日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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首相が露骨な政治介入宣言 学術会議任命拒否 “調整なかったから任命せず” 小池書記局長が批判

2020年11月09日

赤旗2020年11月7日付

写真

(写真)質問する小池晃書記局長(右)=6日、参院予算委

 日本共産党の小池晃書記局長は6日の参院予算委員会で、日本学術会議の会員任命をめぐって菅義偉首相が「推薦前の調整」がなかったことを任命拒否の理由に挙げたことについて、「『会員の選考と推薦の段階から政府が介入する』という宣言、『露骨な政治介入宣言』だ」「明らかな法違反だ」と厳しく批判しました。菅首相は、自身の発言の中身さえ説明できず、質問のたびに審議が中断。小池氏は、菅首相が今までの国会での説明を根本からひっくり返す議論を突然始めたとして「議論の大前提が変わった」「これまでの国会での質疑を最初からやり直すべきだ」と求めました。(関連記事)

 

参院予算委

 

 菅首相は5日の参院予算委で「(以前は)一定の調整が行われていた」「今回の任命にあたっては、推薦前の調整が働かず、結果として任命に至らなかった者が生じた」などと述べています。小池氏は、この菅首相の発言を引き、「どういう『調整』をしたのか」と追及。菅首相は答弁を渋り続けましたが、「任命にあたっての考え方をすり合わせた」と答えました。

 

 小池氏は、日本学術会議法が会員の選考と推薦は学術会議が行うと明記し、学術会議の職務は政府から独立して行われるよう保障していると指摘。「政府が(学術会議の)会員の選考や推薦に実質的にかかわることなど法に照らして断じて認められない」「政府との事前調整がなければ、推薦通りには任命しないというのなら、学術会議の独立を侵す、政治介入そのものだ」とただしました。

 

 菅首相は「推薦前の話であることは分かっている」と認めながら、質問に答えられず、何度も立ち往生。官僚が差し出す答弁書を、ただひたすら読み続けました。

 

 小池氏は「今までの説明は、学術会議の推薦名簿をそのまま認めるかどうかという話だったが、今回は、その名簿作成の以前に調整し、調整できなかったら任命拒否するという全くレベルの違う話だ」と強く批判。歴代首相は会員選考における自立性の尊重が、学術会議の独立性の担保になり、学問の自由を守ることになるという立場で任命にあたってきたこと、史上初めて人文社会科学系220余の学会が菅首相による任命拒否の理由の説明や6人の任命を求める共同声明を発表したことなどをあげ、任命拒否の撤回を強く求めました。

 

新型コロナ 支援継続・強化を

 

 新型コロナウイルス対策をめぐって小池氏は、「医療機関への支援が待ったなしだ」と指摘。「緊急包括支援交付金約3兆円のうち、医療機関に届いているのはいくらか」と追及しました。田村憲久厚労相は「3000億円」と答弁。小池氏は「菅首相は『3兆円の支援を行ってきた』というが、実際に医療機関に届いているのはその1割にすぎない」として、損失補てんを含めた医療機関への支援強化を求めました。

 

 また、コロナで売り上げが減った事業者に対する持続化給付金について、小池氏は「一回限りとせずに、コロナ収束まで事業を維持できるよう継続的支援を行うべきだ」と主張。財務省の財政制度等審議会の部会長代理が持続化給付金の継続について「新陳代謝が促される機会が奪われてしまう」と述べ、成長戦略会議委員に起用されたアトキンソン氏が「中小企業の数を現在の半分以下、160万社程度まで減らすべきだ」などと主張していることをあげ、菅首相の認識をただしました。

 

