日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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小池書記局長の代表質問/参院本会議

2018年01月27日

赤旗2018年1月27日付

 日本共産党の小池晃書記局長が26日の参院本会議で行った代表質問は次の通りです。


日本共産党の小池晃です。会派を代表して、安倍総理に質問します。

国政私物化疑惑――虚偽答弁の人物が出世納税者の理解が得られるか

写真

(写真)代表質問する
小池晃書記局長=26日、
参院本会議

森友問題でも、加計問題でも、国民の多数は総理や政府の説明に納得していません。

とりわけ情報の隠ぺいに対する不信と怒りには、根深いものがあります。

森友学園への国有地売却をめぐり、当時の財務省理財局長が「適切に破棄した」としていた交渉記録が、実は保管されていました。明らかな虚偽答弁ではありませんか。

総理は「適材適所だ」と言いますが、このような人物が国税庁長官であることに納税者の理解が得られるとお考えか、しかとお答えいただきたい。

国政私物化の疑惑をこのまま幕引きにすることなどできません。

真相解明のために、安倍昭恵氏と加計孝太郎氏らの国会招致を強く求めます。

アベノミクスの5年間で貧困は悪化――株式譲渡益に欧米並み税負担を

施政方針演説で総理は、アベノミクスで力強い経済成長が実現したと述べましたが、国民に景気回復の実感がないのは、その実態がないからにほかなりません。

第2次安倍政権の5年で、大企業の当期純利益は2・5倍となり、内部留保は80兆円積み増しされて400兆円を突破しました。

その一方で、労働者の実質賃金は安倍政権発足前に比べて、年収換算で15万円も低下しました。金融資産を持たない世帯が5年間で400万世帯も増加し、全世帯の35%になりました。

今国会で政府は生活保護費の削減を狙っていますが、その理由は「生活保護を受給していない低所得世帯の消費水準が低下したから」。これはアベノミクスによって貧困がいっそう悪化した、何よりもの証明ではありませんか。

アベノミクスで最も恩恵を受けたのは、日銀マネーや年金資金によってつり上げられた株高で潤った超富裕層です。1億円を超える所得の33%が株式譲渡益によるものであり、20億円を超えると実に76%を占めます。しかし、株式譲渡益に対する所得税率が住民税も含めて20%に抑えられているために、所得が1億円を超えると所得税の負担率が低下するという逆転現象が起きています。昨年、OECD(経済協力開発機構)の対日経済審査報告書でも、このことが指摘されましたが、来年度も是正が見送られました。

アベノミクスの5年間で、株価は2・2倍となり、上場企業の大株主上位300人の保有時価総額は9・2兆円から25・2兆円へ、2・7倍に膨らみました。この300人の金融資産は、今や日本の全世帯の下位44%が保有する貯蓄額に匹敵します。

所得税制の「改正」というなら、まずこうした深刻な格差是正のために、株式譲渡益に対して欧米並みに30%の税負担を求めるべきではありませんか。お答えください。

「健康格差」の拡大――根底に貧困と経済的な格差の深刻な広がり

「健康格差」の広がりも大問題です。

全国の大学・国立研究所の研究者による「日本老年学的評価研究プロジェクト」が2万人の高齢者を対象に行った調査で、「低所得の高齢者と、高所得の高齢者では、死亡率が3倍違う」という結果が出たことが、各界に衝撃を与えました。

年収150万円未満の高齢者のなかで、「具合が悪くても、医療機関への受診を控えたことがある」という人の割合は、年収300万円以上の人の1・4倍。生活困窮世帯の子どもが、ぜんそくを発症するリスクは、それ以外の世帯の子どもの1・3倍。「5本以上の虫歯」となる割合も、生活困窮世帯の子どもと、そうでない世帯の子どもでは2倍の格差。

これらはいずれも、大学や国の研究機関、自治体などの疫学調査の結果です。

所得、雇用形態などの社会的要因によって、食生活やストレスなどに差異が生じ、低所得者や不安定雇用の人ほど疾病・死亡のリスクが高まる「健康格差」については、広範な研究者・学会の見解が一致しています。

WHO(世界保健機関)などの国際機関も「健康格差の是正」を呼びかけ、厚生労働省も「健康日本21」で「健康格差の解消」をうたっています。

総理は、「健康格差」の根底に、貧困と経済的な格差の深刻な広がりがあることを認めますか。

この間、安倍政権は、派遣労働を恒久化する労働者派遣法改定など、非正規雇用を拡大・固定化する労働法制の規制緩和をくりかえしてきました。社会保障では、年金の削減、医療費窓口負担の引き上げ、要支援者の介護サービスの保険給付外しなど、国民負担増と給付削減を続けてきました。

これらの政策は、低所得層や中間層の生活を痛めつけ、公的医療・介護へのアクセスを妨げ、「健康格差」をいっそう拡大したのではありませんか。

社会保障の負担増と給付削減は、家計を苦しめ、現役世代の不安を増大させ、中間層の生活の安定と消費の喚起にも大きな障害となります。社会保障の自然増削減はきっぱり中止し、能力に応じた負担で財源を確保し、充実に向かうべきではありませんか。

「働き方改革」というが、法案は「残業代ゼロ」や「過労死の合法化」

総理は、今国会を「働き方改革国会」だと述べました。

しかし、準備されている法案は、労働者が望む働き方とは正反対です。

日本の財界はこの20年間、ホワイトカラー・エグゼンプションなど、労働基準法の労働時間の適用を除外することを、繰り返し政府に求めてきました。今回の「高度プロフェッショナル制度」、いわゆる「残業代ゼロ制度」も、まさに財界の要求そのものです。

