていく中において、そのような形のいろんな体制整備というものに努めていただきたいと、これはもちろん自治体に対して我々もしっかりと協力をさせていただきたいというふうに思っております。
いずれにいたしましても、これ、ケアマネジメントの中において、必要なサービスを適切に対応できるような形でプランを作っていただけるというふうに思っておりますし、あわせて、今までのサービス事業者も、これはそのまま継続することができるわけであります。移行期間も設けておるわけでございますから、そういうような中で、しっかりとした対応ができるような体制整備をつくっていただくべき、我々も努力をしてまいりたいというふうに思っております。

○小池晃君 多様なニーズがあって選択肢増えるというふうに言うんだけれども、現行制度でも予防給付と地域支援事業、両方選べるわけですよね。
ところが、やっぱり多くの人が予防給付を選んでいるのは、保険給付として確実に専門家によるサービスを受けられるからだと思うんです。私は、選択肢を増やす、多様なサービス受けられるようにするというのであれば、従来の予防給付を続けたまま地域支援事業のメニューを増やせばいいと思うんですね。そういう改革が必要だと。
それから、地域の実情に合わせるというふうにおっしゃいました。しかし結局、要は、全国一律の基準をなくしてしまえば、予防給付に係る費用を抑制するということにこれは必ずなっていく。実際に、政府は、今回の制度改変によって予防給付に係る費用を抑制することを想定しているわけですね。
局長にお伺いします。現行制度のままなら、予防給付に係る給付費が五、六%で増えていくのを、結局今回の見直しで予防給付プラス新事業の給付費の伸び率を三から四%に抑え込むという試算されていますよね。結局、そのために新事業に掛ける予算にも上限を掛けていくと、こういうことになるんじゃありませんか。これ、そういう事実を認めていただきたいと思います。

○政府参考人(原勝則君) 私どもの考え方といたしましては、介護予防の機能強化を通じまして、認定を受けなくても地域で暮らせるような高齢者を増やしていきたい、あるいは費用の効率化ということを図っていきたいと、将来に向けてですね、ということを考えて、今回予防給付の地域診療への移行ということを提案をさせていただいているわけでございます。
その際に、御指摘のように上限という問題がございまして、現在の介護予防・日常生活支援総合事業におきましても上限は設定されておりまして、原則、介護保険事業計画の給付見込額の二%とされております。これは、厚生労働大臣の認定を受けたときは三%まで引上げが可能という仕組みになっております。
新しい事業では、こうしたことも踏まえまして、新しい事業の上限につきましては現行制度も踏まえながら予防給付から事業に移行する分も賄えるように設定をすることを検討しております。具体的には、当該市町村の予防給付から移行する、訪問介護と通所介護や予防事業、合計額を基本にしながら当該市町村の後期高齢者の伸び率等を勘案して設定した額というふうにする方向で現在検討をしているところでございます。
また、仮に市町村の事業費が上限を超える場合については、制度施行後の費用の状況等を見極める必要もございますので、市町村からもいろいろと御意見いただいていますので、市町村の御意見もよく聞きながら、個別に判断する仕組みなどの必要性についても併せて検討してまいりたいと考えているところでございます。

○小池晃君 しかしながら、いずれにしても保険給付から外して上限が掛かってくるということになっていくわけで、実際何が起こってくるかというと、効率的な事業の実施ということで、厚労省が社会保障審議会の介護保険部会に示している文書を見ますと、例えば、柔軟な人員配置等により効率的な単価を設定する、あるいは付加的なサービスやインフォーマルサービスを組み合わせる、サービス内容に応じた利用者負担を設定するというふうになっていますよね。結局、人件費安く抑えて、自費のオプションサービスをつくって利用者に負担させるということに、こういった形ではなっていかざるを得ないんじゃありませんか。