 菅首相は「創意工夫する企業を応援していきたい」などと答弁。小池氏は「コロナさえなければ、順調に経済活動ができる中小企業を『ゾンビ企業』呼ばわりして切り捨てるなど、言語道断だ」と批判。休業支援給付金、文化芸術支援の改善・拡充をあわせて求めました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 日本学術会議委員六名の任命拒否について聞きます。
 総理は、昨日、自民党の質問に対して、以前は内閣府の事務局などと学術会議の会長との間で一定の調整が行われていたと答弁されました。以前とはいつのことでしょうか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 今回でなくて、その前です。ですから、多分三年前だと思います。
○小池晃君 二〇一七年の半数改選時ということですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) ええ、そうです。
○小池晃君 以前と言うけど、一回だけだったということですね。
 一定の調整というのは何ですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) まず、一昨日に官房長官から衆議院の予算委員会において御説明をさせていただいています。
 人事のプロセスについては基本的には説明は控えさせていただいていますが、可能な範囲で申し上げれば、以前は、学術会議から正式の推薦名簿が提出される前に、様々な意見交換の中で内閣府の事務局などと学術会議の会長との間で一定の調整が行われていたと。ここは、一昨日、官房長官が申し上げたところであります。(発言する者あり)ちょっとお待ちください。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 菅内閣総理大臣。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 今、官房長官の件、私、失礼しました。
 十一月四日に、学術会議から正式な推薦名簿を提出する改選前においても様々な意見交換が内閣府の事務局と学術会議の会長との間で行われていた、そうしたやり取りを踏まえながら、場合によっては、補充人事や補欠人事という、いうんでしょうか、それが出されていなかったという場合もある、別に見送りをさせたというのではなくて、結果的に日本学術会議が推薦が行われなかった。まあ、こういうことを十一月四日に発言をしています。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 菅内閣総理大臣。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 一定の調整でありますけれども、任命に当たっての考え方を申し上げて意見交換をしたと。まあ、そういうことです。
○小池晃君 いや、意見交換だけじゃないでしょう。一定の調整でしょう。
 意見交換の結果、どういう調整をしたんですかと私は聞いているんです。
○内閣総理大臣(菅義偉君) これ、三年前の話ですけれども、ですから、任命に当たっての考え方を申し上げ、意見交換を行ったと。まあ、そういうことであります。
 内容については差し控えたいと思います。
○小池晃君 一定の調整の中身は全く答えていません。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 人事のプロセスの説明は差し控えますが、任命に当たっての考え方を申し上げ、その意見交換をしたと。そういうことだと思います。
○小池晃君 人事のプロセスだから説明を控えるということは、人事だから言えないということは、個別の人事に関わる調整をやったということですね。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 任命に当たっての考え方を申し上げ、意見交換を行ったということです。
○小池晃君 答えてない。
 だって、個別の人事だから答えられないと言ったんです。だったらば、個別の人事に関する調整やったんですかと私聞いているんです。答えていただきたい。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 個人の人事のプロセスの説明は差し控えますが、いずれにしろ、任命に当たっての考え方を申し上げ、意見交換を行ったと。まあ、そういうことです。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 菅内閣総理大臣。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 調整というのは、任命に当たっての考え方を申し上げる、意見を申し上げたということであります。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 菅内閣総理大臣。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 先ほどと同じでありますけれども、人事の、人事のプロセスの説明はこれ差し控えたいと思います。任命に当たっての考え方を申し上げ、意見交換を行ったということであります。
○小池晃君 まあ、いいや。
 あのね、私は、人事のプロセスだから答えられない、すなわち個別の人事に関わる問題だから答えられないというわけでしょう。ということは、この調整というのは個別の人事に関わる調整ですよね、イエスかノーかと聞いているんです。
○内閣総理大臣(菅義偉君) そこは個別とかそういうことではなくて、人事に関わるプロセスについてはお答えすることは差し控えさせていただきます。
○小池晃君 人事のことが問題になっているときに人事について答えられなかったら議論にならないじゃないですか。こんなの駄目ですよ。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 今議論していることは三年前のことですから、今回のことと違います。
 ただ、個人の任命の理由については、政府の機関に関する公務員の任命であり、通常の公務員の任命と同様に、その理由については人事に関することであり、お答えは差し控えさせていただきます。
○小池晃君 私は個人の人事の理由を一切聞いていません。一切聞いていません。この調整は何かと聞いているだけです。
○内閣総理大臣(菅義偉君) それは具体的にどのようなことか、そうしたことも含めて、お答えをすることは控えます。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) そうしたら、一回、もう一回答弁してもらいますから、自席に着いてください。
 菅内閣総理大臣。
○内閣総理大臣(菅義偉君) プロセスの説明は差し控えさせていただきますが、私自身が調整と言ったのは、任命に当たっての考え方であります。
○小池晃君 あのね、プロセスについて答えられなかったらこの議論成り立たないと思いますよ、私。プロセスが問題になっているんじゃないですか。
 で、総理は、今回の任命に当たっては、推薦前の調整が働かず、結果として学術会議から推薦された者の中に任命に至らなかった者が生じたと昨日述べているんですね。ということは、この一定の調整というのは、これは先ほど認められた個別の人事に関わる問題なんですよ。だって、個別の人事は答えられないと最初言ったんだから。
 この一定の調整というのは、すなわち名簿の一部を変更するということが含まれるわけですね。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 考え方の調整であります。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 菅内閣総理大臣。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 人事のプロセスの説明は差し控えますが、差し控えます。今後の人事に支障を来しますので、差し控えるということであります。
○小池晃君 あのね、御自分で一定の調整って言い出したのはそちらですよ。自民党の質問に答えたんですよ。で、答えた言葉を私は説明を求めているんですよ。それに答えなかったら、国会審議成り立たないじゃないですか。駄目ですよ、こんなの。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 私が昨日の発言の中で、内閣府の事務局などと学術会議の会長との間で一定の調整が行われた、任命に当たっての考え方が行われたということであります。
○小池晃君 任命の考え方を議論したわけで、調整でしょう。調整ということは、議論して何か動かすわけでしょう。だから、学術会議の方は、いや、こういうことを考えていますよと。で、それに対して政府の方は、いや、この人はちょっと困るなというようなことがあって、それでその名簿から外れるという経過があって初めて一定の調整になるんじゃないですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 考え方について議論をしたということであります。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 菅内閣総理大臣。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 一定の調整ということにつきましては、任命に当たっての考え方をすり合わせたということであります。
○小池晃君 あのね、考え方、議論したと、考え方をすり合わせたと、それだけじゃあるはずがないんです。
 だって、今回は調整、今回は……(発言する者あり)ちょっと静かにして。今回は調整できなかったから任命しなかったと言ったじゃないですか。だから、調整という行為があったわけでしょう、何らかの外形的な。だから任命しなかったわけでしょう。意見交換しただけのわけがないじゃないですか。