これのいったいどこが、労働者・国民が願う「働き方改革」なのですか。

これまで日本の労働団体が「労働時間の適用から除外してほしい」と要望したことが一度でもありますか。逆に一貫して反対し続けてきたではありませんか。

さらに、「企画業務型裁量労働の拡大」は、どれだけ働いても「みなし時間分」の残業代しか払われない労働者を、これまで禁止されてきた営業分野にまで広げるものです。これには年収制限もありません。厚生労働省は裁量労働制の実態把握すらせずに、この制度を拡大しようとしていますが、低賃金と過労死の温床を広げるだけではありませんか。

残業代ゼロ制度とともに、きっぱり撤回することを求めます。

労働時間の上限規制に関して聞きます。

電通の高橋まつりさんの過労自死の後も、過労死の例が後を絶たず、上限規制は待ったなしです。しかしなぜ、残業時間の上限を月100時間までとするのですか。

トヨタ自動車の系列子会社で働き、2011年に37歳で突然死した三輪敏博さんは、亡くなる直前に月85時間の残業をし、名古屋高裁は昨年「過重な労働だった」と認定。政府も受け入れ、判決が確定しました。

厚労省の報告では、安倍政権の4年間、三輪さんと同様に月の残業時間が100時間未満で過労死認定された方は、毎年、全体の52%から59%で過半数です。

残業を月100時間まで可能にする政府案は、「過労死の合法化」ではありませんか。

「過労死をなくす」というなら、大臣告示の週15時間、月45時間、年間360時間を、例外のない残業時間の上限として法令化すべきです。

総理は「柔軟な働き方を可能にする」と述べますが、実際には労働者にとっての「柔軟な働き方」ではなく、経営者にとっての「柔軟な働かせ方」にほかなりません。

日本共産党は広範な労働団体や野党各党と力を合わせ、労働法制の歴史的大改悪を阻止するために全力をあげます。

4月からの無期雇用への転換――脱法行為を許さぬ指導と抜け穴をふさげ

改定労働契約法により、この4月から、雇用期間の定めのある労働者が、同じ会社で通算5年以上働いた場合に、本人が申し込めば無期契約に転換できるようになります。ルール通りならば400万人の有期労働者が正社員になれるはずです。しかし、5年になる前にいったん雇い止めし、6カ月以上の雇用空白期間を設けることで、無期転換できないようにする脱法行為が広がっています。

昨年末、厚労省が自動車大手10社を調査し、空白期間を設けた7社中5社が、労働契約法の施行後に、空白期間を6カ月に変更していた事が判明しました。

このような脱法行為が広がれば、無期転換権を行使できる労働者はいなくなってしまいます。

総理は施政方針演説で「非正規という言葉を一掃する」と述べましたが、一掃するのは言葉だけなのでしょうか。

総理は特別国会での私の質問に対して「無期転換ルールを避ける目的で雇い止めすることは望ましくない」と答弁しました。ならば、脱法行為を許さない厳格な指導とともに、法の抜け穴をふさぐ改正に踏み出すべきではありませんか。明快な答弁を求めます。

沖縄米軍基地――「普天間」無条件撤去、新基地建設中止、海兵隊撤退こそ唯一の解決策

沖縄ではオスプレイや大型ヘリなど米軍機の事故が相次ぎ、県民の不安と怒りが広がっています。

重大なのは、事故原因の究明もされないままに、米軍が飛行を再開していることです。

12月に相次いだ米軍ヘリの部品、窓枠落下事故では「人的ミスで機体には問題ない」などと強弁して、6日後に飛行訓練を再開しました。今年続発したヘリの不時着事故でも、沖縄県の飛行訓練中止要求に耳を貸さず、事故機を含めて直ちに訓練を再開しました。

政府は、なぜ米軍に対して事故を起こした全機種の飛行中止を求めないのですか。

沖縄県民や日本国民の安全よりも「日米同盟」を優先する、主権国家にあるまじき態度ではありませんか。

こうした米軍の横暴勝手の根底にあるのが、屈辱的な日米地位協定です。ドイツやイタリアなどと比較しても、米軍に治外法権的な特権を与える植民地的なものですが、基地の外での日本の警察権行使まで拒否することは、地位協定上も許されないのではありませんか。

米軍の無法を許さないためにも、地位協定の抜本的な改定が必要ではありませんか。

総理は施政方針演説で、辺野古新基地建設をあらためて強調し、「移設は三つの基地機能のうち一つに限定」「飛行経路が海上となることで安全性が向上」「普天間では1万数千戸必要だった住宅防音がゼロに」などと述べました。

しかし空中給油機は岩国移駐後も、頻繁に普天間基地に飛来して訓練を継続し、騒音をまき散らしているではありませんか。「飛行経路が海上になる」と言いますが、今でもオスプレイは沖縄県内に多数の着陸帯があるために、集落上空を縦横無尽に飛び回っています。

なによりも、普天間基地所属のオスプレイやヘリは、この1年余で名護市、久米島町、伊江村、石垣市、東村、宜野湾市、うるま市、読谷村、そして3日前には渡名喜村(となきそん)と、沖縄全土で事故を起こしています。普天間基地を辺野古に移しても危険性は除去されないどころか、弾薬搭載エリアを持ち、F35B戦闘機の運用も想定される巨大基地となって、危険性をいっそう増大させるのではありませんか。

