日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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羽田新ルート中止を 参院国交委 小池氏、集中解消提起

2025年06月02日

赤旗2025年6月1日付

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(写真)質問する小池晃書記局長=29日、参院国交委

 日本共産党の小池晃書記局長は29日の参院国土交通委員会で、都心部を低空飛行する羽田空港の新飛行ルートを固定化せず、中止するよう求めました。

 国交省は、羽田新ルートの「固定化回避」に関する検討会で航空機の進入方法を検討中です。小池氏は同検討会の資料を示し、採用される「RNP―AR」飛行方式でも陸上の飛行は避けられないと追及。国交省の平岡成哲航空局長は、羽田空港のA、C滑走路いずれの進入でも「市街地上空を通過する」と認めました。

 

 小池氏は「『固定化回避』どころか都心低空飛行の固定化検討会だ」と指摘。羽田空港の増便回数年3万9000回のうち、新ルート活用による増便は1万1000回だとして、「増便回数の大部分は滑走路の処理能力見直しによるもので、新ルートが必要なのか問われている」と強調しました。

 

 小池氏がインバウンド(訪日客)の宿泊者数、旅行消費額で東京都が占める割合を質問。観光庁の平嶋隆司次長は、2024年で宿泊者数35%、旅行消費額39・8%と答弁しました。

 

 小池氏は、訪日客の都市圏集中によるオーバーツーリズム(観光公害)防止や地方創生を進めるならば「羽田への集中を解消し、地方空港を活用すべきだ」と提起。中野洋昌国交相は「地方空港を活用した誘客が重要な役割を果たす。地方空港の活性化に取り組む」と答えました。

 

