日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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補助金・診療報酬支援を 医療機関経営危機で小池氏 参院財金委

2025年11月26日

                                            赤旗2025年11月21日 

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(写真)質問する小池晃書記局長=20日、参院財金委

 小池晃書記局長は20日の参院財政金融委員会で、政府がたくらむ医療制度の改悪と、医療機関の経営危機の実態を突きつけ、補助金と診療報酬引き上げの両面からの支援充実を求めました。

 小池氏は財務省の財政制度等審議会財政制度分科会(5日)の資料が、「年齢による自己負担割合の不公平を是正するため、70歳以上の患者自己負担割合を現役世代と同様に3割とすべき」としているが、資料では75歳以上の高齢者の1人当たりの医療費自己負担は、現行制度でも7・1万円から8・7万円と、現役世代の2~3倍にのぼっていると指摘。「75歳以上を『原則3割』などにすれば、不公平の是正どころか、不公平が拡大するのではないか」と追及しました。

 片山さつき財務相は「制度の所管は厚生労働省」だとしながら、「委員のご懸念の点も十分わかるので、厚生労働省としっかり議論を行う」と述べました。

 さらに小池氏は、「いま病院の7割が赤字で危機的だが、財政審での議論は、診療所の経営には余裕があるかのようになっている。しかし、診療所も4割が赤字で、ギリギリの経営を強いられている。このままでは地域から医療機関がなくなってしまう」と警告。片山財務相に「病院にも診療所にも、補助金と診療報酬の両面から手厚い支援をすべきではないか」とただしました。

