日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

検索

国会ハイライト

国会質問・速記録・質問

政投銀の特定投資業務拡大 公的資金で不動産投資加熱させるな 参院財金委 小池書記局長が指摘

2025年05月15日

赤旗2025年5月8日付

写真

(写真)質問する小池晃書記局長=8日、参院財金委

 日本政策投資銀行(政投銀)の特定投資業務を延長する法案が8日の参院財政金融委員会で自民、公明両党などの賛成で可決しました。日本共産党の小池晃書記局長は公的資金による大企業支援が拡大するとして反対。立憲民主党も反対しました。

 

 特定投資業務は、政投銀が財政投融資特別会計(財投)からの出資金を元手に支援先に出資するもの。原資は政府保有株の配当などで、本来の支援対象は公益性が高く民間では対応が困難な分野に限られます。

 

 質疑で小池氏は、特定投資業務の出資総額に占める資本金10億円以上の大企業の割合が97・8%に上るとして、大企業支援は「公的資金の活用にふさわしい審査がなければモラルハザード(倫理の欠如)になる」と指摘。西日本鉄道(福岡市)が沿線再開発のために立ち上げた不動産ファンドなどが出資先となっており、「不動産市場には国内外の投資マネーが流入し価格高騰を招いている。マンションの価格高騰は深刻だ」「公的資金を原資に不動産投資を過熱させることになれば大問題ではないか」と強調しました。

 

 加藤勝信財務相は、特定投資業務が「投機マネーの流入のような不動産投資の過熱を招いてはならない」として、十分な配慮が必要だと答弁しました。

 