普天間基地の無条件撤去、辺野古新基地建設の中止、海兵隊の沖縄からの撤退こそ、沖縄県民の命と安全を守る唯一の解決策です。総理の見解を求めます。

「トランプ・ファースト」を見直し、言うべきことを言う当たり前の外交を

総理は昨年、首脳会談後の記者会見で「日米は100%ともにある」と述べました。トランプ大統領に言われるままに高額の米国製武器を次々購入し、軍事費は史上最高となり、国民生活を圧迫しています。

しかし今、世界の主要国は、米国のトランプ政権とは距離を置いて付き合っています。わが国が、世界でも異常な「トランプ・ファースト」の外交でいいのかが問われています。

総理は施政方針で「パリ協定の戦略策定に取り組む」と述べました。ならば、米国にパリ協定への復帰を求めるべきではありませんか。

中東を不安定化させるエルサレム首都認定も、各国首脳のようにきちんと批判すべきではありませんか。

北朝鮮の核・ミサイル開発は断じて許されません。経済制裁の強化と一体に、対話による解決を目指すべきです。ペリー元米国防長官は、核戦争になった際の被害は朝鮮戦争の10倍に、日本の被害も第2次世界大戦に匹敵すると警告しています。

戦争は絶対に起こしてはなりません。

しかし総理は、「すべての選択肢がテーブルの上にあるという米国の立場を支持する」と、先制的な軍事力行使まで公然と支持しています。こうした対応を、根本からあらためるべきではありませんか。

北朝鮮に核開発の放棄を迫るうえで国際的にも大きな力になるのが、核兵器禁止条約です。「核抑止力論」ときっぱり決別し、核兵器を法的に「禁止」し、「悪の烙印(らくいん)」を押すことによって、それをテコにして核兵器の「廃絶」に進もうという、最も抜本的かつ現実的な道を示した歴史的条約への参加こそ、唯一の戦争被爆国の政府の責務ではありませんか。

トランプ大統領のすることがどんなに無法なものであっても、批判せずに追随するという態度を根本的に見直し、言うべきことを言う、当たり前の外交政策をとることを強く求めるものです。

市民と野党の共闘を広げ9条改悪発議を許さないために全力

最後に、憲法について聞きます。

総理は施政方針演説で、今年が明治維新から150年であることを強調しました。しかし、この150年の前半には、侵略戦争と植民地支配に向かった負の歴史もあり、戦前と戦後をひとくくりにして、良い時代であったなどということはできません。

総理はそうした戦前の歴史も含めて、すべてを肯定的に評価しているのですか。

第2次世界大戦が終結し、日本国憲法、とりわけ憲法9条のもとで、わが国は新たな歩みをはじめました。昨年3月のNHKの世論調査では、「憲法9条が日本の平和と安全に役立っている」と答えた方が、初めて8割を超えました。多くの国民が高い価値を見いだしている、憲法9条のもとでの戦後日本の歩みを、総理はどのように評価しているのですか。

総理は、侵略の歴史への反省を語らず、「戦後レジームからの脱却」を掲げ、憲法9条を敵視し、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪と、数の力で憲法破壊を積み重ねてきました。こうした姿勢に多くの国民が不安と疑念の目を向けているからこそ、各種世論調査で、「安倍政権のもとでの憲法改定には反対」という声が多数になっているのではありませんか。

総理は年頭記者会見で「今年こそ憲法のあるべき姿を示す」と述べましたが、憲法99条は大臣、国会議員その他公務員に、憲法を尊重し擁護する義務を課しています。多くの国民が憲法改定を望んでいないもとで、「あるべき姿を示す」などと言うこと自体が、憲法と立憲主義を全くわきまえない発言だと言わざるを得ません。

