日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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論戦ハイライト/圧巻の追及 政府、答弁に窮す/暮らし・外交 深刻な実態ただす/参院予算委 小池書記局長の質問

2018年11月08日

赤旗2018年11月8日付

 7日の参院予算委員会で日本共産党の小池晃書記局長は、外国人労働者の受け入れ拡大問題や消費税増税、地位協定問題について、安倍晋三首相らをただしました。


外国人労働者受け入れ

失踪者4279人(1~6月)低賃金で

新資格の意義 法案になし

写真

(写真)質問する小池晃書記局長=7日、
参院予算委

 安倍政権は、「人手不足解消」を理由に、外国人労働者の受け入れを拡大するための出入国管理法改定案を2日に国会提出。来年4月施行を狙っています。小池氏は、外国人技能実習制度の深刻な実態を是正しないまま拡大しようとする政権の姿勢をただしました。

 小池氏は、技能実習生の失踪が2017年に7089人と過去最高に達し、今年はすでに4279人(1~6月)に上っていると指摘(表)。法務省調査では、失踪理由の87%が「低賃金」「契約賃金以下」「最低賃金以下」だと告発し、17年の労働基準監督署の監督では70・8%に法令違反があったと明らかにしました。

 小池氏は、「技能実習制度では職場選択の自由も居住の自由もない。耐えかねて失踪し、捕まったら入管施設で拘束される。労働基準法や最低賃金も守られず、守らせるための体制もないに等しい」として、安倍首相に迫りました。

 小池 この現状をたださずに受け入れを拡大すれば、事態はいっそう深刻になり、国際的な批判を招くのではないか。

 首相 確かにそういう状態があることは認めるが、新制度では問題が起きないよう適切な支援を行う。

 小池 来年4月に、どうして解決できるのか。深刻な実態に対する認識が甘い。

 小池氏は、在留期間にかかわって、改定案は、「特定技能1号」を原則1年更新としていると指摘。「人手不足になれば受け入れ、充足すればやめるものだ」と告発しました。

 小池 外国人は雇用の調整弁ではないか。

 首相 受け入れを停止しても、在留資格を直ちに打ち切って帰国させることは考えていない。

 小池 雇用契約が打ち切られたら在留資格の更新も認められない。国家による整理解雇だ。しかも職場を追われるだけでなく、帰国させてしまうという、これほどの人権侵害はない。

 その上で、小池氏は、改定案に制度の根幹部分が明記されず、法案成立後の閣議決定や省令に委ねられている問題をめぐり、「新たな在留資格をつくる意義さえ、法案に書かれていない」と追及しました。

 山下貴司法相は、人手不足解消が意義だとするばかり。小池氏は「国の針路を左右する重大な制度だ。まず意義があって法律をつくり、法律に基づいて基本方針を決めるのが、あるべきやり方だ」と強調しました。

 小池氏は最後に、在ベトナム日本大使館後援の日越交流会で、大使館関係者が「ベトナム、そして日本において、悪徳ブローカー、悪徳業者、悪徳企業がばっこしており」「本問題は大使館にとって最重要課題の一つだ」とあいさつしたことを取り上げました。

 小池氏は「深刻な実態の解決は政府にとっても最重要課題のはずだ。解決せずに拡大するなど断じて許されない」と批判し、改定案の撤回を求めました。

消費税10%

「ポイント還元」「商品券」

愚策やめ増税中止こそ

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 消費税増税が家計消費と経済に与える影響は極めて深刻です。2014年4月に消費税率を8%に引き上げる増税が実施されましたが、その後家計消費はひと月も増税前の水準を上回ったことはありません。(グラフ上)

 小池氏は、内閣府が発表している「実質民間最終消費支出」の推移では、東日本大震災後の3年間で震災前と比べて消費は20兆円近く伸びたにもかかわらず、消費税増税後の4年間では2兆円しか伸びていないことをパネル(グラフ下)で提示。「消費税増税は大震災をはるかに上回る消費への打撃になり、いまだに回復していない」と指摘しました。

