日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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データ書き換え 異常な隠ぺい コロナ対応、「敵基地攻撃」の危険 命・暮らし・平和守る政治こそ 参院予算委 小池書記局長が追及

2021年12月20日

赤旗2021年12月18日付

首相、はぐらかし繰り返す

 

写真

(写真)質問する小池晃書記局長=17日、参院予算委

 日本共産党の小池晃書記局長は17日の参院予算委員会で、国土交通省の統計データ書き換え問題など安倍政権以来の異常な隠ぺい姿勢を追及し、新型コロナウイルス対応、賃上げ政策、「敵基地攻撃能力」保有の検討など政府の対応の矛盾を厳しく指摘しました。国民の命・暮らし、平和を守る政治への転換を迫ったのに対し、岸田文雄首相は聞かれたことに答えず、はぐらかしの答弁を繰り返しました。(関連記事)

 

データ書き換え

 

 小池氏は、国交省が「建設工事受注動態統計」のデータを書き換え、二重計上していた問題について、都道府県に出した指示文書の提出を要求しました。斉藤鉄夫国交相は「その文書は知らない」としどろもどろに答弁。再三の追及を受け「もしあれば提出する」と答えざるをえませんでした。

 

森友問題

 

 さらに小池氏は「森友学園」問題について、公文書改ざんを強要され命を絶った近畿財務局職員だった赤木俊夫さんの妻・雅子さんが国を訴えた裁判で国が「認諾」し、真相隠しを図ったと厳しく批判。雅子さんの怒りの声を代弁し「会って謝罪、説明すべきだ」と迫りましたが、岸田首相は訴訟中を理由に「会うことには慎重でなければいけない」などと背を向けました。

 

病床削減

 

 国民の命と暮らしを守る問題では、喫緊の課題である新型コロナ対応などについて追及。政府が新型コロナ対応のための病床確保を言いながら、「地域医療構想」のもとで20万床もの急性期病床の削減計画を進めている矛盾を批判。一方で2015年からの20万床削減計画はほとんど進んでいない実態をあげ「自治体も住民も急性期病床を必要としているからだ」と、地域の実情にあわない計画の撤回を迫りました。

 

 しかし岸田首相は「構想についてしっかり考えなければならない」と述べただけ。小池氏は「医療提供体制に余裕がないと、感染症有事に備えられない」というのが医療界の一致した見解だと重ねて撤回を求めました。

 

賃上げ

 

図

出典:経済財政諮問会議(2021年5月14日)資料から小池晃事務所作成

 さらに小池氏は、「政府ができる賃上げが、最低賃金の引き上げだ」と強調。コロナ禍で広がる貧困と格差の克服のために全国一律の最低賃金1500円への引き上げを要求しました。

 

 日本の賃金水準は国際的にも低く、地域別最賃制度は世界の4カ国にしかないことをあげ、「狭い国土の日本であまりに不合理だ。地域格差是正というなら決定打が全国一律最賃ではないか」と指摘。政府の「賃上げ減税」は、中小企業には恩恵がなく実質賃金はマイナスだとして、「中小企業にとって法人税よりはるかに負担が重い社会保険料の事業主負担分を補てんすべきだ」と求めました。岸田首相は「効果がない」などと否定し全国一律にも「問題がある」などと強弁しました。

 

敵基地攻撃能力

 

 最後に小池氏は、岸田首相が所信表明では初めて検討を表明した「敵基地攻撃能力」について追及。相手国の領域まで乗り込んでミサイル基地をしらみつぶしに攻撃し、制空権を確保して地下施設も含めて大規模な攻撃を行うものだとして「全面戦争に発展する話だ。こんなものが憲法9条で認められるはずがない」と訴えました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 国交省の統計書換え問題についてお聞きをします。
 建設工事受注動態統計調査の改ざん、これは、業者に無断で調査票を書き換えさせるとか、過去分の実績を提出された月の実績に足し上げる、誰が見ても統計をゆがめる異常なものだと思います。
 先ほど大臣は国交省の指示で始まったと認めましたが、いつ、どなたが指示したのか、なぜこんなことを始めたのか、お答えください。

 

○国務大臣(斉藤鉄夫君) まず、改めまして、国土交通省が所管する統計調査におきまして、かつて不適切な集計方法が取られていたということについて心からおわびを申し上げます。
 平成十二年に開始された本統計について、かつて都道府県に対し、複数月の調査票がまとめて提出された場合に提出月の調査票に数字をまとめる等の修正をお願いしていたことは事実でございますけれども、どの時点から誰の指示で行っていたかという点については確認をすることができておりません。
 一方、平成二十五年に現在のように調査票の提出がなかった事業者について一定の受注があったものとして推計する方法を取るまでは、時期のずれは生ずるものの、二重計上が生ずるものではありませんでした。平成二十年からはまた二重計上という問題が生じておりますけれども、それもどの、誰の指示で行っていたかという点についてはまだ確認が取れておりません。
 いずれにせよ、これらの問題、総理の指示もございまして、統計の専門家だけでなく法律の専門家も加えた第三者委員会を私の下に立ち上げ、経緯や原因の検証を行い、一か月以内に取りまとめていただきたいと思っています。まずは、第三者委員会にしっかり検証をいただいた上で、その結果を踏まえ、統計委員会に報告し、再発防止及び政府統計の信頼性確保に向け、取り組んでいきたいと思っております。

 

○小池晃君 いや、第三者委員会という問題じゃないと思うんですよ。だって、これ都道府県に書換えを指示したんですから、これ、それを指示した公文書があるはずでしょう。担当者に聞けばすぐ分かるじゃないですか、当時の。何でやらないんですか。

 

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今、それも含めて、どういう経緯で、またどういう理由でそういう指示を行ったのか、この点についてもしっかりと検証をしていきたいと思っております。

 

○小池晃君 これ始まった頃というのは太田昭宏さんが大臣じゃないですか。その後ずっと公明党の大臣やっているわけだから、問い合わせればいいじゃないですか。すぐに分かるでしょう。
 これ、絶対にこの書換えを指示した文書ってあるはずですよ。なければ全国でこんなことやるわけないんですよ。これ出してください。

 

○国務大臣(斉藤鉄夫君) その平成二十五年前後の、そのなぜそういう指示を出したのか、指示を出したことは確かでございます。その経緯、理由、これは第三者委員会等できっちり精査をし、御報告を申し上げたいと思っております。

 

○小池晃君 文書のこと全く答えてないです。

 

○国務大臣(斉藤鉄夫君) そのどういう文書があったのか、またどういう経緯でそういう指示がなされたのか、これは大変ゆゆしき問題だと我々も認識しておりますが、そこはしっかりと、検証に堪えられるようなしっかりとした組織で検査をし、皆様にお示しを、示させていただきたいと思っております。

 

○小池晃君 全体像を明らかにしてくれと言っているわけじゃないです。第三者委員会で全面的に検討するんじゃなくて、まず、それ始まったときの文書は誰の名前で出したんですかと、その文書を出してくださいと言っているんです。誰の名前で出したのか、文書を出す、すぐできるじゃないですか。

 

○国務大臣(斉藤鉄夫君) その文書の存在も含めて、その検証委員会で、第三者委員会で調査をしたいと思っております。(発言する者あり)

 

○委員長(山本順三君) 斉藤国交大臣。

 

○国務大臣(斉藤鉄夫君) それらの文書があるかどうかも含めて、検証委員会できちっと報告をさせていただきます。

 

○小池晃君 文書ありますってさっき言ったんですよ。
 だから、当然あるでしょう、だって。なきゃおかしいでしょう。文書なしで都道府県に一斉にこんな指示できるわけないじゃないですか。当然あるでしょう。だから、それ出してくださいと言っているんですよ。

 

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 私自身、その文書を知りません。報道で、いわゆる文書ではない、その図というのは見ましたけれども、その真偽も含めて検証委員会で、文書の存在も含めてきちっと報告をさせていただきたいと思います。

 

○小池晃君 知らないって無責任過ぎませんか。これだけ大問題になっているんですよ。真っ先に調べるべきでしょう、こういうことを始めたときの。文書なしにやっていたら、それこそ大問題だ。
 あるに決まっているんですよ。それを出してくださいと言っているんですよ。約束してください。

 

○国務大臣(斉藤鉄夫君) その文書をしっかり捜してみますけれども、私自身、その文書を見ておりません。もしありましたら、提出をさせていただきます。

 

○小池晃君 もうね、極めて無責任だと思いますよ、この対応は。真相を解明する気がないのかと。反省とかと言うけど、全然反省していない。
 それから、毎月勤労統計の改ざんを受けて二〇一九年一月に一斉点検した。そのときに、何でこれは明らかにならなかったんですか。

 

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 平成三十年でいわゆる勤労統計が問題になったときに、統計委員会の指示を受けて国交省が所管する五つの基本的な統計について検査をいたしました。そのとき、三つ改めたところがあるわけでございますけれども、この受注動態調査につきましてはそのときにこの件はピックアップできなかったと、指摘されなかったと、上がってこなかったということでございます。

 

○小池晃君 なぜかと聞いたんですけど。

 

