日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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旧長生炭鉱の水没事故 遺骨収集、政府は支援を 参院厚労委 小池書記局長が求める

2025年05月22日

赤旗2025年5月21日付

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(写真)質問する小池晃書記局長=20日、参院厚労委

 戦時中に山口県・旧長生炭鉱の水没事故で犠牲になった朝鮮人ら183人の遺骨収集に関し、日本共産党の小池晃書記局長は20日、参院厚生労働委員会で、政府による支援を強く求めました。同炭鉱跡では、市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」が、昨年から数次にわたり坑道内の潜水調査を行っています。

 

 小池氏は、石破茂首相がこの間の国会答弁で、「可能な限り遺族に返還するのが望ましい」「どういう支援を行うべきかさらに政府のなかで検討したい」と述べているとして「どういう検討か」と質問。福岡資麿厚労相は「首相の発言を踏まえ、専門家の知見を必要とする性質を踏まえた対応を検討している。各方面の意見をうかがっている」と答えました。

 

 小池氏は、現地で潜水作業を続けているダイバーの伊左治佳孝氏が「リスクが高く直接の調査は困難と答弁するなら、リスクを下げる作業への支援をお願いしたい」と述べていると紹介。刻む会は専門家によるプロジェクトチーム立ち上げを求めており、「やるべきではないか」と迫りました。福岡厚労相は「ご意見を集約しその後の対応を検討する」と繰り返しました。

 