 小池氏は「首都圏空港の混雑状態を緩和し余裕を持って運航できる安全最優先の機能強化が必要だ」と強調。新ルートを中止し「海から入り海に出る」原則に戻すよう求めました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 今日は大門委員に代わってやります。よろしくお願いします。
 法案については、羽田空港の痛ましい事故を踏まえた安全確保措置をとるものであって賛成です。管制官始め国交省の人員増を強く求めたいというふうに思っています。
 私聞きたいのは、羽田新ルートの問題なんですけど、私、品川区大井町に住んでおりまして、大体高度三百メートルから二百メートルぐらいでもう頭上を降りていくんですね。やっぱり地域の人たちも、この圧迫感、騒音、そして落下物の問題、大変不安が広がっています。川崎市では石油コンビナートの上を飛ぶので、これは事故への不安も大きいんですね。
 国交省は、羽田新ルートの、新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会、これ設置して、二〇二二年に第五回やってから二年四か月ぶり、昨年十二月に六回目やっと開催しました。そこで配付された資料を今日お配りしております。
 これ、飛行方式RNP―AR採用による見直しということなんですが、この検討会では、事務局が、RNP―AR方式を採用した場合であってもいずれかの市街地上空を飛行せざるを得ないというふうに説明をしているんですね。つまり、このA、B、C、D、A滑走路の進入の場合は、これはもう都心上空を低空飛行すると。E、F、GのこのC滑走路への進入、これ採用したとしても、これ一部陸上の上を通っていくということ。
 結局、これでは陸上の飛行は避けられないということですね。お答えください。
○政府参考人(平岡成哲君) 昨年十二月に開催した第六回固定化回避検討会では、GPSを用いて航空機が精度の高い曲線進入を行うRNP―AR方式について、一時間当たりの到着回数が多いC滑走路への導入を前提に安全性の検証を実施してまいりました。
 その結果、C滑走路側についてはRNP―AR方式の導入が技術的に可能であるとの結論に至りましたが、一方で、現在の航空機の性能等を前提とすると、仮にC滑走路にRNP―AR方式を導入したとしても新たな経路は市街地上空を通過することから、ルート案の検討は慎重な対応が必要であると考えております。
 また、A滑走路の到着経路につきましても、C滑走路との離隔を取る必要があるため、同様に市街地上空を通過することから、ルート案の検討は慎重な対応が必要であると考えております。
 いずれにいたしましても、見直し後のルート案については具体的に決まったものはありませんが、国土交通省としては、こうしたことを踏まえ、更なる騒音負担低減や海上ルートの実現に資する方策について国際動向等を踏まえた調査研究を実施するなど、引き続き固定化回避に向けた努力を継続してまいります。
○小池晃君 検討会では、事務局が、RNP―AR方式に対応する機材の対応策も不十分だと言っているわけですね。
 ですから、これ、今も説明あったとおり陸上通るわけで、固定化回避どころか、これは都心低空飛行の固定化検討会になっているんじゃないかというふうに言わざるを得ません。
 しかも、羽田空港の三万九千回の増便のうち、新ルートによる増便は一万一千回なんですね。増便回数の大部分は処理能力の見直しによるもので、この新ルートが本当に必要なのかということも問われていると思います。
 大臣は、昨年十一月の記者会見で、インバウンドの問題で、宿泊数、旅行消費額、三大都市圏に集中している状況で非常に偏在傾向見られます、そして一部の地域や時間帯ではいわゆるオーバーツーリズムの懸念があるというふうに答えているんですが、観光庁にお聞きしますが、インバウンドの宿泊者数、旅行消費額、東京都が全体に占める割合はどうなっているでしょうか。
○政府参考人(平嶋隆司君) 宿泊旅行統計調査及びインバウンド消費動向調査の速報値によりますと、二〇二四年暦年の東京のインバウンドの延べ宿泊者数は全体の三五%、旅行消費額は全体の三九・八%を占めているところでございます。
○小池晃君 東京にやっぱりかなり集中しているわけです。
 大臣は記者会見で、オーバーツーリズムの未然防止、抑制に向けた取組を支援すると、観光も含めて地方創生にしっかり資する施策の強化について検討していると述べられました。
 地方創生二・〇を進めるというのであれば、やっぱり羽田への集中を解消して、地方空港をもっと活用すべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中野洋昌君) 小池委員にお答えを申し上げます。
 各地域が持つ魅力や潜在力を最大限引き出し、多様で持続可能な社会をつくり上げていくためには地方創生二・〇を進めていくということでございますが、その中で、地方への人の流れを創出、拡大する拠点となる地方空港は大きな役割を担っているというのは御指摘のとおりかと思います。
 とりわけ二〇三〇年訪日外国人旅行者数、旅行客数六千万人の達成に向けては、インバウンドの三大都市圏への偏在傾向や一部の観光地での混雑等の課題がありまして、首都圏空港のみならず地方空港を活用した誘客が大変重要な役割を果たすものと認識をしております。
 地方空港の利用の促進に向けましては、地元自治体によるトップセールス等とも相まってインバウンド需要の取り込みに対応できるように、グランドハンドリング等の体制強化や航空燃料の安定的な供給などに取り組んでいるところでございます。
 国土交通省としましては、引き続き、地方公共団体を含む地元関係者等と密接に連携をいたしまして、地方空港の活性化に取り組んでまいりたいと思います。
○小池晃君 地方空港の旅客者数が増えるということは、これ地方活性化に役立つ、今大臣言われるとおりだと思うんですね。ですから、やっぱり首都圏空港の混雑状態緩和して、管制も機長も余裕を持って運航できる安全最優先の機能強化が必要だと思います。羽田新ルートは中止して、やはり今までの原則、地元との約束、海から入って海から出ていくという原則に戻すべきだということを申し上げておきたいと思います。
 ちょっと、残る時間は、悪質な手口による不動産詐欺の問題なんですが、取り上げたいと思うんです。不動産業者から投資用の不動産を購入しないかと勧誘されて、本来なら住宅購入資金にしか利用できないフラット35を使って住宅金融支援機構から一括返済を求められたという話です。