○国務大臣(斉藤鉄夫君) そのことも今調べておりますが、これも第三者委員会でしっかりと検証していきたいと思っております。

 

○小池晃君 駄目ですよ。これ第三者委員会というレベルの問題じゃないですよ。その以前の段階で、国交省として責任持って調べる、大臣が先頭に立って調べる問題じゃないですか。
 いまだにそれが分からない、こんな無責任なことで許されると思いますか。

 

○国務大臣(斉藤鉄夫君) もちろん国交省としてしっかり我々も調べておりますけれども、しかし、第三者性を持って説得力のある調査結果を出していきたいと、この意味で、総理から、統計の専門家だけでなく法律の専門家も含めた第三者委員会で徹底的に検証して、するようにと、こういう指示があったところでございます。

 

○小池晃君 あのね、総理ね、国交省から全て資料を出させると、そういう指示出してください。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど大臣の方からも、資料を調べて、あったならば提出するという発言があったと記憶しております。
 国交省においてもしっかり実態把握に努めることは大事だと思いますが、ただ、より国民の皆さんに納得してもらうために、第三者委員会での調査を私の方から指示をしたということであります。

 

○小池晃君 今みたいな資料すら出せないんだったら国民が信頼できるわけないんですよ。まずやるべきことはそこじゃないですか。持っている資料を出す、どういう経過か明らかにする、その上で第三者委員会で、どういう問題点があったのか、どういう責任があったのかを解明していくというのが筋じゃないですか。全くやっていない。それから、これだけ明らかな書換えを一斉点検で見落としている。
 総理ね、やっぱりこれ全ての統計もう一度見直すべきじゃないですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今回の、まずは今問題になっているこの国交省の統計について自ら調査をし、そして第三者委員会でも調査をし、原因、経緯をしっかり明らかにし、そして、その上で必要であればほかの統計についてもしっかり調査を行っていくと、これが順番だと思います。
 まずは今回の統計についてしっかり経緯や原因を明らかにし、再発防止のために何をしなければいけないのか、これを明らかにすることが第一歩であると思っています。

 

○小池晃君 一斉点検で見落としているんですから、この一斉点検が信用できないんですよ。だから全面的にやるべきだと。当然じゃないですか。それにも背を向ける。
 大体、こういう統計や文書の改ざんというのは安倍政権のときからある。桜を見る会の名簿はシュレッダー、自衛隊のイラク派遣日誌は隠蔽、裁量労働制のデータ改ざん、森友、加計問題での公文書改ざん、虚偽答弁。
 総理ね、公文書というのは、統計というのは、これは民主主義の基礎です。国民のための公共財です。政権の都合に合わせて改ざん、隠蔽することなど許されないという認識はありますか。そして、こうした安倍政権時代からの異常な体質に徹底的にメスを入れてうみを出し切るべきではないでしょうか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、公文書あるいは統計というものは、現在、未来の国民に対する政府の説明責任を果たすために重要なものであり、民主主義の根幹であると思います。
 こうした大切な統計あるいは文書に関する様々なこの不祥事についてしっかり反省し、二度とこうしたことが起こらないためにはどうしたらいいのか、これを真剣に考えていく。私の政府においてもしっかりそれを行っていきたいと考えます。

 

○小池晃君 しっかり反省し、二度と起こらないと、起こさないということの関係で、森友問題について聞きます。 赤木俊夫さんの妻、雅子さんが国を訴えた裁判。財務大臣、なぜこれまでの主張を突然翻して裁判を終わらせたんでしょうか。

 

○国務大臣(鈴木俊一君) まず、この度、国の責任を認めるに当たりまして、改めまして財務省を代表して、高い志と倫理観を持ち、真面目に職務に精励していた赤木俊夫さんに改めて哀悼の誠をささげますとともに、御遺族に対しては、公務に起因して自死という結果に至ったことにつき、心よりおわびを申し上げ、謹んでお悔やみを申し上げます。
 今回認諾をいたしました訴訟は、赤木氏が公務による心理的、肉体的負荷を原因として亡くなったことに関する損害賠償請求訴訟です。財務省としては、本年十月の口頭弁論期日において原告側の主張の全体像が示され、その内容も踏まえて方針を検討した結果、国の責任は明らかとの結論に至りました。
 したがって、いたずらに訴訟を長引かせることも適切ではなく、国の責任を認め、少しでも早く賠償を行うことが適切と考え、認諾、つまり国の損害賠償義務を認める判断に至ったものであります。
 真相究明につきましては、国としては訴訟の中で、これまでも裁判所の訴訟指揮に従いつつ、いわゆる赤木ファイルなど訴訟審理に必要な資料を裁判所に提出し、今般の認諾に際しましても、新たな資料の提出を含め、原告の求めに可能な限り対応するなど、できる限り丁寧な対応に努めてまいりました。このように、国としては誠意を持って本件訴訟に対応してきたと認識しております。
 また、情報公開に係る別途の訴訟に関しましては引き続き係属中でございますので、真相究明についても、裁判所の訴訟指揮に従い、今後とも真摯にその中で対応してまいりたいと思っております。

 

○小池晃君 法務省に聞きます。
 今まで国を被告とする民事訴訟で認諾したのは何件で、どのような事案でしょうか。

 

○政府参考人(武笠圭志君) お答え申し上げます。
 お尋ねの件につきましては、過去に請求の認諾をしました事案を網羅的に把握していないため、全てをお答えすることは困難でございますが、その上で、調査の結果判明した限りでありますが、今回の近畿財務局職員の御遺族が提起された国家賠償請求訴訟を除き、国を被告とする訴訟において国が請求の全部又は一部を認諾した事案としては、少なくとも四件存在することを確認しております。(発言する者あり)
 申し訳ございません。その概要でございますけれども、一つは、検察官が起訴後に接見に関する指定をしたことにつきまして損害賠償を求めた事案、それから海難事故の被災者の遺族等が遺骨の返還等を求めた事案、それから無罪判決を受けた元厚生労働省局長が損害賠償を求めた事案、そして、特定非営利活動法人が行政機関の保管する情報の公開に関する法律に基づいて開示請求をしました行政文書を開示しない決定につきまして損害賠償等を求めた事案でございます。

 

○小池晃君 最後の四件目は日米合同委員会の議事録の情報公開ですね。いずれも事案の詳細が明らかになるのを避けるためのものばかりなんですよ。
 訴状では、この裁判の第一の目的は、なぜ赤木俊夫氏が自殺に追い込まれなければならなかったのか、その原因と経緯を明らかにする点にあるというふうに書かれているわけですね。
 財務大臣、原告が求めた原因と経緯が明らかになったと思いますか。

 

○国務大臣(鈴木俊一君) 御遺族が損害賠償請求に併せて訴訟を通じて赤木氏の関与を含めた文書改ざんの真相究明などを目的としていることは、訴状などを通じて承知をいたしております。
 赤木氏の自死の経緯につきましては、訴訟において、国としても、これまでも裁判所の訴訟指揮に従いつつ、公務災害認定に関連する資料などを裁判所に提出し、今般の認諾に際しましても、自死の経緯について、国側としての認識をできる限り詳細にお示しした準備書面を提出するなど、できる限り丁寧な対応に努めてまいりました。
 また、今般の認諾によって、赤木氏が当時様々な業務に忙殺され、本省からの決裁、決裁文書改ざん指示への対応を含め厳しい業務状況に置かれていたことを自死の原因として、国としてその責任をしっかり認めたところでございます。
 このように、国としては誠意を持って本件訴訟に対応してきたところでありますが、現在、御遺族が国に対して提起された別途の訴訟が係属中であるところでありまして、引き続き、裁判所の訴訟指揮に従い、真摯に対応してまいりたいと考えてございます。

 

○小池晃君 今の説明だったら、業務が忙しかったから自死したということじゃないですか。じゃないでしょう。改ざんを強要されたから自死されたんでしょう。明確に言ってくださいよ、そこ。そこの責任認めているんでしょう。それ明確に言ってください。

 

○国務大臣(鈴木俊一君) 本件訴訟は、赤木氏が公務による心理的、肉体的負荷を原因として亡くなったことに関する損害賠償請求についての訴訟であり、国としてその損害賠償請求に応じる、応じるべき責任が存在することを全面的に認めたということであります。
 その上で、決裁文書の改ざん等の一連の問題行為については、佐川元理財局長が方向性を決定付け、近畿財務局の職員の抵抗にもかかわらず本省理財局の指示により行われたものであること、赤木氏の自死については、赤木氏が当時様々な業務に忙殺され、御自身も強く反発された本省からの決裁文書改ざん指示への対応を含め厳しい業務状況に置かれる中、病気休職、さらには自死に至られたものであることといった事実関係の大筋につきまして、国としては争うべき点はなくて、財務省としてもその責任を痛感をしているところであります。

 

○小池晃君 総理は今回の認諾という方針、いつ知ったんですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 十四日夕刻に損害賠償請求を全面的に認める旨、報告を受けました。

 