○政府参考人(原勝則君) サービスの利用に当たりましては、その高齢者の方の状態像等を踏まえたケアマネジメントによりまして、例えば専門職によるサービスが引き続き必要だと判断された利用者に対してはそれらのサービスが提供されるということだと考えております。
地域で提供される多様なサービスの内容に応じてサービス単価を設定することが重要だと思っておりますけれども、専門職が必要なサービスを行う場合には、専門職の人員配置を前提とした適切な単価を設定することが適当であろうと考えておりまして、国としてもガイドラインの策定などを通じて市町村の支援を検討していきたいと考えています。
また、利用者負担についてのお尋ねございましたけれども、これにつきましても国が示すガイドライン等を踏まえながら、高齢者の多様なニーズを満たす多様なサービス内容に応じて市町村が設定する方向で検討しております。
したがいまして、状態像に応じたサービスがそれにふさわしい費用で利用可能となるため、御指摘のように、利用者が全額自費でサービスを購入するとか、あるいは利用料の負担が重過ぎてサービスの購入ができないといったようなことにはならないのではないかと考えております。

○小池晃君 いや、私は、やはり全国基準、人員基準、運営基準をなくして裁量にしていけば、やはり低下する方向に、これは地方自治体の財政の問題もあるわけですから、大変それを危惧するわけですよ。
先ほどから専門性があるから医療系サービスは残しましたということを大臣もおっしゃいましたけど、私は要支援者にこそ、福祉サービスだってやっぱり専門的視点が必要だというふうに思うんです。これ、大事なんですよ。
例えば、要支援とされている人の中には、まだ認知症の診断が下っていないけれども、その前兆が出ているような人だって少なくないわけですね。
要支援者のお宅にヘルパーが行っても、例えば頼んだ覚えはないというふうに入室拒否されるみたいな、そういうことがあったりする。そういう中で、やはり専門知識と資格を持っている訪問介護員が継続的にかかわることは非常に大きな意味があるわけですよ。
また、要介護一と要支援二を行き来しているようなそういう状態の人は、そのたびに担当のケアマネジャーやあるいはデイサービスの事業者が変わってしまう。しかし、そういう人を継続的にやはり支援して重度化防止の役割を担っているのはヘルパーなわけです。
事例紹介すると、例えば東京都で、妻が八十六歳、夫が九十二歳、老老夫婦です。妻は脳梗塞後遺症で右半身麻痺と言語障害があって、室内歩行できるために要支援になっていると。夫は認知症があって、新聞、勧誘されると五紙も取ってしまうという状態だけど非該当です。これ、綱渡りなんですけど、週三回、生活援助に行っているヘルパーが両方に目を配って、どちらも入院しないように頑張っている。認知症予備軍、老老世帯、貧困、本当に様々な問題が重なり合う状況の中でも、専門職が頑張っているから重度化を予防したり入院に至らないようにしていると。
審議会でも、認知症の人と家族の会の勝田登志子氏が指摘しているとおり、初期、軽度の人へのケアの充実こそが認知症の進行を防ぎ、ひいては費用の節約につながると。私は本当にそのとおりだと思うんです。
大臣、要支援者に掛かっている費用というのは介護給付費の五・七%です。これを抑制したために重度化や認知症の症状が進んで介護給付費全体を増やすような結果になったら本末転倒だと思うんですね。私、こんなこと絶対あっちゃいけないと。きちんとやはり専門職による保険給付で必要なサービスを福祉サービスも含めて継続をしていくと、これが必要だと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 今般、この介護予防給付事業を生活支援事業の方に移すという、特に通所介護、訪問介護の部分でありますけれども、軽度な高齢者の方々の場合にはやはり多様なサービスを求められておられますし、一方で、そのような方々の支援の担い手、この担い手自体が、例えば元気な高齢者が担っていただくことによってその方々の介護予防にもなる。これは、もう委員も御承知のとおり、介護従事者、介護職員の方々がこれから大幅に不足をしてくるわけですね。ですから、今委員が言われたような、軽度では、軽度といいますか、要支援ではありながらいろんな問題を抱えておられる方々は、これはケアマネジメントする中において既存のサービスがあるわけでありますから、そこで対応されるということになるんであろうと思います。
しかし、一方で、そうではない軽度の高齢者の方々がどのような形でこれから要支援のサービスを受けていくか、生活支援を受けていくかということを考えた場合に、やはり多様な介護、要支援といいますか、その受皿を今のうちからつくっていかないと、一方で、支援する側の人員不足、これにも対応ができなくなってくるわけでありまして、多様な担い手というものを育てていくということもやっていかなければならないという側面もあるわけでございます。
いずれにいたしましても、委員がおっしゃられたような方々に対してサービスが落ちないような、そういう対応は必要だというふうに思っておりますので、既存事業者も含めて、これからのこの進め方、議論をしっかりやってまいりたいというふうに思っております。

