日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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命と暮らしを脅かす高市政権の姿勢追及 政治とカネ・消費税・コメ・医療・大軍拡

2025年11月19日

                                                       2025年11月7日

 日本共産党の小池晃書記局長は6日、参院本会議で代表質問に立ちました。所信表明演説(10月24日)で「政治とカネ」の問題に触れず、首相就任前には検討していた消費税減税や法人税増税に背を向ける高市早苗首相の姿勢を追及。コメの価格保障、社会保障費の抜本的増額を求め、沖縄の米軍基地や大軍拡が国民の暮らしを脅かしていると訴えました。(関連記事全文


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(写真)質問する小池晃書記局長。奥前列は高市早苗首相=6日、参院本会議

 小池氏は、企業・団体献金禁止を公約していた日本維新の会と連立を組みながら「企業献金は必要」などと言うのは「(自維)双方とも二枚舌だ」と批判。「『国民の政治への信頼を回復する』というのが口先だけでないなら、企業・団体献金を全面禁止すべきだ」とただしましたが、首相は「(献金は)企業・団体の政治活動の自由にかかわる」と正当化しました。

 小池氏は、首相が「継承」を表明している故・安倍晋三元首相の経済政策「異次元の金融緩和」は、「富裕層・大口投資家を大もうけさせただけだ」と指摘。格差拡大と経済停滞を招いた誤りを認め、国民の暮らし優先の政策へ転換するよう要求しました。

 さらに、国内総生産(GDP)の半分超を占める個人消費を温めるために最も強力で即効性ある政策は、消費税の減税・廃止だと強調。「これより有効な物価高対策があるのか」と迫りました。また、インボイス登録事業者の4割超が消費税を「所得や貯蓄」から捻出している実態を示し、インボイス制度の廃止を求めました。首相はガソリン暫定税率廃止などの物価高対策を並べましたが、それらが消費税減税より有効か否かは説明しませんでした。

 小池氏は、21年総裁選時に首相が法人税率引き上げを提案していたと指摘。「総理になった今こそ従来の主張を実行に移すべきだ」と求めました。

 コメの価格高騰を巡っては、前政権が農政の誤りを認め増産にかじを切ったのに、高市政権は「需要に応じた生産量」へ逆戻りしたと批判。コメの価格保障と所得補償は不可欠だと主張しました。

 医療危機問題では、初再診料や入院基本料の10%以上の引き上げを訴える医療界の声に応えるよう要求。政府が検討している薬剤自己負担の見直しなどの患者の負担増は「国民の命と健康を脅かす」と警告し、国庫負担の増額を求めました。

 日米関係を巡っては、米兵の性犯罪や軍事演習の激化など「基地の苦しみは軽減どころか増大するばかりだ」と批判。日米地位協定の抜本改定、基地の縮小・撤去が政府の責任だと強調し、辺野古新基地建設計画の撤回と普天間基地の即時無条件撤去を求めました。首相は具体策も示さず「基地負担軽減に引き続き取り組む」と答弁。辺野古新基地は「問題なく建設可能」だと強弁しました。

