日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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2016年5月24日 厚生労働委員会 速記録<発達障害者支援法>

2016年05月24日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 LD、ADHD、アスペルガー症候群、ディスクレシア等で、発達障害を持つ方が抱えている困難、問題は見逃されやすいと。やはり周囲の理解、適切なサポートが不足しているという現状があると思います。
 そういう中でも最初に聞きたいのは発達障害者支援センターの現状なんですが、今日は資料をお配りしておりますけれども、発達障害者と家族が豊かな地域生活を送れるよう、関係機関と連携して地域における総合的な支援ネットワークを構築しながら相談、指導、助言を行っていると。しかし、これ、全国で八十七か所です。複数ある県もあるんですけれども、二十七県は一か所なんですね。
 これ、東京は世田谷一か所だけで、二〇一四年の数字で、相談支援・発達支援の相談が二千四百三件、相談支援・就労支援が三百三十二件、これ一か所でやっているというわけです。関係者の話では、もうほとんど電話が通じない、四十回掛けても通じなかったというような話も直接お聞きしているんですが、これは発達障害を早期に発見して発達支援を行う上ではやはり必要な施設だと思いますし、やっぱり身近で必要な支援を受けることができるように、大臣、これはもうちょっとセンター増やすべきじゃないでしょうか。どうお考えでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今御指摘のように、東京に一か所しかないというのは少し驚くところでございまして、この発達障害者支援センター、これ今もお話あったとおり、発達障害者の支援を総合的に行う地域拠点ということでつくられているわけでありますけれども、当事者あるいはその家族の相談に応じて適切な指導、助言を行う、学校などの関係機関等に対して発達障害について普及啓発、関係機関等の職員に対する研修を行うと、こういうことになっているわけでありますので、今回の改正法案では、都道府県は、発達障害支援センターに、地域の身近な場所で支援が受けられるよう配慮する旨の規定というのが設けられているというふうに理解しております。
 厚労省としても、地域生活支援事業の活用などを通じて、発達障害者支援センターの設置を含めて、地域における発達障害者の支援体制の整備を推進してまいりたいというふうに思っているところでございます。

○小池晃君 是非、この法改正をきっかけに更にこれ進めていただきたいと思うんですが、関連して、発達障害者支援法の改正で、発達障害者を支援する地域協議会の設置を新設するというふうにしているわけですね。これも都道府県指定都市が想定されているわけですが、やはり身近で必要な支援ということでいうと、都道府県指定都市ということではまだまだではないかなと。この地域協議会の設置についても、その要件等についてはこれは十分に今後運用の中で拡大していく必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今回の改正法案において新たに設けられる発達障害者支援地域協議会、今御指摘をいただきましたが、これは、地域の発達障害者の支援体制に関する課題につきまして情報共有をして、そして地域の体制整備について医療、保健、福祉、教育及び労働等の有識者が集まって協議をするというものでございます。
 このような協議の場の設置、運営につきましては、現在も障害者総合支援法の地域生活支援事業、これを活用して推進しているところでございますけれども、今後は、未設置の自治体について、七つあるわけでございますが、設置を推進をする、設置している自治体については支援体制の整備に向けた検討を更に進めるように促すということが重要だと思っております。
 厚生労働省としては、体制整備の遅れている自治体に厚生労働省職員や専門家が赴いて直接助言をすることとしておりまして、これらの取組を通じて身近な場所における支援にもつながるように努めてまいりたいと思います。