 一定の調整というのは、学術会議が提出しようとしていた名簿の中身を変更させるということのほかに何かありますか。それがなかったから今回は任命しなかったわけでしょう。そう言ったじゃないですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 今回は学術会議と何も行っていません。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 席に着いてください。
 それでは、質疑者にお願いを申し上げます。いま一度、総理に対して、質疑者の意図を込めた質問を再度お願いしたいと思います。
○小池晃君 すごく明確な質問をしていると思うんですけどね。
 いや、私は、今回は調整しなかったことは知っていますよ。しかし、今回は調整できなかったから任命しなかったと総理が言ったんでしょう。ということは、調整というのは、単に意見交換しましたと、意見をそれぞれ言い合いましたというだけじゃないでしょうと。調整した結果、何らかのことがあるから調整と言ったわけでしょうと。で、今回はその調整がなかったから任命しなかったと言っているわけでしょう。
 だから、調整というのは、そのやはり名簿を変更するという行為が調整ということになるじゃないですかと当たり前のことを聞いたんです。イエスかノーかで答えてください。
○内閣総理大臣(菅義偉君) まず、今回は調整を行っていませんので、そこはお答えすることは控えます。
 私自身が調整ということを申し上げたのは、任免に当たっての考え方をすり合わせる、そのことについて調整と申し上げました。
○小池晃君 だから、任命についての考え方を、まあ任命についての考え方を交換するだけが調整だとすれば、それをやらなかったから任命しなかったというのは成り立たないんじゃないですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 調整、推薦前の調整が働かずに、結果として学術会議から推薦した者の中に任命に至らなかった者が生じたということです。
 結果として、それに、調整を行っていませんので、お答えはできないということです。
○小池晃君 調整を行っていない意味の調整というのは何かと私聞いているんです。
 だから、それは、人事について名簿を変更することが今回できなかったから、学術会議が出てきた、から出てきた名簿について何らかの改変を加えることができなかったから、任命をできなかったと言っているんじゃないですか。そういうことでしょう。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 調整というのは、私先ほど来申し上げていますけど、任命に当たっての考え方をすり合わせるということです。(発言する者あり)
○小池晃君 今、総理はすり合わせたとおっしゃったんですね。じゃ、何と何をすり合わせたんですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) まさに、調整というのは、任免に当たって考え方をすり合わせたという意味でありまして、その人事に関することでありますので、そこは控えたいと思います。
○小池晃君 まあ、要は答えられないんですよ。やっぱり結局、個別の人事について協議をして、お互いに意見出し合って、それで、これは外した方がいいんじゃないかとか、そういったことをやったわけでしょう。今年はそれができなかった、だから任命を拒否したということを言っているわけですよ。
 学術会議法第十七条は、会員の選考と推薦は学術会議が行うと明記しているわけですね。法の三条では、学術会議の職務は独立して行われるとなっているわけですよ。これ、政府からの独立なんですよ。政府が委員の選考や推薦に実質的に関わることなどは、学術会議法に照らして断じて認められないことじゃありませんか。
 政府との事前調整がなかったから推薦どおりには任命しませんでした、そんなことを言い出したらば、まさに学術会議の独立を脅かし、政治介入そのものではありませんか。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(菅義偉君) まあ、いずれにしろ、先ほど来申し上げていますけれども、調整については、任命に当たって考え方をすり合わせたということであります。そして、これは三年前の話です。今年については行っていませんので、お答えできませんということを申し上げています。
 それと同時に、私ども政府として、推薦は学術会しかできないということは十分に承知しております。
○小池晃君 推薦する前に介入したんじゃないですか。密室で協議をして名簿を変えるように迫ったわけでしょう。それを学術会議側が協議に応じなかった、あるいは合意しなかった。で、一定の調整ができなかった。そうすると、今回のように任命を拒否することがあり得るんだと。
 これ、露骨な政治介入じゃないですか。あなた方がやったこと、そういうことなんですよ。そのことを認めますか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) まず、昨日の答弁で申し上げましたけど、いつも今回の任命の考え方について申し上げることですが、日本学術会議法の規定に基づき、任命権者が学術会議に求められる役割等も踏まえて適切に判断するという考え方について、毎回の任命で変わりません。学術会議が、日本学術会議法上、科学に関する重要事項の審議等の職務を独立して行うことが規定されておりますが、学術会議の会員の任命は、憲法第十五条第一項の規定の趣旨を踏まえ、任命権者である内閣総理大臣が日本学術会議法に沿って国の行政機関である学術会議の役割も踏まえて公務員に任命する、こうした任命権の行使が会議の職務の独立性を侵害することになるとは考えていません。
○小池晃君 それは今までも何度も何度も言ってきたことなんだけれども、今まで言ってきたことと今回言っていることは違うんですよ。今まで総理は、推薦された人をそのまま任命しなければならないというわけではないと。要するに、こういうこと自体、私、違法、違憲だと思いますよ。しかし、これは任命段階の話でしょう。
 ところが、今回の話は任命以前の話なんですよ。学術会議会員候補者の選考と推薦の段階の話なんですよ。段階が違う。そのことは認めますね。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 今回は、先ほど申し上げましたけど、その調整、任命に当たっての考え方のすり合わせ、これは行ってないということです。ですから、昨日の答弁でも申し上げましたように、これはいつも今回の任命の考え方について申し上げることですが、日本学術会議法上の規定に基づき、任命権者が学術会議に求められる役割等も踏まえて適切に判断するという考え方については毎回の任命で変わっていません。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 菅内閣総理大臣。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 推薦前の話であることは分かっておりますが、これはいつも今回の任命の考え方について申し上げていることですが、日本学術会議法の規定に基づき、任命権者が学術会議に求められる役割等も踏まえ適切に判断するという考え方については毎回の任命でも変わりません。
○小池晃君 今回のことが推薦前の段階のことだということは認めました。
 その後、要するに、会員候補者の選考と推薦の段階で政府が意見を言えますと。で、政府が意見を入れられなければ任命しないこともできるということですね。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 任命に当たっての考え方を今すり合わせたということです。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 菅内閣総理大臣。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 推薦前の話であることは分かっていますが、任命についてのすり合わせを行ったということであります。任命、任命についてのすり合わせの考え方を伝えた、行ったということです。
○小池晃君 だから、私が聞いたことに全然答えていないんですよね。
 推薦前の話だということは認めたんです。要するに、推薦前の段階で政府が学術会議に意見を言えると。で、意見が、もし学術会議の方で意見入れられなければ、それは、もうそういう推薦が出てきたら任命しないこともあり得るということなんですねと。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 今申し上げましたように、考え方について、任命についての考え方についてその話合いをしたということです。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 取りあえず席に着いてください。席に着いてください。取りあえず座ってください。自席に戻ってください。
 加藤内閣官房長官。
○国務大臣(加藤勝信君) この間の経緯、総理と共有をしているわけでありますから、そして、先ほど総理答弁されたように、この推薦名簿が提出する前において、私どもの任命に当たっての考え方等について、学術会議側あるいは事務局を介してそれぞれ意見交換をしてきたということであります。
 それを踏まえて、当然、学術会議は御自身の判断で推薦名簿を出され、そして、その推薦名簿について、私どもは、従前総理が申し上げているように、まさに任命の考え方にのっとって判断をさせていただいた、こういうプロセスであります。
○小池晃君 いや、だから、僕が言ったとおりじゃないですか。会員候補者の選考と推薦の段階で政府は意見を言えますと、で、意見が入れられなければ任命をしないこともできると、そういうことですねと。そうでしょう。何で違うのか説明してください。
○国務大臣(加藤勝信君) ですから、あくまでも考え方を申し上げているので、こうじゃなきゃいいとか、こうでなきゃ駄目だとか、そういう話ではないわけでありまして、それを踏まえて正式な推薦名簿が出されてきた。それを踏まえて、そして、我々が考え方の、任命の考え方にのっとって任命をする、あるいは任命に至らない方が結果として出てきたと、こういうことであります。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) じゃ、席に着いてください。