○小池晃君 私は昨日、赤木雅子さんと電話でお話をしました。総理は真摯に向き合うと言うけど、ならば、なぜ裁判の場で真摯に向き合ってくれなかったのか、証人尋問ということも今後求めたいと思っていた、裁判の打切りというのは真摯に向き合うやり方かと怒っておられましたよ。
 総理、この声にどう応えますか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、私からも、赤木さんが亡くなられたこと、そして、御遺族の思いを思うときに痛恨の極みであり、改めてお悔やみを申し上げる次第でございます。
 その上で、今回財務省から損害賠償の責任を全面的に認める、こうした報告を受けたわけですが、この件については、私は総理大臣就任から、就任したときから、森友問題について、裁判所の裁判指揮に基づいてできるだけ丁寧に対応するということを指示してきました。
 よって、今回報告を受けた際にまず確認したことは、この財務省の裁判所に対する態度でありました。今回の裁判において、まずは公務災害認定に関する資料、さらには、いわゆる赤木ファイル、これについては提出をし、真摯に対応してきたということ、さらに、今回責任を認めるに当たって、赤木さんが亡くなった経緯について、できるだけ、できる限り詳細に記載した書面、さらには御遺族が説明を求めた項目について新たな資料の提出も行った、こうした財務省の対応について確認をいたしました。こうした対応を行ったという報告を受けた次第です。
 そして、その上で、私の方から二点、財務省に指示を出させていただきました。一点は、先ほど財務大臣からもありましたように、御遺族とは、本件とは別に、別途訴訟が係属しています。この係属している訴訟についても引き続きしっかり丁寧に対応するということ、そして、森友学園問題については、今後も様々な場において真摯に説明をし尽くしていくこと、この二点を確認した上で、今回の件について承知をしたということであります。

 

○小池晃君 今日十六時に、赤木雅子さんは財務大臣に抗議文を届けると報道されています。赤木さんは、国に対して、俊夫さん亡くなったことを認諾したことについて謝罪すべきだと、認諾するようになった経緯や理由を説明すべきだとおっしゃっているんです。
 総理、説明を求められた場合は真摯に説明を尽くしていくと、衆議院でも昨日も述べられた。雅子さんに会って謝罪と説明すべきじゃありませんか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げたように、別途、訴訟が進んでいます。被告と原告の関係にあるということから、直接お会いすることについては私自身慎重でなければならないと考えております。

 

○小池晃君 じゃ、真摯に説明を尽くす、どうするんですか。御本人は全く納得していない、私も、多くの国民も納得していない。これに対してどう対応されるんですか。今の説明で納得しませんよ、雅子さんは。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申しましたように、あらゆる場を通じて説明責任を果たしていくよう指示を出した。私自身も、こうした国会の場等を通じて、様々な場を通じて説明責任を、様々な要求に応じて応えていかなければならないと思っております。

 

○小池晃君 口では説明責任を果たすと言うけど、具体的には何もしないじゃないですか。証人申請することに多分なったであろう人たち、こういう方々を国会に招致する、これ必要じゃないですか、総理。国会が決めることじゃ駄目ですよ。真摯に対応するんだったら、そういう役割を総理として果たしてください。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 私の立場からあらゆる機会を捉えて説明努力を続ける、これは今申し上げたとおりであります。ただ、国会の招致ということについては、これは国会が御判断することであります。私の立場から何か申し上げることは控えます。

 

○小池晃君 とにかくね、真摯にやると言いながら、結局具体的なことは全部否定するんです。これ、安倍、菅政権と同じじゃないですか。近畿財務局長美並義人氏、理財局総務課長中村稔氏、国有財産審理室長田村嘉啓氏、統括国有財産管理官池田靖氏、そして、当時ですけど、当時の理財局長佐川宣寿氏、以上五人の参考人招致を求めます。

 

○委員長(山本順三君) 後刻理事会で協議をいたします。

 

○小池晃君 オミクロン株について聞きます。
 これまで入国された方の中で、オミクロン株陽性が判明した方は何人でしょうか。そのうち、入国時には陰性で三日目以降に陽性が判明されたのは何人でしょうか。

 

○国務大臣(後藤茂之君) 十二月六日から十二月十二日までの間に入国された方で、検疫での検査で新型コロナウイルス陽性と判明した人数は八十九人。このうち、到着時で検査で判明した人数は六十人、三日目以降の検査において判明した人数は二十九人となっております。

 

○小池晃君 陽性者、オミクロンを含む陽性者の三割は入国時陰性なんですね。これ、空港検疫を擦り抜けている可能性があるわけです。厚労省、こうした実態についてどう認識していますか。問題点感じていらっしゃいませんか。

 

○国務大臣(後藤茂之君) 新型コロナウイルスには十四日間の潜伏期間があることから、空港到着時の検査で陰性であっても、その後陽性が判明するケースは一般的にはあり得るというふうに思います。したがって、全ての入国者の皆様に、仮に入国時の検査が陰性であっても十四日間の自宅での待機をお願いしまして、その間は公共交通機関を使わないよう要請しているところであります。
 また、オミクロン株の陽性が確認された場合には、同乗者全員を濃厚接触者として取り扱い、保健所と連携して定期検査や施設待機等の措置を講じるということにいたしております。

 

○小池晃君 それは分かるんですけど、三割が擦り抜けているという実態、ゆゆしき事態ではないですか。その認識です。

 

○国務大臣(後藤茂之君) 今申し上げたとおりだと思っておりますが、十四日間の待機、これは十四日間の潜伏期間があることからでございまして、今我々の運用としては、こうした運用でリスク管理の点から見ても対応しているところでございます。

 

○小池晃君 いや、その十四日間って言いながら、一日目、二日目に人と会っちゃって、それで市中感染の可能性出てきているわけでしょう。
 総理、やっぱり今の三割が擦り抜けているという、これ、現状何とかしないといけないんじゃないですか。総理の認識を聞きます。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) オミクロン株については、未知のリスクを持つものであるということから、慎重の上にも慎重を期さなければならないということで、G7の中でも最も厳しい水際対策を我が国として用意をさせていただいています。
 御指摘の点、今後、このリスクの度合いが明らかになり、また、この感染の状況を確認した上で、専門家の意見も聞きながら、適切に機動的に対応していくことは重要であると考えます。

 

○小池晃君 ちょっと何か余り危機感がないように思うんですね。
 ウイルス量少ない場合、抗原定量検査では、これは陰性になる場合はあり得ると、これもう常識です、これは。やっぱり三割が入国時に陰性だというのは、これはやはり憂慮すべき事態で、私は、より感度の高いPCRに切り替える、これはもう、せめてこのくらいは、もうこれは世界の先進国はみんなそうですよ。こうすべきじゃないですか、総理。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 空港での検査については、大量の検査を迅速に行わなければいけないという要請に基づいて、検査を進める際にどの検査方式が最も適切なのかという観点から、現状、この抗原定量検査、これを行っているところであります。
 もちろん、この抗原定量検査、判定難しい場合にはPCR検査で追加的に確実を期しているということであります。現状に、現実的に対応するためにこうした方式を取っていると承知をしております。

 

○小池晃君 私は、水際対策は限界あると思います。しかし、やっぱり少しでも擦り抜けを防いで国内での市中感染を遅らせるというのが政府の責任だと、ならば少しでも感度の高い検査に変えていくと、当然やるべきじゃないですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) もちろん、PCR検査自体、どんどんとその技術が進歩しています。大量に迅速に検査をするという要請に一致する、こうした技術の開発ができたならばPCR検査導入するということも検討すべきだとは思いますが、現状において最も大量に迅速に検査をする要請に応えられるのは今行っている方法であると認識をしております。

 

○小池晃君 空港にPCRの解析機を置けばすぐできる話なんですよ、これは。やっぱり、やるべきことをやっていない。このままだと本当に、岸田政権の水際対策が不十分で感染が早まったというふうに言われることになりますよ。これは見直すべきだということを申し上げたい。
 その上で、やっぱり医療体制の確立が待ったなしだと思います。厚労省に聞きますが、感染患者受入れの確保病床を公表されましたが、総数は幾らか、そのうち国立、公立・公的病院などの割合を示してください。

 

○国務大臣(後藤茂之君) 先般取りまとめました全体像におきまして、この夏に比べて約六千床増の約四万六千床の病床を確保いたしました。そのうち公的病院については、国立病院機構、NHOが約三千、地域医療機能推進機構、JCHOが約一千、そして、合計一万五千床であり、全体の三分の一ぐらいでございます。

 

○小池晃君 これだけの役割を果たしている公立・公的病院、四百三十もの病院を名指しで統廃合、地域医療構想の名で二十万床の急性期病床の削減。総理、パンデミック対策の逆行じゃないですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まずコロナ対応について、最悪の事態に備えて病床をしっかり用意しなければいけない、これはもう間違いないところであり、この夏の経験を踏まえて、今現在三万七千人が入院できる体制、これを確保したところであります。
 そして一方、御指摘のこの地域医療構想でありますが、当然のことながら、これは病床、病床の削減あるいは統廃合ありきではありません。より効率的な地域の医療を実現するために、地方自治体と連携しながらこうした体制を考えていくべき課題であると認識をしております。

 

○小池晃君 統廃合ありきでないというなら、四百三十の病院名指しにする、あるいは二十万床急性期病床を削減する、こういう数値目標を撤回すべきじゃないですか。

 