 片山財務相は「医療関係者、介護関係者の収入にも直結する部分については手厚くという指示が総理からもあった。病院だけではなくて診療所も対象に入っている」と答弁しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 法人税について聞きます。
 与党税調も安倍政権下の法人税の減税が意図した効果を上げてこなかったというふうに繰り返し言っていますし、これまで政府も、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施していくというふうに答弁されてきました。片山大臣も同じ考え方でしょうか。
○国務大臣(片山さつき君) 法人税の引下げ競争ということも言われる中で、我が国でも二〇一〇年代に、投資や雇用、賃上げの促進等を図るために法人税率を二三・二%まで下げたわけですが、企業部門では収益が拡大したにもかかわらず現預金等が積み上がり続けており、こうした状況を転換させていかなければいけないと、こういうことが課題になっておりまして、近年の与党税制改正大綱においては、法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ず、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなどめり張りのある法人税体系を構築していくとされているということは申しております。
○小池晃君 ということだったはずなんですが、高市総理が予算委員会の私の質問に、法人税上げたら日本の企業が出ていってしまうと答えて、ちょっとびっくりしたんですよね。
 これ、資料を配っていますけど、これ政府税調の会合の資料ですけど、日本企業の事業拡大先の選択理由第一位は市場規模や成長性、税制面での優位性というのは最も少ないんですよね。だから、法人税上げたら日本の企業が出ていってしまうという議論には根拠ないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(片山さつき君) 日本企業の海外進出ですが、お示しいただいたアンケートを拝見しますと、税制のほか、市場の規模やその成長性、顧客企業の集積の状況ですとか進出先の政治や社会情勢など、本当に様々な要因が影響しているということが分かるわけでございますから、総理の御発言につきましては、アンケート結果にもあるんですが、法人税率というのは、その他の様々な事柄とともに、企業が海外進出する上で一つの考慮要素にはなり得るという趣旨で答弁されたというだけなんじゃないかなというふうに私は思っております。
○小池晃君 いや、あの答弁は一つの考慮要素じゃなくて、法人税上げたら出ていっちゃうと言ったんですからね。ちょっとこの認識は改めてもらうように大臣からも言ってください。
 それと、医療の問題聞きます。
 十一月五日の財政審財政制度分科会の資料では、年齢による自己負担割合の不公平を是正するため、七十歳以上の患者自己負担割合を現役世代と同様に三割にすべきだと書いてあるんですね。資料の二枚目にありますが、しかし、この資料の下の方に小さいグラフがあって、すごい見にくいんですけど、これ見ますと、後期高齢者、七十五歳以上の窓口での実際の自己負担というのは七万一千円から八万七千円なんですね。やはり現役世代に比べると、既に現行の制度でも二倍から三倍の負担をされているわけですよ、高齢者、七十五歳以上は。
 不公平是正するためと言うけれども、七十五歳以上を原則三割にしたら、不公平の是正ではなくて、更に不公平が拡大するんじゃないですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(片山さつき君) 財政審の資料で、いろいろ議論をいただいているものの中からお目に留まられてということなのかと思いますが、高齢者医療における負担の在り方については、まずはその制度の所管は厚生労働省でございますので、そこで今いろいろと適切に検討が進められており、それが進められていくものだと思うんですが。
 政府といたしましては、年齢だけにかかわらず、能力に応じて支え合うということを目指す全世代型の社会保障の理念というのがございますので、これにのっとってこれから社会保障制度改革を進めていくということが総理の御指示でもありますので、財審では今いろいろ議論もしておりますが、引き続き厚生労働省とはしっかり議論を行って、委員の御懸念の点も十分分かりますので、いきたいと思っております。
○小池晃君 懸念は分かるとおっしゃっていただいたんですけど、厚労省が決めるというんだったら、財政審でこんな資料を、私、じゃ、出すべきじゃないと思いますよ。厚労省にやらせればいいじゃないですか。厚労大臣は、原則三割というのは現実的ではないともう言っているわけですからね。やっぱりこれ、財政審でこんな議論を、資料を出して誘導していくこと自体、私、大変疑問なんですね。
 その点でいうと、さらに、資料の三枚目なんですけど、これ十一月、これ財政審の資料じゃなくて医師会の資料ですが、十一月十一日の財政審の資料では、医療法人の診療所の院長報酬が約二千七百万円となっているんですよ。そんなに多いのかなと思っていたんですが、日本医師会の資料によれば、中央値で見ると二千百六十万円、平均値よりもこれ五百万円低いんですね。さらに、最頻値は一千万円から一千五百万円ということで、平均値の半分以下なんですよ。かなり分布に偏りがあるんですね、開業医。実際の診療所というのは大変なところもたくさんあるんですよ。
 だから、私は、財政審は平均だけで出しているんですけど、やはり実態を正確に把握するためには最頻値あるいは中央値、こうしたものを重視すべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(片山さつき君) 確かに、委員御指摘のように、個々の施設、院長ごとに見ましたら相当ばらつきのある世界だなというのは日頃町中を回っておりますと分かりますし、医師会あるいは様々な団体が今回補正予算の議論においてもというか、経済対策の議論においても私どものところに様々な資料を持ってこられまして、それは全部財政部局の中ではしっかりと回して見させておりまして、先ほどから三百六十度と言っておりますから、一つの資料だけで何かということはないように財務省も転換しておりますので、そういうこともしっかり見ながらですが、平均を取るということがいけないということではないので、平均も一つの資料ですからこういう形で出てきたのかなと思いますが。
