赤旗2023年2月4日付
日本共産党が3日開いた全国都道府県委員長会議で、小池晃書記局長・7中総決定推進本部長が行った報告は次のとおりです。
オンラインで参加されている都道府県委員長のみなさん、全党のみなさん、おはようございます。連日の奮闘に敬意を申し上げます。
今日の会議は、1月5日の7中総決定・「手紙」の全党徹底・全面実践に向けて、1月の教訓に学び、問題点を打開し、力を合わせて開拓し、正念場の2月の大飛躍をつくりだすことを目的に開きます。都道府県委員長のみなさんの活発な討論を期待して、報告します。
1月の結果とその到達をどう見るか
7中総は、全党に「130%の党」づくり、統一地方選挙の勝利、大軍拡反対のたたかいという「三つの大仕事」を提起しました。これらは並列ではなく、今年の最大の任務を「130%の党」づくりにおき、3月末までの「中間目標」として、党員でも、読者でも、4年前の水準を回復・突破することを呼びかけました。
そのうえで、「130%の党」づくりと「中間目標」を実現するカギは、全支部・グループが参加する運動にしていくことであり、「全党の支部・グループへの手紙」をだし、1月中に全支部討議、実践にふみだし、2月末までに「返事」をだすことを呼びかけました。
さらに、全有権者規模の宣伝を強めつつ、2月末までにすべての後援会員、「赤旗」読者、支持者への「折り入って作戦」をやり抜き、党員と読者拡大の目標達成に向けて、1月の党勢拡大の前進・飛躍をはかることを提起したのです。
この提起を受けた1月の活動はどうだったか。
「手紙」の支部討議は67・0%にとどまり、3分の1の支部で討議に至っていません。
入党の働きかけは4323人、働きかけ支部は1割強で、入党申し込みは391人でした。
「しんぶん赤旗」読者拡大は、日刊紙339人減、日曜版208人減、電子版86人増となり、党員も、読者も後退となりました。
選挙の取り組みでは、対話・支持拡大取り組み支部は49・5%、対話数は7中総後30万増えて116万、支持拡大は27万増えて90万でした。
1月の結果、「手紙」の未討議支部を3分の1残したこと、党員、読者ともに現勢で後退したこと、選挙独自の課題でも飛躍をつくれていないことなど、最初の月に、自ら決めたことをやり抜けず、飛躍をつくれなかったのは、重大だといわなければなりません。どこに弱点があったのか、どうしたら飛躍することができるか、今日の会議での率直な議論で深めていきたいと思います。
その際、7中総で提起した「130%の党」を実現するため、機関が果たすべき三つのイニシアチブ―――「手紙」を全支部・グループに届け、討議・具体化を援助しきること、「支部で具体化・実践してほしい五つの点」のための懇切な援助をつくすこと、党の持つあらゆる可能性を総結集して世代的継承に取り組むこと―――にてらして、この間の取り組みがどうだったのか、互いに自己分析を深める討議を行いたいと思います。
同時に、1月の取り組みの中で確信にすべきことが二つあります。
一つは、各地から共通して報告されているように、「手紙」が大きな力を発揮していることです。全支部での討議という目標は実現できませんでしたが、それでも約7割の支部が「手紙」を討議したことは、これから必ず大きな力を発揮するでしょう。
いま一つは、7中総が提起した「130%の党」をつくることを中軸にすえて選挙をたたかうという新しい方針を、全党が正面から受け止め、この方向で勝利をかちとろうという意気高い取り組みが始まっていることです。
同志のみなさん。1月の重大な結果を直視しつつ、7中総決定を力に、全党の奮闘で切り開きつつある努力方向こそが、強く大きな党をつくり、統一地方選挙に勝利する大道であることに深い確信をもって、2月の活動では必ず飛躍をつくりだそうではありませんか。
1月の取り組みの教訓と2月の強化方向について
次に1月の取り組みの教訓と2月の強化方向について述べます。
岸田内閣の敵基地攻撃能力保有と大軍拡の暴走――いまこそ党の存在意義をかけて打って出よう
第1は、敵基地攻撃能力の保有と大軍拡に向けた岸田政権の暴走にたいして、不安と怒りが広がるとともに、わが党への関心と期待が高まっており、いまこそ党の存在意義をかけ、打って出ることが求められていることです。
国会論戦が始まりました。岸田内閣が進める敵基地攻撃能力保有と大軍拡は、戦後日本の安全保障政策を文字通り大転換させるものであり、歴代政権が掲げてきた「専守防衛」という原則すら完全にかなぐり捨てて、自衛隊が米軍と完全に融合する形で海外での戦争にのりだすものです。日本が戦争か平和かの歴史的岐路にあるもとで、今国会は、戦後の日本の歴史のなかでも、文字通りの歴史的国会になっています。
