日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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日本IBMの「ロックアウト解雇」/「やめさせよ」と小池氏/参院委

2015年03月26日

「赤旗」2015年3月27日付

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(写真)質問する小池
晃議員=26日、参院
厚労委

日本共産党の小池晃議員は26日の参院厚生労働委員会で、日本IBMが「ロックアウト解雇」という不当な解雇を続けている実態を告発し、「労働行政があらゆる手段でやめさせるべきだ」と主張しました。

ロックアウト解雇は、労働者に突然解雇を通告し、そのまま職場から締め出す手法です。日本IBMは、2011~12年の間に労働組合員だけでも30人、今年3月には再び5人を同様の手法で解雇し、東京都労働委員会から「(解雇に当たって)格段の配慮をはらうよう」求める勧告を受けています。

小池氏は、ロックアウト前に会社側が労働者に退職強要を迫った録音記録を紹介。「会社としては別の道に行ってもらった方がいい」「(自主退職しなければ)解雇になる」と脅迫し、具体的事実も示さずに「業績不良だ」と解雇していることをあげ、「こんなことがまかり通れば、事業主はいつでも都合の悪い労働者を解雇することができてしまう」と指摘しました。

しかし、塩崎恭久厚労相は「企業に対し必要な啓発指導を行う」というだけ。小池氏は「そんなことでは理不尽な解雇に歯止めはかけられない」と指摘。政府の規制改革会議が「不当解雇」を金銭解決させる制度の導入を検討するよう提言までしているとして、「ますます『不当解雇』がまかり通ることになる。導入など断じてすべきでない」と批判しました。

 

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
不当なリストラ解雇の問題を取り上げます。
私、昨年十月二十一日の当委員会で、ルネサスエレクトロニクスの女性労働者二人が東京から高崎市へ遠距離の配置転換をさせられて、育児・介護休業法二十六条で定められている、転勤の際の育児、介護が困難になる労働者への配慮義務の趣旨に反すると指導を求めている問題を取り上げました。お子さん抱えて往復五時間を超える出向先への通勤はし切れずに、元の職場に戻してほしいという訴えでした。
私は、この委員会で、訴えていた労働者に対して東京労働局が会社側には助言、指導をしないと通告していることを指摘をして、是正を求めました。大臣も事実関係を調べると答弁されました。
その後、東京労働局は、ルネサスに対して助言、指導を四回繰り返したと聞いております。しかし、会社は全く応じていません。二人は、高速道路使用の車通勤、新幹線での二時間半もの通勤を強いられています。二人のうち一人は過酷な通勤で体調を崩して病気療養中と聞きます。
厚労省に聞きますが、助言、指導をしても解決されない場合はどうするのでしょうか。どのような措置がとられるのでしょうか。

○政府参考人(安藤よし子君) 一般的に、労働局の雇用均等室による育児・介護休業法に基づく紛争解決援助によりまして解決が図られなかった場合でありましても、育児・介護休業法上の紛争と見られるもの以外の個別労働紛争がある場合には、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に基づく都道府県労働局長による助言、指導や紛争調整委員会のあっせんを紹介するなどの対応を行っているところでございます。

○小池晃君 今年の二月にルネサスは、この是正を求めている二人を含めて、高崎に出向させている労働者を会社分割する子会社への移籍の対象として四月一日から移籍させるという通知を送っています。ルネサスエレクトロニクスから現在出向中の一〇〇%子会社のルネサスエンジニアリングサービスへの移籍です。仕事は出向中の業務と変わらないと聞きます。東京局が助言している遠距離通勤の問題は何ら解決していないんですね。逆に、出向から移籍に固定化すると。
大臣、育児休業法に基づく労働局の助言、指導が完全に無視されているわけです。これでは何のための法律か、何のための行政かということになるじゃないですか。私は、大臣が決断して強力な措置をとるべきだと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 個別の事案でございますのでお答えを差し控えたいと思いますけれども、一般的に、育児・介護休業法の第二十六条というのは育児や介護を行っている労働者の配置に係る事業主の裁量権に対して一定程度の制約を加えて、労働者を転勤させようとする場合には事業主に対し配慮を求めたものだと思います。
今後とも、企業においてこの配慮義務が確実に履行されるように、行政に与えられた権限を最大限に行使して、事業主からの報告徴収による助言、指導や紛争解決援助を実施するなど、真摯に対応してまいりたいというふうに思います。