憲法に基づく政治の実現こそわれわれの責任です。

日本共産党は、市民と野党の共闘を広げ、憲法9条改悪の発議を許さないために、全力をあげる決意を表明して、質問を終わります。


速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 会派を代表して、安倍総理に質問します。
 森友問題でも加計問題でも、国民の多数は総理や政府の説明に納得していません。とりわけ情報の隠蔽に対する不信と怒りには根深いものがあります。
 森友学園への国有地売却をめぐり、当時の財務省理財局長が適切に破棄したとしていた交渉記録が、実は保管されていました。明らかな虚偽答弁ではありませんか。総理は適材適所だと言いますが、このような人物が国税庁長官であることに納税者の理解が得られるとお考えか、しかとお答えいただきたい。
 国政私物化の疑惑をこのまま幕引きにすることなどできません。真相解明のため、安倍昭恵氏と加計孝太郎氏らの国会招致を強く求めます。
 施政方針演説で総理は、アベノミクスで力強い経済成長が実現したと述べましたが、国民には景気回復の実感がないのは、その実態がないからにほかなりません。
 第二次安倍政権の五年で、大企業の当期純利益は二・五倍となり、内部留保は八十兆円積み増しされて四百兆円を突破しました。その一方で、労働者の実質賃金は、安倍政権発足前に比べて、年収換算で十五万円も低下しました。金融資産を持たない世帯が五年間で四百万世帯も増加し、全世帯の三五%になりました。
 今国会で政府は生活保護費の削減を狙っていますが、その理由は、生活保護を受給していない低所得世帯の消費水準が低下したから。これは、アベノミクスによって貧困が一層悪化した何よりもの証明ではありませんか。
 アベノミクスで最も恩恵を受けたのは、日銀マネーや年金資金によってつり上げられた株高で潤った超富裕層であります。一億円を超える所得の三三%が株式譲渡益によるものであり、二十億円を超えると実に七六%を占めます。
 しかし、株式譲渡益に対する所得税率が住民税も含めて二〇%に抑えられているために、所得が一億円を超えると所得税の負担率が低下するという逆転現象が起きております。昨年、OECDの対日経済審査報告書でもこのことが指摘をされましたが、来年度も是正が見送られました。
 アベノミクスの五年間で株価は二・二倍となり、上場企業の大株主上位三百人の保有時価総額は九・二兆円から二十五・二兆円へ、二・七倍に膨らみました。この三百人の金融資産は、今や日本の全世帯の下位四四%が保有する貯蓄額に匹敵をします。
 所得税制の改正というのなら、まずこうした深刻な格差是正のために、株式譲渡益に対して欧米並みに三〇%の税負担を求めるべきではありませんか。お答えください。
 健康格差の広がりも大問題です。
 全国の大学、国立研究所の研究者による日本老年学的評価研究プロジェクトが二万人の高齢者を対象に行った調査で、低所得の高齢者と高所得の高齢者では死亡率が三倍違うという結果が出たことが各界に衝撃を与えました。
 年収百五十万円未満の高齢者の中で、具合が悪くても医療機関への受診を控えたことがあるという人の割合は、年収三百万円以上の一・四倍。生活困窮世帯の子供がぜんそくを発症するリスクは、それ以外の世帯の子供の一・三倍。五本以上の虫歯となる割合も、生活困窮世帯の子供とそうでない世帯の子供では二倍の格差。これらはいずれも大学や国の研究機関、自治体などの疫学調査の結果です。
 所得、雇用形態などの社会的要因によって食生活やストレスなどに差異が生じ、低所得者や不安定雇用の人ほど疾病、死亡のリスクが高まる健康格差については、広範な研究者、学会の見解が一致しています。WHOなどの国際機関も健康格差の是正を掲げ、厚生労働省も健康日本21 で健康格差の解消をうたっています。
 総理は、健康格差の根底に、貧困と経済的な格差の深刻な広がりがあることを認めますか。
 この間、安倍政権は、派遣労働を恒久化する労働者派遣法改定など、非正規雇用を拡大、固定化する労働法制の規制緩和を繰り返してきました。社会保障では、年金の削減、医療費窓口負担の引上げ、要支援者の介護サービスの保険給付外しなど、国民負担増と給付削減を続けてきました。これらの政策は、低所得者や中間層の生活を痛め付け、公的医療・介護へのアクセスを妨げ、健康格差を一層拡大したのではありませんか。
 社会保障の負担増と給付削減は、家計を苦しめ、現役世代の不安を増大させ、中間層の生活の安定と消費の喚起にも大きな障害となります。社会保障の自然増削減はきっぱり中止し、能力に応じた負担で財源を確保し、充実へ向かうべきではありませんか。