 小池氏は、トランプ政権が日本に求めている軍事費のGDP比3・5%増で21兆円となり「安保3文書(22年)以前の実に4倍だ」と批判。政府がやるべきは、憲法9条を生かした平和外交だと強調しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 会派を代表して、高市早苗総理に質問します。
 総理が所信表明演説で、政治と金について一言も触れず、裏金議員を要職に登用したことに驚きと怒りが広がっています。この間の国政選挙の結果は、裏金問題への国民の厳しい審判だと考えていないのですか。
 自民党は、企業献金を政党本部、都道府県に限定するという、ごく限定的な公明党案すら拒否しました。公明党との連立よりも企業の金の方が大事ということですか。
 企業・団体献金の禁止を公約していた維新の会と連立を組みながら企業献金は必要なものなどと言うのは、双方共に典型的な二枚舌ではありませんか。
 国民の政治への信頼を回復するというのが口先だけでないなら、企業・団体献金を全面禁止すべきではありませんか。以上、答弁を求めます。
 アベノミクスの中心である異次元の金融緩和は、異常円安により輸出大企業に過去最高の利益をもたらし、巨額の緩和マネーを株式市場に誘導し株価を上昇させて、富裕層、大口投資家を大もうけさせただけだという認識はありますか。
 一方で、国民の実質賃金は抑えられ、格差の拡大と経済停滞を招きました。総理は、アベノミクスを引き継ぐのではなく、その誤りを認め、大企業、富裕層ではなく、国民の暮らし優先の政策へ方向転換すべきではありませんか。
 日本経済が失われた三十年と呼ばれる長期停滞に陥ったのは、働く人の賃金が伸びず、個人消費が低迷し、企業の生産活動も停滞したからです。この状況で国民の購買力を更に奪ったのが度重なる消費税の増税です。これが国民生活を直撃し、景気の停滞を決定的にしました。総理にはそうした認識がありますか。
 GDPの半分以上を占める個人消費を温める最も強力で即効性のある政策が消費税の減税、廃止です。今年五月には総理も、食料品の税率をゼロ%にするというのは一つの考え方だと、消費税減税は検討に値するとの認識を示されました。ところが、所信表明演説では消費税減税について一言も触れず、今日も、物価高対策としては内閣としてすぐに対応できることを優先すると述べましたが、具体的にはどのような対応ですか。
 我が党は当面一律五%に減税すべきと考えますが、消費減税より有効な物価高対策があるなら具体的に示していただきたい。
 インボイス制度を考えるフリーランスの会の調査では、インボイス登録事業者の四割超が消費税を所得や貯蓄から捻出し、一割超は借金して支払っています。政府は円滑な価格転嫁をなどと言いますが、取引排除や一方的な値下げが進み、価格転嫁などできていません。来年十月に軽減措置をなくせば、その困難は一層拡大、甚大となります。小規模事業者、フリーランスを守るためにも、インボイス制度は廃止すべきではありませんか。明確にお答えください。
 自民党は二〇二二年の与党税制大綱で、安倍政権下の法人税減税が賃上げ、投資のために意図した効果を上げてこなかったと指摘しました。総理も同様の認識ですか。
 ところが、それから三年間、法人税には全く手が着けられていません。総理は、四年前の総裁選時、法人税の租税特別措置の廃止、法人税率の引上げを提案しました。また、株の売却益、配当に対する金融所得税制も、逆進性が大きいとして税率引上げを提案しています。総理になられた今こそ、従来の主張を実行に移すべきではありませんか。
 米の価格高騰は、自民党農政が価格と流通を市場任せにし、農家に減産を強いる事実上の減反政策を続けて、生産基盤を弱体させてきたためです。
 前政権はその誤りを認めて増産にかじを切ったのに、高市政権の農水大臣は、需要に応じた生産量にすると逆戻りしています。
 これまでのように、生産者に需給バランスの責任を押し付け、政府の責任を回避するのですか。米の価格高騰を抑え、農家が安心して米作りに取り組めるようにするためには、価格保障と所得補償が不可欠ではないか。お答えください。
 総理は所信表明で、赤字に苦しむ医療機関や介護施設への対応は待ったなしと述べましたが、なぜ赤字になったとお考えか。これまでの診療報酬改定、介護報酬改定を高齢化の伸びの範囲内に抑え、賃上げや物価高に対応してこなかったからではありませんか。
 日本共産党はこの間、日本病院会や大学病院の関係者と懇談を重ねてきましたが、医療界はこぞって、診療報酬、とりわけ初再診料や長年実質据え置かれてきた入院基本料を一〇%以上引き上げないと医療の危機は打開できないと訴えています。この声に応えるべきではありませんか。
 総理は、OTC類似薬を含む薬剤自己負担を見直すとし、社会保障審議会では、高齢者の三割負担の対象者拡大なども検討されています。物価高騰の下での患者負担増は更なる受診抑制を招き、国民の命と健康を脅かすことになるのではありませんか。