 菅内閣総理大臣。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 今、官房長官が答えたことと一緒であります。
○小池晃君 あのね、総理なんですよ、総理。総理がこんなことでいいんですか。駄目です、今の。総理の言葉でしゃべってください。
○委員長(山本順三君) どうぞ質問を続けてください。(発言する者あり)
 菅内閣総理大臣。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 推薦前において任命の考え方のすり合わせを行った、それを踏まえて推薦名簿が出てきて、それを受けて任命の考え方に基づいて任命を行ったというプロセスであります。
○小池晃君 要するに、要するに、推薦前の段階で政府が意見を伝えて、それに基づいてすり合わせて、それで名簿ができてくる。介入なんですよ、これは。だって、そんなことは日本学術会議法のどこにも書いていないんですよ。
 これ、明らかな法違反、明らかな法違反。だって、日本学術会議法第十七条は、学術会議の会員の推薦、選考、推薦は学術会議が行うって書いてある。その名簿作りに政府が関わったということになるわけですよ。これは法違反。
 でね、今までの説明と全く違うんです。今までの説明は、学術会議の推薦名簿をそのまま認めていいのかどうかという話だったけれども、今回の話はそれ以前の、名簿作成以前に調整する、調整できなかったら任命拒否をする。全く違う話を突然昨日言い出したんですよ。で、自分で言っておきながら説明できなくなっているわけですよ。
 全く違う話をしていること認めますね。総理、あなたの答弁ですから、お答えください。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 任命の考え方は一緒です。
○小池晃君 任命の考え方ではありません。任命前の、推薦前の、その話を始めたのは昨日が初めてですね。そのことを認めてください。
○国務大臣(加藤勝信君) 昨日というのは二之湯委員に対する答弁ということだと思いますけれども、それ以前において私の方から、推薦の提出する前においても杉田副長官あるいは内閣府を通じて意見交換があったということはこれまで述べさせていただいて、総理はそうした意見交換の中でのすり合わせということを申し上げているにすぎないということであります。
○小池晃君 あのね、官房長官が言ったのは単なる意見交換です。総理が言ったのは一定の調整です。そして、その調整ができなかったらば、その調整ができなかったらば任命拒否すると。これは、これ初めて言ったでしょう。このことは初めてでしょう、一定の調整は初めてでしょう。調整ができなかったら任命しません、これ初めてでしょう。認めてください。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 一定の調整は初めてです、あの発言をしたのは。一定の調整というのは初めてです。ただ、調整ができなければ任命をしないとは言っていません。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) じゃ、席に着いてください。
 菅内閣総理大臣。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 一定の調整ということは初めてですが、それは任命の考え方のすり合わしという意味であって、前日に官房長官が意見交換などと答弁したものと同じであります。
○小池晃君 いや、全く違うと思います、これはね。だって、全然段階が違うんだから。段階が違うんだから。任命の問題じゃないんだから。推薦の問題なんだ。
 大体、総理は、最初は総合的、俯瞰的だと、次は多様性が大事だと。で、旧帝国大学の比率が高いと、私立大学の比率が低いと。で、実際の任命と矛盾するじゃないかと言われたら、個人の任命の判断とは直結しない。もう本当くるくるくるくる、ぐるぐるぐるぐる説明が変わって、ついに、会員の選考と推薦の段階から政府が介入します宣言を昨日やったわけでしょう。首振っているけど、そうですよ、これは。露骨な政治介入宣言ですよ。
 でも、これね、本会議の代表質問でも答えなかった、衆参の予算委員会でもこんな話は一切出なかった。昨日、自民党の質問になって初めて出てきた。
 委員長、予算委員会の基本的質疑、もう一回最初からやり直してください。議論の大前提が変わったんですから。その際には、杉田官房副長官には出席を求めます。
 続けて聞きます。
 総理は、今回の任命拒否は学問の自由を脅かすものではないと。総理の考える学問の自由とは一体何ですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 全ての国民に保障された基本的人権、特に大学における学問研究の自由、その成果の発表の自由、教授の自由を保障したもの、極めて重要な権利だと思っています。
○小池晃君 すなわち学問の自由というのは、個々の研究者の学問研究の自由だけではないという理解でよろしいですね。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 今申し上げたとおりです。
○小池晃君 いや、だから、今申し上げたとおりは私が言ったとおりですね。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 全ての国民に保障された基本的人権、特に大学における学問研究の自由、その成果の発表の自由、教授の自由を保障したもの、極めて重要な権利だと思っています。これです。
○小池晃君 いや、だから、個々の研究者がお勉強したり研究したりする自由だけじゃなくて、発表したり、あるいはその学者コミュニティーというものの中でいろいろ議論したりと、そういったことをきちっと、自律性、自主性を保障するということまで含めたものですねと、丁寧に聞いているんです。そういうのが学問の自由ですねと。いかがですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 特に大学における学問研究の自由、その成果の発表の自由、教授の自由を保障したもの、極めて重要な権利だと思っています。
○小池晃君 大学だけじゃないでしょう。例えば、学会の中での議論の自由、研究の自由、活動の自由、それを保障することも重要じゃないですか。
○委員長(山本順三君) 内閣法制局長官近藤正春君。(発言する者あり)
○政府特別補佐人(近藤正春君) 先ほど総理がお答えになりましたように、最高裁の判例等においてもやはり昔からの伝統的な大学という組織における学問の自由というのを重視しているということで、あくまでも学問の自由というのはやっぱり大学という組織に非常に着目して……(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 静粛に願います。
○政府特別補佐人(近藤正春君) 学問の自由は理解されていると思います。
○委員長(山本順三君) 今ほどの内閣法制局長官の件でありますけれども、政府特別補佐人として出席いたしておりますので、したがって、答弁を補佐するために出てくることは可能でありますので、その点よろしくお願いしたいと思います。
○小池晃君 通告していませんので、私、法制局長官にはね。
 私、一九四九年に日本学術会議創設された際に、吉田茂首相は祝辞で、時々の政治的便宜のための制肘を受けることのないよう高度の自主性が与えられると明言されたのは、やはりその学者コミュニティーの自律性、自主性を尊重することが、やはり個々の研究者の学問研究の自由を保障するためにも、これは絶対不可欠であるし、中でも日本学術会議というのは、科学、学問の見地から政府に意見を述べることを任務とするところなわけでしょう。だから、やっぱり政府からの独立性が最も求められる組織だと思うんですよ。
 総理、もう一回聞きます。
 憲法二十三条が保障する学問の自由には、個々の学者の研究内容だけではなく、学者コミュニティーの政府からの独立性の保障が不可欠である、中でも日本学術会議は法でうたっているわけですから、これはもうはっきり答えていただきたいんですけど、政府からの独立が極めて重要な組織であると。イエスかノーかでお答えください。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 学術会議は、日本学術会議法上、科学に関する重要事項の審議等の職務を独立して行うことが規定されている国の機関であります。(発言する者あり)
○委員長(山本順三君) 菅内閣総理大臣。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 国の行政機関なので、学術会議は、日本学術会議法上、科学に関する重要事項の審議等の職務を独立して行うことが規定されています。
○小池晃君 まあ当たり前の話をされただけなんですけど。やっぱり、最も独立性が保障されなければいけない組織だという認識を持っていないと、それじゃ駄目だと思うんですよ、僕は。やっぱりこれは発足当初からそういう目的で生まれて、それを任務としてやってきた、どんな政治的思惑があっても政府に対してきちんと物を言うというのが日本学術会議なんですよ。それを保障するのが政府の責任なんですよ。
 だからこそ、会員の選出方法を変更した一九八三年の国会で、当時の中曽根首相は、学問の自由について、問われてもいないんです、この質問は。質問されていないんです。問われてもいないにもかかわらず、あえて、政府の行為は形式的行為であるとお考えくだされば、学問の自由独立というものはあくまで保障されると、そう中曽根さんは答弁されたんですよ。それだけ学問の自由を重視していたわけですよ。
 総理は、これまで三十七年間、もう前例踏襲だとおっしゃるけれども、歴代総理は単に前例に従って何の考慮もなく任命行為を行ってきたと言うんですか。私は違うと思いますよ。中曽根首相を始め、やはり憲法で保障された学問の自由は極めて大事だから、だから、その趣旨を踏まえて、会員選考における自律性の尊重が学術会議の独立性の担保になると、そういう立場で私は任命してきたんだと思います。