○小池晃君 私、行政がなめられているんですよ、これ、はっきり言って、こういう対応は。もっと怒らないと駄目ですよ、これ。何のための労働行政かということに私はなると思う。ワーク・ライフ・バランスなんていうのは絵に描いた餅になりますよ、こんなのを許していたら。
その上、今回の会社分割には、労働者側から手続上に瑕疵がある、会社分割そのものが無効だという訴えがされています。それに対して会社は、法律にのっとり分割手続をして問題はないと回答しています。
二月二日の労働者への通知書。これ、通知書は厚労省にも届けましたので御覧になっていると思うんですが、これは労働承継法で記載が定められている異議申立ての項目もありませんでした。
厚労省に聞きますが、会社分割に当たって、労働者が異議申出できることを一人一人に告知することが決まっているということを確認したい。これ、どのようにすべきなのか。もし記載がなければどういう違反になるんでしょうか。

○政府参考人(石井淳子君) まず、分割会社が労働者に対して適法にこの通知を行わなかったために、法律上異議申立てを行うことができる労働者が異議申出を行えなかった場合には、これは労働契約が承継されることそして又はされないこと、これを会社に求めることができるものであります。
また、その上で、会社と労働者との間で労働契約の承継に関する問題が解決しなかった場合、これは裁判所に同様の訴えを行うことができるというものでございます。

○小池晃君 いや、私は、申出、記載がなければどうなったのかと、それは法律違反なんですねと聞いているんです。

○政府参考人(石井淳子君) 通知の中におきましてどのようなことを記載すべきか、これは私ども作成いたしました指針の中にございまして、指針の中で、異議申出の有無等々については記載をするようにというふうに定めているところでございます。

○小池晃君 これは、やはりこの法律に照らせば違反なんですよ、こういうやり方は。
ルネサスは、今年一月二十八日の臨時取締役会で会社分割、子会社間の合併を決議して、二月二日に通知した。しかし、労働者の間で行うべき個別の協議しておりません。
もう一度確認しますが、改正された商法の附則第五条では、労働者への通知だけでなくて個別協議も義務付けていると思いますが、間違いありませんね。

○政府参考人(石井淳子君) 会社分割に当たりましては、その分割会社に対して、もちろん委員が御指摘のように、承継法の第二条第一項によって個々の労働者に対する通知が、そして、その商法等改正法附則第五条第一項によりまして個々の労働者との協議が、それぞれ義務付けられているものでございます。

○小池晃君 労働組合と協議したことをもって個々の労働者との協議を行ったとみなすことはできないんですね。これも確認したい。

○政府参考人(石井淳子君) 労働者が個別に労働組合を協議の代理人として選定をした場合、これは除きますけれども、その場合以外におきましては、分割会社が労働組合に協議したことのみをもって、商法等改正法附則第五条に定める個々の労働者との協議を行ったということにはならないというふうに解しているところでございます。

○小池晃君 ルネサスは、これは労働者側が瑕疵があると指摘をして是正を求めても、個別に労働者とは協議した、手続は終わっているんだと拒否しているんですが、その協議なるものの中身はどうかというと、お配りしているメールがあるんですが、これ、昨年十月十七日に対象労働者にメールを送っているんですね。移籍、退職、その他の三択で希望を聞いて、その結果を見て対象者を集めて内々示を与えた。これをもって協議、手続は済んでいると言うんですが、もしこのような協議、手続というのが認められたら、これは指針の内容は完全に私、骨抜きになってしまうというふうに思うんです。
もう一度確認しますが、商法を改定された二〇〇〇年の法案審議で、労働者個人個人と協議するんですかという問いに、当時の修正案提案者はどういうふうに答弁していますか。ちょっと答弁を読み上げてください。