○国務大臣(後藤茂之君) 地域医療構想の下で四百三十の病院の視点が今申されましたけれども、これはそれぞれの地域医療構想の中で人口構造の変化や地域の医療ニーズに合わせて決めていただくことです。一定の基準で改めて検討をしていただく病院を数値的にお示しはしておりますが、そのことによりましてその地域、数値目標に従って統廃合をするということではございませんし、五十三万床の急性期の病院も、これもその数値、その数量を統廃合しろということではなくて、それぞれの地域において機能の分担をしていただくということで考えております。

 

○小池晃君 いや、それぞれの地域で考えるんだったら、数値目標要らないじゃないですか。それぞれの地方で決めて、それでやっていけばいいじゃないですか。何で数値目標が要るのかと聞いている。
 総理、今のじゃ駄目だから。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど来委員の方から数字を挙げておられますが、先ほども答弁させていただいたように、最初から数ありき、削減ありきではないと承知をしております。地域のニーズに合わせて、そして医療の質、高い質を維持し、なおかつ効率的な体制をつくる、これがこの地方、地域医療構想の基本的な考え方であると認識をしております。

 

○小池晃君 撤回しなければ、結局統廃合ありきになっちゃうんですよ、数があったら。実態、数も全然根拠がない。20211217パネル①
 二〇一五年の地域医療構想を策定した時点での急性期病床は、これ高度急性期も含めて七十六・五万床だった。それを、今話あったように五十三万床まで二十万床削減するという、そういう計画でしたが、その後の実態を見ると、七十三万床、七十一万床、七十万床、病床削減進んでいませんよね。理由を。

 

○国務大臣(後藤茂之君) これまで地域の医療関係者の皆様方には御尽力をいただいているわけでありますけれども、足下は新型コロナ対応等もありまして、関係者による協議が進んでいないという、二年間は進んでいないという点もあります。
 医療機能の再編に当たりましては、患者、住民の理解が得られるように丁寧に検討を進めることと、病床機能の転換をする場合にも、しっかりと転換後の機能に適応した医療従事者、そうしたものをセットで考えるということで、地域の様々な対応を我々としては求めておりますし、データの提供、地域医療介護総合確保基金による財政支援等もそのために行っているところであります。

 

○小池晃君 これ足下じゃないんです。この間の一貫した傾向なんです。五十三万床に急性期病院するのは無理ですよね、現実に不可能ですよね。お答えください。

 

○国務大臣(後藤茂之君) そこは、人口が徐々に減ってくること、また人口構成が……(発言する者あり)ええ、人口構成が変わっていくこと、そういったことを含めて、できる限り丁寧に地域と議論をしていただくということでございます。
 もちろん、それも二〇二五年の、あっ、済みません、聞かれていないのに答えてしまいました。二〇二五年を目標年としてやっている計画作業でございます。

 

○小池晃君 二〇二五年までに人口構造がそんな急激に変化するんですか。これ、どう考えたってこのトレンドだったら難しいでしょう。
 総理、厚労省は決めたところだから言えないのかもしれない。総理、政治家として、やっぱりこれは現実的にはなかなか難しい数字になってきていると。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げたように、数ありきではない、削減ありきではない、これが基本だと思っています。
 人口が減少していく地域において、地域のニーズに合わせて、なおかつ高い医療を維持し、そして効率的な医療を実現する、これが地域医療構想の基本であると考えております。

 

○小池晃君 急性期病床がなぜ減らないのか、ニーズがあるからなんですよ。やっぱり地域に必要なんですよ。だから、こんな計画作ったってそういうふうに進んでいないんです。
 しかも、コロナパンデミックは、医療体制の強化を、重要性を浮き彫りにした。日本医師会の横倉前会長は、コロナ感染拡大を受けて、何とかそれを持ちこたえることができたのは、そのスピードの遅さが良かったと理解している、我が国の医療提供体制は、ある意味で無駄に見えていたものが、今回の感染では非常に役に立ったとおっしゃっている。私、そのとおりだと思うんです。
 今の地域医療構想には、感染症対策、しかも全く仕組まれていない。これからもパンデミック繰り返しやってくると考えるべきだ。そのためには、医療提供体制には十分な余裕を確保することが必要だと思うんですよ。
 総理ね、国民の命を守ることが最優先であれば、今の病床削減計画は、これは見直すと明言していただきたい。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) こうしたコロナ禍の様々な状況も踏まえて地域のニーズというのは確認しなければならない。その際に、この自治体との連携は重要であります。自治体としっかり意思疎通を図りながら、現実どうあるべきなのか、これからこの地域医療構想についてもしっかり考えていかなければならない、このように思います。

 

○小池晃君 しっかり考えていかなければいけないと、だったら見直さなきゃいけないと思いますよ。そういう議論をやっていきましょう。
 医療提供体制に余裕がないと感染症有事には備えられないというのは、もう医療界の一致した意見ですから、是非そういう方向で進むことを求めます。病床削減計画は撤回をしていただきたい。
 それから、総理は、介護、保育などで働く人々の賃金を当面月九千円、コロナ医療に携わる看護師の賃金、月四千円引き上げると。しかし、コロナ対応しているのは看護師さんだけではない。ほかの職員にも配分、これしていい仕組みということになっていますから、一人当たりの賃上げ額というのは、これは限りなく下がっていくことになってしまうと思います。
 これ、ほかの分野でも同じで、野田大臣にお聞きしますが、私、都内で働く保育士の話聞いたんですけど、九十三人の園児を受け入れて、国の配置基準では保育士十人、実際にはそれ以上必要なので、パートも含めて二十五人働いていると。しかし、国のお金は配置基準分しか出ないから、手元に届くのは一人九千円ではなくて三千円程度だと。こういうことが起こり得る仕組みなんですよね。

 

○国務大臣(野田聖子君) お答えします。
 令和三年度補正予算案において、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、今お話あったように、保育士や幼稚園教諭等について、収入を三%程度、月額九千円引き上げるための措置を来年の二月から九月までの間実施することを盛り込んでいます。
 補助額については、これまでの処遇改善等加算と同様に、公定価格上の配置基準に基づいて算定することになりますが、他の職員にも一定の処遇改善を行うことができるよう、施設が独自に配置している職員も含めて柔軟に配分することを可能とする予定、つまり可能にしているわけですね。
 このために、今おっしゃったように、各職員個人の改善額にばらつきが生じる、生じ得るところですけれども、こうした点を含め、混乱なく実施できるよう、地方自治体、事業者に対して丁寧に説明をしていきたいと思っています。

 

○小池晃君 今私が言ったようなことが起こり得るということですね。

 

○国務大臣(野田聖子君) そう申し上げました。

 

○小池晃君 この保育士さんの月収は二十七万円。もう全く余裕がなくて、九千円では話にならないと本人はおっしゃっていますよ。九千円にもならないわけで、大幅賃上げということを言っておられます。
 元々日本は、医療、介護、保育などケア労働の労働者は、労働条件極めて劣悪だと。全労連、日本医労連などが医療・介護・福祉労働者五万四千八百六十六人にアンケートやっています。その結果、生活実感からの賃金不足額、平均で月四万二百八十五円。
 総理、一桁違うんですよ。やっぱりこの今の実態の切実な声に応えるべきじゃないですか、総理。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の賃上げについて、いわゆる公的価格と言われている部分について、国が責任を持ってこの今回の補正予算等を通じて引上げを行い、そして、その後、安定的にこの引上げを維持するために、年末、予算編成の中で財源をしっかり確保していきたいと思います。
 そして、足りないという話がありましたが、その後、こうした現場の方々の賃金引上げについては、公的価格評価検討委員会において議論を行い、年末までに中間整理を行い、それを踏まえて更なる引上げについても考えていきたいと思っております。

 

○小池晃君 看護師さんたちの強い願いというのは、人員を増やしてほしい、そして賃金を抜本的に引き上げてほしいと。
 日本の病床当たりの看護職員配置数は、OECD加盟三十五か国で三十位です。現在の看護師配置基準は、最高で七対一、患者七人に看護師一人。しかし、これは平均ですから、常に七対一ではありません。しかも、これだけでは対応できませんから、重症者の多い病棟の三割以上が五対一、六対一ということで実際は配置しています。
 集中治療室の配置基準は、患者二人に看護師一人。でも、実際は一・五対一以上になっています。しかも、コロナの患者には、人工呼吸器を装着していれば患者一人に看護師一人、ECMOを装着していたら患者一人に看護師二人というのが実態です。
 日本看護協会は、診療報酬改定して、高度な急性期医療を提供する病棟では五対一看護、これを加算を設けて、集中治療室では一・五対一看護を新設すべきだと提案しています。これが現場の切実な声。

 ところが、財務省は、診療報酬をちゅうちょなく下げようと。コロナ診療で頑張ってきた人たちにこんなひどい仕打ちはないと私は思う。財務省は、自然増五千四百億円あるから、これで医療従事者の二・五%の賃上げができるんだと言っている。

 厚労大臣、自然増というのは全て人件費に回せますか。

 