ところがこれまでの論戦で、この問題を正面から追及したのは、日本共産党だけとなっています。そして、マスメディアは全体として、こうしたわが党の論戦を取り上げることも、「戦争国家づくり」の問題点を明らかにすることもしていません。それどころか、メディアの幹部・元幹部が政府の有識者会議で、大軍拡やそのための増税を当然視し、さらなる軍事力強化を主張していたことも明らかになりました。
こうした政治状況のもと、国民の中では「戦争国家づくり」への怒りや不安の高まりとともに、くらし破壊や原発回帰への批判も加わって、党に対する期待が急速に広がっていることが、この間の各地からの報告でも寄せられています。
「足をふみだすと、大軍拡への怒りがものすごい。どこに行っても、大軍拡の話でかみ合い、『共産党しかない』となる」
「党の事務所に自ら日曜版購読を申し込んだ人が、『自民党は右に寄りすぎて危ない。共産党を応援したい』と語って、その後入党した」
ある自民党重鎮から、党に寄せられたメッセージを紹介します。
「国会で堂々と、敵基地攻撃能力の保有は違憲だ、専守防衛を投げすてるものだと言ってくれているのは志位委員長だけだ。他の野党も正面から批判できないでいる。国会で、正々堂々と批判できる政治家がいることは、日本の政治を救っている」
まさにこの方が言われるように、国会もマスコミも、岸田大軍拡への翼賛体制化の危険を感じさせる状況にあり、まるで戦前のようだという指摘もあります。
しかし、かつての戦前との違いもあります。それは全国津々浦々で1万7千の日本共産党支部が公然と活動し、90万の読者を持つ「しんぶん赤旗」が、平和を守る“理性のかがり火”としての力を発揮していることです。まさに今、日本共産党の果たしている役割は、自民党重鎮の方が評価してくれたように、ひとりわが党の問題ではなく、「日本の政治を救う」かけがえのないものとなっています。この党を強く大きくして、「130%の党」を実現すること、そして統一地方選挙や来たるべき総選挙で政治的躍進をかちとることは、この国を「新しい戦前」にしない決定的な保証になります。
わが党は、国会論戦を通じて、岸田大軍拡と戦争国家づくりの危険性を徹底的に明らかにし、平和の対案を示しつつ、これを撤回させるために全力をあげます。そのために、広範な市民と力を合わせてたたかいます。
当面の最大の政治戦である統一地方選挙は、岸田政権に対する全国的な審判の場にもなります。勝利のために全力をあげましょう。
全党の同志のみなさん。岸田大軍拡を許さないたたかいに、反戦・平和の党の存在意義をかけて、すべての支部と党員が、宣伝、対話とともに、「大軍拡・大増税に反対する署名」の活動に立ち上がろうではありませんか。
「手紙」の読了・討議で支部が元気に――支部討議100%をやりきり、2月中に「返事」を
第2に、「手紙」の読了と討議が支部を元気づけており、支部討議100%を一刻も早くやりきるとともに、2月中にすべての支部が党中央への「返事」を書くことに全力をあげることです。
これまで党勢拡大に取り組んだことがないような支部が、「手紙」を討議し、党員拡大でも、「しんぶん赤旗」読者の拡大でも成果をあげたという経験が各地から報告されています。
「手紙」の読み合わせをした大阪・吹田摂津地区の吹一吹六支部では、支部員が「手紙の『1960年代、70年代に入党し、幾多の試練を乗り越えて頑張ってきた約9万人の同志が活動していることは、わが党の誇りであり、強みです』の言葉を読んで涙がでた。僕は長いこと党員をやってきたが、中央委員会の文書を読んで涙がでたのは初めて。がんばろうと思った」と感想を述べています。
名古屋・昭天緑地区は、「手紙」の討議が96・6%、読了が38・9%。党員を5人迎え、読者も前進させています。地区委員長は、「支部長さえ知らないところで支部員が読者を増やしている報告が入ってきている。これこそ『手紙』の効果」と語っています。
いま、中央に「手紙」の返事が寄せられ始めています。支部の存在意義への誇りがつまったもので、感動をもって読ませていただいています。
東北地方のある学生支部からは、「志位さん、中央委員会の皆さんへ」という「返事」が届きました。返事はきれいな便箋に書かれ、支部としての返事とともに、一人ひとりが書いた返事も同封されていました。