○政府参考人(石井淳子君) これは平成十二年五月九日の衆議院法務委員会におけるやり取りでございますが、この商法等一部を改正する法律案に対する修正案の提案者であります北村哲夫議員が、商法等改正法附則第五条、協議について、以下読み上げますけれども、「一人一人の労働者が協議をしてほしいと言えば、全員としなければならないという義務は当然生ずると思います。」と答弁をされているところでございます。

○小池晃君 これは、やっぱり労働者の生活とか人生設計にとって移籍というのは大変重要な影響を与えることから、やっぱり一人一人きちっと意見を尊重するということ、そのために修正案を提出して義務化したという経過だったわけですね。
労働者が五条協議について、手続上の瑕疵が明らかだということで是正を求めた場合は、厚労省としてはどう対応するんですか。

○政府参考人(石井淳子君) まず、労働者の方から都道府県労働局に相談があった場合でございますけれども、まずこの相談内容、これを丁寧に確認をさせていただきます。その上で、都道府県労働局長による助言、指導の申出があった場合には、まず会社から事情聴取を行うなど双方から事実確認を行いまして、その上で法令、指針等に照らして適切な対応がなされているか検討し、そして会社に対して助言、指導を行うことになります。

○小池晃君 この手続について、ルネサスのように手続は終わったというふうに言って拒否すると、そういう手続に明白な瑕疵が認められた場合の判例はどんなふうになっていますか。

○政府参考人(石井淳子君) 判例としますと、日本IBMの会社分割についての事件、これが平成二十二年七月十二日に最高裁判決出されているところでございますが、それにつきまして、この件につきましては、商法等改正附則第五条の協議が全く行われなかった場合又は行われてはいるものの著しく不十分であった場合には、労働契約の承継の効力を争うことができると判断をされているところでございます。

○小池晃君 労働者に通知する事項は九項目例示されていて、債務の履行の見込みに関する事項があって、これは労働者にとっても重大な関心事であるためだと説明しています。要は、移籍する会社が泥舟だったら、これ大変なことになるからです。
今回、労働者が情報開示求めて出てきた資料を見ると、五百人が移籍するのに分割先の退職引当金は一億余り、せいぜい一人二十万円足らずしかないんですね。もし、丁寧にこうした事情まで説明されていたら判断変える労働者がいた可能性もあるわけです。労働者にとって移籍というのは、その後の人生に関わる大きな分かれ道です。その判断材料を開示しなかった、この責任は重いと私は思うんですね。
瑕疵が認められても移籍してしまったらば、もうこれは後の祭りということになってしまうわけです。明らかにこういう瑕疵が認められたような場合は、強力な指導ができるようにすべきじゃありませんか。特にやっぱり悪質な場合は企業名の公表を私はすべきだと考えるんですが、厚労省としてはいかがですか。

○政府参考人(石井淳子君) 労働者に対する通知や、あるいは商法等改正法附則第五条の協議など、会社分割時の手続に関して労働者から相談があった場合には、先ほども申し上げましたが、適切に対応して、局長による助言、指導の申出があった場合には適切な対応をなされるよう助言、指導を行っているところでございます。
現在、商法等改正法附則や、あるいは労働契約承継法、この法律におきましては、御指摘のような指導あるいは企業名の公表についての規定は設けられておりません。したがいまして、まずは現行法の下で適切に助言、指導を行うことで企業の理解を促してまいりたいというふうに考えております。

