日本共産党 書記局長参議院議員
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労働時間の規制緩和「論外」 時短と一体の賃上げこそ 参院予算委 小池晃書記局長求める

2025年11月19日

                                          赤旗2025年11月14日付け

日本共産党の小池晃書記局長は13日の参院予算委員会で、大企業による「黒字リストラ」や自社株買いなどの「株主至上主義」を改めさせるよう政府に迫り、労働時間規制緩和の撤回とともに、賃上げと一体の労働時間短縮を求めました。(関連記事論戦ハイライト


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(写真)パネルを示して質問する小池晃書記局長=13日、参院予算委

 東京商工リサーチの調査によると、1月~11月10日に「早期・希望退職募集」した上場企業41社の約68%が直近の最終損益が黒字で、うち8割が株価の評価が高い東証プライムの大企業でした。小池氏は、1万人の人員削減を行うパナソニックホールディングスの玉置肇副社長が「株価は通信簿」と発言したことから、株価をあげるためのリストラだと指摘。黒字でも人員削減する「黒字リストラ」について、認識をただしました。

 高市早苗首相は「労働者の自由な意思決定を妨げるようなことがあれば、適切ではない」と述べるにとどまりました。小池氏は、日本中の企業が「黒字リストラ」をし、賃金を抑制し続ければ、「企業の短期利益は上がり、大株主は大もうけするかもしれないが、国民の暮らしは疲弊してしまう」と強調。政府が大企業に雇用の責任を果たすよう忠告すべきだと指摘しました。

 小池氏は、株価をつり上げるために自社の株式を買い戻す自社株買いが増え続けているのも問題だと追及。「失われた30年」で大企業は空前の利益を上げながら、株主への配当や内部留保などに回り、実質賃金は低下している実態を示し、「まさに搾取だ。一部の株主のために国民の雇用、賃金を犠牲にするようなやり方では、日本経済はますます衰退してしまう」と強調しました。

 政府は労働者をさらに追い詰める労働時間の規制緩和も検討しています。厚生労働省の審議会で、労働者側の委員は「時間外労働の上限規制の緩和は、働き方改革に逆行するもので、あってはならない」と述べる一方、使用者側の委員は「首相の労働時間規制の緩和の検討の指示は、時宜にかなっている」と発言しています。

 小池氏は「労働時間の規制緩和は労働者の要求ではなく、財界の要望だ。さらに搾取したい財界の悲願で、企業側の論理だ」と追及しました。首相は「会社によっては時間外労働を上限規制以下の低い水準で抑制している。その結果、生活費を稼ぐために副業を行う人もいる」などと答弁。小池氏は、安倍晋三元首相が「労使は上限までの協定締結を回避する努力を図る。可能な限り労働時間の延長を短くする」と答弁していたことを取り上げ、「高市首相は上限規制の意味を取り違えている。上限まで働けという話ではない」と指摘しました。

 小池氏は、裁量労働制など長時間労働を拡大する法律が横行している中、「過労死等」での労災認定件数が2024年度は過去最高を記録したと指摘。「規制緩和など論外であり、労働時間の短縮こそ必要だ」と強調しました。