 さらに小池氏は、財投の活用は下水道などのインフラの老朽化が深刻な自治体や医療福祉関係を優先すべきで、政投銀は資金の自己調達を強めるべきだと主張しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 今回、日本政策投資銀行、DBJというふうに以下は言いますが、特定投資業務の期限が延長されます。
 DBJの財政投融資からの借入、出資受入れによる資金調達額は二四年三月末で約九兆円、調達総額の六割以上に及びます。理財局の財政投融資レポートを見ますと、財投資金は、民間では十分に資金供給できないが、政策的な観点から資金供給を行うべき分野に対して行うというふうにされているわけですね。特定投資業務以外の業務でも財投を活用しているDBJについて言えば、これは民間では十分に資金供給できない分野に投融資するというのが役割のはずだと思います。
 そこでお聞きをしたいと思うんですが、民間資金で十分に資金供給できないかどうか、これを判断する際には、対象となる企業の資金調達能力、問題になると思います。その際には、内部留保あるいは自己資本比率を含めた財務状況、これは勘案されるのでしょうか。
○参考人(地下誠二君) お答えいたします。
 委員の御質問にありました、企業の、我々の特定投資の対象となる企業の内部留保とか財務内容は十分審査してまいります。
 ただ、財務体質だけではなくて、その年度年度の全体の資金計画ですね、私どもの特定投資の対象となる事業と、彼ら、要するに対象先の企業が、一般的に新たなほかの資金使途、その全体の資金使途の中で過不足を勘案いたしますので、そういう内部留保、財務体質、あとは資金計画、その中で民間の金融機関から賄えるところ、で、不足分を私どもが埋めると、そういうような審査の段取りを取ってございます。
○小池晃君 DBJの出資先、融資先を資本金規模別に見るとどうかということで、これは財務省にお聞きしたいんですが、DBJの資金供給残高について、特定投資業務とそれ以外でそれぞれ、資本金十億円以上の大企業が全体に占めている割合を示していただきたいと思います。
○政府参考人(寺岡光博君) まず、特定投資業務の出融資残高における資本金十億円以上の企業が占める割合でございますが、令和六年九月末現在で、取引先数ベースでは四九%台、金額ベースでは九七%台となってございます。
 また、特定投資業務以外の出融資残高における資本金十億円以上の企業が占める割合につきましては、取引先数ベースでは四七%台、金額ベースでは八七%台となっていると承知してございます。
○小池晃君 丸められましたけど、特定投資業務では九七・八%、特定投資業務以外では八七・五%ということで、大半が大企業向けということになります。しかも、資本金十億円以上の大規模な企業。
 こういう巨大企業というのは巨額の内部留保を抱えておりまして、やっぱり自力での資本調達能力も大きいと思うんですね。大企業だから駄目とは言いませんけれども、大企業を対象とする場合というのは、公的資金の活用にふさわしい審査がなされなければモラルハザードになってしまうと思うんです。
 この点に関わって、特定投資業務による不動産分野での投資についてちょっと取り上げたいと思うんですが、DBJはこの間、特定投資業務によって、福岡を基盤とする西日本鉄道、西鉄が立ち上げた二つの不動産投資ファンドに出資をしています。昨年三月に資産規模百億円のNNRファンド一号、先月には六十五億円のNNRファンド二号であります。
 この今回の出資の目的、趣旨、これをお述べいただきたいと思います。
○参考人(地下誠二君) お答えいたします。
 まずもって、通常、不動産会社が投資ファンドをするときには特定投資は対応いたしません。
 委員御指摘の点につきましては、西日本鉄道、本業はバスと鉄道会社、確かに不動産はターミナルの駅の物件とかは持っておりますけれども、今回の試みは、沿線開発のために初めて私募ファンドを立ち上げるという、その新規性に着目しまして、これも経営の革新に当たる、あと競争力の強化と、あとはやっぱり九州での都市機能の拡充という地域の活性化に当たる、そういうことも併せ判断して特定投資として採択したものでございます。
 二号目につきましては、一号目は単なる私募ファンドだったんですけれども、二号案件については、西鉄グループ自らが資金運用会社を立ち上げて運用するというところで、そこも新規性がございますので、そういう点に着目しましたので、一般的な不動産の対応は私どもの一般で対応しておりますけれども、今回は先ほどのような意義があったということで、特定投資で採択させていただいた状況でございます。
○小池晃君 西鉄はこの取組を私募REITの設立に向けた取組というふうに位置付けているわけですね。今もありました。
 私募REITは、これは機関投資家あるいは富裕層、特定の投資家に向けた不動産投資信託である、これは御承知のとおりだと思いますが、西鉄は、沿線開発して、その開発したマンションなどの不動産を売却して、ファンドはその不動産の賃料収入などを裏付けとした私募REITを発行して資金を集めていくというスキームです。それによって新たな再開発の資金も確保できるという、こういうスキームだと思うんですね。二〇二六年に予定されている私募REITの発行までは西鉄とDBJなどの出資金と銀行借入れでつないでいくと。二〇三〇年までに私募REITの資産規模一千億円目指しているということなんですが。
 大臣、近年、やっぱり不動産市場にはこういう国内外の投資マネーが流入しているわけです。J―REIT、私募REIT、こういった不動産ファンドの運用資産額というのは、これは日銀の大規模金融緩和始まる二〇一二年、この約二十七兆円から二〇二四年は五十六兆円と、倍以上に膨れ上がってきているんですね。
 私は、こうした分野というのは民間では資金が十分集まらないんだろうか、むしろこれは民間の力で十分に対応できる分野ではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 不動産にかかわらず、委員御指摘のように、民間でできるものであればこれは民間でやる、これは原則であります。あくまでも民間の補完であり、また、そうした投資が十分でなく、かつ政策的にそれを進める必要性がある、こういったものに今後、特定投資業務等も活用されるべきものというふうに考えております。
 それから、一方で、多分、委員のその背景には、昨今の不動産市況が非常に高まっていて、一般の方々もなかなか、特に都内中心にマンションがもう手が届かない、こういう話が背景にあるんだろうというふうに思いますので、そういった点に対してもちろん注視していくことは必要だと思いますが、一方で、先ほど地下社長のお話もありましたように、地域の開発とかこういった点について、これは政策的に進めていくし、これが本来民間企業だけでできるのであればこしたことがないわけでありますが、先ほどのお話であれば最初の挑戦というんですかね、そういったことでもあり、そういったことを支援をしていく、これは政策的な価値があるんではないかなというふうに思っております。
○小池晃君 今大臣からもありましたけど、もう本当に今、不動産価格高騰して、東京二十三区内なんかもう一億円以上ですよ、ほぼ。億ションですよ。もう住み続けられない、そういう町になりつつあるわけですね。
 こういう不動産投資の過熱ということをやっぱりしっかり、このままでいいのかということはよく考える必要があると思いますし、今回のこの西鉄の案件ですけど、西鉄自体は資産運用の経験はそんなにないというようなこともあるかもしれませんが、これは金融大手のみずほグループが全面的にバックアップしているわけです。みずほによる貸付けが行われて、NNRファンド一号、二号を運用するアセットマネジャー、これメインはみずほ不動産投資顧問なんですね。サブが西鉄アセットマネジメント。
 この西鉄の投資家向けの資料を見ますと、みずほと連携していると、みずほから人材を受け入れていると、その知見、ノウハウを習得すること、これもアピールされていて、その資料の中には政投銀という名前出てこないんですね。こういう実態なんですね。
 ニッセイ基礎研究所が今年一月に行った不動産関係者のアンケートを見ますと、今後価格上昇を期待できるエリアというのは、これは東京都心五区の次に回答多いのは福岡市なんですね。都心五区を除く東京都区部よりも、それから大阪市も上回っている、福岡市は。こういう状況なわけですよ。もう狙いどころなんですね。
 やっぱり私は、DBJが公的資金を原資にして不動産投資を過熱させてしまうというようなことであれば、これはゆゆしきことではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 先ほど申し上げましたように、特定投資業務は、地域活性化や我が国企業の競争力強化の観点から、民間だけでは対応が難しい成長分野に対してリスクマネーを供給することが目的であります。不動産市場に関しても、特定投資業務の政策目的に合致する案件について、民間だけでは事業者の資金需要を満たすことができない、またその政策目的を実現することができないということからリスクマネーを供給するということでありますので、この特定投資業務を通じた資金供給が投機マネーの流入のような不動産投資の過熱をもたらしてはならぬ、それは御指摘のとおりだと思います。
 したがって、そうした点には十分配慮をしながら、先ほど申し上げた政策目的を実現すべく今後とも対応していかなければならないと思っておりますし、また、先ほども申し上げましたが、投機的な不動産投資の動向が国内の不動産価格等に与える影響についても引き続き注視していく必要があると考えています。
○小池晃君 特定投資業務については、衆議院では透明化ということがかなり議論されましたけど、それも大事だと思います。同時に、やはり私は、こういう形でその不動産投機のような方に向かっていく、それでいいんだろうか。
 DBJの資金調達実績見ていると、財投からの調達はもう増加してきているわけですね。一方で、地方向けの財投資金の残高というのは、二〇一四年度の五十一兆円から二〇二三年度四十兆円まで減っているわけですね。もうちょっと時間の関係で質問はしませんけど、これやっぱり、今本当に社会資本、一気に老朽化しているわけですよ。埼玉県の下水道のあの事故に見られるように、やっぱり非常に深刻な事態になってきている。やっぱり、住民の命に関わるインフラの老朽化対策なんかは非常に急務だと思うんです。
 私は、地方自治体の財政に対する、国が支援することも大事だと思うんですけど、やっぱり、財投資金をこういうその自治体によるインフラ整備あるいは医療福祉関係などに回していく、DBJはやっぱりもっと資金の自己調達の努力強めて財投からの調達縮減して、やっぱり財投はもっともっと地方に、このインフラ整備のために使っていくような、そういう政策的な方向性必要なんじゃないかと思いますが、大臣、ちょっと質問しないと言ったけど、ちょっと一言どうぞ。
○国務大臣(加藤勝信君) 別に、何か財投が枠があって、政策投資銀行取ったらほか縮まるわけではないということはもう御承知のとおりだというふうに思います。
 したがって、地方向け財政投融資資金については、行政改革や財政投融資改革の趣旨を踏まえ、民間資金を補完するものとの前提の下で、災害復旧事業等、国が責任を持って対応すべき分野に対して引き続き積極的に対応する。また、下水道事業債を含む、国の政策と密接な関係のある分野に対して引き続き対応していくということが必要であると考えております。
 さらに、日本政策銀行に対しては、先ほど申し上げたような形で本来の政策目的に沿った対応をしていただくということで、そして、それを実施するに当たっても、まず日本政策投資銀行が自己調達を行って、最大限努力した上でなお足りない部分は財政投融資資金を融通していくということでございます。
 今後とも、毎年の財政投融資計画の編成においては、日本政策投資銀行における自己調達の取組を確認しつつ、必要な資金需要に的確に対応するとともに、委員御指摘のように、住民生活に密着した社会資本整備や災害復旧等のニーズに対応するため、地方公共団体へ財政投融資資金を適切に供給すべく努力をしてまいりたいと考えております。
○小池晃君 終わります。ありがとうございました。