 総理は、今国会を働き方改革国会だと述べました。しかし、準備されている法案は、労働者が望む働き方とは正反対であります。
 日本の財界はこの二十年間、ホワイトカラーエグゼンプションなど、労働基準法の労働時間の適用を除外することを繰り返し政府に求めてきました。今回の高度プロフェッショナル制度、いわゆる残業代ゼロ制度も、まさに財界の要求そのものです。これの一体どこが、労働者、国民が願う働き方改革なのですか。これまで日本の労働団体が労働時間の適用から除外してほしいと要望したことが一度でもありますか。逆に、一貫して反対し続けてきたではありませんか。
 さらに、企画型裁量労働の拡大は、どれだけ働いてもみなし時間分の残業代しか支払われない労働者を、これまで禁止されてきた営業分野にまで広げるものです。これには年収制限もありません。厚生労働省は、裁量労働制の実態把握すらせずにこの制度を拡大しようとしています。これは、低賃金と過労死の温床を広げるだけではありませんか。残業代ゼロ制度とともにきっぱり撤回することを求めます。
 労働時間の上限規制について聞きます。
 電通の高橋まつりさんの過労自死の後も過労死の例が後を絶たず、上限規制は待ったなしです。しかし、なぜ残業時間の上限を月百時間までとするのですか。
 トヨタ自動車の系列子会社で働き、二〇一一年に三十七歳で突然死した三輪敏博さんは、亡くなる直前に月八十五時間の残業をし、名古屋高裁は、昨年、過重な労働だったと認定。政府も受け入れ、判決が確定をしました。
 厚労省の報告では、安倍政権の四年間、三輪さんと同様に月の残業時間が百時間未満で過労死認定された方は、毎年、全体の五二%から五九%と、過半数であります。残業を月百時間まで可能にする政府案は、過労死の合法化ではありませんか。過労死をなくすというのであれば、大臣告示の週十五時間、月四十五時間、年間三百六十時間を、例外のない残業時間の上限として法令化すべきであります。
 総理は、柔軟な働き方を可能にすると述べますが、実際には労働者にとっての柔軟な働き方ではなく、経営者にとっての柔軟な働かせ方にほかなりません。
 日本共産党は、広範な労働団体や野党各党と力を合わせ、労働法制の歴史的大改悪を阻止するために全力を挙げるものであります。
 改定労働契約法により、この四月から、雇用期間の定めのある労働者が同じ会社で通算五年以上働いた場合に、本人が申し込めば無期契約に転換できるようになります。ルールどおりならば四百万人の有期労働者が正社員になれるはずです。しかし、五年になる前に一旦雇い止めし、六か月以上の雇用空白期間を設けることで無期転換できないようにする脱法行為が広がっています。
 昨年末、厚労省が自動車大手十社を調査し、空白期間を設けた七社中五社が労働契約法の施行後に空白期間を六か月に変更していたことが判明しました。このような脱法行為が広がれば、無期転換権を行使できる労働者はいなくなってしまいます。
 総理は施政方針演説で、非正規という言葉を一掃すると述べましたが、一掃するのは言葉だけなのでしょうか。総理は、特別国会での私の質問に対し、無期転換ルールを避ける目的で雇い止めすることは望ましくないと答弁しました。ならば、脱法行為を許さない厳格な指導とともに、法の抜け穴を塞ぐ改正に踏み出すべきではありませんか。明快な答弁を求めます。
 沖縄では、オスプレイや大型ヘリなど米軍機の事故が相次ぎ、県民の不安と怒りが広がっています。重大なのは、事故原因の究明もされないままに米軍が飛行を再開していることであります。十二月に相次いだ米軍ヘリの部品、窓枠落下事故では、人的ミスで機体には問題ないなどと強弁して、六日後に飛行訓練を再開しました。今年続発したヘリの不時着事故でも、沖縄県の飛行訓練中止要求に耳を貸さず、事故機を含めて直ちに訓練を再開しました。
 政府は、なぜ米軍に対して事故を起こした全機種の飛行中止を求めないのですか。沖縄県民や日本国民の安全よりも日米同盟を優先する、主権国家にあるまじき態度ではありませんか。
 こうした米軍の横暴勝手の根底にあるのが、屈辱的な日米地位協定であります。ドイツやイタリアなどと比較しても、米軍に治外法権的な特権を与える植民地的なものですが、基地の外での日本の警察権行使まで拒否することは、地位協定上も許されないのではありませんか。米軍の無法を許さないためにも、地位協定の抜本的な改定が必要ではありませんか。
 総理は施政方針演説で、辺野古新基地建設を改めて強調し、移設は、三つの基地機能のうち一つに限定、飛行経路が海上となることで安全性が向上、普天間では一万数千戸必要だった住宅防音がゼロになどと述べました。