「私たちの支部は昨年8月にできた学生と院生の支部です。毎週民青の班会と支部会議を行っており、週に2回集まっています。支部会議にはいつも3~4人集まり、学習に力を入れて活動しています。この間、手紙を討議し、私たちの支部では、次のことをがんばりたいと思います。学生は、学費無償化や、最賃の引き上げ、ブラックバイトをなくすなど、さまざまな要求をかかえています。こういった要求を、食料支援や街頭宣伝を行う中で、アンケートを通して多くの声を集め、県や市に要請行動をします。党員拡大では、活動の中で民青同盟員の倍加とともに、党への働きかけも増やしていきます。学習については、一度記念講演の学習は行っていますが、11月に新しく入党した仲間と一緒に、再度学習したいと思います。…情勢をつかむという点で、『しんぶん赤旗』を読むことも行っていきたいです。統一地方選挙では、候補者と一緒に勝つ!!ということで宣伝などを積極的に行っていきます。…ぜひ支部に遊びに来てください! あったかい鍋を用意して待っています! ○○県学生支部より」
神奈川県のある保育職場支部は、「1月22日に支部総会を行い、政策と計画を立てました。話し合いの中で、いろいろな思いが出てきました」として、「手紙を読んでの思い」を送ってこられました。
「未来を担う子どもたちには手を差し伸べず、命を奪うような軍事費を増やすという、意味のわからない考え方をする人が政権を握っているのは、おかしいと思います。私たち保育者は日々、子どもたちと生活しています。水で遊ぶことが楽しく、飛行機の音を聞いて探し、見つけて喜んでいます。戦争する国にされてしまったら、子どもたちが喜んでいたことが恐怖へと変わります。私たちは、人とたたかったり命を捨てるために子どもたちを育てているわけではありません。目の前にいる子どもたちがおとなになった時に、自分たちのためにより良い環境を整えてくれたと思ってもらえるよう、今自分ができる事をしていきたいと思います」
こうした思いを紹介したうえで、支部の「政策と計画」として、綱領学習を進めることや、党員拡大は3人以上を目標とすることなどが書かれています。
各地から送られてきている「返事」には、悩みや困難も率直につづられています。「手紙に書かれている拡大目標は、なかなか厳しい目標だ」「どうやって若い世代や真ん中世代を迎えていけばいいのか」「『赤旗』の配達が、いつまでつづけられるか」。こうした率直な思いも中央としてしっかり受け止めて、かつてない双方向の運動となるよう、力をつくします。
同志のみなさん。2月中に、すべての支部・グループが「手紙」への「返事」をお寄せください。支部の「返事」を書く取り組みは、双方向の運動にするとともに、党勢拡大と選挙準備にすべての支部が参加する大きな契機、大きな力にもなるものです。
同時に、「手紙」を討議した支部でも、実際の行動にふみだすためには、党機関や地方議員・候補者がいっしょに行動することがどうしても必要です。そのための機関のイニシアチブが重要であることも訴えます。
「折り入って作戦」で後援会員、読者、支持者に2月中に総当たりを――カラーパンフで入党を働きかけよう
第3に、全有権者規模の宣伝とともに、本格化しつつある「折り入って作戦」で、すべての後援会員・読者、支持者に掛け値なしに2月中に総当たりしましょう。「折り入って」と一体に、カラーパンフを渡して入党を呼びかける取り組みを強めましょう。
ポスターを街に1枚残らず張り出し、党と候補者の姿が見え、声が聞こえる宣伝に取り組みましょう。SNSの分野でも他党を凌駕(りょうが)する取り組みをすすめ、党の風を列島中に吹かせましょう。
「折り入って作戦」は、後援会比で13・1%、取り組み支部は33・5%にとどまっており、全支部に広げることがカギです。
「折り入って作戦」と「集い」を本格化し、このなかで、党建設の「中間目標」達成への勢いをつくりましょう。そのためにすべての党機関の役員が支部に入って、援助を本格化しましょう。
得票目標・支持拡大目標を決めた支部が51%という現状を一刻も早く打開し、3月23日までの支持拡大目標の突破をめざし、「折り入って作戦」で、すべての後援会員・読者、支持者に、2月末までに必ず総当たりしましょう。
山口・北南地区は、藤本かずのり県議の再選と宇部市議選での4議席確保をめざし、1500人に「折り入って作戦」の働きかけを行い、62・5%の支部が対話・支持拡大に取り組み、1月に3人の入党者を迎えました。
堤栄三・大分県議は、「どんなことがあっても選挙は、党の勢いをつくることなしに勝利できない」「130%の党づくりを中心にすえ選挙をたたかおうという7中総の提起は、わが意を得たり」と、「特別期間」に1600人に「折り入ってのお願い」で、担い手を広げるとともに、党員6人と、日刊紙6人、日曜版110人以上の読者を増やしています。
統一地方選挙がない支部でも、「大軍拡・大増税に反対する署名」をもった宣伝や訪問・対話活動を繰り広げ、それと結んで党勢拡大にも積極的に取り組んでいきましょう。