 それなのに、総理はこの形式的任命を覆したんですよ。だから私は、総理がやったことは学問の自由を脅かすものにほかならないと、学問の自由の侵害だと申し上げます。学問の自由の侵害そのものじゃないですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 日本学術会議法上の推薦に基づく会員の任命については、憲法第十五条第一項に基づけば、推薦された方々を必ずそのまま任命しなきゃならないということではないという点については、内閣法制局の了解を得た政府の一貫した考え方であり、今回の任命も法律に基づくものであります。
○小池晃君 答えていない。今回の任命拒否は学問の自由を脅かすものではないですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 今、私が申し上げたとおりに、推薦された方々をそのまま任命しなきゃならないということではなく、その点について内閣法制局の了解を得た政府の一貫した考え方であり、法に基づいておるものであります。
 学問の自由は極めて重要な権利ではありますが、学術会議の会員の任命は、憲法第十五条第一項の規定の趣旨を踏まえ、任命権者の内閣総理大臣が日本学術会議法に沿って国の行政機関に所属する公務員を任命するものであり、個人の学問の自由との関係で問題になるとは考えていません。
○小池晃君 学問の自由ということについてこれほど軽い答弁はないと思いますよ。何かメモがなきゃしゃべれないような話じゃないでしょう。政治家としての憲法に対する考え方を披瀝するべきなんじゃないですか。それが全くない。
 戦前だって学問の自由は守ると繰り返してきたんですよ。しかし、どういう歴史があったか。
 一九三三年の滝川事件の際には、当時の文部省は、いかなる学説でも、それを研究することは自由だと、そうしながらですよ、滝川幸辰京大教授の講演内容が問題とされたんです。京都大学の教授会は、もしいっときの政策により教授の進退が左右されれば、学問の真の発達は阻害されると抗議をした。しかし、政府は、文部大臣が監督下の大学教授を任免できないことは不都合だと、そして休職処分にしました。
 一九三五年に天皇機関説の禁止を求める建議がここ参議院の前身である貴族院で審議された。本会議場で賛成討論に立った議員はこう演説しました。学問の自由というのはどこまでも絶叫いたしたい。けれども、我が国においてはその自由というものはある点において束縛せらるべきであると、せらるべきものであるということを私は自信いたしておる。そして、学説の代表者である美濃部達吉貴族院議員の著作は発禁処分とされ、美濃部氏は貴族院議員を辞めさせられ、公職から追放されたわけです。
 今総理が言ったこと、学問の自由は守るけれども、でも、全く同じじゃないですか。権力の側は、いつでも自由は守ると言いながら自由や人権を迫害してきたんですよ。菅政権がやっていることは戦前の政府がやった学問の自由の侵害と一体どこが違うのか。結局同じことやってるんですよ、今。私は、この危険性、そのことに警鐘を鳴らしたい。
 そして、今学者の世界で何が起こっているか。今日、史上初めて人文・社会科学系の二百二十の学会が、研究分野を超えて理由の説明と六人の任命を求める共同声明を発表しました。こんなことは日本の歴史でかつてなかったことですよ。みんな大きな危機感を持っているんですよ。
 総理、そういう危機感が今広がっていることをどう認識されていますか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 御意見として伺っています。伺います。
○小池晃君 私はね、これテレビで見ている国民はこの総理大臣でこの国大丈夫だろうかと思っていると思いますよ。あなたの行為そのものが答弁のやっぱり欺瞞性を示していると思いますよ、この任命拒否が。事態を解決する全ての責任は六人の任命拒否を行った総理にある。撤回を強く求めます。
 昨日、新型コロナ感染者が一日千人を超えました。徹底したPCR検査で陽性者を保護し、感染拡大を抑えるとともに、医療機関への支援は待ったなしです。
 日本病院会は、病院への支援が継続されない場合、地域医療を支える病院が経営破綻し、新型コロナウイルス対応が不可能になるのみならず、地域医療が崩壊する危険すらあると、そうしています。
 総理は私の本会議質問に、これまで三兆円の支援を行ってきたと答えましたが、厚労大臣、緊急包括支援交付金約三兆円のうち、医療機関にまで届いているのは幾らですか、答えてください。
○国務大臣(田村憲久君) 国直接執行分と都道府県の執行分があります。新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金という部分は、これは都道府県分だというふうに思いますので、この分は二・七兆円中、今三千億円という形、これ十月十五日であります。
 ただ、これは都道府県でのいろんな議会の手続等々もございます。そういう意味で、国の方から早く執行いただけるようにということを再三お願いをさせていただいております。今、順次交付をしていただいているというふうに認識いたしております。
○小池晃君 三兆円の支援やっていると言うけど、実際には医療機関まで届いているのは三千二百四十五億円なんですよ。一割しか届いていないんです。何でこんなに遅れているんですか。いつまでに三兆円届けるんですか。
○国務大臣(田村憲久君) 地方行政部分がございますので、執行していただくためには都道府県等のやはり議会での決定等々も必要でございまして、そういう意味では、なるべくそれを早くしていただくようにということでお願いして、今、順次交付をいただいておると思います。
 一方で、国直接部分の方も今回つくらさせていただいておりまして、例えば、新型コロナウイルス等々、発熱の救急の患者、こういう方々、これは周産期も含めてであります、小児科も含めて。こういうところに関しましては、やはり発熱ということでコロナかどうかというような分からないような部分もございます。
 それから、あと、発熱患者を受け付ける医療の現場、これ今お願いをさせていただいて、インフルエンザかコロナか分からないという形の中での対応をいただくように、都道府県知事にお願いをして整備をいたしていただいておりますけれども、ここに関しましても、国が直接、補助金として一定の数、仮に発熱者が来なかったとしても補償するという形の中で、これは国の方から直接交付をさせていただいておるという形であります。
○小池晃君 いや、いろいろ言ったけど、要するに、三兆円のうち三千億円しか医療機関に届いていないのを、二次補正ですよ、これ。プラス予備費ですけどね。いつまでに届けるんですかと。年末ですよ、もう。
○国務大臣(田村憲久君) ですので、今、各都道府県にお願いをして、都道府県がそれぞれの手続を踏んでいただいて、そしてそれぞれの医療機関等々にこれを交付いただくということでございます。
 もう再度お願いをさせていただいておりますので、そういう意味ではもう順次今交付をいただいておるというふうに我々も認識をいたしておるところでありますけれども、更に早くお願いをさせていただきたいというふうに思っております。
○小池晃君 田村さん、大臣になる前、私、何度かテレビで御一緒して、一次補正出たときにもうさんざん文句言っていたじゃないですか。これは不十分だと言って。意見一致しましたよね、大分ね。大臣になったら何か全然違うじゃないですか。
 大体、支援の規模、小さ過ぎるんですよ。だって、自民党の医療系議員団本部の第二次補正予算の試案は七兆円でしょう。医療分だけで六兆円ですよ。私、何でこんな、大臣になったら主張変えたんですか。こんな情けない話はない。
○国務大臣(田村憲久君) もう遅い遅いという議論は以前からございました。
 ただ、その執行の仕組みといたしまして、都道府県にお願いしている部分がございますので、これ交付金でございますから、そういう意味で私も、これはこのままではなかなか執行できないということで、改めて、十月三十一日だったというふうに、あっ、三十日だったというふうに思いますけれども、改めて早くお願いをいたしたいということを都道府県に改めての御依頼をさせていただいたわけであります。
 今、今、これを執行する中で、基本的に、例えば、中等症のコロナ患者の方々に対する対応としては診療報酬を倍、最大五倍まで増やしたりでありますとか、空床補償に対しては更に割増しをしてお渡しをするようにしたりだとか、いろんな工夫は前大臣から引継ぎを申し受けましてやっておるわけでございまして、これのしっかりとした支給状況、実態から見ますと、医療機関等々、耳鼻科でありますとか小児科は、八月はまだ七七・六%、前年同月比であります。耳鼻科が八二・一%でありますが、他の診療科においては、前年同月比、ある程度戻ってきております。
 そういう意味からいたしまして、しっかりとこの交付金等々を含めた三兆円、これを使って、まずは各医療機関にしっかりと対応させていただいて、その上で、そのときの状況を判断させていただきながら、場合によっては更なる対応を、必要があればそういうことも検討してまいりたいというふうに考えております。
○小池晃君 場合によってはじゃなくて、そういう場合なんですよ、もう。悲鳴が上がっているんですからね。今の支援では全く不十分だと。
 医療機関での冬の一時金の回答状況を見ますと、日本医労連加盟組合の八割近くで冬の一時金引下げの動きがあります。既に引下げ回答した四分の一で平均十万円以上の引下げです。最前線でコロナと闘う医療従事者のボーナスが引き下げられる、こんな理不尽あっちゃいけないと私は思いますよ。
 感謝と敬意を言うのであれば、やっぱり損失補填をして、ボーナスが出ない、引き下げられる、こういう事態を防ぐ、これが政治の責任じゃありませんか。
○国務大臣(田村憲久君) おっしゃられるとおり、医療機関が厳しいという中において最大限緊急融資というようなこともやってまいりました。
 そういう意味からいたしますと、ボーナス等々、これは夏のボーナスも一定程度影響が出てきておると、冬のボーナスに対しても大変心配だというようなお声をお聞かせをさせていただく中において、この二次補正等々、予備費も使っていろんな対応をさせてきていただいた、三兆円という金額を用意をさせて、これはまだ執行されていないという部分では早くこれが行き渡るように我々も各都道府県にはお願いしていかなきゃならないというふうに思っております。