 小池氏は、厚労省の所管である人道調査室の予算が毎年ほとんど残っていると指摘。「市民がお金も知恵も出して支えている。政府が財政支援をすべきだ」と主張しました。寺院などの遺骨収集の予算だと答えた厚労相に、小池氏は「お金の使い方は内閣が決めれば変えられる」と強調し、「専門家の意見を踏まえたら財政支援も検討する余地があるということか」と重ねて質問。厚労相は「選択肢はありうる」と答弁しました。小池氏は「現地に見に行っていただきたい」と求めました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 久しぶりの厚生労働委員会なので、よろしくお願いします。
 今年は戦後八十年ということで、二つの問題を取り上げたいんですね。
 一つは、旧長生炭鉱の水没事故の問題です。これは、大椿議員がもう何度もこの委員会で取り上げているので、皆さん事情はよく御存じだと思います。
 これまでは、発掘は困難だと、埋没位置が不明だという答弁だったんですが、市民団体である長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会が募金集めて炭鉱の入口を掘り当てて、昨年十月、今年二月、四月と潜水調査をやっています。坑道に入った専門のダイバーは、遺骨は収容できると手応え語っているんですね。
 私は、八十三年もの間冷たい海底に眠っている御遺骨をやはり速やかに御遺族の元にお届けする、尊厳の回復を図る、これは国としてやるべき仕事だというふうに思うんです。
 大臣に聞きます。
 石破首相は昨年の本会議での私の質問に、可能な限り御遺族に対して返還することが望ましいと答えました。そして、四月の決算委員会で大椿議員の質問に、潜水調査についてどれだけ費用が掛かるのか、国としてどういう支援を行うべきか、更に政府の中で検討したいと答えています。
 どういう検討をされているんでしょうか、大臣。
○国務大臣(福岡資麿君) まず、長生炭鉱の坑道の落盤事故において犠牲になられた全ての方々に心よりお悔やみを申し上げます。
 そして、その落盤事故が発生した海底の坑道に潜水して調査、発掘することにつきましては、安全性に懸念があり、現時点では困難であると考えているものの、総理の発言の趣旨を踏まえまして、専門的な知見を必要とする本件の性質を踏まえた対応を検討をさせていただいております。
 議員御指摘の四月二十二日に行われました市民団体との意見交換の後に手交された資料も含めまして、現在、落盤後の廃坑から長期間経過し、炭鉱の構造が正確に把握されておらず、また、その構造物としての強度もつまびらかでない中で、構造物としての炭鉱の安全性であったり、安全を確保した上での潜水の実施可能性の観点から、知見を有する各方面の方々からのお話を伺っているところでございます。
○小池晃君 検討するというのは、やっぱり踏み込んだ対応に一歩進んできているとは思いますが、ただ、安全性に懸念があるからこそ国の支援が必要だというのが、これは皆さんの声なんですね。
 伊左治佳孝さん、潜水調査を行った水中探検家、毎日新聞のインタビューに、政府がリスクが高いので直接調査するのは難しいと答弁するのは理解できるが、それならリスクを下げる作業に対して支援をお願いしたいと。
 今、大臣、もう様々な技術的な問題、専門的な検討しているとおっしゃった。ならば、やはり国として専門家を集めてプロジェクトチームなどを立ち上げてほしいと刻む会の皆さんおっしゃっているんで、これやるべきじゃないですか。
○国務大臣(福岡資麿君) 先ほども申し上げましたように、総理のその発言の趣旨を踏まえまして、専門的な知見を必要とする本件の性質を踏まえ、様々な御意見を今集積をさせていただいているところでございます。
 様々な御意見について、まず政府において集積をさせていただいた上で、その後の必要な対応については検討してまいりたいと思います。
○小池晃君 やっぱりきちんと表に出せるような形でプロジェクトチームつくって検討するということをやるべきですよ。これ是非、今専門的な知見集めて検討するとおっしゃったんだから、やっぱりそういう対応を是非していただきたい、重ねて求めます。
 お金の面での支援も是非やってほしい。お配りしている資料(資料①)は人道調査室のこれまでの予算と執行額ですが、大体九百万円から多いときで千四百万円ぐらい予算付いているんですけど、これは以前、大椿議員がこの委員会でも指摘されましたが、執行額、令和二年度からゼロ、五万八千円、四万二千円、一万八千円、で、令和六年、これ見込みですが七十八万二千円、ほとんど使い残しているわけです。
 石破首相は、決算委員会でこう言っています。危険があるということを政府が承知していながら、そういう方々がそういう作業をしておられる、そうしますと、自己責任ですからねみたいなことを言うわけにはならぬと、いかにして安全にそのような作業をしていただけるかということについて、政府としてもこれは勝手にやってくださいという話にはならぬ。私、大事な答弁だとこれ思うんです。
 市民は、お金も知恵も出して今支えているわけですから、やはりこれ、安全性を高めるための財政支援、これ政府としてやるべきじゃありませんか。
○国務大臣(福岡資麿君) まず、先ほど申し上げましたように、総理の発言の趣旨を踏まえまして、専門的な知見が必要となる本件の性質を踏まえた対応について今検討させていただいています。
 そして、予算の使い方については、御指摘がありましたが、この旧朝鮮半島出身労働者の遺骨返還に係る予算として、人道調査室において一千万円強の予算を確保しているところでございますが、この予算につきましては、日本国内で既に寺院等に保管されている御遺骨について返還することができるようになったときの一時保管費であったり交通費等の諸経費でございます。このため、長生炭鉱の安全性向上のための工事費等の経費に使うことは困難であるというふうに考えているところでございます。
○小池晃君 お金の使い方は内閣が決めれば変えられるんですよ。実際にお金使い切っているんだったらともかく、これだけ余っているわけですから。だから、別にここからこれを使えと言いません、別の形でいいですよ。しっかりお金を出して、そして支援するべきじゃないですか。財政支援、だから、ここ、このお金じゃなくて、財政支援、政府の決断でやるべきじゃないですか。
○国務大臣(福岡資麿君) まず、もう当初から、私どもは、八十年以上も前に落盤事故が発生した海底の坑道に潜水して調査、発掘することについて安全性に懸念があるということを申し上げました。
 その上で、専門的な知見が必要となる本件の性質を踏まえ、総理の発言も踏まえて今様々な専門家の方々の御意見を聞いているところでございまして、そういったことを踏まえて対応を更に検討してまいりたいと思います。
○小池晃君 じゃ、踏まえたらばこれ財政支援だってそれは検討していく余地はあるということですね。
○国務大臣(福岡資麿君) 当然、様々な御意見を伺った上で、その結論としてそういう選択肢ということはあり得ると思います。
○小池晃君 私、実際現地に行って初めてこの問題認識したんです。やっぱり、あれだけ深いところを重機を使って市民の皆さんが掘り当てた、やっぱりあの現場を見たら、これは何としても応援しなきゃいけないという気持ちになりましたよ。