○小池晃君 そういうふうにしたいというのであれば、予防給付は予防給付のままで維持した上で、地域支援事業のメニューを増やしていくということで多様なニーズにこたえていくことこそ私は現場の声にこたえる道だというふうに思います。やはりこのやり方、要支援者を予防給付から外すということについては撤回をしていただきたいというふうに思います。

年金について伺います。
私どもは、国民の財産である年金積立金をマネーゲームに投じることは、これは一貫して反対してまいりました。ところが、政府の有識者会議が、GPIFの運用資産における国内債券の比率を引き下げて投資対象を拡大すると、アクティブ運用の比率を高めるという報告書を出しています。
局長にお伺いしますが、年金というのは加入者の老後生活を支えるための大事な資金です。これを今まで以上のリスク運用にさらして大穴が空いたら一体誰が、一体どういう責任を取るんですか。

○政府参考人(香取照幸君) 年金の積立金に関しましては、委員も今お話ありましたように、厚生年金保険法あるいはこの資金運用を行っている専門の法人であります独立行政法人、年金積立金管理運用独立行政法人法という法律の下で、専ら被保険者の利益のために効率的な運用を行うと書いてございます。
運用に関しましては、申し上げましたように、こういった法人に寄託をしているわけでございますが、それぞれ今申し上げました法律の中で、年金積立金の運用に関しましては役職員の責任についての規定が置かれております。したがいまして、運用に関しまして損失が生じたりした場合において、法令に定められた義務の違反がある場合には、関係者については責任が問われるということになります。
具体的には、役職員につきましては、全力でその職務を遂行する義務、それから秘密保持の義務というものが課されておりまして、特に後者につきましては免職処分等を受けるという場合もございます。
それから、理事長及び理事に関しましては、受託者責任を負っているということになりますので、いわゆる専門家としての善管注意義務、それから忠実義務というものがありまして、これにつきましても免職処分等を受けるということになります。
さらに、私ども厚生労働省で運用を担当している職員につきましても、同様に全力で職務を遂行する義務あるいは秘密保持義務というものが課されておりまして、後者について違反がある場合には懲戒処分ということになります。
なお、厚生労働大臣は、当然ながら年金制度全体を所管するという立場において、積立金を含みまして年金制度全般について責任を負っていると、そういう構成になってございます。

○小池晃君 そういうふうにおっしゃるけれども、今まで何兆円も大穴空けたときに誰も、誰一人責任取っていないんですよ。それが今の実態なわけで、これを更に、リスク運用を更に強めるなんてことは許されるのかと。
有識者会議の報告書は、パッシブ運用の比率を低めてアクティブ運用の比率を高めるというふうに言っています。もう端的に、ちょっと時間ないので短く答弁していただきたいんですが、GPIFの国内株式、国外株式のパッシブ運用、アクティブ運用について、直近七年間の超過収益率、どうなっていますか。

○政府参考人(香取照幸君) 直近七年間、平成十八年度から二十四年度までの超過収益率でございますが、これは超過収益率と申しますのは、それぞれのアセットごとに設定されましたベンチマークの収益率に対してどれだけ超過があるかというものを見たものでございますが、全体としてパッシブについては〇・〇八%のプラス、アクティブが〇・三九%のマイナスということになってございます。
外国株式につきましては、同じくパッシブが〇・〇五のプラス、アクティブは〇・三一のマイナスということになってございます。

○小池晃君 収益率を高めるためにアクティブ運用の比率を高めるというけれども、結局過去七年間の、直近七年間の数字を見ると、パッシブ運用の収益率はプラスですがアクティブ運用の収益率はマイナスなんです。すなわち、損になっているわけですね。これは決してGPIFの特殊事情ではなくて、アメリカのプリンストン大学のマルキール教授が調査したアメリカにおける過去の二十年のアクティブ運用の実績を見ても、全ての資産クラスにおいてアクティブ運用の収益率はパッシブ運用の収益率を大きく下回っています。
結局、この今の報告書にあるようなリスク運用を強めアクティブ運用を高めるという方向は、着実な収益を増やすという言い分と矛盾するんじゃないですか。