○小池晃君 以上いろんな手続について確認してまいりましたが、大臣に私、問いたいのは、これ育児・介護休業法、さらに今回、商法、労働承継法から見ても大変問題のある大リストラを進めているルネサス、普通の企業ではないわけです。これは官民ファンドが千三百九十三億円も支援している。国からお金が入っている、人も送っている、国策会社ですよ。それがこういうことをやっている。塩崎大臣は、支援している内閣の一員でもあり、同時に労働行政に責任を持っている大臣でもあるわけですね。私は、こういう事態を放置してはいけないのではないかと思う。
今のこのルネサスの労働者対応全般、遵法的なものであるのか、やっぱり全面的に調査すべきでないか、監督すべきでないか、それからルネサスに対する政府の支援もこれは抜本的に見直すべきではないかというふうに考えるんですが、大臣の答弁を求めます。

○国務大臣(塩崎恭久君) 個別の事案であるがためにお答えはストレートには差し控えたいと思うわけでありますが、一般論として申し上げれば、労働法令が守られるようにすることは、これは先生御指摘のとおり、厚生労働省としての当然の責務であるわけであります。
そして、労働法令の違反があれば、これは行政に与えられた権限を最大限行使しなければいけないわけで、それを是正するということも必要であるというふうに考えているわけでありまして、これから引き続いて法令、指針等に照らして、問題があれば、必要な是正がなされるように公平中立な立場で助言、指導を行っていくなど、これはやはり真摯に対応していかなければいけないというふうに思います。

○小池晃君 この間、東京労働局も助言、指導をやっているということは私も承知しているし、やっぱりこれはもっとしっかりやるべきだと、引き続き。これは重大問題なので、引き続き取り上げていきたいというふうに思います。
次に、日本IBM社で起こっている事態について取り上げます。世界的企業であって、ロックアウト解雇と言われる不当な解雇を続ける日本IBM社に対して、二十四日、都労委が勧告を、これを出したわけです。都労委は、昨年四月、六月にも、日本IBM社に対して、紛争の拡大を招くような行為を控えるなど格段の配慮を払う要請したんですが、今回は、労使関係は不安定化の一途をたどっていると、極めて遺憾であるとしています。その上で、組合員らへの解雇等に当たって、労働組合である申立人らへの協議、説明を十分行うなど格段の配慮を払うよう勧告しています。
厚労省に聞きますが、中労委、地労委の勧告、これは紛争の当事者にはどのような対応が求められるのでしょうか。

○政府参考人(石井淳子君) 一般論として申し上げますが、労働委員会から当事者に対して、不当労働行為の審査の途中であっても、この審査の実効を確保するため必要な措置を勧告した場合には、当事者は勧告の趣旨を尊重することが期待されていると考えているところでございます。

○小池晃君 この日本IBM社のロックアウト解雇というのは一体どういうものか、もう本当に常識では考えられないようなやり方であります。
ある日突然労働者に解雇を通告をして、その日以降は会社から締め出すと。いわゆるロックアウト解雇を既に三月十一日に一人、十二日に二人、十七日に二人、計五人。二〇一一年から一二年にもこの方法で日本IBM社は労働組合員だけで三十人をロックアウト解雇で締め出して、裁判や、あるいは労働委員会などで争われています。今回を含めて合計で三十五人。IBM社というのは世界全体で今十一万人の人員削減を進めていて、そういう中でこの事態が起こっているわけです。
今回、ロックアウト前に行われた会社の上司とのやり取りが録音されまして、初めて公開されました。今日お配りした資料の二ページ目、三ページ目にそのやり取りが出ております。
二月に労働者Aさんが上司から呼び出されたときのやり取りですが、Aさんを呼び出した上司は、会社として別の道に行ってもらった方がいい、追加のお金は出しますという話でというふうに切り出して、本人が話そうとすると遮って大声で、受けない場合は解雇状態になってしまいますと。Aさんが解雇というとと聞くと、上司は、解雇になる追加のプレミアムがない状態、通常解雇状態になると。つまり自己都合退職なら追加金を付けるけれども、拒否すると解雇すると。若干のやり取りの後でAさんがロックアウト解雇ですかと聞くと、上司が、そうならないように会社は次の会社を紹介してあげるのでどうですかと、ロックアウト解雇を否定もしていないんだと。
このIBMの一連の解雇は、個別の業績不良による普通解雇で整理解雇ではないというふうに言っているわけなんですが、しかしこの録音を見る限り、明らかに早期退職に応じるように求めて、従わなければ解雇だと。まあ明らかな退職強要ですよ、これ。これ脅迫と言ってもいい。崖から突き落とされるか、それとも自分で飛び降りるのか選べ、こう迫っているようなものでしょう、これは。日本IBM社は私は究極のブラック企業ではないかというふうに思うんです、こういうのを見ると。
厚労省に聞きますが、退職強要についての定義、労働行政の対応、どうなるんでしょうか。