 長時間労働のもとで、日本の労働者の睡眠時間が世界的にも短く、とりわけ男性より女性の睡眠時間が短い国は世界でも少数です。小池氏は「男女がともに家事や育児、介護などのケアを分かち合える社会にするためにも、労働者が自由に使える時間を確保することは重要な課題だ」と強調し、「労働時間を規制緩和して長くするのは逆行だ」として、規制緩和の撤回を要求。大企業には賃上げできる力が十分にあるとして、賃上げと一体の労働時間短縮を強く求めました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。よろしくお願いします。
 総理は衆議院の予算委員会で、恒久財源があれば何に使うかと聞かれて、消費税の食料品ゼロと答えました。私たち、食料品だけじゃなくて、消費税は当面一律五%に減税提案していますけど、恒久財源あれば消費税に、減税するんだと、これは賛成ですよ。いいと思いますよ。恒久財源、これ大事ですよ。私たち、恒久財源示している。意図した効果が上がらなかったと政府もおっしゃっている法人税、これ見直す。それから、一億円の壁などの富裕層優遇も見直すと。
 是非、総理、恒久財源議論しましょう。で、消費税減税しましょう。いかがですか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 法人税に限っては、今おっしゃったような法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ず、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなどめり張りのある法人税体系を構築していくということで、これ近年の与党税制改正大綱でございます。このほか、所得税などについても所得再配分機能の強化を図るということで改正を行ってきました。
 で、恒久財源。まあ私は、もしも五兆円恒久財源であったら何に使いたいですか、まあちょうど、そうですね、六千億円掛ける八、六、八、四十八、いい数字出してきたなと思って、四兆八千億円でできる食料品の消費税率ゼロ、私個人だったらやりたいということを申し上げたんですけれども。
 ちょっと法人税をどこまで上げたらこれが恒久財源になるのかも含めてまたお示しをいただかなきゃいけませんが、そんなことをしてしまったら、本当に頑張っている日本の企業、そしてたくさんの雇用を抱えている日本の企業出ていってしまいますので、また別の財源をお示しいただけたらうれしいなと思います。
○小池晃君 大いに議論しましょう、財源ね。消費税下げれば物売れるようになる、企業の経営にだってプラスになるんですよ。だって、総理だって四年前の総裁選挙のときに、租特の廃止、法人税率を引き上げると提案しているじゃないですか。これ、やりましょう。是非こういう議論をしようということを私は呼びかけたいと思います。
 同時に、今、経済ゆがんでいる。経営が黒字でも人員削減を行う黒字リストラというのが広がっているんですね。(資料提示)
 リストに挙げたのは、これ全部黒字なわけじゃないです、赤字企業もあります。でも、かなり多くの大企業が早期希望退職募っている。東京商工リサーチによれば、今年、早期希望退職募集したうち約八割は株価の評価の高いプライムです、大企業ですね。そのうち六割以上が直近の最終損益は黒字なんですね。
 総理、黒字リストラという言葉は御存じでしょうか。どうお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) これ、経済の先行き不透明感を背景に、一部の企業で企業業績が黒字の状態で早期希望退職募集が行われているということです。
 これ、早期希望退職募集については労働者の自由意思で申し込まれるものであることが必要ですから、労働者の自由な意思決定を妨げるようなことがあれば、これは適切ではないと考えております。
○小池晃君 実際には退職強要なこともはびこっているんですよ。でも、やっぱり黒字の企業がこれだけどんどんどんどんリストラしていくというのは、私はこれデフレ大運動だと思いますよ。これは止めなきゃいけない。
 パナソニックホールディングの副社長は、これ一万人の人員削減するんですが、株価は通信簿だと言っている。つまり、株価上げるためのリストラだと、人件費比率下げれば評価が上がるんだと。
 しかし、日本中の企業が黒字でも雇用を削減して賃金抑制し続ければ、企業の短期利益は上がるかもしれない、でも、大株主は大もうけするかもしれない、しかし、国民の暮らしはこれは疲弊してしまう。
 総理、こういうその黒字リストラに対して、雇用に対する責任を果たすべきだと言うべきじゃありませんか。