   〔委員長退席、理事藤川政人君着席〕
 いずれにいたしましても、国が直接いろんな支援をする部分も含めて、今、各医療機関になるべく早く必要な資金が行くようにということを考えておりますが、補填ということも確かに、これは補填ができれば一番いいんですが、これ、個々の医療機関、御承知のとおりどれだけあるかということを考えると、その執行事務等々、なかなか対応が難しい。
 今回の都道府県からお渡しするだけでもこのような形になっておるわけでありまして、そう考えた場合に、やはり一定の出し方をさせていただいて各医療機関に資金がしっかりと回っていくような、その方が早いであろうと、まあこれでも今遅いわけで怒られておるわけでありますけれども、そういうことで対応させていただきたいというふうに考えております。
○小池晃君 損失補填だと時間が掛かるから、遅いからといってこうやって、結局遅いじゃないですか。一割しか届いていないんですよ。私はね、これは自助でも共助でもなく公助ですよ、まさに。損失補填、これを求めます。
 コロナで売上げが減った事業者に対する持続化給付金の執行状況を説明してください。
○国務大臣(梶山弘志君) 持続化給付金につきましては、昨日十一月五日までに約三百九十万件の申請を受け付け、約三百七十万件、約四・八兆円の給付金をお届けしたところであります。
 現在、当初の想定以上に足下の申請件数が増加しております。これを踏まえれば更に約三十万件程度の給付が必要となると想定をしておりまして、今回、十月三十日に三千百四十億円を追加で措置をすることといたしました。
 この追加で必要となる予算については、家賃支援給付金の給付が想定よりも少なくなる見込みであることを踏まえて、家賃支援給付金から持続化給付金へ活用するために必要額の流用を行ったということであります。
 引き続き迅速に支給をしてまいりたいと思っております。
○小池晃君 持続化給付金は売上げ減が五割以上という要件など問題点いろいろありますけど、やっぱり現場からは一息ついたと喜ばれていると思うんですね。私はこれ一回限りとしないでコロナ収束まで事業を維持できるように継続的な支援をやるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(梶山弘志君) 今申しましたように、まだ足下で何十万件か申請が出てくるということでありますけれども、こういった状況も踏まえて多層的な対策を講じておりますので、こういったものも御活用いただきながら、今後については引き続き内外における感染状況や経済の動向を注意深く見極めてまいりたいと思っております。
○小池晃君 東京商工リサーチの調査、九月も六か月連続で八割の中小企業が前年同月比で売上げ落ちているんですね。企業破綻が新型コロナに関連したものだけで二月以降六百九十件だと。七、八月と一旦減少していたのが、今ちょっと増え始めているというんですよ。やっぱり支援策の効果が切れ始めているんじゃないか。
 当面業績改善の見通しが立たない中で、過剰債務のままで手元資金が枯渇する、そういう中小企業が増えてくる、こういうこと懸念されるわけです。年末資金が枯渇してボーナスが払えずに、その結果個人消費が冷え込んでいくという悪循環になるんじゃないかと。業績の悪い企業は、今年度中にリストラしてしまおうと、今年のうちにやっちゃおうと、身軽になって来年度を迎えようと、そういう企業も増えてくる可能性があるんじゃないか。
 そういう中で、私は、今、来年に向けた次の一手が本当に大事なときに来ているんじゃないかと思うんですが、大臣、認識いかがですか。
○国務大臣(梶山弘志君) サービス業を中心に、地方においての中小企業で大変厳しい声も聞いております。
 そういったことも含めて、しっかり状況を見極めた上で、政府内で検討して対応してまいりたいと思っております。
○小池晃君 こうした中で、財務省が財政制度審議会に出した資料では、持続化給付金及び家賃支援給付金は予定どおりに終了すべきだというふうに言っています。財政審の部会長代理は、期限をずるずると先延ばしすると、本来はより良く新陳代謝が促される機会が奪われてしまうと。新陳代謝ですよ。倒産させろということでしょう。
 あのね、本来は弱るはずのない企業がコロナで弱っているわけですよ。そんなときに、新陳代謝を持ち出して潰す。これ、どうなんですか。経産省はこういう立場ですか。
○国務大臣(梶山弘志君) 従来から行っております資金繰りの支援も含めて、資本性の資金の投入も含めて、しっかりと資金繰りに対応してまいりたいと思っております。
   〔理事藤川政人君退席、委員長着席〕
○小池晃君 いや、新陳代謝を中小企業に求めるときなんですかと。
○国務大臣(梶山弘志君) 我々、企業に支援しているということは、その企業の存続と雇用の維持というものが一番大事だと思っております。そういう視点に立って、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
○小池晃君 成長戦略会議の委員に起用されたデービッド・アトキンソン氏、総理のブレーンは、中小企業の数を現在の半分以下、百六十万社程度に減らすべきだと。
 私は、コロナ禍の下で雇用の大半を担っている中小企業の再編を進めるようなことをしたらば、雇用情勢、一段と悪化させることは間違いないというふうに思います。総理のブレーンだと聞きます。
 私、今は中小企業の雇用を維持することを最優先にすべきときではないかと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) まず、アトキンソン氏に限らず様々な方から話を伺って政策の参考にしているところであり、お一人の意見をそのまま採用するわけではありません。
 感染症の影響により、中小企業を取り巻く状況は極めて厳しいという認識をしています。まずは持続化給付金や資金繰り支援により事業継続に全力を尽くし、その上で、私としては、中小企業政策については、小規模事業者の淘汰を目的とするのではなく、ポストコロナを見据えて経営基盤を強化することで、中堅企業へ成長し、海外で競争できるような企業を増やしていくことが重要だと思っています。
 あわせて、地域の経済や雇用を支える小規模事業者が持続的に発展をすることも重要だと考えています。このため、中小企業の経営資源の集約化による事業の再構築やデジタル化など、中小企業の生産性を向上させ、足腰を強くする仕組みを構築して創意工夫する企業を応援していきたいと思います。
○小池晃君 そういうふうにおっしゃるのであれば、財政審が言っているような新陳代謝を促すときだというのは反対だとはっきり言ってください。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 私は、今申し上げたのが私の考えです。
○小池晃君 だから、今言われたことは、財政審が言っている新陳代謝を促すときだと違うでしょう。
○国務大臣(麻生太郎君) いや、聞いてないのは知っていますけれども、指名されましたのでね。
 財政審というところも立派な意見を言う資格がありますので、それだけははっきり言わせていただければ。あの中の全部、一部だけ読まないで、ほかのところもよく読んだ上で聞いていただければと思います。
○小池晃君 じゃ、聞きますけど、全部読みましたよ、一応ね。全部読んで、ここが一番気になったんですよ、やっぱりね。
 大臣、大臣はやっぱりこういうときに中小企業に新陳代謝を求めると、大臣はそういう立場ですか。倒産させろということをおっしゃるんですか。私は、麻生大臣は違うんじゃないかと思ってあえて聞かなかったんですけど、そうなんですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 私どもは財政審に諮問している立場ですから、財政審の意見というのをそのまま、はい、ネグレクトというわけじゃありませんから、いろんな意見を聞くのは当然でしょう、私どもの立場としては、それを申し上げておるところであります。
○小池晃君 だから、やっぱり麻生さんとしてはやっぱりそういう立場だと、ちょっと違うんじゃないかというふうに思っているわけでしょう。そう言ってくださいよ。中小企業はもう淘汰のときだと、新陳代謝だと、潰せという立場とは麻生さん、違うでしょう。そうだと言うんですか。言ったらちょっと大変なことになっちゃうけど。
○国務大臣(麻生太郎君) 指名されましたので、御質問の途中ですけれども。
 私どもは、中小企業というのは、この国の地方という中に住んでいる立場だと、東京と違いますから、私は。地方に住んでいれば、中小企業、中企業、中堅企業というものがこの日本という国の経済の一番基幹だと思っていますから、その点に関しましては、元経営者ですから、中小企業の。
○小池晃君 それは分かりますよね。
 アトキンソン氏は小規模な企業は労働生産性が低いって、当たり前じゃないですか、大きいところはスケールメリットがあるんだから。そんなこと当たり前なんですよ。
 そもそも経済って、私、生産性だけじゃないと思いますよ。やっぱり多種多様な中小企業が多数存在する、それが次の産業を牽引するイノベーションを起こしていく、それが日本経済の牽引力になってきたんじゃないですか。中小企業が低利益になっているというのは、これ、大企業が中小に対して一方的にコストに見合わない取引条件を押し付けているから。しかも、こういうコロナで経済活動の自粛、縮小を求めているときに、コロナさえなければ順調に経済活動ができるような中小企業にゾンビ企業呼ばわりして、やっぱりこれを切り捨てるというのは私は言語道断だというふうに思いますよ。そういう議論を財政審で始めているじゃないですか。それでいいんですかと言っているんです。
 麻生さん、きちんと物を言ってください。
○国務大臣(麻生太郎君) 財政審にもいろいろ意見があるという話をしているんですよ。それだけのことです。
○小池晃君 まあ言いたいことは何となく分かりました。
 私たちは、持続化給付金を改善して継続するとともに、新たに地域や業種の実情に合わせた中小企業の事業を継続、維持するための地域事業継続給付金、そういう制度が必要なんじゃないかと思っております。提案しています。国がそのための交付金を地方に支給すると、こういったこともやっぱり地方によって、業種によって状況はいろいろ違うと思うから、一律なものでない制度をやっぱり今考えるべきじゃないかと思いますが、どうですか。