 小池 こんな時に増税すれば、家計消費への打撃になり景気に深刻な影響を与えることは必至だ。

 首相 (前回の増税が)われわれの当初のもくろみよりも大きく消費に影響を与えたという認識はもっている。

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 首相は増税が与える経済への打撃を認める一方で“今回は増えた税収の半分を社会保障として国民に還元する”などと語り、あくまで増税に突き進む姿勢を見せたため、小池氏は「前回も全額社会保障に使うと言っていたが、これだけ(消費は)落ち込んだ」と反論。政府が景気対策として打ち出している、中小小売業支援策の「ポイント還元」や低所得者支援策の「プレミアム商品券」についてもただしました。

 「ポイント還元」とは、中小小売業でクレジットカードを利用した人を対象にしたものですが、中小小売業ではそもそもカード決済を行っていないところが多いのが実態です。カード会社が課す手数料は、決済額が少ない中小店舗ほど高いという問題もあります。小池氏は「こんな制度は中小小売業の支援どころか、大変な迷惑だ」と追及。さらに低所得者が2万5000円の商品券を2万円で購入できるようにすると言われている「プレミアム付き商品券」については、いずれ買おうと思っていたものを商品券があるから買う「先食い」などもあり必ずしも新たな消費を生むわけではないと指摘。「商品券を使って買い物をすればレジで『私は低所得者です』と言うようなものだ」との声があがっていることも紹介し、「増税分を戻すぐらいなら、最初から増税をやめればいい。愚策はやめるべきだ」と主張しました。

 複数税率導入で必要となるインボイス(適格請求書)制度も大問題です。免税事業者はインボイスを発行できず、取引から排除されて存亡の危機に立たされる恐れがあります。

 しかし安倍首相は、インボイス制度導入までに4年間の準備期間と6年間の経過措置を設けることをあげて「事業者への影響を極力緩和できる」などと発言。小池氏は「影響が出ることは認めざるを得ない。しかし、先送りしても影響はある。中小業者、商店街、雇用契約を結ばずに働いている方も全部対象になってくるわけで、被害が大きく出てくる」と批判しました。

 消費税を押し付ける一方で、株で大もうけしている超富裕層や大企業には優遇税制があります。

 小池氏は、株式譲渡益や配当益に対する税率が20%に抑えられているために年間所得が1億円を超えると所得税の負担率が下がるという“逆転現象”が起きていると指摘しました。

 小池 OECD(経済協力開発機構)や経済同友会も金融所得税率の引き上げを求めている。財務省も検討していたはずだ。なぜ見送るのか。

 麻生太郎財務相 財務省のなかでいろいろ検討させていただいているのは事実だ。

 首相 慎重かつ丁寧な検討が必要と考えている。

 小池 消費税を問題だらけの対策のなかで増税するのではなく、こういったこと(富裕層優遇の税制)を見直すことこそ最優先課題だ。消費税増税の中止を強く求める。

日米地位協定

他国と比べてあまりに屈辱的

外相の当然視 「恥ずかしくないのか」

 全国で在日米軍の事件・事故が相次ぐ中で、日本側の調査権や国内法を無視した日米地位協定の改定を求める声が高まっています。

 小池氏は、米軍CH53Eヘリが昨年10月に沖縄・東村高江の民間牧草地に墜落炎上した事件について、米軍が無許可で現場に規制線を引いて機体の残骸と土を持ち帰り、地権者すらも立ち入れなかったことを糾弾。「米軍は地権者に事故原因の報告もしていない。これでは国民の命や権利を守れない」とただしました。

 一昨年12月に米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイが名護市安部の海岸に墜落した事故で、小池氏は、米軍が海上保安庁の捜査申し入れを無視して物証の機体を回収したことに「なぜ日本側は捜査の協力すらできないのか」と指摘しました。

 河野太郎外相は「地位協定に関する合意議事録や刑事裁判管轄権に関する合同委員会合意がある」と、日本は米軍の財産である機体の捜査や差し押さえはできないと主張。小池氏は「地位協定でも基地の外での警察権は日本側にある。事故が起こっても指一本触れることができないとは、全く腰が引けている」と批判しました。