○政府参考人(岡崎淳一君) 退職につきましては、退職勧奨をするということがございます。これは、使用者の方から労働者に対して、労働者の意思で労働契約を解約するようにということを勧奨するということであります。
その際に、基本的には勧奨でございますが、これが殊更多数回、長期にわたるなど労働者の自由な意思を妨げるような状態での退職勧奨、こういうのが行われた場合には、最高裁の判例でも違法な権利侵害になることがあると言われておりますが、こういうようなものにつきましては違法な退職の強要というふうに判断される場合もあるだろうというふうに考えております。
厚労省としましては、こういう判例、最高裁の判例もあるところでございますので、こういった判例を基にしながら必要な啓発指導等を行っているということでございます。

○小池晃君 大臣、この日本IBM社のロックアウト解雇は、私がここで初めて取り上げたのではなくて、二〇一二年に我が党の志位委員長も予算委員会で取り上げています。その際に、当時の野田総理は、もしそのようなことがあるとすればあってはならないことだと答弁をされました。しかし、三年たってもロックアウト解雇が公然と行われているわけです。労働組合が是正を求めても一顧だにしないと。まあ狙い撃ちですよ、労働組合の活動家を。
これ、明らかに不当労働行為だと、極めて悪質な不当労働行為だと言わなければならないと。そもそもは、曖昧な業績不良を理由にした普通解雇というのがまかり通ったら、事業主はいつでもこれは都合の悪い労働者を解雇できるということになる。
大臣、今述べてきましたようなやり方、日本IBM社のこのロックアウト解雇、こんなやり方が許されるというふうにお考えですか。どう思われるか。まあ、余り文書を読むんじゃなくて、率直な大臣の政治家としての思いを、これでいいのかという、そういう言葉をちょっと言ってくださいよ。

○国務大臣(塩崎恭久君) 労働行政はやはり法律に基づいて行われているものでございますので、やっぱりきちっとした論理的な説明をしないといけないなというふうに思うので、余り個人的な思いだけを言うのはふさわしくないんじゃないかというふうに思います。
一般論で申し上げる話だと思いますが、先ほど局長の方からも説明した裁判例がありました。一般論として本当に申し上げれば、殊更に多数回、長期にわたるなど、労働者の自由な意思決定が妨げられるような状況での退職勧奨は行ってはならない、こう認識しております。
厚生労働省では、大規模な雇用調整事案などに際しては、退職の強要が行われることがないように、都道府県の労働局や労働基準監督署で事実を確認をし、先ほどの最高裁の判例の考え方に沿った必要な啓発指導、これを行うこととしているわけでありまして、今後とも企業に対してはしっかりとした啓発指導を行っていかなければならないというふうに思います。

○小池晃君 私がこう紹介したような、こういう事態があってはならないことだと思いませんか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたとおりで、個別事案、いろいろあろうかと思いますし、今日お配りをいただきましたが、いろいろなことをやっぱり事実として踏まえた上で、先ほど申し上げたように最高裁の判例の考え方に沿って対応をすべきだというふうに労働行政としては思います。

○小池晃君 ちょっとそういうことでは、やっぱりこういう理不尽な解雇に歯止め掛けられないと思いますよ、私。野田総理だって、それは事実とすれば許されないとそこは言ったんですから、そのくらいのことは言ってくださいよ、厚生労働大臣として。