 しかし、空中給油機は、岩国移駐後も頻繁に普天間基地に飛来して訓練を継続し、騒音をまき散らしているではありませんか。飛行経路が海上になると言いますが、今でもオスプレイは、沖縄県内に多数の着陸帯があるために、集落上空を縦横無尽に飛び回っているではありませんか。
 何よりも、普天間基地所属のオスプレイやヘリは、この一年余りで、名護市、久米島町、伊江村、石垣市、東村、宜野湾市、うるま市、読谷村、そして三日前には渡名喜村と、沖縄全土で事故を起こしています。普天間基地を辺野古に移しても、危険性は除去されないどころか、弾薬搭載エリアを持ち、F35B戦闘機の運用も想定される巨大基地となって、危険性を一層増大させるのではありませんか。
 普天間基地の無条件撤去、辺野古新基地建設の中止、海兵隊の沖縄からの撤退こそ、沖縄県民の命と安全を守る唯一の解決策であります。総理の見解を求めます。
 総理は、昨年、首脳会談後の記者会見で、日米は一〇〇%共にあると述べました。トランプ大統領に言われるままに高額の米国製武器を次々購入し、軍事費は史上最高となり、国民生活を圧迫しています。
 しかし、今、世界の主要国は、米国のトランプ政権と距離を置いて付き合っております。トランプ大統領に言われるままに、こういう異常なトランプ・ファーストの外交で我が国はいいのかが問われているのではないでしょうか。
 総理は施政方針で、パリ協定の戦略策定に取り組むと述べました。ならば、米国にパリ協定への復帰を求めるべきではありませんか。
 中東を不安定化させるエルサレム首都認定も、各国首脳のようにきちんと批判をするべきではありませんか。
 北朝鮮の核・ミサイル開発は断じて許されません。経済制裁の強化と一体に、対話による解決を目指すべきです。ペリー元米国防長官は、核戦争になった際の被害は朝鮮戦争の十倍に、日本の被害も第二次世界大戦に匹敵すると警告しています。
 戦争は絶対に起こしてはなりません。
 しかし、総理は、全ての選択肢がテーブルの上にあるという米国の立場を支持すると、先制的な軍事力行使まで公然と支持しています。こうした対応を根本から改めるべきではありませんか。
 北朝鮮に核の放棄を迫る上で国際的にも大きな力になるのが、核兵器禁止条約であります。核抑止力論ときっぱり決別し、核兵器を法的に禁止し、悪の烙印を押すことによって、それをてこにして核兵器の廃絶に進もうという、最も抜本的かつ現実的な道を示した歴史的条約への参加こそ、唯一の戦争被爆国の政府の責務ではありませんか。
 トランプ大統領のすることがどんなに無法であっても、批判せずに追随するという態度を根本的に見直し、言うべきことは言う、当たり前の外交政策取ることを強く強く求めるものであります。
 最後に、憲法について聞きます。
 総理は施政方針演説で、今年が明治維新から百五十年であることを強調しました。しかし、この百五十年の前半には侵略戦争と植民地支配に向かった負の歴史もあり、戦前と戦後を一くくりにして、良い時代であったなどと言うことはできません。
 総理は、そうした戦前の歴史も含めて全てを肯定的に評価しているのですか。
 第二次世界大戦が終結し、日本国憲法、とりわけ憲法九条の下で我が国は新たな歩みを始めました。昨年三月のNHKの世論調査では、憲法九条が日本の平和と安全に役立っていると答えた方が初めて八割を超えました。多くの国民が高い価値を見出している憲法九条の下での戦後日本の歩みを総理はどのように評価しているのですか。
 総理は、侵略の歴史への反省を語らず、戦後レジームからの脱却を掲げ、憲法九条を敵視し、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪、数の力で憲法破壊を積み重ねてきました。こうした姿勢に多くの国民が不安と疑念の目を向けているからこそ、各種世論調査で、安倍政権の下での憲法改定には反対という声が多数になっているのではありませんか。
 総理は年頭記者会見で、今年こそ憲法のあるべき姿を示すと述べましたが、憲法九十九条は、大臣、国会議員その他公務員に憲法尊重擁護義務を課しています。多くの国民が憲法改定を望んでいない下で、あるべき姿を示すなどと言うこと自体が憲法と立憲主義を全くわきまえない発言だと言わざるを得ません。
 憲法に基づく政治こそ我々の責任です。
 日本共産党は、市民と野党の共闘を広げ、憲法九条改悪の発議を許さないために全力を挙げて闘い抜く決意を表明して、質問を終わります。(拍手)

〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小池晃議員にお答えをいたします。
 森友学園への国有地売却に係る文書管理等についてお尋ねがありました。
 森友学園への国有地売却や加計学園の獣医学部新設に関しては、今後ともしっかりと説明をしていかなければならないと考えています。
 文書の管理、保存については、各行政機関が責任を持って行っており、これまでも説明してきたところですが、今後、国会の場において、財務省など関係省庁からしっかり説明させていただきます。
 国有地は国民共有の財産であり、その売却に当たっては、国民の疑念を招くようなことがあってはなりません。私としても、国有財産の売却について業務の在り方を見直すことが必要と考えており、関係省庁において今後の対応についてしっかりと検討させているところです。
 国税庁長官の人事については、他の全ての人事と同じく、適材適所の考え方に基づき行ったものであります。
 生活保護基準の見直しなどについてお尋ねがありました。
 今回の見直しでは、年齢、世帯人員、地域を組み合わせた世帯特性ごとに、一般低所得世帯の消費の実態と生活保護基準額との乖離を是正するため、基準額が上がる世帯、下がる世帯が生じるものです。一方、モデル世帯では、一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準とがおおむね均衡しており、生活扶助基準を全体として引き下げるものではありません。
 なお、減額となる世帯への影響を緩和するため、減額幅を最大でも五%以内としつつ、三年を掛けて段階的に実施することにしています。
 金融所得課税についてお尋ねがありました。
 金融所得課税については、平成二十六年から上場株式等の配当及び譲渡益について軽減税率を廃止したところですが、これにより、高所得者ほど所得税の負担率が上昇する傾向が見られます。所得再分配機能の回復に一定の効果があったのではないかと考えています。
 金融所得に対する課税の在り方については、平成三十年度与党税制改正大綱において、「家計の安定的な資産形成を支援するとともに税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から、関連する各種制度のあり方を含め、諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ、総合的に検討する。」とされているところであり、丁寧に検討する必要があると考えています。
 健康格差と貧困、経済的格差との関係についてお尋ねがありました。
 安倍内閣発足後の格差、貧困を示す指標の動きを見ると、長期的に上昇傾向にあった相対的貧困率については、政権交代後、雇用が大きく増加するなど経済が好転する中で、低下に転じました。特に子供の相対的貧困率については、総務省の全国消費実態調査によれば、ずっと上昇し続けてきたものが、平成二十六年の調査、これは安倍政権ができて初めての調査でありますが、この調査において、集計開始以来初めて低下しました。
 また、所得再分配後のジニ係数は、近年の雇用・所得環境の改善や社会保障、税による所得再分配が機能した結果、おおむね横ばいで推移しています。こうしたことから、安倍政権の五年間で貧困と格差の広がりがあったとの御指摘は当たりません。
 また、平成二十七年に成立した労働者派遣法改正法については、正社員を希望する方にその道が開けるようにするとともに、派遣を積極的に選択している方には待遇の改善を図るものであり、非正規雇用を取り巻く環境について、不本意ながら非正規の職に就いている方の割合が低下しているなど、着実に改善しています。
 さらに、社会保障の見直しでは、所得の低い方々が必要なサービスを受けられるようにきめ細かな配慮を行うこととしているほか、保険料軽減などの充実を図っていくこととしています。こうしたことから、これらの政策が公的医療、介護へのアクセスを妨げ、健康格差を一層拡大させたとの御指摘は当たらないものと考えます。
 引き続き、アベノミクスを更に加速させながら、成長と分配の好循環をつくり上げることで、格差が固定化しない、許容し得ない格差が生じない社会の構築に向けて取り組んでまいります。
 社会保障についてお尋ねがありました。
 少子高齢化が進行し、社会保障費の伸びが引き続き見込まれる中、社会保障の持続可能性の確保は成長と分配の好循環を実現していく上で不可欠なものです。
 医療、介護の提供体制改革や、保険者のインセンティブ改革を通じた予防、重度化防止の強化等に取り組むとともに、公平な負担の在り方についても検討し、社会保障制度の持続性確保に向けた不断の改革を進めてまいります。
 こうした持続可能性確保の取組とともに、昨年十二月に閣議決定した新しい経済政策パッケージに基づき、子育て世代、子供たちに大胆に政策資源を投入し、我が国の社会保障制度をお年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと大きく転換していくことで、安心できる社会基盤を確立し、成長と分配の好循環を実現してまいります。
 高度プロフェッショナル制度や裁量労働制についてお尋ねがありました。
 働き方改革は、一人一人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するための、労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革です。
 働く方の健康の確保を大前提に、ワーク・ライフ・バランスを改善し、子育て、介護など様々な事情を抱える方々が意欲を持って働くことができる社会に変えていく。こうした社会を実現するために、労働時間法制の見直しが急務です。
 このような問題意識の下、昨年三月二十八日、私自身が議長となり、労働界と産業界のトップと有識者にお集まりいただいた働き方改革実現会議において、働き方改革実行計画を決定しました。働き方改革は、この実行計画に基づいて行う改革であり、財界の要求そのものであるとの御指摘は当たりません。
 また、今回の見直しにおいて、裁量労働制度の対象に追加するのは課題解決型の開発提案業務であって、単純な営業は対象になりません。そのことについては、昨年七月に連合の神津会長からいただいた要請を踏まえ、従前お示ししていた案を修正し、より明確な規定とすることとしています。
 高度プロフェッショナル制度の創設、裁量労働制の見直しや時間外労働の上限規制は、いずれも、健康を確保しつつ、誰もがその能力を発揮できる柔軟な労働制度へと改革するものであり、低賃金と過労死の温床を広げるだけのものではありません。
 残業時間の上限についてお尋ねがありました。
 過労死、過労自殺の悲劇を二度と繰り返さない。強い決意で長時間労働の是正に取り組みます。そのため、労使が合意すれば上限なく時間外労働が可能となる現行の仕組みを改めます。
 史上初めて、労働界、経済界の合意の下に、三六協定でも超えてはならない、罰則付きの時間外労働の限度を設けます。具体的には、時間外労働の上限は、月四十五時間かつ年三百六十時間と法律に明記します。その上で、労使が合意した場合でも上回ることができない上限を年七百二十時間とし、その範囲内において、複数月の平均では八十時間以内、単月では百時間未満と定めています。
 さらに、労使合意を踏まえ、可能な限り時間外労働を短くするため、新たに労働基準法に基づき時間外労働を適正化するための指針を定め、国が使用者及び労働組合等に対し必要な助言、指導を行えるようにすることを予定しています。
 このように、今回の改革は長時間労働に対する規制を強化するものであり、過労死の合法化という批判は全く当たりません。
 無期転換ルールについてお尋ねがありました。
 無期転換ルールを意図的に避ける目的を持って雇い止めを行うことは望ましくありません。無期転換ルールへの対応が円滑に行われるよう、引き続き都道府県労働局における相談対応や企業への周知に取り組んでいくとともに、望ましくない事案を把握した場合には、労働局において必要な啓発指導をしっかりと行ってまいります。
 また、無期転換ルールについては、改正労働契約法において見直し規定が設けられており、施行状況を勘案しつつ対応してまいります。
 米軍機の事故と飛行停止についてお尋ねがありました。
 米軍の運用に当たって、地域住民の方々の安全確保は大前提であり、事件、事故はあってはなりません。米軍機の事故後の飛行再開については、我が国としても、米側の事故調査や再発防止策について自衛隊の専門的知見も活用して検証を行い、その合理性を判断してきています。米軍機の事故や予防着陸、緊急着陸が相次いでいる中、在日米軍の全ての航空機について徹底的な整備、点検を確実に実施し、徹底した再発防止のための対策を講ずるよう米側に強く求めています。
 また、米軍機の飛行停止については、事故の態様等を踏まえ、個別に判断の上、米側に対して求めているところであります。
 今後とも、安全の確保については最優先の課題として日米で協力して取り組んでいきます。
 基地外での日本の警察権の行使と日米地位協定についてお尋ねがありました。
 米軍や米軍人に関する事件、事故については、日本の関係当局において所要の調査や捜査を行っており、基地の外での日本の警察権の行使が拒否されているとの御指摘は当たりません。(発言する者あり)