○国務大臣(上野賢一郎君) 先ほど総理から御発言がありましたけれども、早期希望退職募集につきましてはあくまで労働者の自由意思が必要でありますので、その自由意思が妨げられているようなことがあれば適切に対応する必要があると考えております。
 厚労省としては、労働契約法に照らして問題のある事態、事案を把握した場合には、都道府県労働局において企業に対する啓発指導等をしっかりと行ってまいりたいと考えています。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 今厚労大臣が答弁したとおりでございます。法に従ってきちっと対処されるべきものでございます。
○小池晃君 いや、だから、そういうことじゃなくて、こういうことが企業がやっていることをその大きな問題としてどう考えるのかということなんですけど。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 企業には法律をしっかり守っていただくということです。労働者の自由意思じゃなければこれは認められないということです。
○小池晃君 法律を守るかどうかということじゃなくて、やっぱり企業の行動としてこういったことをよしとしてはいけないと私は思うんですね。しっかり物を言うことが必要だと。
 それから、大企業による自社株買いも問題で、これは六月、この委員会で私取り上げました。自社株買いというのは、本来賃金に回すべきお金なんですよ。それを株価つり上げのために自社の株式を購入する。
 石破前首相は六月のこの委員会で、株主への還元だけ、あるいはそれを重視するということであれば、企業の社会的責任果たせないと、経産省で議論しているとおっしゃいました。経産省、どういう議論をやっていますか。
○国務大臣(赤澤亮正君) 日本企業の業績は改善傾向にございますが、足下では株主還元が増加する一方、設備投資や研究開発、人的投資などの成長投資は欧米企業と比較して低い水準にあると認識をしております。
 中長期的に企業価値を高める上で収益をどのように分配するかは各社の経営判断ですが、政府としては、企業が成長投資に資金を振り向けることが重要と考えています。
 経済産業省の審議会では、本年五月、成長投資と自社株買いなどの株主還元のバランスを図ることが重要との中間報告を取りまとめました。本年十月に議論を再開し、成長投資と株主還元の状況などについて、業種別や企業の成長性、収益性別の深掘った検討を進めているところでございます。
○小池晃君 先ほども議論あったんですけど、やっぱり株の問題ですね。この失われた三十年で何が起こっているか。大企業は空前の利益を上げています。それが株主への配当、内部留保などに回っていると。労働者の賃金は低く抑えられて、実質賃金はマイナスになっているわけですね。この株主の配当に加えて、自社株買いというのはまさに配当みたいなものですよ。そういう事態になっているわけですね。これ、私、まさに搾取ではないかと思いますよ。
 総理、一部の株主の利益のために国民の雇用や賃金を犠牲にするようなやり方をしていたらば、私は日本の経済は失われた三十年どころか四十年にますます衰退するのではないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(城内実君) 過去三十年間の企業の動向を見ますと、リーマン・ショック、コロナ禍による落ち込みがありながらも、配当金、経常利益が伸びた一方、賃金は伸び悩んでまいりました。こうした背景として、長年のデフレの中で企業部門がコストカットを行ってきた結果、収益の増加に比して賃金や将来の成長のために必要な投資が抑制されてきたとの指摘もあると承知しております。
 強い経済を実現するためには、まず、企業が過度に内部留保を現預金として保有するのではなく、設備や人への投資などに効果的に活用することを通じて労働者への分配を増やしていくことが重要であります。
 高市内閣のマクロ戦略としては、企業を異常な貯蓄超過から正常な投資超過に戻し、コストカット型から脱し、投資成長型に移行することを目指すものであります。それによって企業の国内支出が増加することで、労働者への分配も増えていくということであります。
 以上です。
○小池晃君 じゃ、それどうやってやるんですか。その方向はいいですよ。具体的にどうやってこれやるんですか。
○国務大臣(城内実君) まあ分配、いろいろあると思うんですけれども、賃上げ、私は賃上げ環境整備の担当でございますので、様々な形で賃上げについてもしっかりと、いろいろとあると思いますのでやって……(発言する者あり)済みません。例えば様々なやり方があると思います。
 分配については、賃金を、まあ税も使うとかいろいろあると思いますので、そういった形で対応していきたいと思います。