○国務大臣(後藤茂之君) 高齢化や医療の高度化による、いわゆる自然により、自然増により医療費は増えていくということになります。
 他方、これに伴いまして設備投資や増員等の費用も同時に必要になると考えられます。このうち、どの程度の賃上げなのか、どの程度の設備投資なのか、そういうことは医療機関により異なると思いますが、自然増で賃上げを全部賄えるのかという御質問に対しては、それは無理だろうと思います。

 

○小池晃君 なかなかいいこと言うじゃないですか。そのとおりなんですよ。これ、財務省の言っていることはフィクションの上にフィクションを固めることですよ、これは。あり得ない。
 医療というのはコロナ受入れの病棟だけで支えられているわけではありません。全ての医療機関がそれぞれの地域においてそれぞれの役割を分担する中で、全体として新型コロナ対応しているわけです。コロナ医療と通常医療の両立が可能な医療体制をつくる、そのためにきちんと診療報酬を充てていく、これが国民の命を守るためにはどうしても必要だと私は思います。もちろん、患者負担を下げるということも併せて私たちは要求します。
 自民党の国民医療を守る議員の会、十二月七日に総理に、診療報酬の大幅なプラス改定を求める提言を出されました。この議員の会長は加藤勝信さん、ついこの間までそこに座っていた人です。総理、加藤勝信さんと小池晃とが同じことを言っているんだから、これやるべきじゃないですか。当然これは今のコロナ対応で必要な手だてだと。是非、診療報酬、必要な手当てをするということを明言いただきたい。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) お答えいたします。
 診療報酬について御質問いただきました。
 診療報酬につきましては、物価、賃金の動向、医療機関の経営状況、あるいは国民負担等、様々な観点から議論しなければなりません。実際様々な御意見をいただいております。しっかりと予算編成過程の中で検討をしていきたいと考えております。

 

○小池晃君 党派を超えた声に応えていただけませんか。党派を超えた声に応えると。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 様々な声をいただいております。先ほど言った諸案を、諸点をしっかりと勘案しながら予算編成過程の中で検討いたします。

 

○小池晃君 コロナ禍で貧困と格差が広がっている中で、政府にできる賃上げが最低賃金の引上げです。
 これ、経済財政諮問会議に出された資料20211217パネル➁ですが、主要国の最低賃金水準は欧米などで最近引き上げられていて、コロナ禍でも引き続き引き上げられていて、日本の水準は国際的に低いと言われています。骨太の方針二〇二一では、感染症下でも最低賃金を引き上げてきた諸外国の取組も参考にして、感染拡大前に我が国で引き上げてきた実績を踏まえて、早期に全国加重平均千円と言っていたんですが、総理の答弁はこの間、この前段の感染症下でも最低賃金を引き上げてきた諸外国の取組を参考にしてと言わなくなっちゃったんですが、何でですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 済みません。答弁上、ポイントを、ポイントに絞って発言をいたしましたが、御指摘のように、骨太の方針二〇二一には、感染症下でも最低賃金を引き上げてきた諸外国の取組も参考にして、感染症拡大前に我が国で引き上げてきた実績を踏まえて、地域間格差にも配慮しながら、より早期に全国加重平均千円とすることを目指す、こう書いてあります。
 私もこういった趣旨で発言した次第であります。

 

○小池晃君 だったら正確に言ってほしいんですよね。これ、諸外国の取組参考にしてってすごい大事なんですよ。
 感染拡大前の我が国の実績だと大体年率三%です。実際に、今年の時給二十八円というのはその範囲なんです。昨年は一円しか上げていないんです。三%のペースだと、全国平均が千円超えるのは三年後です。今年最低の八百二十円が千円超えるのは七年後の二〇二八年なんですね。
 一方で、感染症下で引き上げてきた諸外国の取組、例えばイギリスは今年六・六%引上げ、ドイツは八・八五%引上げ。これ参考にして、例えば日本が七・五%引き上げたら、来年、全国平均は千円になります。
 私は、諸外国を参考にして、第一歩として、全国どこでも時給はせめて千円。総理、これ直ちに実現すべきじゃないですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 諸外国を参考にしながらも、各国とも経済状況は様々であります。我が国の来年度の具体的な賃上げについては、我が国の経済状況も踏まえながら、最低賃金法に定める手続にのっとって、厚生労働省の審議会で議論し、決定することになっています。こうした手続を経て我が国のこの賃金を確定したいと思っております。

 

○小池晃君 成長と配分の好循環、配分が大事だと言っていませんでしたか。これ、まさに配分の大事な面じゃないですか。これ、経済状況と言うけど、やっぱり、まずはやっぱり国民の暮らしですよ。そこを支えて、消費活発になってこそ経済は豊かになっていくと。私は、時給千円にとどまらない千五百円という目標を明確にしていくべきだし、そのために中小企業、これをしっかり支援すべきだと思いますが、それは後で議論したい。
 先ほど総理は地域間格差に配慮すると言いましたが、ちょっとパネル出していただきたい、地域間格差広がっていますよ。20211217パネル③十年で二倍以上。東京の時給千四十一円に対して、高知、沖縄は時給八百二十円、その差は二百二十一円です。時給二百円違えば、これフルタイムで働いた、働いたとして、年収で四十万円も違ってくる。
 総理、地域間格差に配慮しているとおっしゃったけど、違うんじゃないですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 最低賃金法では、各地域における労働者の生計費、賃金、企業の賃金支払能力を考慮して決定するとされています。
 御指摘のような地域間格差はあるわけですが、一方で、標準生計費を考えた場合、東京都は十二万六千円、沖縄県は九万七千円であります。こうしたこの違いもあるということも勘案しながら、それぞれ地域別最低賃金を決定することになっていると承知をしております。

 

○小池晃君 今総理、標準生計費持ち出したけど、厚労大臣、最低賃金の基準は標準生計費ですか。違うでしょう。

 

○国務大臣(後藤茂之君) まず、最賃を判断する場合には、労働者の生計費、賃金、通常の事業の賃金支払能力の三つで判断をいたします。生計費については、生活保護を下回らない水準となるよう配慮するという運用になっておりまして、中央最低賃金審議会では、生計費に関しては、生活保護のほか、各都道府県の人事委員会が作ります標準生計費等の資料を踏まえて公労使で議論をしているということでございます。

 

○小池晃君 だから、生計費の基準は標準生計費じゃないですよね、生活保護基準でもないですよね。

 

○国務大臣(後藤茂之君) 参考にして、しているということでございます。

 

○小池晃君 違うんですよ、基準じゃないんですよ。
 それで、実際でいうと、例えば鹿児島県労連が鹿児島県内の最低生計費の調査、実態調査やっている。二十五歳の単身者でアパートの家賃三万四千円、駐車場月三千円。これ、時給換算だと千五百八十四円です。八百二十一円で人間らしい生活、厚労大臣、できると思いますか。

 

○国務大臣(後藤茂之君) 今申し上げた生計費を考慮するに当たって、今のような基準で判定をいたしております。政府としては、最低賃金の全国的な引上げを行いまして、より早期に全国加重平均千円を目指していくということでございますが、現在のところ、こうした判断基準を持って、こういう基準で議論をいたしております。

 

○小池晃君 答えてない。
 こういう実態の中で、地方に行ったら生活掛からないって言うけど、家賃は安いかもしれないけど、公共交通機関は発達していませんから、交通費なんか物すごく、車代とか駐車場代とかお金掛かるんですよ。コンビニのおにぎりはどこ行ったって同じ値段なんですよ。公的料金は全部、全国同じなんですよ。コンビニのアルバイトのパート代はこれ最低賃金で違うのに、おにぎりは全部同じ。
 これ、自民党の最低賃金一元化議連はこれ一元化すべきだと言っていますよ。最低賃金水準が低い区分の地域では、最低賃金の引上げによって雇用が有意に増加して生産性も向上したと、これ内閣府がそういう調査している、これを基に全国一律最低賃金制を取る、を自民党の議連が提案している。
 世界でも、見てください、地域別の最低賃金制度を取っているのは、ILOによれば、中国、カナダ、日本、インドネシア、四か国。20211217パネル④世界の多数は全国一律です。総理、狭い国土の日本で四十七都道府県全部最低賃金が違うと、これは余りに不合理だと私は思う。やっぱり地域格差是正、地方創生と言うなら、決定打が全国一律最賃ではないかなと。これ踏み出すべきじゃないですか。総理、総理が手を挙げている。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員の方から今、全国一律の最低賃金、自民党の中でも議連があるではないかとおっしゃいましたが、議連もありますが、それに反対する考え方もいっぱいあるということも申し添えておきます。
 その上で、その上で、全国一律の最低賃金とすることにおいては、特に地方において中小企業を中心に人件費が増加する、経営が圧迫される、結果として雇用が損なわれる、こういったことにもなりかねない、これは慎重に検討する必要がある課題であると認識をしております。

 

○小池晃君 中小企業支援は、この問題では決定的だというのはそのとおりだと思う。
 何が必要か。これ見てください。20211217パネル⑤法人税と社会保険料事業主負担の、これ比べると、大企業では確かに法人税の負担の方が多いですね。負担が、の方がでもない、負担はかなり多い。しかし、中小・中堅企業では社会保険料が法人税の三倍程度、特に資本金二千万円以下の小規模企業では社会保険料が法人税の五倍。
 私は、中小企業支援をやる、中小企業の賃上げをやるというのであれば、これだと。実効性ある支援策として、これは日本商工会議所なども求めています。社会保険料の事業主負担をこれ補填する、これ真剣に検討すべきじゃないですか。それが一番私は実効ある賃上げ対策になると思いますが、総理、いかがですか。