1月の中間地方選挙は9市5町に19人が立候補し、17人が当選しました。得票合計は4年前の前回比で97・9%、参議院比例票比は117・5%でした。
この中でも、和歌山県御坊市の経験は教訓的です。22日投票の御坊市議選挙は、現職と新人の2人が立候補し、得票を前回比160%、参院比例比234%に伸ばして、2議席を確保。新人はトップ当選しました。論戦では学校給食費無料化の運動と結んだ党議員団の役割と、国政では「大軍拡と大増税に反対」という党の主張を徹底して語りぬきました。
1万世帯のうち1200世帯への「折り入って作戦」をやりとげるなかで、日曜版読者で前回比108%となり、攻勢的にたたかい、選対責任者は、「7中総の方針を貫いたことで勝利できた」と語っています。
一方で、統一地方選挙後半戦の候補者が決定せず、党議席空白の危険性がある自治体が9市39町村あります。たたかわずして後退ということが絶対にないように、未決定のところは最後まで党機関がイニシアチブを発揮して打開しましょう。
2月以降は、全国194カ所で全国遊説の演説会が予定されています。一大跳躍台として成功させましょう。
勝利のためには、党機関の臨戦態勢と個別選対の体制確立が待ったなしです。毎日活動・毎日集約で、全党の総決起をつくりだしましょう。支部の臨戦体制の基本は、週1回の支部会議を確立し、全党員が立ち上がることです。選挙戦をたたかう非常勤役員や、真ん中世代の同志、選挙ボランティアなど、党のもつあらゆる力を総結集し、逆算必勝で期日までに課題をやりぬく態勢をつくりあげましょう。
世代的継承――民青同盟員への入党働きかけ、職場支部での党づくりの本格化を
第4に、世代的継承―若い世代のなかでの「党勢倍加」へのカギをにぎる民青同盟員への入党の働きかけと、職場支部での党づくりを本格化させることです。
各都道府県から寄せられた、党員拡大の対象となる民青同盟員は、実に1673人にのぼっています。これだけの若い世代が、わが党に加われば、わが党の未来が大きく切り開かれます。
これらの民青同盟員に、入党を訴える党中央委員会の「手紙」を渡して働きかける取り組みは始まったばかりです。2月、3月に、この取り組みを本格化できれば、青年・学生分野の「党勢倍加」と「民青倍加」に向けた流れがつくれます。食料支援とともに、大軍拡に反対する青年・学生のたたかいを広げ、この中で新歓期の民青同盟員拡大を成功させましょう。
職場支部では、「支部・グループへの手紙」が訴えている党づくりの「三つの意義」を自らに引き寄せて討議し、奮闘が始まっています。
ある病院職場支部では「手紙」の討議で「戦争への道はなんとしても止めたい。従軍看護師にならないために職場門前で宣伝しよう。組合のなかで党員を増やそう」と取り組みにふみだしました。
中央に届いた「手紙」への「返事」も職場支部からのものが少なくありません。「手紙」を討議し、「返事」を書くことが、それぞれの職場における党支部の存在意義を再確認し、党員拡大、支部継承に向かう新たなエネルギーとなっています。この2月、文字通りすべての職場支部・グループが「手紙」を討議・実践し、「返事」を書くために、党機関の援助体制を一歩一歩強化し、自民党政治の矛盾が集中する5千万労働者の中でこそ大きな党をめざそうではありませんか。
正念場の2月――二つの大仕事をやり抜こう
2月は、「130%の党」を実現するうえでも、中間目標達成にとっても、統一地方選挙に勝利し岸田大軍拡を止めるためにも、決定的に重要な正念場の月となります。
大軍拡とのたたかいでは、2月は来年度から始まる大軍拡予算を許すかどうかが問われる重大な局面となります。
3月末までに「中間目標」を達成するためには、2月は、月初めからの猛奮闘によって、党員、読者拡大の大飛躍をつくりだすことが必要です。
この2月は、7中総決定で確認した、期限を区切ってやり抜くべき二つの大仕事があります。
一つは、全国すべての支部・グループから、2月末までを期限に、「手紙」に対する「返事」を中央に寄せていただき、双方向の取り組みを発展させることです。これをやり抜くことができれば、全支部が参加しての「130%の党」づくりの土台をつくることができます。
もう一つは、2月末までに、すべての後援会員・読者、支持者に、「折り入って作戦」の1回目の訴えをやり抜くことです。この取り組みを軸にして、党勢拡大と選挙勝利の大きな波をつくりだすことです。
全党の同志のみなさん。全党が、正念場のこの2月、心ひとつにがんばりぬくことを訴え、常任幹部会もそのために全力を尽くす決意を表明して、報告を終わります。