○小池晃君 就労支援についてもお聞きします。
 発達障害児者が地域でより良く生活、暮らしていくためには就労支援は非常に重要です。厚労省としても、特別支援学校などの就職について施策をもって支援を行っているというふうに聞いております。
 昨年、我が党の田村智子議員が文部科学委員会で高校での特別支援教育の体制整備の充実について求めて、文部科学大臣も更に進めていくと答弁しておりますが、現在、発達障害のある子供たちは特別支援学校等ではなくて地域の高校へ進学する場合が少なくないと聞いております。必要な手だてが行き届いていないという現状があるというんですね。
 学習、活動、生活圏内の身近な場所で就労支援を含めた必要な支援が受けられるように、文部科学省の特別支援教育コーディネーターなどとも連携をして、特別支援学校等以外の地域の高校でも、このような現状に鑑み、きめの細かい身近で必要な就労支援ができるように検討すべきではないかと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) この発達障害のある方々につきまして、障害特性によってコミュニケーションとかあるいは社会性に関する課題があるわけでございますけれども、就職に当たって専門的な支援が必要となる方もおられるので、普通高校に通う方についても特別支援学校に通う場合と同様に、ハローワークの障害専門の相談窓口において卒業段階での就職の支援を実施をしているところでございます。
 より効果的な就労支援を実施するためには、発達障害のある方が在籍をされている普通高校、ここで把握をしている障害特性などの情報を共有することなどが重要であろうというふうに思います。
 今後、文科省ともしっかりと相談もしながら、ハローワークと普通高校が発達障害のある方の就労支援を協力をしながら行うことができるように連携を推進してまいりたいと思います。

○小池晃君 是非進めていただきたいというふうに思います。
 岡山県倉敷市内の障害児者の保護者でつくるNPO法人ペアレント・サポートすてっぷというところがございます。これは発達障害だけではないんですが、保護者が気軽にくつろげる場所をつくって、自らの育児経験を基に悩み事などの相談にも応じているそうです。利用された発達障害のお子さんをお持ちの女性は、ここでは構えずに悩みを打ち明けることができる、気持ちが楽になったと。このペアレント・サポートすてっぷの安藤理事長は、子供の発達に不安を抱えながら懸命に頑張る保護者を同じ立場から応援したい、ここで肩の荷を下ろし元気になって帰ってほしいというふうにおっしゃっています。ここはカフェを置いたり、それ以外にもグループ相談の茶話会活動、それから「子育てハンドブック ひとりじゃないよ」というのを作ったり、保護者同士で交流して悩みを解消できるような保護者支援をやっているというんですね。
 発達障害児者に対して直接支援する団体には補助や支援があるんですが、このような保護者に対する支援を行う団体に対する支援がないというふうに聞いております。
 藤堂参考人にお伺いしたいんですけど、やはり親御さんは悩みや困難を抱えておられるというふうに思うんです。こういう保護者支援の団体というのは非常に重要な役割を果たしていると思うので、こういう団体に対しても国や自治体の支援が必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○参考人(藤堂栄子君) ありがとうございます。
 そういう取組は本当に大事な取組だと思います。
 孤独になりやすい保護者というのは多いですし、悩みを打ち明けるにも、分かっていただけない方に話してもしようがないということがございますので、先輩のお母さんたちに勇気付けてもらったり話を聞いてもらうというのはとても大事だと思います。
 多分、国が補助金とか出してしまうと、かえって、私自身の経験からいうと、息苦しくなって自由が利かないなという気持ちがございます。すごく事務手続が大変になって、必要でない仕事をしなくてはいけなくなってしまうということがあるかなと思っています。
 私たちが考える活動で必要なものというのは、やっぱり活動拠点、使いやすい活動拠点というのを無償で提供してくれるとか、そういうことはすごく大事だなと思います。だから、支援の仕方というのがいろいろあると思いますけれども、国としてはそういうこと大事だねと後押し、で、自治体それぞれの地域性というのがあると思いますので、どういう形で支援をするのがいいのかというのを親の会又は保護者の方たちと話し合っていただくといいなと思います。
 もう一つ、JDDネットでは、それぞれの例えば言語療法士だとか作業療法士、親の会、お医者様とか教育に関わっている方、いろんな方が集まっております。そして、地域でもそういう活動をしておりますので、そういう活動、エリア会員となってやっていただければ、そういう専門家たちの話も、心置きなく呼んで、お話を地域のこととしてできますので、地域の活性化にもつながるのではないかと思います。

○小池晃君 大臣、聞いていただいたので、保護者支援も是非、国の事業で、場所の提供とかいろいろ具体的な提案もありましたので、是非進めていただきたいというふうに思います。要望にとどめます。
 終わります。

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