 

○国務大臣(後藤茂之君) 社会保険料を引き下げることができればもちろん可処分所得は上がるわけではありますけれども、社会保険料の事業主負担分を単に公費で肩代わりするだけでは持続的な賃上げ、そして持続的な社会保障、持続可能な社会保障にはつながらない。
 そういうことで、今回、政府としては、幅広い国民の所得と給与を引き上げていくことを消費喚起、更なる成長を生み出すという成長と分配の好循環ということで、公定価格による呼び水、民間に御協力いただいた賃上げ、経済社会全体の雰囲気をつくる中で賃上げをしていく、そういう道筋で考えております。

 

○小池晃君 何言っているか全然分からなかった。
 何で社会保険料の事業主負担を軽減、軽減って、そこを穴空けるわけじゃないですよ、公費で負担すると、支援すると。だって、賃上げ減税で二兆円使って、ほとんど効果なかったじゃないですか。その二兆円をここに使うと、これが一番賃上げに効果的じゃないかと言っているんですよ。どうですか。

 

○国務大臣(後藤茂之君) 持続的な賃上げにつながらないというふうに申し上げました。

 

○小池晃君 なぜですか。

 

○委員長(山本順三君) 後藤厚労大臣。(発言する者あり)いやいや、いいですよ。どうぞ。もう指名していますから。

 

○国務大臣(後藤茂之君) 事業主負担分を公的に肩代わりするということだけでは持続的な賃上げは起こらないと思います。事業主負担分を肩代わりするだけだからです。(発言する者あり)

 

○委員長(山本順三君) 後藤厚労大臣。

 

○国務大臣(後藤茂之君) 単に事業主負担分を公費で肩代わりするだけでは持続的な賃上げにはつながらないというふうに申し上げております。(発言する者あり)それが、いや、それがまさに物の考え方そのものでございます。

 

○小池晃君 答弁書、答弁書出したじゃないですか、理由をちゃんと書いたやつを、なぜ持続的にならないのかと。それを言ってくださいよ。

 

○国務大臣(後藤茂之君) ちょっと私、答弁書のことまでは分かりませんのですが、もう少しかみ砕いて申し上げれば、社会保険料の負担軽減分の使途というのは企業の裁量でもありまして、必ずしも企業の生産性に直接つながるものとも限りませんので、そういう意味では永続的な賃金引上げにもならないということを申し上げました。

 

○小池晃君 これ、驚くべき答弁だと私思いますよ。要するに、企業負担軽減しても軽減分の使途は企業の裁量だと、だから生産性が向上せず、賃上げに結び付かないと言っているんですよ、厚労省は。
 じゃ、賃上げ減税も同じじゃないですか。賃上げ減税して、企業の裁量だと、これで減税しても。全然違わないですよ、同じロジック当てはめたら、賃上げ税制、賃上げのために税制で支援することは全く意味がないと、企業の裁量だということになりませんか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) それは当たらないと思います。賃上げ税制というのは、そもそもこの賃上げそのものに焦点を当てて、それを評価して税制優遇を与えるわけですから、今回の賃上げ税制、今まで効かなかったではないかという発言もさっきありましたが、今回、より、対象とする者についても新規労働者を外して継続的な労働者に限るとか、そして控除率を引き上げるとか、より効果的な賃上げ税制を用意しました。それは全て賃上げに焦点を当ててこれ使うわけですから、これが効果がない、さっきの話とは同じだというのは当たらないと考えます。

 

○小池晃君 分かりました。だったら、フランスは低賃金の労働者の賃金引き上げた企業に社会保険料の軽減をやっているんですよ。これならいいということですね。

 

○国務大臣(後藤茂之君) 政策を各国それぞれ違う制度で整えておりますので、各国の制度の一部だけを切り出して比較することも難しいと思います。

 

○小池晃君 あのね、真剣に最低賃金引き上げようという気がないんじゃないですか。中小企業を賃上げをやろうという気がないから、こういう答弁になると私は思う。
 真剣に考えるべきですよ、中小企業の賃上げのために社会保険料を活用する、検討課題だと。当たり前じゃないですか、総理。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、賃上げを実現するためにどういった政策手法を使うか、それは国のそれぞれの判断であります。
 最低賃金引上げ、これは政府としてもしっかりと考えていきます。先ほど来、全国一律の最低賃金、これは問題があるということを申し上げています。これまでも最低賃金について毎年三%程度の引上げを政府としても主導してきたと振り返っています。最低賃金の引上げそのものを否定しているものではありません。

 

○小池晃君 社会保険料をそのための政策目的として検討すべきじゃないかと言っているんですよ。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) ですから、賃上げのためにどういった政策手段を使うのか、それは国によって判断が違いますと。そして、我が国として、今の政府としては賃上げ税制、さらには補助金における優遇ですとか、あるいは下請に対するしっかりとした監視ですとか、こういった手法を通じて賃上げを実現しようということを提案させていただいているということであります。

 

○小池晃君 全然、岸田さんって何か答えているように見えて全然答えていないですよ。だって、僕が言っているのは、社会保険料を、賃上げのやっぱり政策目的のために社会保険料の軽減ということを検討すべきじゃないかと。一切答えていない。答えてください。国によって違うからとかって言うけど、それは国によって違うでしょう。でも、日本でそういったことを検討課題にすべきじゃないかと。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 社会保険料の増加の抑制に努めるということについては我が国としてもしっかり取り組んでいます。これは全世代型の社会保障ということで、支え手を広げるということで持続可能な制度をつくる、そのことによってこの社会保障の負担の増加を抑えている、こういった手法は取っています。あわせて、賃上げについては先ほど申し上げた手法を取っています。
 国によって、これ目的を達するための手法、様々であります。これを同一に論ずることは難しいと考えております。

 

○小池晃君 全く駄目ですね。
 やっぱり、最低賃金制度の第一の目的というのは、これは労働者の生活の安定です。そのためにあらゆる政策を動員すべきだと私は言っているんですよ。そのために、社会保険料というのはその政策を動員する上で非常に重要な要素ではないかと。是非検討していただきたい。
 参議院に聞きますが、選択的夫婦別姓の導入、法制化、議論の促進を求める自治体からの意見書はこの三年間でどれだけ届いていますか。

 

○参事(金子真実君) お答えいたします。
 参議院に提出のありました選択的夫婦別姓制度に関する意見書のうち、お尋ねの導入、法制化、議論に関するものにつきまして、各意見書の件名により確認いたしました件数となりますが、平成三十一年、令和元年は四十四件、令和二年は五十八件、令和三年は昨日までの受理分として百三十二件となります。
 以上でございます。

 

○小池晃君 年々増加をしています。
 これは選択的夫婦別姓・全国陳情アクションが調べたもので、これまでに十一都道府県議会、それから十二の政令指定都市議会を含めて三百七件、これが国会に送られています。20211217パネル⑥
 こうした中で、選択的別姓ではなくて通称使用の拡大、つまり結婚前の氏を併用することを拡大しようという動きがあるわけですが、しかし、通称使用の拡大というのは様々な問題をもたらしていると思います。どういう問題が生じているか、お答えください。20211217パネル⑦

 

○政府参考人(林伴子君) お答え申し上げます。
 旧姓の通称使用の拡大につきましては、政府におきましてこれまで二十年以上にわたり取組を進め、最近ではほとんどの国家資格等で旧姓使用が可能となるようにしたところでございます。一方で、本年九月の男女共同参画会議の計画実行・監視専門調査会を始め様々な場で旧姓の通称使用の限界や課題も指摘されているところでございます。
 例えば、本人だけでなく企業、行政にとってもコストや事務負担が大きく経済的にマイナスであるという指摘、また、パスポートは旧姓併記が可能となっておりますが航空券やビザは戸籍名なので現地で混乱するなど、海外での仕事や生活に支障があるという指摘、また、戸籍名と通称を使い分けることによりマネーロンダリングなど悪用の懸念があるという指摘、また、離婚、再婚により旧姓が複数ある人も多くなっているということ、さらに、名前は個人の尊厳やアイデンティティー、人権に関わるものであり、旧姓の通称使用では根本的な解決にならないという指摘など、指摘をいただいているところでございます。

 

○小池晃君 大変よく分かりました。
 通称使用、すなわち二つの名前を持つというのは、これは世界で通用しない、まさにガラパゴス的なやり方だと思うんですね。二つの名前を管理するというのは、これ、企業にとっても実務的にもコスト面でも大きな負担になるだけであります。今もお話ありましたが、マネーロンダリングなどの犯罪の危険も言われています。ゆうちょ銀行は旧姓使用を禁止しています。何よりもこれは人権の問題だ。
 野田大臣、結婚で夫婦同姓を強制させる今の制度そのものが人権侵害だと私は思いますし、女性にとっては結婚で姓を変えること自体が大きな負担になる。さらに、通称使用の拡大というのはそれに輪を掛けて大きな負担と多大なコストを生むと思います。選択的夫婦別姓の導入以外に道はないと思いますが、お話しいただきたい。