 いずれにしても、地域の医療を一生懸命支えていただいている、コロナのときも本当に頑張っていただいた診療所があるというのは、これはみんな分かっていることでございますから、そういったところが重点的に評価できるようなめり張りのある体系になっていければということで考えております。
○小池晃君 今日も、午前中も議論あったんですけど、病院も大変なんですよ。これは、大学病院も民間病院も公的病院もみんな、都会も地方もみんな大変なんですよ。
 しかし、診療所も大変なんです、やっぱりね。ところが、財政審の資料見ると、あたかも診療所には余裕があるかのように、そういったデータをいっぱい出してきて、これは診療所の報酬を病院の方に回しているんじゃないかなというふうに勘ぐりたくもなるような、そんな資料の出し方を財政審しているんですね。やはり、診療所も四割赤字です。経常利益率の中央値二・五%、最頻値は一%もないんですね。本当ぎりぎりのところでやっている。やっぱり、地域の医療を支えているというふうに大臣もおっしゃった、そのとおりだと思うんですね。
 やっぱり、この診療所も大変な経営危機の状態にある。で、やっぱり病院も診療所も、これは補助金と診療報酬の両面からやはり抜本的に支援をすると。何か診療所の方はもう余裕があるんだというような対応はすべきでないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(片山さつき君) 病院につきましては七割が赤字で診療所の四割も非常に苦しい状態というのも、これは伺ってというか了知しておりまして、予算委員会でも何度も総理の方からもこういったことを申し上げておりまして、今般、まさに今回の補正予算の伴う経済・景気対策の中でもこういう一番暮らしに直結する部分で、まさに医療関係者、介護関係者の収入にも直結する部分については手厚くという指示が総理からもありまして、私どももできる限りのことを今して最終調整状況にございまして、その中では、総理も予算委員会でお答えしたように、病院だけではなくて診療所も対象に入っておりますので、そのように御理解いただいて、しかるべき補正予算が出ました後にはまた御議論をいただければと思います。
○小池晃君 ちょっと今後の経過をこれは見ていきたいなというふうに思います。
 先ほどもありましたスルガの問題を取り上げます。
 このアパマンローン不正融資、これ、ひどい話なんですよ、本当に。自己資金も偽装、レントロールも偽装、通帳も偽装。で、これ第三者委員会の報告見ますと、不正が全くない案件は全体の一%あるかないかだと、偽装が一切ない案件は百件中あって一件か二件だと、こんな複数行員の証言もあるんですね。
 これ、今調停やっているんですが、調停の場にはスルガの側が持っている資料はほとんど出されていないんですよ。一切出されていないと言ってもいい。被害者本人が立証責任を負わされているんですね。これ、しかし、銀行と不動産業者が結託してやっていますから、なかなか証拠は残っていないんです、被害者側に。だからみんな苦労しているわけですよ。
 私、金融庁に言いたい。これ、スルガが持っている処分行員のリスト、少なくともこれは、やはり処分理由も含めて開示させるというように働きかける、金融庁として求めるべきではないかと思いますが、金融庁、いかがですか。
○政府参考人(石田晋也君) お答え申し上げます。
 スルガ銀行のアパート、マンション問題の早期解決に向けては、引き続き私たちとしてもしっかり取り組んでいかなきゃいけないと思っているところでございますけれども、ただいまお話ございました、まず行員名につきましては、基本的に個人情報保護法で守られる個人情報でございますので、基本的には慎重な取扱いが必要だと認識しております。また、処分行員リスト等の開示につきましては、このアパマン向け融資に係ります調停プロセスを念頭に置いたものというふうに承知しておりますけれども、この調停は元々債務者側の弁護団からの提起で二〇二二年から開始されたところでございまして、こうした裁判所における調停プロセスの中での進め方に関わるようなことに関しまして、私どもの行政の立場としてこれに関わるようなことは非常に難しいということを御理解いただければというふうに思います。
 その上で申し上げますと、私どもと金融庁といたしましては、スルガ銀行に対しまして、例えばこの調停の中で裁判所から示された判断等に対しましては誠実な対応を取るように強く促すとともに、同行の対応状況について随時引き続きしっかりフォローしていきたいと思っております。
○小池晃君 そういう対応をしていたから今まで遅れているわけじゃないですか、解決が。私、それじゃ駄目だと思いますよ。司法の判断の、司法の作業の中に直接介入することはできないかもしれないけれども、金融行政として、少なくともやっぱりこういう処分された行員のリストを出させてほしいというふうに被害者言っているんだから、そういった努力をすべきだということを私はスルガに言うべきだというふうに思うんですね。
 それから、もう一つ。六月の委員会で、当時の加藤大臣はこの委員会で、債務者に対する無理な支払督促は行われていないと認識しているが、今後とも、こうした無理な支払督促が行われていないかどうか、しっかりフォローしていきたいと答えているんです。大臣ね、加藤大臣こう答えているんですよ。しかし、国会が終わった後の六月二十六日に、スルガは調停中の被害者百七十八人に支払を督促する文書を送り付けているんですね。