○国務大臣(梶山弘志君) 委員おっしゃるように、中小企業は多種多様、そして地域によってそれぞれの役割も違ってくる、また、その利益だけを追求せずに地域に貢献している企業もあると思っております。
 そういった中で、地方の自治体が中小企業に目を向けてくれることは私はいいことだと思っております。それらも含めて地方創生臨時交付金等が入っておりますけれども、そういったもので様々な事業対応の交付金というものが出ておりますけれども、それらについてはまた政府で考えていく必要があろうかと思っております。
○小池晃君 前向きに提案しているので、是非検討していただきたい。
 休業支援給付金について聞きます。労働政策研究・研修機構の調査で、コロナの影響による休業手当が支払われていない人はどれだけか、企業規模別に、数字も併せてお願いします。
○政府参考人(田中誠二君) 本年八月に独立行政法人労働政策研究・研修機構、JILPTが新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活への影響に関する調査、一次集計の結果を公表しております。
 同調査によれば、休業を命じられたことがあると答えた労働者のうち、休業手当の支払状況について、これまでのところ全く払われていないと回答した者は二四・〇%というふうになっております。企業規模別でございますが、同調査で、企業規模別ですけれども、同じ数字を企業規模別に分けますと、二十九人以下が三七・五%、三十人から二百九十九人が二二・三%、三百人から九百九十九人が一五・九%、千人以上が一六・四%、分からない、これは労働者に、個人調査ですので分からないという答えがございますけれども、三〇・八%というふうになっております。
○小池晃君 大企業でもやっぱり労基法で定められている休業手当が支払われていないという実態があるわけです。特にやっぱり大企業の非正規が深刻なわけですね。そして、休業支援金も予算の五%プラスアルファぐらいしか出ていないわけですね。
 これまでの不支給件数言ってください。
○政府参考人(田中誠二君) 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金、それから給付金の不支給決定件数は、十月二十九日時点で二万五百十六件でございます。
○小池晃君 二万件も言わば門前払いというか、支給されていないわけですね。これ、私、深刻だと思う。
 休業支援金の対象とする企業の定義も私問題だと思っていて、例えば飲食業の場合は、五十人以上だと大企業扱いになっちゃうんですね。対象外なんですよ。総務省の経済センサス見ると、そこで働く労働者は四十二万人。宿泊業では、百人以上の事業所は対象外になっちゃう、大企業だといって。そこで働く労働者二十万人。この二業種だけでも、少なくとも六十万人以上が最初から対象外になる。しかも、ここにはチェーン店などの数が入っていないんですね。
 厚労大臣、やっぱりこれだけの人が請求すらできない仕組みになっちゃっているということ、これ見直す必要あるんじゃないですか。企業規模でこういう制約を加える、いいんですか。
○国務大臣(田村憲久君) 雇用調整助成金、特例で、御承知のとおり、雇用保険の適用されていない方々の範囲まで広げて今対応をお願いしているところであります。
 今言われたように、大企業でもいろいろあるじゃないかというお話でございましたが、一応これ、我々としては中小企業基本法の定義にのっとって対応させていただいておりまして、そういう意味では、御本人が労働局等々に、こういう形で本来は我々払ってもらいたいのに払ってもらえないというようなことがあれば、それは企業の方に、是非とも雇用調整助成金等々の対象としてお支払をいただければ有り難いということで、要請の方はお願いをさせていただくというような形は取らせていただいております。
 いずれにいたしましても、大企業、中小企業という意味からすれば、それは中小企業、零細企業というものを対象に今回つくらさせていただいております、休業支援給付金の方は。でありますので、大企業に対しては、本来雇用調整助成金等々お支払をいただけるということで、我々としても特例も含めて助成の対象にさせていただいておりますので、そちらの方でしっかりと企業としての御責任を全うしていただければ有り難いというふうに考えております。
○小池晃君 現実には、大企業だったって休業手当出ていないわけですよ、特に非正規は。それを最初にやったじゃないですか。
 やっぱり、今の大企業のこの、それは、何十兆円も何兆円もその内部留保があるところは、それは考えなきゃいけないと思うけど、私が今言った五十人、百人の一番傷んでいる宿泊業とかやっぱり飲食業とか、これを大企業扱いにされて除外されると、これでいいんですかと言っているんです。やっぱりもっときめ細かくちゃんと届く仕組みにしなければいけないでしょうと。
 野党は、企業規模にかかわらず休業支援給付金の対象にする、共同で法案も出しております。是非、これは党派を超えて、本当に今の苦境を救うための議論しようじゃないですか。総理、どうですか。総理、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 休業支援給付金をつくるときも実はいろんな議論がありまして、本来企業が果たす責任を果たさないということが起こるのではないかと、それをよしとするのかという議論もありました。しかし、そこはやはり中小零細なかなか手続等々踏めないというところがあるので、それに関してはやはりこういうものも必要であろうという形でこれを、まあこれは野党の方々の御意見もあったわけでありますけれども、最終的に仕組みをつくりました。
 一定程度、やはりそういう雇調金等々の事務ができるようなところはやはり企業としての責任を一定程度果たしていただくというのが本来であろうということでございますので、我々としては、相談があれば企業の方にもいろんなことを申し上げたいというふうに思っておりますが、まずはやはり企業がしっかりと対応いただく、そのために助成率の引上げも特例でやっておりますので、是非とも御協力をいただきたいということであります。
○小池晃君 ちょっとやっぱり現場の実態をもうちょっとちゃんと見てください。やっぱり現場の苦しみに応えるのが政治の責任ですよ。そういう議論をすることを呼びかけたいと思います。
 新型コロナの感染拡大によるライブエンターテインメント市場への影響について、どう把握されていますか。
○国務大臣(萩生田光一君) 民間企業の調査の結果なんですが、二〇二〇年のライブエンターテインメント市場規模は千三百六億円となる見通しであり、前年と比べ約八割の減少となるとの試算がございます。
 ライブエンターテインメントを含む文化芸術活動は、人々の心を癒やし勇気付ける大変重要なものであり、文化芸術活動の再開、継続、発展を力強く支援すべきものだと考えております。
○小池晃君 八割減、本当に深刻なんですね。
 今のはぴあ総研の試算ですが、ぴあ総研はスポーツも含めると一年間で二億二千九百万人の観客の足を止めたと言っています。多大な犠牲を払って感染拡大防止に巨大な社会的貢献をしたわけですよ。その損失補填は、私は政治の責任だと思います。
 文化芸術活動に対する継続支援事業の予算規模、そして支援の実施状況を御説明ください。
○国務大臣(萩生田光一君) 新型コロナウイルス感染拡大の影響により舞台芸術等の活動自粛を余儀なくされた文化芸術関係者や団体等に対し活動の継続に向けた取組を支援するため、第二次補正予算において約五百九億円を計上しております。
 文化芸術活動については九月三十日で第三次申請の期間を終了したところですが、これまでに約五万四千件の申請をいただいており、十月三十日時点で二万七千八百八十五件、合計百二十四億八千五十八万円の交付を決定しております。
○小池晃君 申請の半分しか採択されていないのはなぜですか。
○国務大臣(萩生田光一君) これは本当に私も申し訳なく思っているんですが、文化芸術活動の継続支援事業について文化庁として個人向けを含めた大規模な補助事業を実施したことが今までなかったということ、また、文化芸術に携わる人たちというのが、その本業といいますかね、それだけが主たる職業じゃなくて、いろんな形態で働いていらっしゃるということで、なかなかその線引きが難しかったということがあって、率直に申し上げて申請手続が分かりにくいという指摘を受けました。
 申請内容の円滑な確認に課題があったため、申請の参考となるモデル例の更なる追加などのウエブサイトの充実を図るとともに、事務体制の増員や事務処理の見直しなどによる業務の効率化と処理速度の向上に努めてきたところです。
 その上で、第三次募集において一次、二次を大きく上回る申請をいただいており、要件を満たす申請者を可能な限り採択するという観点から申請書類の修正等のやり取りに時間が掛かっておりますが、これまでの審査で蓄積されたノウハウをより一層生かし、今後は迅速な審査を図ってまいりたいと思っております。
○小池晃君 可能な限り、そして迅速に是非やっていただきたい。
 そして、これを補うものとして文化芸術復興創造基金つくられましたが、募金はどれだけ集まりましたか。既に支援活動をやっていますか。
○国務大臣(萩生田光一君) 文化芸術復興創造基金は、厳しい状況にある文化芸術活動を継続していけるように、民間からの寄附金を募り支援を行うために令和二年五月二十一日に創設されたものであり、本基金に対する民間からの寄附の受入れにつきましては、十一月五日時点で約七百十一万円です。
 あわせて、第二次補正予算では、文化芸術活動の再開に向けて、我が国の文化を支える担い手である実演家や技術スタッフの方々や文化芸術団体に対し、その活動継続や技術向上に向けた積極的な取組や収益力を強化するための取組等への大規模な支援を実施しています。
 まずはこうした政府の支援と民間の支援を総合的、効果的に組み合わせながら、官民で力を合わせて国民全体でコロナ禍であえぐ文化芸術を支えてまいりたいと思います。
 もう始まっているのかと言われれば、まだ始まっていません。