 

○国務大臣(野田聖子君) 平成八年に法制審議会が答申を出しているわけですね。そこで選択的夫婦別氏、別姓を導入しようということで、約四半世紀たっています。
 私の率直な感想、ここ近年ようやく国会の中でも盛り上がってきているのかなと。これまでは賛成をする方の推進がささやかに起きていたけど反対をされている方がよく分からなくて、最近は明確にこういう理由で反対しているというお声を上げていただいているので賛否が見えてきて、議論に、ようやく議論として成り立ってきているのかなというふうに感じています。
 そこでやはり、その議論を通じて感じたことは、国民に様々な不安や誤解を、この平成八年の法制審、法制審議会の答申、起きているなと。
 例えば、高齢者、年配の方たちは、選択的と言っているんだけど名字を変えなきゃいけないのかしらという不安を感じている方も実際におられますし、また、戸籍もばらばらになるというふうに思われているんだけど、別氏も同氏も戸籍は一つというふうに平成八年は決めてあるとか、そんなような様々なことがあることと、もう一つ、やっぱり世界的にこれまでも名前を二つ持つという国はどこにもなくて、今まあ通称使用ということで、だからということはあるけど、これ法律にしたところで国際社会には通用しない法律ができてしまう。通称使用というのは、あくまでもこの法制審議会で平成八年、これから別氏に向かって取り組んでいきましょうという暫定的に、やっぱり旧姓を名のりたい人のための通過の措置みたいなところがありましたので、そこら辺のところをしっかり御説明申し上げて、一人でも多く、女性活躍のみならず、これ男性も名字を変えると大変な負担になります。うちの夫も野田姓に変えて非常に負担を感じていて、私に腹を立てています。
 そんなこともあるので、しっかり取り組んでいければと思っています。

 

○小池晃君 大変説得力のある話をしていただきました。
 今回の総選挙で当選した自民党衆議院議員二百六十一人のうち、朝日新聞、東大谷口研究所などのアンケートで、反対、どちらかといえば反対と言った人は七十三人なんですね。自民党の中でも少数派なんです、これ。二百六十一人のうち七十三人。自民党の中でも、これ意外な人がどちらかといえば賛成と。萩生田大臣なんか、どちらかといえば賛成とされているんですね。
 だから、そういう意味でいうと、何を恐れているのかと私は総理に言いたい。何より総理は選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟の呼びかけ人なんですよ、呼びかけたんですよ。やっぱり政治家として呼びかけた責任果たすべきではありませんか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、私自身、こうした選択的夫婦別氏制度について議論するということ、これは大変重要なことであり、こうした多様性を大切にする社会において大いに議論する、これは大事なことであると考えて御指摘のような態度も取ったわけでありますが、そして、実際、国会議員の中でこうした選択的夫婦別氏制度、これ賛成している議員もたくさんある、たくさんいる、これも承知をしています。
 ただ、私自身のこの思いを申し上げさせていただくならば、この制度、これは、国会議員がこの制度を利用するのではなく、広く国民全体がこれ受け入れる制度であります。
 そういった点で考えましたときに、私、地元広島でありますが、広島の地域において車座でお父さんやおじいさん、お父さんやお母さんたちと話する中でこういった議論をしていますと、子供が三人いるけれど、この子供の氏はどうなるんだろうか、誰が決めるのか、いつ決めるのか、あるいは変更が利くんだろうか、こういったこの議論で随分盛り上がります。
 こういった姿を見ておりますと、国民一般にこの問題についてこの理解、どうなんだろうか、まだまだ議論しなければいけない部分はあるのではないか、こういった点を考えたときに議論をすることは大事なんではないか、こんなことを思って私自身の態度を申し上げているところであります。

 

○小池晃君 子供の氏の問題というのはもう決着付いている問題、これは法制審で基本的な案出していると。しかも、今だって、事実婚の人だって子供の名前違ったりするけど何の問題も起こっていないんです。世界でも何の問題も起こっていないんです。
 やっぱりそういったことを理由にして、議論する議論すると言うけれども、道を塞ぐのでは日本は進まない。だって、選択的夫婦別姓だからね。強制するわけじゃないんだからね。今は強制的夫婦同姓ですからね。選択的夫婦別姓にして困る人なんていないんですよ、やりたい人がそういうふうにするという制度なんだから。何をためらっているのか。私はちょっとがっかりした、今の岸田さんの答弁。
 ちょっと、やっぱりそれ説得してください。野田大臣、岸田さんにちゃんとこの制度の意味をちゃんと説得してください。野田さん、ちょっと一言。

 

○国務大臣(野田聖子君) 総理は総理のお立場で、やはりしっかりと不安、不満をクリアしていこうという御努力の最中。私はもう四半世紀前から取り組んでいるので、そこら辺はクリアされているので。
 先ほどの子供の件につきましても、法制審議会の答申ではもう既に、その当時からですね、子供の氏は結婚の際にあらかじめ決めておき、子供は全員同じ氏を名のるというふうに一応原案示されているところなので、そういうのをしっかりと広めていくことが大切だと思います。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) あのですね、多くの国会議員、小池委員を始め多くの国会議員が理解されているということ、これは決して否定するものではありません。しかし、多くの国民の声、名もなき声を聞いたときに、本当にみんな理解しているのか、私はその辺に確信が持てないということを申し上げているわけであります。
 是非そういった感覚も大事にした上で、決して議論を否定しているわけではありません。是非、社会的な雰囲気を是非盛り上げるよう、これは努力する必要があるのではないかと認識をしております。

 

○小池晃君 あのね、どんな世論調査やったって六割以上の方が選択的夫婦別姓には賛成だと言っています。今、機運としては、何でこれだけ時間掛けてきたのに進まないんだと。もう本当に、みんなやっぱりじくじたる思いでいますよ。
 議論しましょうよ、じゃ。国会に法案出して、そこで議論しようじゃないですか。党議拘束外してもいいよ。やっぱり、これをきちんと実現するのは、私は国会の国民に対する責任だというふうに思います。これを前に進めると。呼びかけたのに今みたいなことを言っていたら駄目ですよ。無責任だ。きちんと国会で議論して早く結論出すということを求めたい。
 総理はあの十月の所信表明で、敵基地攻撃能力という言葉を使いませんでした。自民党の総選挙政策にも敵基地攻撃という言葉はありませんでした。ところが、今国会の所信表明演説では、敵基地攻撃能力の検討を進めると初めて表明した。
 小野寺元防衛大臣は、攻撃、反撃、敵基地という言葉が入ると先制攻撃のような間違った印象を与える危険性があるとおっしゃっている。私は、間違った印象じゃなくて、敵基地攻撃というのは先制攻撃そのものだと思っていますが、総理は、先制攻撃という印象を与える危険性もいとわず、なぜ踏み込んだんですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、いわゆる敵基地攻撃の議論については、私自身の態度は全く変わっておりません。この今厳しい安全保障環境の中で、極超音速飛翔兵器あるいは変則軌道ミサイル等、技術が刻々と進化する中にあって、我が国の国民の安心、安全を守るためにはあらゆる選択肢を排除せず議論するべきであるということをずっと申し上げてきております。
 そして、いわゆる敵基地攻撃についても、これは昭和三十年代から続く長い歴史のある議論ではありますが、状況はどんどんと変化をしている。長い、古い議論ではありますが、決して現代的な議論では、でないということはないと考えております。
 是非、これは今、先制攻撃、憲法、あるいは専守防衛、国際法、こういった観点からしっかりと議論した上で現実的な対応を考えていくべきであると私は思っております。

 

○小池晃君 敵基地攻撃能力というのは一体どういうものか。
 防衛大臣に聞きますが、敵基地攻撃、一般的にどのようなオペレーションを必要とするんでしょうか。

 

○国務大臣(岸信夫君) 政府としては、これまで、いわゆる敵基地攻撃のためには、あくまで一般論としてですけれども、移動式のミサイル発射機の位置をリアルタイムに把握するとともに、地下に隠蔽されたミサイル基地の正確な位置を把握し、まず防空用のレーダーや対空ミサイルを攻撃して無力化し、相手国の領域、領空における制空権を一時的に確保した上で、移動式ミサイル発射機や堅固な地下施設となっているミサイル基地を破壊してミサイル発射能力を無力化し、攻撃の効果を把握した上で更なる攻撃を行うといった一連のオペレーションを行う必要があるという旨答弁をしております。他方、これは一つの例であって、例であってですね、これに限られるものではないと考えております。
 いずれにせよ、急速なスピードで変化をしておりますミサイルの技術などに対しても、国民の命、暮らしを守るために何が求められているのか、いわゆる敵基地攻撃能力も含めて、あらゆる選択肢を排除せずに現実的に対応していきたいと考えています。

 