 これ、私、財政金融委員会でこの問題、アパマンローンの問題ちょっと取り上げたときに、こういう被害についてちょっといろんな声が寄せられまして、これもやっぱり不動産投資が経験余りない若い世代が被害者多いんですね。フラット35は、住宅金融支援機構が金融機関、貸金業者と提携して提供する全期間固定金利の商品です。住宅金融支援機構がローンを借りる人に直接融資するんではなくて、貸金業者や、あるいは金融機関が窓口になってフラット35を利用するための審査を行います。
 実例でいうと、三十代の会社員の男性です。二〇二〇年三月、不動産業者の勧誘を受けて中古マンション、約三千万円で買ったと。目的は家賃収入を見込んだ投資なんですね。ローンの選びは、これは業者に一任して、フラット35の説明は全くなかったと。自ら契約書書いたけど、どんなローンを組んだのかも理解していなかったと。だが、契約から一年半後に不正が確認されたということで、機構から残債一括返済を求める予告が届いた。勧誘した不動産業者に相談すると、最初は無視すればいいみたいに言っていたんですが、やがて、勧誘したのはうちの社員ではないというようなことで責任逃れを始めた。この男性は一括で三千万円返済を求められて途方に暮れていると。こういう例が続いているんですね。
 住宅金融支援機構は、二〇一八年九月にフラット35の融資案件の一部に不適正利用の疑いがあると、これは外部からの情報提供を受けて実態調査を行っています。不正の利用件数、不適正利用の手口、どのようなものだったんでしょうか。
○政府参考人(楠田幹人君) お答えをいたします。
 住宅金融支援機構が提供しておりますフラット35は、投資用物件には利用できない住宅ローンでございまして、平成三十年度に外部から不適正利用の疑いについて情報提供を受けたことを契機に調査を開始し、令和元年度に調査結果や再発防止策等を公表したところでございます。
 御指摘の調査結果におきましては、平成三十年度から令和元年度にかけて不適正利用の疑いのある百六十二件に対して調査を行い、そのうち面談をした百四十八件について不適正利用の事実を確認をしたこと、不適正利用の手口について、住宅購入者は、投資物件の購入を勧誘する事業者グループの関与の下、自己居住用と偽ってフラット35を申し込んでいたこと、価格が水増しをされた売買契約書が事業者によって作成をされ、住宅購入者に署名、押印をさせた上で水増しされた金額で融資を受けていたこと、さらには、住宅購入者は一連の手続を事業者グループの指示に従い進めていたが、不適正利用の事実については認めていることなどを公表させていただいているところでございます。
○小池晃君 この問題、今も被害が続いているんですが、フラット35の融資件数で業界一位だというふうにPRしている住宅ローン専門会社アルヒ、このアルヒからの被害を訴える人たちが多くいるんですね。被害者は不動産会社などから勧誘されて投資用物件を購入しているんですが、アルヒの窓口で融資を申し込む際に、勤務先から遠い物件であったり、二十代の単身者がファミリータイプの物件を購入する。これはもう住宅用かどうか明らかに疑わしいというものについても事情をちゃんと聞いて融資するということがされてないというふうに言われています。
 そもそも不動産業者との関係で相場と懸け離れた価格のつり上げがなされて、融資額も本当に膨らんでいるにもかかわらず、被害者は、手元資金がないのにすんなりアルヒの融資が通ったというんのでびっくりしたというような声も聞いているんですね。
 大臣、こうしたアルヒの審査体制についての問題点について、国交省としてはどう認識されているんでしょうか。
○国務大臣(中野洋昌君) お答えを申し上げます。
 お尋ねのフラット35におけるアルヒの個社の審査体制の問題につきましては、現在、関係する訴訟が係属中でございますので、お答えについては差し控えさせていただければと思います。
○小池晃君 そういう事情があることは私も承知しているんですが、しかし、やっぱりこれは国交省としても放置できない問題ではないかなというふうに思っているわけです。
 二〇一九年五月の当国土交通委員会でこのフラット35をめぐる不正取り上げられて、野田国義議員の質問に対して当時の石井大臣が、国土交通省といたしましても、不正融資の実態の解明と対応、再発防止に向けまして、引き続き機構への指導を行ってまいりたいというふうに答弁をされています。
 このフラット35をめぐる不正融資の実態の解明、対応、その後どのように進んでいるんでしょうか。
○国務大臣(中野洋昌君) お答えを申し上げます。
 先ほど住宅局長が答弁をしたとおり、この機構におきましては、平成三十年度から令和元年度にかけて不適正利用の疑いのある事案について調査を行いまして、令和元年八月及び十二月に不適正利用の手口を含めましてこの調査結果を公表しているところでございます。
 本調査結果も踏まえまして、住宅金融支援機構におきましては、例えば、フラット35を投資用物件に利用できないことについて機構のホームページやパンフレットで広く注意喚起をするとともに、金融機関向けに申込人への適切な個別説明を行うためのマニュアルの作成や説明会、そしてこの取組状況のモニタリングを実施をしているほか、融資実行後の住宅の利用状況を調査するなどの不適正利用を防止するために必要な対策を講じているところでございます。引き続き、これらの取組を適切かつ継続的に行うことによりまして、フラット35の適正な利用を推進してまいりたいと考えております。
○小池晃君 審査の強化したとおっしゃるんですけど、不正ローンを誘う業者あるいは被害、なくなっていないんですね。注意喚起にとどまらずに、やはりこの不正融資の全体の実態の解明も行うべきだと思います。
 しかも、不動産業者に対する、だました不動産業者に対する調査というのはやられていませんよね。局長、いかがですか。
○政府参考人(楠田幹人君) お答え申し上げます。
 基本的には、今回の事案を受けまして、金融機関等に対しての調査ということでやっております。
○小池晃君 これ、不動産業者に対する調査を一切されていないというのが、やっぱり被害者の皆さんは問題ではないかというふうにおっしゃっているんですね。やっぱりそういう調査も私はすべきではないかというふうに思います。
 こうした事態で本当に若い世代が途方に暮れるような、そんなことがないように、これは国交省としても厳格な対応を求めていきたいと。金融庁に対しても私、財金の方でそのことは求めていきたいと思っているんですが、よろしくお願いしたいと思います。
 終わります。

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