 私は、調停終了までは、これは金融庁に聞きますが、やはり被害者への支払の督促、競売、債権譲渡、これ停止させる、少なくともそれはやるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(石田晋也君) 支払督促のことについてお話しさせていただきますけれども、このスルガ銀行から支払督促を行った理由といたしまして、この調停中のアパマン向け融資の債務者とはこれまで個別の接点というのが持てなかったところ、債務者の個々の状況を踏まえますと調停の長期化により問題の解決がより困難になるおそれがあるということ、このため、支払督促を行うことにより債務者と個別の接点を持ち、解決に向けて相談を行うこと、これにより問題の早期解決を図ろうというものと聞いております。
 これらの考え方によりまして、支払督促につきましては、調停での議論を踏まえ、裁判所によってスルガ銀行の不法行為が認められる可能性が低く、調停が成立する見通しが極めて乏しい案件であって、かつ、投資用不動産から一定の収益が得られている物件に対しまして、事案の早期解決を図るため、弁護団にも事前に通知の上、裁判所の手続に沿って行っているものと聞いております。
 また、スルガ銀行は、債務者に対して物件の任意売却や個別和解等の対話への呼びかけを継続しておりまして、対話等に応じていただける債務者に対しましては支払督促を取り下げるなど、柔軟な対応を取っているものと承知しております。
 金融庁といたしましては、引き続き、投資用不動産から十分な収益が得られていない債務者などに対しましては、無理な支払督促が行われていないか、しっかりと確認していきたいというふうに思っております。
○小池晃君 銀行の言い分を言っているだけですよ、これは。犯罪を、まあはっきり言って犯罪的なことをやったわけですよ。その銀行を擁護して、銀行の言い分そのものを言っているだけじゃないですか。これが金融行政なんですか、大臣。これでいいんですか。
 支払督促をしたから、それで対話の糸口になる、おかしいですよ。やっぱりそんな請求書来たら対話しようなんていうふうになりませんよ。もう怒っていますよ、この督促状来て。国会が終わった後、送り付けられてきた。報告徴求命令出た後で送り付けられてきた。みんな、何なんだというふうに怒っているんですよ。こんなやり方でいいと思いますか、大臣。
○国務大臣(片山さつき君) 今までもこれずっとこの委員会で議論がされたわけですけれども、スルガ銀行の経営陣に対しては、もう様々な機会を通じて、調停に切実に対応し、誠実に対応し、債務者との協議に真摯に応じるなど、適切な対応を求めてきたはずなんですが、求めてこれからもまいりますし、仮に調停外で当事者間の協議、交渉が進められることになった場合でも、スルガ銀行に対して、できる限り債務者の状況に寄り添った柔軟な対応を取るように促すのは当然ですし、今の件につきましては、私も細目の事実、何月何日何時に何があったということを金融庁の方から報告を受けた、経過を確認をしておりませんので、しっかりと対応をさせていただきたいと思います。
○小池晃君 これ克明に経過を聞いてください。ひどいですよ、これ、経過。
 これ、やはり事態の拡大には金融庁責任あるということは、私の質問に加藤大臣答えているんですよ。金融庁森元長官は、スルガを地銀の優等生だとまで言ったんですよ。本当に責任重大なわけですね。
 これ、最終期日、調停の最終期日、十二月十五日に迫っているとされています。私は、調停終わったらもう知りませんよというような対応は絶対にしてはいけないと思いますが、その点いかがですか。
○国務大臣(片山さつき君) 深刻な課題と思っておりますので、スルガ銀行が債務者に寄り添った対応を取るようにしっかりと対応をしてまいります。
○小池晃君 それは調停が終わった後でもということですね。
○国務大臣(片山さつき君) そういったことも含めてということでございます。できる限り寄り添った対応を取るようにしっかりと指導をしてまいります。
○小池晃君 これまでの投資詐欺事件というのは、資産を持っている人のその資産をだまして、そして不正に、被害に遭うという。今回の事案というのは、もう働き盛りのサラリーマン、ビジネスマン、あるいはお医者さんなんか多いんですよ。年代すごい若いんですよ。結局、このことによって、気付いたときには多額の負債を抱えているわけですね。だから、そういう意味では本当に絶望的になるわけですよ。だから、被害者の半分以上が自死を考えるとまで言っているんですね。
 大臣、これ本当にこのままだと絶望のふちに追い込まれると、そういう被害者がたくさん出てきますよ。その際に、やっぱり金融庁が責任果たしたのかということが本当に問われる事態になると思いますよ。今のような金融庁の対応では私駄目だと思います。
 大臣、これ全面的にこの問題の解決のために力を尽くすということを是非言っていただきたい。そういう深刻な問題なんだと。今までの金融、いろんな詐欺事件に比べても本当に深刻な問題なんだという認識ありますか。
○国務大臣(片山さつき君) 本日の委員会で、諸委員の先生方が貴重な御質問の時間の多くを割いてこの問題を御指摘されたことの重みをしっかりと受け止めております。
 実は私ども、自民党の方からも、今日、各野党さんからお話が出るということをかなりの方から伺っておりますので、そういう被害状況を聞いている者は与党側にもおりますので、しっかりと、今御指摘なさったような状況についての細目を金融庁の方でもしっかりと挙げていただいて、誠心誠意対応してまいりたいと思います。
○小池晃君 これ、今日、各委員も取り上げた問題です。やはりこの委員会でも徹底的にこの問題は、本当に政治の責任で解決しなければいけないというふうに思いますので、是非そういう扱いを、委員会としても是非、今後、委員会を持つとか集中審議を持つとか、そういったことも含めて是非御検討いただきたいと思います。
○委員長(宮本周司君) では、後刻理事会で協議をいたしますので。
 ありがとうございます。
 終わりです。
○小池晃君 終わります。

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