○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君)(続) 政府としては、米側に対し、米軍の活動に際し、地元住民への影響を最小限にとどめるよう、引き続き強く求めてまいります。
 日米地位協定については、安倍政権の下で、日米地位協定締結から半世紀を経て初めて二つの補足協定の策定が実現しました。今後とも、事案に応じた最も適切な取組を積み上げていくことにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。
 普天間の返還、辺野古への移設、沖縄の海兵隊についてお尋ねがありました。
 住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の一日も早い全面返還は、もはや待ったなしの課題です。固定化は絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、政府と地元の皆様の共通認識であると思います。
 辺野古への移設が実現すれば、飛行経路は海上となり、安全性は格段に向上します。また、この施設から戦闘機を運用する計画はありません。
 辺野古への移設は最高裁判所の判決に従って進めているものです。今後とも、丁寧な説明に努め、御理解、御協力が得られるよう粘り強く取り組んでいきます。
 米軍の運用に当たって、地域住民の方々の安全確保は大前提であり、事件、事故はあってはなりません。安全の確保は、最優先の課題として日米で協力して取り組んでいきます。
 また、空中給油機については、平成二十六年八月に十五機全機の岩国飛行場への移駐が実現しました。離着陸等の回数については、移駐後の平成二十六年九月は三十回であり、移駐前の前年九月の百六十二回から格段に減少しています。
 今後とも、空中給油機を含む普天間飛行場における米軍機の運用状況については、しっかりと把握してまいります。
 沖縄の海兵隊については、安倍政権の下、米議会に対する予算の凍結解除の働きかけなどにより、約九千人の要員がグアム等国外へ移転する計画が本格的に進展してきています。
 一方、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟の抑止力及びその中核である海兵隊の存在は極めて重要です。
 今後とも、抑止力を維持しながら、沖縄の方々の気持ちに寄り添い、基地負担の軽減に全力を尽くしてまいります。
 トランプ政権の外交に関してお尋ねがありました。
 米国は、日本が攻撃を受けた場合、日本と共同して対処することを条約上の義務として約束している唯一の同盟国です。
 トランプ大統領とは、首脳会談や頻繁な電話会談で、北朝鮮問題に関する深い分析を共有し、方針についても完全に一致しています。政府としては、トランプ大統領が米国は日本と一〇〇%共にあると発言していることを高く評価しています。
 パリ協定については、G7タオルミーナ・サミットの際に、G7首脳と共に脱退しないよう強く働きかけました。その後、米国がパリ協定から脱退を表明したことは残念ですが、気候変動問題は国際社会が取り組むべきグローバルな課題です。米国の関与が引き続き重要であることにつき、私も含め様々なレベルで米国に対し働きかけを行ってきています。
 エルサレムに関する米国の発表については、和平合意促進へのコミットメントや二国家解決への支持を評価しており、また、エルサレムの最終的地位への言及に留意しています。
 一方、この発表を契機として、今後の中東和平をめぐる状況が厳しさを増したり、中東全体の情勢が悪化し得ることには懸念を表明してきており、引き続き、大きな関心を持って注視していきます。
 北朝鮮問題及び核兵器禁止条約についてお尋ねがありました。
 まず指摘したいのは、北朝鮮問題については、挑発を行っているのは北朝鮮の方であり、私も、世界中の誰一人としても戦争など望んでおりません。
 平昌五輪の成功に向けて、最近、南北間で対話が行われていることは評価しますが、北朝鮮が、一九九四年の枠組み合意、二〇〇五年の六者会合共同声明を時間稼ぎの口実に使い、核・ミサイル開発を進めてきたことの反省を踏まえれば、北朝鮮とは対話のための対話では意味がありません。
 北朝鮮に、完全、検証可能かつ不可逆的な方法で核・ミサイル計画を放棄させるため、あらゆる手段を使って北朝鮮に対する圧力を最大限にし、北朝鮮の方から、政策を変更するので対話してほしいと言ってくる状況をつくっていくことが必要です。
 かかる観点から、我が国としては、全ての選択肢がテーブルの上にあるという米国の立場を今後も支持していきます。
 北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の進展は、我が国の平和と安定に対するこれまでにない重大かつ差し迫った脅威となっています。政府には、何よりも国民の命と平和な暮らしを守り抜く責任があります。そのためには、日米同盟の下で、通常兵器に加えて、核兵器による米国の抑止力を維持していくことが必要不可欠です。
 核兵器禁止条約は、核抑止そのものを否定しており、北朝鮮が参加するという見通しもありません。政府としては、核兵器禁止条約に参加することはできません。
 明治維新から百五十年間の歴史の評価についてお尋ねがありました。
 十九世紀、植民地支配の波がアジアに押し寄せる中で、急速な近代化を成し遂げることができたのは、身分、生まれ、貧富の差にかかわらず、多くの日本人が活躍した結果であると考えています。その上で、戦前から戦後にわたる歴史認識については、戦後七十周年の機会に内閣総理大臣談話を発表したところであり、その立場に変わりはありません。
 憲法九条と戦後日本の歩みに関する評価についてお尋ねがありました。
 戦後、私たち日本人は一つの誓いを立てました。戦争の惨禍を繰り返してはならない。そして、憲法の平和主義の下、一貫して平和国家としての道を歩んできました。
 同時に、戦後の日本で平和が保たれたのは、しっかりとした抑止力があったからであり、一つは自衛隊の存在、もう一つは日米同盟です。もちろん、外交によって多くの国々と友好関係を構築してきたことも大きく寄与したと考えています。平和主義の理念と不断の努力によって保たれた七十年以上にわたる平和を、私は誇りに思います。憲法改正についての世論調査についてお尋ねがありました。
 御指摘の国民の皆様の声については、私もしっかりと耳を傾け、真摯に受け止めたいと思います。他方、憲法改正について賛成が五割を超える世論調査や、六割以上の方が憲法改正の議論を進めるべきと回答した世論調査も存在をしておりますので、こうした声も排除せず、耳を傾けていただきたいと思います。
 小池議員を始め共産党の皆様には、こうした国民の皆様の声にも耳を傾けていただき、国会において是非憲法改正について建設的な議論を行わせていただきたいと思います。(拍手)

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