 

(法案への反対討論)
○小池晃君 日本共産党を代表して、株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 そもそも、日本政策投資銀行、DBJなど政府系金融機関は国民の財産を原資としており、民間金融機関では対応が困難かつ公益性の高い分野への投融資に限定するべきです。
 反対理由の第一は、本案で延長される特定投資業務の原資は公的資金であるにもかかわらず、政策的必要性の乏しい大企業向け支援が拡大する危険が高いからです。
 特定投資業務の出資先は、そのほとんどが資本金十億円以上の大企業であり、鉄道大手、不動産大手の大規模再開発事業が並んでいます。巨額の内部留保を抱える大企業への支援は、政策的必要性、特に民間からの調達が可能かどうか、厳格な審査が求められます。また、国内外の投資マネー流入が地価高騰を招いている下で、公的資金で支援する政策的合理性があるとは言えません。政府資金であるにもかかわらず、各企業への出資額が極めて不透明であることも問題です。
 反対理由の第二は、特定投資業務の延長、拡充により、財政投融資への依存が更に強まるからです。
 この間、DBJの財投資金が増える一方、地方自治体、地方公営企業向けは減少しています。財投の活用は、地方インフラや医療・福祉分野など、困難な国民生活を下支えする分野を優先すべきです。DBJには、政府資金に頼らない自己調達の努力が求められます。
 以上、反対の理由とし、討論といたします。

 

    ─────────────

閉じる

ご意見・ご要望