○国務大臣(塩崎恭久君) 私は、行政の対応として、法律にのっとってお答えすれば、先ほど言ったようなことだということでございます。

○小池晃君 これでは異常な解雇を止めることはできません、そんな対応では。
やっぱりここで大臣が、やっぱりこういったことは事実であれば許されないと言うことが大事なんですよ。言ってください。

○国務大臣(塩崎恭久君) いや、個人レベルの感情と立法に基づく行政の執行とは少し違うというふうに考えなきゃいけないと思います。

○小池晃君 あのね、これでいいのかなと私思いますよ。やっぱりこういったことについては、やっぱりそれは事実、まあ事実かどうかということは別にして、それは事実であるとすれば許されないぐらいのことを言わなければ、それはやっぱり政治家として厚生労働大臣やる意味ないですよ。
役人だけで済みますよ。
何で政治家がいるんですか。やっぱり政治家がしっかり物を言うから、政治家が頂点に立ってやるんでしょう。そのぐらいのことを言ってくださいよ。

○国務大臣(塩崎恭久君) 繰り返して恐縮でございますけれども、私も今、先生からのお話は聞きましたけれども、実際、この中身を全部聞いているわけでもありませんし、判断としては、法律にのっとって判断をすれば、先ほど申し上げたとおりの考え方だろうというふうに思います。

○小池晃君 駄目ですね、これじゃ。こんなことではやっぱり労働者守れませんよ。労働行政の役割果たせませんよ。
そういう中で、規制改革会議は金銭解決の導入まで打ち出した。そんなことをしたら、ますますこういう不当解雇がまかり通るということになるんじゃないですか。やっぱりそんなことは絶対許されないし、それから今回の三十五名のロックアウト解雇者のうち七人は裁量労働制で働いていた労働組合員なんです。残業なら月百時間を超える働き方を続けて、残業代ゼロで、抑うつ状態になって業績落ちたと、それで解雇される。
今度、残業代ゼロ法案で裁量労働制広げる、こういう現実がある中でやっていいのかということが問われているわけですよ。大臣、やっぱり出発点は労働者の現状です。それに対してやっぱり怒りを持って厚生労働大臣が臨まなければ、私は労働者の命守れないと思う。今の答弁は全く不十分だというふうに思います。
あわせて、この金銭解決導入などということは断じてやるべきでないと思いますが、大臣、いかがですか。もう原稿読むのやめて、もう。

○国務大臣(塩崎恭久君) 恐らく昨日の規制改革会議のことをおっしゃっているんだろうと思いますけれども、これは規制改革会議の意見書であって、政府のものそのものというわけではございませんで、この労働局が実施をするこの個別の労働関係紛争解決制度におけるあっせんの取組強化や労働委員会の活用も含めて、労使双方が納得する雇用、就労の在り方についての幅広い提言があったというふうに私ども聞いておりまして、今回あくまでも規制改革会議としての議論を取りまとめたということであって、政府としてこれからどうするかというのはまた別問題でありますし、特にこの日本再興戦略では、改訂二〇一四で、まずは我が国におけるあっせんや労働審判、裁判における和解の状況や諸外国の関係制度、雇用の状況の研究を鋭意進めているところでありまして、この結果を踏まえて紛争解決システム等の在り方について幅広く検討をするということになっているわけでありまして、いずれにしても、働く方の雇用の安定がいたずらに損なわれるようなことがないように留意をしながら、今後、今申し上げたような検討をしていくというのが閣議決定をされたことでございます。

○小池晃君 終わりますが、もう全然駄目です。とにかくやっぱり、労働行政の原点として今の労働の実態にやっぱりどう向かうのかということをちゃんと政治家としてしっかり物言わなければ、もうこれろくな法案出てきませんよ、こんな下でやったって。
私は、基本姿勢が問われているということを申し上げて、質問は終わります。

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