○小池晃君 税を使うというのは具体的に何をやるんですか。
○国務大臣(城内実君) いずれにしましても、賃上げ環境整備担当大臣として、今後、どのような形でしっかりと分配するかについては検討させていただきたいと思います。
 以上です。
○小池晃君 もうしっかりとかいろいろとか言うだけで、具体的な施策は何も出てこないじゃないですか。全然駄目ですよ、これ。(発言する者あり)
○内閣総理大臣(高市早苗君) 済みません。
 まずは、今回取り組むのは、赤字で賃上げ促進税制を使えない企業、ここに対して地方創生、地方の交付金を使って補助金を出す、これを一つ近々実現する政策として持っております。
 もう一つは、コーポレートガバナンス・コードの見直しでございます。我が国のコーポレートガバナンス改革というのは、株主だけじゃなくて様々なステークホルダー、これに配慮しながら持続的な成長、中長期的な企業価値の向上を図るという観点から推進してきたんですけれども、やはりこれ、企業の利益を株主への分配だけじゃなくて人材ですね、働く方々への投資、それから新事業や研究開発の投資にも活用することは大事でございますので、コーポレートガバナンス・コードを改訂して企業が経営資源を適切に配分することを促すということで改革を進めてまいりたいと考えております。
○小池晃君 いや、拍手するような話じゃないと思いますけどね。全然具体的じゃないですよね。
 それとは逆行することをやろうとしているんですよ、今。労働時間の規制緩和ですよ。従業者の選択が前提と言うけれども、今以上に長い時間働きたいと言っている人、月八十時間を超えて働きたいという人は〇・一%しかいないと、昨日やられていました。労働者の希望じゃないんです。
 それでは、ここでは厚生労働大臣、十月二十七日の労政審で労使からどのような発言ありましたか、紹介してください。
○国務大臣(上野賢一郎君) 労働時間規制に関しまして、十月二十七日の労働政策審議会では、労働者代表委員からは、過労死や過労自死がなくなっておらず、労災の請求件数は増加をしている、働き過ぎで心身に不調を来しているという労働者からの声も多く寄せられており、政府は重く受け止めるべき、過労死認定ラインである時間外労働の上限規制の緩和は働き方改革を逆行させるもので、あってはならないといった御意見がありました。
 一方、使用者代表委員からは、心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討を行うという総理からの指示は時宜にかなっている、労働組合、特に過半数労働組合がある企業における裁量労働制の対象業務の拡大の見直しの検討を進めてほしいといった御意見がありました。
○小池晃君 結局、労働時間の規制緩和というのは労働者の要求じゃないんですよ、財界側の要求なんですよ。労働側は、ナショナルセンター、違いを超えて猛反発しているわけです。これ、更に搾取したいと。さっき、搾取かって、答えませんでしたけど、更に搾取したいという、やっぱりそういう長年の悲願じゃないですか。
 昨日の質疑で総理は企業側の論理だけの議論ではないと言ったけど、まさに企業側の論理じゃありませんか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) いや、企業側の論理ということで申し上げているわけじゃなくて、様々な意見がありますよ。でも、私は、あくまでも健康第一、それから本人の選択を前提に検討してほしいと考えています。少なくともその過労死認定ラインでもある上限を超えるなどということは決して言いませんし、そんなことは期待をいたしません。それから、働くことで命を落としたり健康を損なうということがあっても、これは決していいことではないんです。
 ただ、他方で、会社によっては時間外労働をその上限規制以下のかなり低い水準で抑制していて、その結果、更に生活費を稼ぐために本業先に伝えずに副業を行う方もいると。だから、自分の働いている会社と副業の方、両方の時間を足してこれ管理をしなきゃいけないんですけれども、本業先に伝えずに副業を行うと。しかも、自分が本来働いていらっしゃる場所が働き方改革に反応して、本当にちょっと過剰反応してすごく低く抑えちゃっていると、一定水準以下で抑えちゃっているということで収入が減って副業をしなきゃいけない。そうすると、私は、余計その方々が働き過ぎになっちゃうんじゃないか、健康を損ねるんじゃないか、そういうことを心配したんです。
 だから、やはりこれ働き方改革が始まってこの五年という一つの節目の中で今審議会でも議論していただいている、そういう段階です。だから、副業、兼業も含めた労働時間規制については、やはり様々な御意見を伺いながら、これ働き方の実態とニーズを踏まえて検討は深めていきたいと思っております。