○政府参考人(香取照幸君) 御指摘のように、運用の状況は市況の環境によるものがあります。左右されることが大きいわけですが、同様のアセットクラスで外国債券がありますが、外国債券は実はパッシブが〇・〇一のマイナスでアクティブが〇・四九のプラスということになってございます。
有識者会議の提言も、基本的にはこれまでずっと長い間デフレが続いてきたという状況の下でこのような運用が行われてきたわけですが、適度なインフレ環境へと移行しつつある我が国の経済状況を踏まえて、公的・準公的資金全体についてのポートフォリオの見直しというようなお考えで示されてございます。
私どもの立場からしましても、必要な運用利回りを安全確実に確保するという観点から申しますと、経済状況が変化するという中で、日本国の経済の成長の果実を確実に享受をするという観点から、運用の考え方について一定の見直しを行うということは、それはそれで合理的なことだと思っております。もちろん法律に定められた年金の、法的な性格あるいは資金というものがまず前提にありますので、それをあくまで基本にした上でこういった考え方で見直しを行うということになろうかと思います。

○小池晃君 結局、何でアクティブ運用、成績悪いか。株式、まあ債権はそうかもしれません、しかし株は明らかに悪いですよ。
配付資料もあります。GPIFの運用受託機関及び資産管理機関への二〇一二年度の支払手数料、幾らですか。運用受託機関分のアクティブ運用、パッシブ運用別に手数料それぞれ幾らか、数字だけお答えください。

○政府参考人(香取照幸君) GPIFの資産管理機関とか運用機関の手数料でございますが、総額で約二百二十二億円。これは手数料としては〇・〇二%ということで、世界昀低水準でございます。このうちパッシブに係る部分、受託機関の手数料は全体で二百八億でございますが、パッシブに係る部分が約三十一億、アクティブに係る部分が百七十七億ということになってございます。

○小池晃君 政府の有識者会議も認めていますけれども、アクティブ運用の収益が上がらない一因に、やっぱりこの手数料、運用コストの高さがあるわけですね。この手数料は国民の年金保険料で払っているわけですよ。
私は、大臣、今まで議論してきましたけれども、やっぱり国民から集めた年金保険料をマネーゲームに投じて、金融機関、証券会社、投資プレーヤーには手厚い報酬が払われていくと。一方で、昨日も議論しましたけれども、年金額についてはマクロ経済スライドなどで削減、抑制していくと。さらに、支給開始年齢の先延ばしも検討されている。こういうやり方で更に一層マネーゲームに年金を投じていくようなやり方は、私はきっぱり断念すべきだというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(田村憲久君) 現行、年金の積立金の運用利回りの目標、四・一%と言っておりますが、そんなに上がっておりません。この半年ぐらいはアベノミクスの影響はあるわけでありますが。
しかし、それほど毀損せずに、現状、今は逆に必要な積立金よりもプラスになっていると。それはどういうことかというと、デフレで名目賃金が上がらない中でありましたから、それほど高い運用利回りを取らずとも、要は年金の積立金、毀損せずに済んできたということがあるわけであります。
しかし、これから名目賃金が上がってくるとなれば、やはりそれなりの運用利回りを目指さなきゃいけない。つまり、名目賃金と、それから取った運用利回りとのスプレッド、ここが問題であるわけでございますので、それを確保するためにはいろんなポートフォリオの見直しをやらなきゃいけないんでありましょう。その中において、一番リスクを昀小化にできるようなものはどういうような言うなればポートフォリオなんだというようなことを勘案するわけでありまして、その中のメニューとして今般の会議の中でいろんなものを挙げていただいたということであります。
いずれにいたしましても、GPIFの中において必要な、これから年金の財政検証するわけでありますけれども、どれだけの運用利回りを目指すかということにおいて、昀低リスクを取っていただくようなポートフォリオをお考えをいただけるものというふうに考えております。

○小池晃君 私は、やはりその年金財政の政官財による食い潰しになるというふうに思います。やっぱり、リスクマネーに投じる政策はこれは撤回をして、給付削減計画もやめて、本当に国民が信頼できる年金制度に切り替えるべきだと。今のようなやり方をすると、ますます年金に対する不信、不安は高まるばかりだということを申し上げて、質問を終わります。

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