 全国知事会は7月、地位協定の改定を求めた決議を全会一致で採択しました。小池氏は知事会の研究資料(表)を示し、ドイツとイタリアでは米軍基地に立ち入る権利、訓練等の事前許可や通知、国内法の適用を実現していることをあげて「他国と比べて日米地位協定はあまりにも屈辱的だ。これで主権国家といえるのか」と迫りました。

 河野太郎外相 (独伊は)NATO(北大西洋条約機構)の加盟国の一員として加盟国間の相互防衛の義務を負っている国。異なる義務を負う日本の間で地位協定が異なることは当然にありうる。

 小池 驚きだ。この屈辱的な中身は当然であるというのが安倍政権の見解なのか。

 首相 日米安保条約は、米国の対日防衛義務に対応する義務としてわれわれが基地提供義務を負っている。そうした背景も考え比較しなければならない。

 小池 国家の主権の問題であり、このまま甘受していいはずがない。安保法制=戦争法で米国と肩を並べて戦争できるようにしながら、「日本とNATOは違う」というのはとんでもない話だ。

 小池氏は、自民党の国会議員連盟「日米地位協定の改定を実現し、日米の真のパートナーシップを確立する会」が15年前に地位協定の改定案を全会一致で可決し、当時の幹事長が河野氏、副会長が岩屋毅防衛相だったと指摘。岩屋氏が「改定案を政権与党の側から提案するところに意義がある。多くの議員の力添えで改定を実現したい」と発言していたことも紹介しました。

 小池 日米地位協定の改定を強く主張していた方々が外相、防衛相になった。政治家として信念があるなら、臆することなく、堂々と当時の主張を展開すべきではないか。

 河野 地位協定の問題は事案に応じて適切な取り組みを通じて解決していきたい。

 岩屋 日本政府としては努力をしてきている。

 小池 なんとも情けない発言だ。

 議場から「恥ずかしくないのか」という声が噴出しました。小池氏は、日米地位協定が国会でまともに審議されずに強行採決され、密室の日米合同委員会でさまざまな密約が結ばれてきた歴史経過に触れ「政府と国会が一体となって堂々と議論し、日米地位協定を改定しようではないか。これこそが真の『戦後レジームからの脱却』だ」と訴えました。

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速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。

 片山大臣にお聞きします。

 自身が代表を務める政治団体の資金収支報告書、先月三十一日、今月二日と二回にわたって訂正しました。このように記載漏れが続くのはあってはならないことだと思いますが、御自身の責任をどう考えていますか。



○国務大臣(片山さつき君) お答えいたします。

 まず、収支報告を訂正したことについては大変申し訳なく思っておりますが、現在、事務所においてまだ精査中でございまして、近いうちには全体の結果がお示しできると思います。

 こうした事態が生じた理由としては、平成二十八年の参議院選挙の際に選挙収支の事務を担当していた方がその年秋に退任してしまい、二十八年の収支報告を担当し、その年の秋に着任した秘書が誤認したことによるものによるものでございます。

 以上でございます。



○小池晃君 訂正はこれで終わりでないということですね。

 しんぶん赤旗日曜版の調査では、まだ未記載あります。全国宅建政治連盟、全日本トラック事業政治連盟、日本専門新聞政治連盟など五団体、七件。二〇〇九年から二〇一六年分、合計百四十五万円分、未記載ですね。



○国務大臣(片山さつき君) いずれにいたしましても……(発言する者あり)はい。

 お答えをさせていただきますが、要するに、領収書を出して、その保存が不十分であったことが理由になっておりますので、それを今一件一件確認しているところでございますので、近いうちにお示しできると考えております。

 以上でございます。



○小池晃君 自分の責任全く語っていないですよ。全部秘書のせいだという態度でしょう、これ。

 こんなに記載漏れ続いていれば、毎年の収支だって、これ、つじつまが合わなくなるんじゃないですか。結局、めちゃくちゃじゃないですか、これ。余りにずさんじゃないですか。