○小池晃君 総理は上限規制の意味を取り違えていらっしゃると思う。上限規制というのは、できるだけ長く働かせるということじゃないんですよ。
 これ、上限規制を決めたとき、この議論があったとき、安倍元首相が国会で何と言ったか。労使は上限までの協定締結を回避する努力を図る、可能な限り労働時間の延長を短くする、これが趣旨だと答弁しているんですよ。上限まで働け働けという話じゃないんです。だから、労使で合意して上限下げればそれでいいんです。それが趣旨なんです。
 それからもう一つ、労働者の選択が前提だとおっしゃった。しかし、圧倒的な力関係の違いがあるわけですよ。そういう中で、だから労働基準法というのは罰則も伴う強行規定で成り立っているわけです。命守るためにはそれが必要なんですよ。労働者の選択だなんて言い出したら、際限のない長時間労働になる。
 日本の労働基準法、一日八時間ですが、いわゆる三六協定などでこれ延長が、例外規定がある。その上、裁量労働制、変形労働制、残業代ゼロ、もう次々と労働時間を拡大する法律が、サービス残業も横行している。そして、長時間労働の下で過労死、蔓延しているわけですよ。この五年間増え続けているわけですよ。過去最多ですよ。精神障害は本当に激増しているわけですよ、六年連続。
 総理は、過労死に至るような残業をよしとはしないと。当たり前じゃないですか。問題は、どうしたら過労死を生まないような労働環境をつくるかなんですよ。そういう中で規制緩和するなんて私は論外だと思います。労働時間の短縮こそ必要だと思う。いかがですか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 済みません。
 働き方改革関連法の施行から五年以上経過したことを踏まえて、現在厚生労働省の審議会で議論が行われている。何より大事なのは心身の健康の維持である、これが大前提だということは申し上げております。様々なお声がある中で、やはりその働き方の実態とかニーズというのを踏まえて検討を深める、これは別に悪いことじゃないと思います。
○小池晃君 いや、悪いことですよ。労働時間を短くするのが世界の流れなんですよ。長くするなんてことを議論しているのがありますか、世界で、こんな国が。
 そもそも、日本のフルタイム労働者、労働時間はヨーロッパの国と比べて長いわけですよ。八時間労働だといっても、休憩時間とか通勤時間とか入れたら十時間ぐらい拘束される、それが実態です。サービス残業もある。
 男女共同参画担当大臣、我が国の睡眠時間、世界から見て短いということについて白書ではどう指摘をしていますか。
○国務大臣(黄川田仁志君) 令和六年度版男女共同参画白書においては、G7各国を始めとする諸外国と比較すると、我が国の睡眠時間は男女共に短いことが示されています。また、その要因については、働く女性が増加し、共働き世帯数が専業主婦世帯数の三倍となっている中で、家事、育児等が女性に偏ったまま、現在女性は睡眠時間を減らすことで対応している可能性があるということを指摘しております。そして、男性については、依然として長時間労働も多い状況の中で、睡眠時間の確保及び家事、育児等との両立に苦慮していることがうかがえると指摘されております。
○小池晃君 しかも、女性の方が男性よりも睡眠時間が短い国というのは世界で少数なんですよ。総理も昨日言われていましたけど、介護で大変だったとおっしゃったじゃないですか。そういう女性がたくさんいるんですよ。
 ある新聞では、製薬企業で働く三十代の女性、繁忙期は四、五十時間の残業があって、キャリアを考えてフルで働いていると、保育園のお迎えと寝かし付けの後、夜中の零時、一時まで仕事をして、朝は七時に子供を起こして保育園に連れていく、自分の時間はないと。これが私実態だと思いますよ。
 やっぱり労働時間を短縮して、十分な睡眠はもちろんですけど、余暇やあるいは趣味を楽しむ、社会活動に取り組む、これは働く人の大切な要求だと私は思う。男女共に家事、育児、介護、ケアを分かち合える、そういう社会にするためにも、私は労働者が自由な時間、自由に使える時間を持っていくということは日本社会の大事な課題だと思いますが、いかがですか。大きな立場で聞いていますから、お答えください。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 男女が共に希望に応じて育児や介護とも両立できるような働き方、これを実現していくことは必要だと思います。私も、今睡眠時間は大体二時間から長い日で四時間です。だから、お肌にも悪いと思っております。