○小池晃君 始まっていない理由を言わないんですけれども、一千万円集まらないと始まらないんですね。半年たって一千万円集められないんですか。ある民間美術館は四時間で五百万円、クラウドファンディングで集めていますよ。これ、ちょっと情けなさ過ぎる。
 私は、総理、民間に頼っているからこういうことになるんで、自民党を含む超党派の文化芸術振興議員連盟は、民間の寄附とともに国庫から一千億円支出をして文化芸術復興基金をつくろうと提案をしています。まさに、自助、共助ではなく公助が必要ではありませんか。文化芸術の灯を消さないために、民間寄附に頼るんじゃなくて、国の責任求められていると思いますが、どうですか。
○国務大臣(萩生田光一君) 今般の第二次補正予算で先ほどから申し上げているような大規模な支援を行っております。こうした事業を通じて、まずは文化芸術団体の皆さんの元気を取り戻していきたいと思います。
 その上で、この財団は、以前にもちょっとお話ししましたけれども、通常この手の民間との団体をつくるときというのは、かなり大口の寄附を当て込んで組織をつくるんですけど、こういう混乱の中でつくったものですから、御指摘のように、今その募集状況は情けないような状況だと言われれば、甘んじてそのとおり受けなきゃならないと思います。
 まずは、例の五百三億円で、五百三億円でですね、団体の皆さんの支援をさせてください。その上で、今後この団体がそれに代わる団体になっていけるように、しっかりスキームをつくっていきたいと思っています。
○小池晃君 ちょっとね、それでは文化芸術に対する姿勢が問われると思いますよ。
 総理、文化芸術というのは国の宝じゃないですか。ヨーロッパでは、いや、これは生命維持装置だと、ぜいたくじゃないんだといって、全面的支援していますよ。そういう姿勢が必要じゃないですか、総理。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 政府としては、必要な支援が速やかに行き渡るように努めて、文化芸術を盛り上げていきたいというふうに思います。
○小池晃君 男女共同参画担当大臣に聞きます。
 第五次男女共同参画基本計画の策定に向けて意見募集が行われております。選択的夫婦別姓の導入についてどのような意見が寄せられていますか。特徴も含めてお願いします。
○国務大臣(橋本聖子君) お答え申し上げます。
 今、第五次男女共同参画基本計画策定に当たりまして行った意見募集におきましては、世代別にたくさんの意見がお寄せいただきまして、五千六百件以上、千七百ページに及ぶ意見が寄せられました。その中で、選択的夫婦別氏制度の導入を求める意見が多数寄せられた一方で、反対の意見というのはありませんでした。
 具体的な意見としては、改姓により論文などの研究実績のキャリアが引き継がれないこと、通称では二つの姓の使い分けが必要であり、本人、企業にコストが掛かることなど、女性活躍の妨げになっている。
 もう一つは、パスポートでは旧姓併記が可能となっておりますけれども、夫婦同姓を法律で義務付けているのは日本だけであるため、国際社会では全く通用がしないという件。
 そして、次に多かったものは、改姓、改姓を避けるために結婚を諦めることや、結婚を先延ばしにすること、事実婚を選択とする、子供を持ちづらいことなど、少子化の一因となっているという意見が寄せられました。
○小池晃君 いろいろな意見があるというけれども、全てが賛成の意見だったというわけですね。反対の意見はなかったというわけですよ。
 今あったように、夫婦で、法律で夫婦に同姓を強いているのは世界で日本しかありません。日本の制度は、言ってみれば強制的夫婦同姓制度ですよ。これ、やっぱり変えるときじゃないですか。
 大臣は記者会見で、選択的夫婦別姓を前向きに検討することは非常に前進だと考えてもらえるとお述べになりました。担当大臣として導入のために全力を挙げると。
 私、この問題で悩んでいる女性たちに希望を与えるような前向きの答弁、是非この場でしていただきたいと思います。いかがですか。
○国務大臣(橋本聖子君) 今ほど御紹介しましたように、選択的夫婦別氏制度については、これから結婚して家庭を築いていく若い世代の人たちを始めとして導入を求める意見が多数寄せられていたと、これは重要だというふうに思います。
 また、同計画の策定に向けて議論している専門調査会においても、少子化対策の専門家の委員から、選択的夫婦別氏制度がないために、一人っ子の女性を中心に、実家の姓が絶えることを心配して結婚に踏み切れない、あるいは結婚相手が見付からないという深刻な事態が起きている地方もあるという意見も指摘がありました。
 この問題については国民の間に様々な意見があるものと承知をしておりますので、我が国の深刻な少子高齢化を食い止めるために、国民、とりわけ若い世代の意見をしっかりと受け止め、十分に配慮する必要があるというふうに思います。様々な意見があるのと同時に、これからの若い世代の意見をしっかりと聞き、そして困っている方にしっかりとした対応をするというのも我が国において重要なことだと私は考えております。
 私としても、国民の皆様の声をしっかりと反映できるように、基本計画の取りまとめに向けた議論を着実に進めたいと思っております。
 以上です。
○小池晃君 やっぱりこれは前に進めるべき課題だと僕は思いますよ。
 世論調査の結果を見ても、だんだん、年々ですね、賛成増えてきている。特に若い世代は賛成が多い。しかも、これは人権の問題だから、世論がというよりはやっぱり人権の問題として考えるべきだと思うんですね、権利の問題として。
 法務大臣、九六年に法制審が導入を答申したとき、四本柱でした。選択的夫婦別姓のほか、女性の婚姻適齢の引上げ、女性の再婚禁止期間の短縮、婚外子への差別禁止、四つのうち三つは全て実現しました。残るは選択的夫婦別姓のみです。法制審の答申から二十四年、いよいよ導入に踏み切るべきときではありませんか。
○国務大臣(上川陽子君) お答えします。
 希望すれば結婚前の姓を名のれる選択的夫婦別氏制度の導入の問題については、我が国の家族の在り方に深く関わる事柄であるというふうに考えております。
 直近での世論調査でございますが、これは平成二十九年ということでありますが、これ、選択的夫婦別氏制度の導入につきまして、容認が四二・五%、旧姓・通称使用の法制化のみの容認が二四・四%、反対が二九・三%となっているところでございます。世帯、世代別に見ても、若い世代の皆さんの方の容認は非常に高くなっているというのも事実でございます。
 他方で、家族形態の、あっ、ということでありますけれども、いろいろ国民の間には意見が分かれているという状況にあるというのも事実でございます。家族形態の変化やライフスタイルの多様化、さらには社会への、女性の社会進出、また女性の活躍が進む中でございます。これらの社会情勢に十分配慮する必要があることも確かでございます。国会における議論の動向も注視しながら対応を検討してまいりたいと思います。
 ただいま橋本大臣から、男女共同参画基本計画、第五次ということでございますので、いろいろな御意見も通っているということでございますが、その内容につきましては関係大臣と調整しながらまた検討してまいりたいというふうに思っております。
○小池晃君 大臣は二〇〇一年十一月に、自民党議員有志として党三役に申し入れた。覚えていらっしゃいますか。内容は、一つ、選択的夫婦別姓制度導入に向けた民法改正について早急かつ徹底した党内議論を進めること、二つ、速やかに今臨時国会に当該問題についての閣法が上程され、審議に付されること、こういう申入れを、大臣、やられていますね。
 それから、二〇〇八年一月の財団法人市川房枝記念会出版部発行の「女性展望」に、上川陽子さん、私も選択的夫婦別姓については賛成で、そのために議員として活動してきました。政治家としての信念はと聞かれて、言行一致、つまり、言ったことには自分で責任を持つことが大切だと考えていますと。
 私ね、こういう信念をお持ちである政治家であれば、法務大臣になったらば、やっぱりそのために全力を挙げると。言行一致でやりましょうよ、言行一致でやりましょう、どうですか。
○国務大臣(上川陽子君) 私の個人として、政治家としてのこれまでの意見については、先生今御紹介をしていただいたとおりであります。
 この問題については、それぞれ家族の在り方についての考え方について様々な意見があるということで、世論調査におきましても、その意見の幅が表れているというところも確かであります。
 今回、第五次男女共同参画基本計画の中に、こうしたことについての調査を、意見的な、パブリックコメントでありますとかヒアリング等に応じて、特に若い世代の皆さんに聴取をしているということも事実でございます。
 そういう意味で、国会が非常に大事な役割を果たしていくというふうに思っておりまして、そうした動向も踏まえまして検討に当たってまいりたいというふうに思っております。
○小池晃君 総理、総理もこの二〇〇一年の自民党有志議員の申入れに名前を連ねていらっしゃることを覚えていらっしゃいますか。覚えていらっしゃいますか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) たしかそうだったと思います。
○小池晃君 それだけではない。二〇〇六年三月十四日の読売新聞、自民党内で別姓導入に理解を示す菅義偉衆議院議員は、例外制でも駄目ならもう無理という雰囲気になってしまった、しかし、不便さや苦痛を感じている人がいる以上、解決を考えるのは政治の責任だ。
 別姓導入を求めてきた方が総理になり、法務大臣になったんですよ。政治の責任を言行一致で果たすべきときではありませんか。総理、どうですか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 夫婦の氏の問題は、我が国の家族の在り方に深く関わる事柄であり、国民の間に様々な意見があり、政府として、引き続き国民各層の意見を幅広く聞くとともに、国会における議論の動向を注視しながら対応を検討してまいりたいというふうに思います。
 ただ、私は、政治家としてそうしたことを申し上げてきたことには責任があると思います。
○小池晃君 野党は選択的夫婦別姓導入の法案を出し続けています。党派を超えてこれ実現しましょう。
 終わります。

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