 社会保険料はもちろん抑制が必要ですが、そのために医療や介護の給付を削減すれば、病気になったときに重い負担がのしかかります。総理はそれでもよいとお考えですか。
 日本医師会と病院六団体は、患者さんに適切な医療を提供できなくなるだけではなく、ある日突然、病院を始めとした医療機関が地域からなくなってしまうと警告しています。国民の命と健康を守るためには、社会保障に対する国庫負担の抜本的な増額が必要ではありませんか。以上、答弁を求めます。
 総理は日米首脳会談で、沖縄の米軍基地や日米地位協定の問題に一切言及しませんでした。国政の重要課題という認識はないのですか。
 一九九五年の少女暴行事件に抗議する沖縄県民総決起大会から三十年。その後も、相次ぐ米軍関係者の性暴力事件による女性の尊厳と人権のじゅうりん、繰り返される米軍機の墜落と昼夜を分かたぬ爆音、日米の更なる軍備増強と軍事演習の激化、有機フッ素化合物、PFASによる水や土壌の汚染など、基地の苦しみは軽減どころか増大するばかりです。県民が求め続けてきた地位協定の抜本改定、基地の縮小、撤去に取り組むことこそ政府の責任ではありませんか。お答えください。
 辺野古新基地建設は、政治的にも技術的にも財政的にも破綻しています。建設計画を撤回し、普天間基地を直ちに無条件で撤去すべきです。答弁を求めます。
 総理は、今年度中に軍事費を国内総生産、GDP比二%、十一兆円規模へ引き上げると表明しました。さらに、トランプ政権は日本の軍事費をGDPの三・五%にするよう求めていますが、これは二十一兆円と、安保三文書以前の実に四倍です。日米首脳会談で総理は、防衛費の増額に引き続き取り組むとトランプ米大統領に約束しましたが、このような大軍拡は、暮らしも財政も平和も破壊するのではありませんか。
 総理は、日米同盟の抑止力、対処力を高めると繰り返しますが、軍事力強化は相手の軍拡を呼び、結果的に軍事的緊張が高まり、戦争のリスクが増大します。そうした安全保障のジレンマに陥っているという認識はありますか。お答えください。
 政府がやるべきことは、国際法と国連憲章に基づく平和の国際秩序を守ることであり、日米軍事同盟の強化ではなく、ASEANと協力し、東アジアを戦争の心配のない地域にしていくための憲法九条を生かした平和外交ではありませんか。
 そのことを強く求めて、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣高市早苗君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(高市早苗君) 小池晃議員の御質問にお答えいたします。
 不記載の問題についてお尋ねがございました。
 自民党における旧派閥の政治資金報告書の不記載に関する問題により政治への信頼を損ねることになったことについては、自民党の総裁として国民の皆様に改めて深くおわびを申し上げます。
 自民党としては、国民の皆様の信頼をいただけるよう、政治とお金の問題には厳しい姿勢で臨み、ルールを徹底的に遵守する自民党を確立してまいるとともに、国民の皆様のために誠心誠意働き、成果を出し続けていくよう取り組む決意でございます。
 企業・団体献金の規制についてお尋ねがございました。
 企業・団体献金でございますが、企業、団体にとって献金は自らの政治的意見を表明するための重要な活動であり、憲法と最高裁判例により政治活動の自由の一環として保障されているものです。そのため、更なる規制の強化については、企業、団体の政治活動の自由に関わるものでありますので、必要性や相当性について慎重に議論する必要があると考えます。
 その上で、政治資金の在り方については、各党の成り立ちや組織のありよう、規模にも十分留意しながら、真に公平公正な仕組みとなるよう不断に検討していくことが重要だと考えております。
 この度の政権発足に当たりましては、我が党と日本維新の会との間で、企業、団体からの献金、政治団体からの献金、受け手の規制、金額上限規制、機関誌などによる政党の事業収益及び公開の在り方などを含め、政党の資金調達の在り方について議論する協議体を二五年臨時国会中に設置するとともに、第三者委員会において検討を加え、私の任期中に結論を得るとの合意を行い、国民に信頼される政治資金の在り方について検討していくことといたしました。
 今後、両党で合意した考え方に沿って検討を進めるとともに、御党を含む他党とも真摯な議論を重ね、政治改革の取組を進めてまいる所存です。
 アベノミクスについてお尋ねがございました。
 大胆な金融緩和を含むアベノミクスは、デフレでない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大し、企業収益の増加傾向にもつながりました。