 でも、共にやっぱり希望に応じて育児や介護をちゃんと両立できるようにして、なおかつ仕事もできる、余暇も楽しめる、リラックスできる、そういう状況になればこれが非常に理想的な姿です。だから、長時間労働の是正というのも入ったし、勤務間インターバルの導入というのも入ったし、休暇の取得促進というのも入ったし、今年から改正育児・介護休業法におきまして、共働き、共育てを推進するためにフレックスタイム制や短時間勤務制度、これ、子供の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための各企業の取組の拡充、介護離職を防止するための介護と両立させるための支援制度、これを相談する窓口の設置の義務付けなどを行っています。
 だから、こういう制度、それから仕組みというのはちゃんとつくってきております。更に改善ができればいいなと考えております。
○小池晃君 だったら、労働時間を規制緩和して長くするなんというのは逆行じゃないですか。労働時間を短くする、今のお話だったら労働時間短くするという方向に進まなきゃいけない。しかも、賃上げとやっぱりセットでやらなきゃいけない。
 総理は、残業代が減って、生活費を稼ぐために無理をして慣れない残業をすることで健康を損ねる人が出る。これ、残業しないと生活できないということを解決するのが政治の責任じゃないですか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 今、政治の責任ということをおっしゃいました。だから、賃上げできる環境をつくることがこの内閣の責任だということをこれまで申し上げてまいりました。
 今まで、賃上げという声を出しても、それを企業に何か丸投げしちゃっているんじゃないか、もうそういう不満のお声もこの参議院選挙の最中、各地で聞いてまいりましたよ。だから、賃上げできるその環境をつくろうということで、あそこにいる賃上げ環境整備担当大臣、先ほど少し答弁でしくじったかもしれませんが、担当大臣に対してこの物価上昇を上回る賃上げが継続する環境整備に向けた戦略策定を指示いたしました。
 ですから、賃上げに取り組む中小企業や小規模事業者のために価格転嫁、取引適正化、そして設備投資、こういったものを通じた生産性向上支援します。それから、事業承継、MアンドAの環境整備など関係する施策を総動員して、これから中小企業や小規模事業者の皆様も継続的に賃上げできる環境を整えてまいる、これが私たちの内閣の方針でございます。
○小池晃君 賃上げできる環境、十分あるじゃないですか。これだけの利益を上げているんですよ。株主に回すんじゃなくて、賃上げできるじゃないですか。それをやるための具体的な施策が必要だと私は言っているんですよ。ちょっとそこは全くそういう施策は出てこなかったなというふうに思います。労働時間規制緩和は撤回すべきだということを申し上げます。
 しんぶん赤旗日曜版が、日本維新の会の藤田文武共同代表の公設第一秘書が経営する会社への公金の支出、税金の還流ではないかと報道しました。
 これ、この中身については、今日維新の人がいるわけじゃないからやりません。やりませんが、問題にしたいのは、取材した赤旗記者の名刺をネットで公開したことです。既にこの記者には一万通を超えるメールが殺到している。朝日は社説で、記者への個人攻撃や嫌がらせを誘発しかねないと、毎日は、記者を威嚇し取材活動を萎縮させると。そのとおりだと思います。
 総理、藤田氏の行為は政権与党による取材活動への重大な妨害、威嚇行為ですよ。連立与党の代表のこういう行為が許されるとお考えですか。
○内閣総理大臣(高市早苗君) 藤田代表の話ですけれども、藤田代表が政治家として判断して対応されている事柄ですから、その事案の当事者でない立場から私がコメントするということは差し控えたいです。
 また、名刺の話と今おっしゃいましたけれども、この個別の事柄に関してその個別の法律が適用されるかどうかとかいうことも内閣総理大臣の立場からはお答えすることを差し控えます。
○委員長(藤川政人君) 時間が来ておりますので、おまとめください。
○小池晃君 違法かどうかということを言っているんじゃないですよ。こういったことが、連立与党の共同代表ですよ。総理とのペアですよ。連立与党のお二人ですよ。それがこういう取材活動に対する威嚇のようなことをやっていることを許していいのかと聞いているんですよ。全くそれ答えなかった。
 これは取材活動に対する重大な威嚇だと、報道の自由に対する挑戦だというふうに言わざるを得ません。そのことを厳しく指摘をして、質問を終わります。

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