○小池晃君 いろいろとおっしゃったんですけど、これ、答弁、以前、河野防衛大臣も答弁されている。20211217パネル⑧今まあ同じ中身でお話しされたと思うんですけど、他国の領域においてというのを冒頭で河野大臣は言っていますが、それはそれでいいんですよね、いいんですね。うなずいていらっしゃる。
 これね、一発ミサイルを撃つという話じゃないんですね。相手国の領域にまで乗り込んでいって、ミサイル基地をしらみ潰しに攻撃をする。さらに、制空権を確保して、地下施設も含めて大規模な攻撃を行う。
 総理、これ、もう全面戦争に発展するような話なんですよ、これ、このオペレーションというのは。私は、こんなものが憲法九条の下で認められるわけがないと思いますが、いかがですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、敵基地攻撃、いわゆる敵基地攻撃能力の議論は、昭和三十一年の鳩山内閣における判断、これを政府としてずっと引き継いでいます。法的にこれは合致するものである、憲法等の法的な観点からこれは可能であるという判断をしているところであります。
 これ、そして、状況が変化する中にあって具体的にどのような対応をするのか。お示しいただいたのも一つの例ではありますが、これは様々なパターンが考えられると思います。そして、あくまでも、憲法、国際法、あるいは専守防衛、あるいは先制攻撃にならない、まあこれは国際法の話になりますが、こういった点をしっかりクリアした対応を考えなければいけない、これは当然のことであると思っています。

 

○小池晃君 これを一つの例だというふうに総理大臣が認めたことを私は重大だというふうに思います。
 防衛大臣に聞きますが、こうした今御答弁されたオペレーションを実行するためにはどのような装備体系が必要になるんでしょうか。

 

○国務大臣(岸信夫君) いわゆる敵基地攻撃のための具体的な装備体系については、一概に申し上げることはできないと考えております。

 

○小池晃君 このオペレーションをやるために必要な装備体系というのは何なのかって言えませんか。

 

○国務大臣(岸信夫君) 先ほどの件は一つの例でありますので、一概に一般的な一般論として申し上げることはできないということを申し上げておるわけです。

 

○小池晃君 一つの例というのは別に前提として僕は言っているので、この一つの例のオペレーションを、じゃ、実効たらしめる装備体系は何なのかと、それは言えないんですか。おかしいじゃないですか。
 これ、かつての答弁で、二〇〇三年三月、守屋武昌防衛局長、装備体系について、まあ一つの例としてです、これもね。第一に敵の防空レーダー破壊能力、第二に航空機の低空進入能力、第三に空対地誘導弾又は巡航ミサイル、第四に敵基地に関する正確な情報収集能力の四つが必要だというふうにおっしゃっている。
 このオペレーションの中身でいうと、それ、さらに、この後いろんな発展もあると思うので、移動式ミサイル発射機の位置をリアルタイムで把握するなんて、これのためには早期警戒衛星だって必要になるでしょう。
 そういうことを、これは装備体系としては当然出てくるんじゃないですか。いかがですか。

 

○国務大臣(岸信夫君) 先ほどの例について用いられる装備品としてはあると思いますが、一概には申し上げられないと思います。(発言する者あり)

 

○委員長(山本順三君) 岸防衛大臣。

 

○国務大臣(岸信夫君) 先ほど例を用いましたけれども、この目的のためにどういう装備品を用意すればいいか、こういうことについては一概に申し上げることはできないと思います。

 

○小池晃君 この一連のオペレーション、これは一つの例だとおっしゃったけれども、じゃ、これを実効たらしめる装備体系というのはどういうものかということで、私はかつての答弁を言ったんですけれども。こういうものなんじゃないですかと、この守屋局長の答弁したときのもののような、そういったものも一つの装備体系として、それは認めるんですかと。

 

○国務大臣(岸信夫君) その時点での答弁を差し上げたものだと思っておりますけれども、状況は刻々変化があると、あります。その中で、現在、一概に装備を申し上げることはできないということを申し上げたわけです。

 

○小池晃君 その時点ではそうだったということは、その後はもっと、もう莫大な装備体系が必要になるということなんですよ。一体どれだけの費用が掛かるか、もう想像もできない世界だと。
 総理は先ほどから、極超音速滑空兵器、変則軌道で飛翔するミサイル、そういったことを言って、おっしゃっていますが、こうした開発競争の背景に一体何があったのだろうか。
 防衛大臣、我が国の弾道ミサイル防衛、いわゆるBMDについて、今回の補正予算での予算額、それから平成十六年からこれまでの累計の予算額、お答えください。

 

○国務大臣(岸信夫君) 弾道ミサイルは、一たび発射されれば極めて短時間で我が国に到達し、国民の生命、財産に甚大な被害を与えるおそれがあることから、弾道ミサイル防衛能力を可能な限り迅速に強化していく必要があります。
 このため、令和三年度補正予算案においては、BMD関連経費として約六百四十三億円を計上しております。平成十六年度予算から令和三年度補正予算案までの累計で約二兆七千八十六億円を計上しております。

 

○小池晃君 これ、BMD導入時の国会答弁では整備費全体で八千億から一兆円程度と言っていたわけですね。ところが、これはもう三倍近くに膨れ上がっている。米国のBMDシステムに日本も加わって、それが他国の対抗策を招いて、まさに軍事対軍事の悪循環の中で、私は、極超音速滑空兵器などの非常に危険な兵器の開発に進んできているということではないかと思うんです。
 総理、私は、こういう中で、この軍事対軍事の悪循環でいいのだろうか。ところが、それを更に敵基地攻撃能力の保有、ここまで踏み出した。もう一層歯止めなき軍拡競争になっていく。
 総理は今回、あえて敵基地攻撃能力も含めて防衛力を抜本的に強化していくと、こう強調しています。これは、日本も打撃力を持って、これまで専守防衛と説明してきた政策を変えるということになるんじゃありませんか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、急速に変化する安全保障環境、極超音速滑空兵器を始めとするミサイル技術の進化、これに対して、政治の立場から国民の命や暮らしを守らなければいけない、これは当然の責務であると思っています。そのために何が必要なのか、予算にも盛り込ませていただいているわけです。
 あわせて、先ほど来御指摘いただいております敵基地攻撃の部分に関しては、先ほどお示しいただいたこと、一例だと申し上げましたが、これは様々な議論を行う中の一つの例だということを申し上げています。我が国としては、この国家安全保障戦略、私は八年ぶりに一年掛けてこれ改定をしていきたいと思っておりますが、その議論の中で、この国民の命や暮らしを守るためにどういった対応が必要なのか、どういった取組が必要なのか、これをしっかり議論したいと申し上げております。その中で、このいわゆる敵基地攻撃能力を始めあらゆる選択肢をしっかりと検討したいということを申し上げています。
 その議論の中で、憲法やあるいは専守防衛、国際法、こうしたものと照らしてしっかりと実現可能な制度がこの議論の中で確定したならば、盛り込むことができたならば、それにふさわしい装備を用意するというのが物の順番であると思います。
 まずは、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、そうした真摯な議論を行っていきたいと思っています。(発言する者あり)

 

○小池晃君 全然真っ当じゃないと思いますけど。後ろから真っ当だと言ったけどね。
 私が言ったことは、やはりこの間のこのミサイル防衛構想を始めとする、もう本当に歯止めなき日本の軍拡、そしてアメリカ、まあ世界各国の軍拡ということが軍事対軍事の悪循環になって、それがやっぱり危険な状況を、この北東アジアのような、もちろん北朝鮮のミサイル開発という、これ断じて許されませんよ。国連決議違反ですよ。しかし、そういう中で、やはりそれに対して軍事で対抗するというやり方がやっぱり非常に危険な状況をつくってきたんではないかと、そこを見直す必要があるんじゃないかと言っているんですが、いかがですか。

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 国際社会の中で自由や民主主義を始めとした普遍的な価値をしっかり守りながら、しっかりと国際秩序の安定のために努力をする、これは大変重要なことであります。
 加えて、環境や軍縮を始めとする地球規模の課題において汗をかくことによって国際社会において存在感を示していく、これも外交において大切なことだと思いますが、もう一つ外交・安全保障において大切なことは、緊迫するこの安全保障環境の中にあっても国民の命と暮らしを守るために十分な備えはどうなのか、そのために何が必要なのか、こういった議論も政治の立場からしっかり行っていくということ、これは重要であると認識をしております。

 

○小池晃君 国民の命を守るというふうにおっしゃいますが、こんな大軍拡の道を進んでいったら国民生活を支える予算、更に圧迫される、諸外国の更なる軍拡、これに応えていけばますます国民の命と暮らしが脅かされるということに私はなると思います。
 自民党の国防部会、外交部会などの合同部会、合同会議で防衛省が文書を配付をしております。私、入手いたしました。これを見ると、今回の補正も含めて六兆円、防衛費、防衛装備費、大幅な増額ということが書かれ、防衛関係費の大幅な増額ということが書かれています。中期防は五年間で総額初めて三十兆円を超える、そういう方向だと、検討されているというふうに報道されています。
 専守防衛という政策を変えないと言いながら、実際には、F35、護衛艦「いずも」の空母化、長距離巡航ミサイルの導入、そして軍事費GDP二%以上の大軍拡、その中で先制攻撃も辞さない、そういう大転換をしようとしている。
 安保法制に続く憲法の平和主義、立憲主義を破壊する、そういうやり方は許さない、憲法そのものの破壊も許さないという立場で頑張り抜く決意を表明して、私の質問を終わります。

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