 他方、その後、新型コロナウイルス感染症の影響で雇用状況が悪化したこと、いわゆる第三の矢としての民間投資を促す成長戦略の成果が十分でなかったことなども踏まえて評価する必要があると私は考えます。
 こうしたアベノミクスの評価も踏まえつつ、責任ある積極財政の考え方の下、戦略的に財政出動することによって、所得を増やす、消費マインドを改善する、そして事業収益が上がるという好循環を実現することにより、不安を希望に変える強い経済をつくってまいります。
 いわゆる失われた三十年についてお尋ねがございました。
 我が国の経済につきましては、一九九〇年代のバブル崩壊以降、低い経済成長と長引くデフレにより、企業は賃金を抑制し、消費者も将来不安などから消費を抑制し、結果として、需要が低迷し、デフレが加速するという悪循環が生じたものと認識しております。消費税だけを切り出していわゆる失われた三十年の原因について論じるということは適当ではないと考えております。
 また、消費税は、納税者の皆様に御負担をいただく一方で、福祉目的化されて以降、社会保障給付という形で家計に還元されているということにも十分留意する必要があると考えております。
 いずれにしましても、高市内閣では、責任ある積極財政の考え方の下、戦略的に財政出動することにより、不安を希望に変える強い経済をつくってまいります。
 消費減税より有効な物価高対策についてのお尋ねがございました。
 この内閣として最優先に取り組むことは物価高対策であり、暮らしの安全を確実かつ迅速に届ける必要がございます。
 早期に効果が見込まれる施策として、一人二万円から四万円の所得税減税、年末のいわゆるガソリン税の暫定税率廃止までの間、既存基金を活用した補助を年内から進めてまいります。
 加えて、所信表明演説でお示ししましたいわゆるガソリン税、軽油引取税の暫定税率の廃止、寒さの厳しい冬の間の電気・ガス料金の支援、地域のニーズにきめ細やかに対応する重点支援地方交付金の拡充、これは、困窮されている御家庭に対して地方から支援をしていただいてもいいという内容のものです。そして、医療機関や介護施設の賃上げや経営改善支援といった様々な施策も含め、策定中の経済対策に盛り込むことといたしております。
 消費税のインボイス制度についてお尋ねがございました。
 インボイス制度については、今の複数税率の下では、事業者が仕入れ税額控除において差し引く金額を正しく計算できるようにすることで消費税の課税が適正に行われることを確保するために必要であると考えております。
 法人税等についてお尋ねがありました。
 法人税については、近年の与党税制改正大綱において、法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ず、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、めり張りのある法人税体系を構築していくとされているものと承知しております。
 政府としましては、この与党税制調査会の御議論を踏まえまして、引き続き、法人税の在り方については検討してまいります。
 また、租税特別措置については、今般の自民党、日本維新の会の連立合意において、租税特別措置及び高額補助金について総点検を行い、政策効果の低いものは廃止すると盛り込まれていますので、政府としても適正化を進めるよう、関係大臣に指示をいたしました。
 金融所得課税につきましては、税負担の公平性のほか、貯蓄から投資への流れを引き続き推進し、一般の投資家が投資しやすい環境を損なわないようにするということも重要です。こうした観点を総合的に検討する必要があると考えております。
 米政策についてお尋ねがありました。
 国民の主食である米の安定供給は、食料安全保障の観点から不可欠です。そのためにも、生産者の再生産が可能で、かつ消費者にも理解が得られるような価格水準に落ち着いていくことが重要だと考えます。
 平成三十年から、国による個々の農業者に対する米の生産数量目標の配分は行っておりませんが、高市内閣としましても、輸出の促進や米粉の消費拡大など国内外の需要拡大に取り組みつつ、引き続き、生産者自らの経営判断により生産に取り組みやすい環境を整備するなど、米の安定供給に必要な取組を推進してまいります。
 直接支払を含む農業者への支援の在り方につきましては、新たな食料・農業・農村基本計画を踏まえ、令和九年度に向けた水田政策の在り方を検討していく中で、現場の実態を調査、検証し、議論を深めていく考えです。
 医療機関や介護施設の赤字と対応についてお尋ねがございました。
 診療報酬や介護報酬の改定は、これまでも、社会経済の変化や医療機関等の経営状況、医療・介護保険制度の持続可能性の観点などを総合的に勘案して決められてきました。