 厚生労働省の担当者は行っていないんです、現地に、今まで一度も。これはやっぱり私は直接自分の目で見るべきだ。総理も決算委員会で、必要があれば現場に赴くということも選択肢としてはあると、現場を見た方がより正確に事態が把握できる、あるいは関係者の方々の御納得を得られるということは、必要であれば私はちゅうちょすべきだと思っていません。これ大事な答弁だと思いますよ。
 大臣はペリリュー島まで行かれた。これは本当に貴重な訪問だったと思いますよ。御遺骨の収集のために行かれたわけでしょう。もう宇部だから、ペリリュー島よりはずっと近いんです、これ。ちゅうちょせずに大臣行くべきじゃないですか。まず、その前にでも厚労省の担当者を一度行かせるべきですよ。誰も行ったことがない、これじゃ現地の人納得しない。是非行くべきだ。どうですか。
○国務大臣(福岡資麿君) まず、先ほども申しましたように、先般の総理の発言の趣旨も踏まえ、専門的な知見を必要とする方々の今御意見を伺っているところでございます。そういった上で、現時点では現地視察考えておりませんが、そういったその専門的な方々の知見を集積した上で検討を進めてまいりたいと思います。
○小池晃君 検討を進める上でも行けばいいじゃないですか。まずやっぱり見て実感すべきだと思いますよ、僕。直接見て、やっぱりこれは何とかしなきゃいけないという思いを私も持ちましたから、是非大臣行ってください。
 ちょっと次の問題に行きたいと思います。
 空襲の問題です。特別給付金の支給法案、これ、平沢勝栄会長も務める超党派の議連で合意に至りましたが、今日お配りしている資料(資料②)、これ、厚生労働省がこの法案に疑問を投げかける文書を作って国会議員への説明に使っているんです。これ、日付もなければクレジットもない。厚労省のどの部局がどういう目的で作成したどういう性格の文書なんでしょうか。
○政府参考人(岡本利久君) お答え申し上げます。
 本年三月三十一日に開催された議員連盟総会におきまして厚生労働省から配付をいたしました資料につきましては、厚生労働省の社会援護局において作成をしたものでございます。
 一般戦災者に対する補償等は厚生労働省の所管を超えている事柄ではございますが、議連の要綱案におきまして厚生労働省が実務を行うものとされていることから、整理が必要と思われる点について記載したものということでございます。
○小池晃君 所管外だと認めていながらこの超党派でまとめている文書にこういうふうに難癖付けるような文書を出すって、今まで私経験ないですよ。これ異常だと私は思います、この対応は。
 しかも、例えば遺族の扱いどうするかとか、あるいは日本の領域であった分離地域の被害者どうするかと書いているんで、これもう、議連が用意している法案というのはこういうのは全部除外しているんです。もうみんな本当に切実な思いで、とにかく法案通したいから、絞って絞って絞り切っているわけですよ。対象にわざわざしなかったものについて、これを問題だというふうなことを言ってくる。泣く泣く対象を絞ったことを逆手に取って法案に対する疑問を投げかける。もう、当事者からはちゃぶ台返しだというような声が上がっています。
 大臣、この文書に対してそういう声が上がっていることをどう捉えていますか。
○国務大臣(福岡資麿君) 先ほど事務方も答弁しましたように、本年三月三十一日の議連総会において厚生労働省から配付した資料については、一般戦災者に対します補償等は厚生労働省の所管を超えている事柄でありますが、議連の要綱案におきまして厚生労働省が実務を行うものとされていることから、整理が必要だと思われる点について記載したものでございまして、これはその議員連盟から配付のお求めがあったことから配付をしているものというふうに聞いております。議員立法の法案の内容については議連等において御議論いただくものであるというふうに承知をしておりまして、厚生労働省としては引き続き超党派の議連における議論を注視してまいりたいと考えています。
○小池晃君 議員連盟として何か組織的に配付してくれと頼んだことはしていませんよ。私たち了承していませんから。
 やっぱりこの文書というのは、例えばこの精神疾患の問題について、議連の見込み以上にというけれども、その根拠は、そのいわゆる被爆体験者の中での精神疾患の比率とか、あるいは八十歳以上の高齢者に精神疾患が多いからとか、しかし、これは、八十歳以上の高齢者に精神疾患が多いのはこれは当たり前のことで、それは空襲によるものかどうかは審査で区別できる、被爆体験者と空襲被害者の置かれた環境も違う、全く根拠のないことをこれ言っているわけですね。
 しかも、この文書は、二〇〇五年、平成十七年に戦後処理問題に関する措置は全て確定、終了したという政府了解事項がなされていて、従来の方針の大きな転換になるというけど、これ、二〇〇五年の了解事項に法的拘束力はありません。国会が立法府として裁量的権限委ねられている問題ですよ。事実、シベリア特措法はこの後、超党派で実現をしているわけです。
 私は、大臣ね、戦後八十年です。被害者、本当に高齢化しています。みんな切実な思いで、対象をうんと絞って、一回五十万円の一時金ですよ。これでいいのかという声が被害者の中からあるけど、でもとにかく法律通したいということで、超党派で、もう自民党も公明党も参加している、そういう場でこれ合意しているんです、議連としては。
 是非やっぱりこの法案を、こういう妨害するようなことではなくて、実現するという立場で厚労省は臨むべきじゃありませんか。
○国務大臣(福岡資麿君) 本年、戦後八十年を迎える年でございます。さきの大戦においては、全ての国民が何らかの戦争の犠牲を被って、一般市民の中にも筆舌に尽くし難い御苦労を体験された方が多数おられることは御指摘のとおりでございます。
 政府といたしましては、これまでも一般戦災者に対しまして一般の社会保障施策の充実などを図る中で福祉の向上に努めてきたところでございますが、超党派の議連におきまして、空襲被害者に対する特別給付金の支給、実態調査等を内容とする議員立法が議論されているというふうに承知をしております。
 厚生労働省としては、引き続き、超党派の議連における議論を注視してまいりたいと考えております。
○小池晃君 だったら、こういう文書を出して何かもう妨害するようなことやめてくださいよ。前に進めるという立場で臨んでほしい。それで、もし成立すれば、これは所管になるわけですよね。その実務は当然やっていくと。これはもう当たり前のことですが、確認したいと思います。
○国務大臣(福岡資麿君) 現在御議論いただいておりますその議員立法がそのような方向で検討されているというふうに承知をしておりまして、それが成立した際にはそれに沿った運用を行うことになるというふうに考えております。
○小池晃君 これ戦後八十年で、やっぱりこういう問題は本当に党派を超えて解決をすべきだと私は思います。
 是非みんなの知恵を出して、何としても今国会で成立させたいということを申し上げて、質問を終わります。

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