 こうした中で、近年、物価高騰や賃金上昇などによって経営状況に影響が生じていると考えています。国民の皆様の命を守り、安心して必要なサービスを受けていただくために、経営難が深刻化する医療機関や介護施設への支援は急を要します。
 このため、診療報酬、介護報酬について、賃上げや物価高を適切に反映させるとともに、報酬改定の時期を待たずに経営の改善や職員の方々の処遇改善につながる措置を講ずるなど、スピード感を持って対応いたします。
 患者負担の見直しによる影響や社会保障に対する国庫負担についてお尋ねがございました。
 社会保障制度を持続可能なものにしていくため、全ての世代で能力に応じて負担し支え合い、必要な社会保障サービスが必要な方に適切に提供される全世代型社会保障を構築することが重要です。
 このため、OTC類似薬を含む薬剤自己負担や高齢者の負担の在り方の検討を進めていくに当たっては、医療機関における必要な受診を確保し、子供や慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮しつつ、丁寧に議論をしてまいります。
 あわせて、国民の皆様が安心して必要なサービスを受けていただくために、診療報酬については賃上げや物価高を適切に反映させるとともに、先ほど申し上げましたが、報酬改定の時期を待たずに、医療機関の経営改善につながる措置を講ずるなど、スピード感を持って対応します。
 そして、人口減少、少子高齢化を乗り切るためには、社会保障制度における給付と負担の在り方について国民的議論が必要でございます。このため、国民会議を設置し、政府・与党だけではなく、野党の皆様も交え、丁寧な議論を進めてまいります。
 日米首脳会談におけるやり取り、日米地位協定や在日米軍等についてお尋ねがございました。
 先日、トランプ大統領は初の対面での首脳会談を行いました。日米同盟は日本の外交・安全保障政策の基軸でございます。同時に、日本は、米国にとり、インド太平洋における不可欠なパートナーでもあります。
 今回の会談では、沖縄の在日米軍施設・区域や日米地位協定については取り上げませんでしたが、日米同盟について幅広くかつ率直に議論を行い、大きな成果を上げることができました。
 その上で、在日米軍の円滑な駐留のためには、地元を含む国民の皆様の御理解と御協力を得ることが不可欠です。沖縄県を含む基地負担軽減に引き続き取り組んでまいります。
 普天間飛行場の辺野古移設についてのお尋ねでございますが、普天間飛行場については、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づいて、着実に工事を進めていくことが、その一日も早い全面返還を実現し、危険性を除去することにつながると考えております。
 その上で、普天間飛行場代替施設の建設事業については、有識者の助言を得つつ、十分に技術的検討が行われ、飛行場として問題なく建設可能なものであると承知しております。また、工事費については抑制に努めてまいります。様々な機会を通じて地元の皆様への丁寧な説明を行いながら、辺野古への移設工事を進めてまいります。
 防衛力強化と安全保障のジレンマについてお尋ねがございました。
 これだけ急速に厳しさを増す安全保障環境を踏まえて、我が国として主体的に防衛力の抜本的強化を進めていくことが必要です。そのため、まずは現行の国家安全保障戦略に定める対GDP比二%水準を前倒しして措置するとともに、国家安全保障戦略を始めとする三文書改定の検討を開始することとしました。
 今後、防衛力の具体的な内容、これを実現するための防衛費の水準については、我が国の主体的な判断の下、具体的かつ現実的な議論をしっかり積み上げてまいります。
 その上で、政府としては、社会保障や教育を含め、各種の施策も必要な予算を確保した上で防衛力の強化を進めていく考えであり、防衛力強化が暮らしも財政も平和も破壊するとの御指摘は当たりません。
 また、安全保障のジレンマを防ぐため、諸外国に対して自国の安全保障政策の具体的な考え方を明確にし、透明性を確保することが重要でございます。我が国の安全保障政策についても、透明性を確保しながら進めてまいります。
 地域の平和に向けたASEANとの協力についてのお尋ねがございました。
 現在、この地域においては、ASEANが地域協力の中心としての役割を担い、東アジア・サミットを始めとして、多層的な地域協力の枠組みが生まれております。我が国としては、引き続き、こうした枠組みに積極的に参画し、その強化に取り組みます。また、自由で開かれたインド太平洋の実現のためにも、アジア諸国を始め、幅広いパートナーとの連携の強化に全力で取り組んでまいります。
 ありがとうございました。(拍手)

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