○国務大臣(片山さつき君) お答えいたします。

 法にのっとって適正な監査も受けた上に、毎年の収支報告は提出させていただいております。

 以上でございます。



○小池晃君 それがもう長年にわたってずさん、でたらめだったということでしょう、これ。

 大臣、大臣の資金管理団体、山桜会、間違いないですか。



○国務大臣(片山さつき君) 二〇一三年の六月以降は山桜会でございます。



○小池晃君 山桜会の会計責任者とされる税理士さんに問い合わせました。私が会計責任者ではない、勝手に名前を使われた、収支報告を見たこともないし、報告書の訂正についても知らないと答えました。ところが、その数時間後に文書が送られてまいりまして、自分が会計責任者だと回答しています。どうなっているんですか。



○国務大臣(片山さつき君) お答えいたします。

 昨日、西村税理士、この会計責任者に、六月七日の山桜会発足につきまして、承諾の上で会計責任者を引き受けていただいた方ですが、御連絡がございまして、今おっしゃったメディアから御連絡があったので、何か非常にびっくりして、一切自分は知らない、存ぜぬのようなことを言ってしまったんだけれども、後から、誤解をされているようだから、以下のようにお答えしたという紙をいただきました。

 二〇一三年六月七日、山桜会発足に伴い会計責任者を引き受けました。その際、私の代行、括弧、片山事務所秘書に印鑑を預けました。会計責任者としての任務は適正に遂行しておりました。御署名入りです。

 以上でございます。



○小池晃君 びっくりして、何か動転して言ったと言うけど、向こうから電話掛けてきたんですよ、留守電に入れたらば。きちんと丁寧に説明したそうですよ、最初は。私は全然知りませんということをるる説明されたんですよ、その、今名前言われたから私も言うけど、西村さんは。

 ところが、その後で文書で送ってくる。何なんですか、これは。



○国務大臣(片山さつき君) いずれにいたしましても、二〇一三年六月七日の山桜会の発足時に会計責任者を引き受けておりますし、その記録もきちっと残っておりますので、その事実はしっかりしておって、そのことを今このように文書でお答えになっているんだと思います。

 その御指摘の記者さんと税理士さんの会話につきましては、私どもは伺っておりませんので、ちょっとお答えできません。

 以上でございます。



○小池晃君 全く説明できないんですね、これね。

 名古屋にあるグローリア21 という介護の株式会社を御存じですか。



○国務大臣(片山さつき君) お答えをいたします。

 ヘルスケアの関係をやっていらっしゃって、私どもも、講演会に来ていただいている方だと思います。会社さんというか、団体さんだと思います。



○小池晃君 この会社と全く同じ住所、名古屋市中川区打中二の一〇五に一般社団法人日本シニア検定協会がありますが、御存じですか。



○国務大臣(片山さつき君) お答えをいたします。

 そのシニア検定の協会につきましては、私は会長をしていたことがありますから当然存じておりますし、このグローリアさんもその有力なメンバーだったと承知しております。



○小池晃君 このグローリア21 は、経済産業省の新連携計画に認定をされて補助金を受けていますか、御存じですか。



○国務大臣(片山さつき君) お答えいたします。

 それは今お伺いしたんで、それが事実ならばそうなんだろうなと思います。



○小池晃君 関連する企業が補助金を受け取ってはいけないことは御存じないんですか。



○国務大臣(片山さつき君) お答えをいたします。

 その21 さんは、済みません、社団法人だったか会社だったかちょっと失念しておりますが、いずれにしても、私はそこの役員でもなく株主でもなく、シニア検定というのは全く別の一般社団法人でございますので、そういったことには当たらないかと考えております。



○小池晃君 グローリア21、株式会社です。

 じゃ、片山大臣は政治資金の提供を受けたことはないんですね、グローリア21 から。



○国務大臣(片山さつき君) いわゆる寄附というのを受けたことはないと思います。



○小池晃君 これはきちんと調べて報告をしていただきたいと思います。思いますじゃなくて。

 総理、口利き疑惑が指摘されたり、政治資金収支報告を何度も訂正しなければいけない、更にまだ訂正事項はあるとおっしゃっているわけですね。こういう人に大臣をやらせていいんですか。私は、これは総理の任命責任問われていると思いますよ。いかがですか。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) 個別の事案については具体の事実関係に即して判断されるべきものであり、お答えは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、内閣、与党、野党を問わず、一人一人の政治家は、その言動について国民から不信を持たれることのないよう、説明責任を果たしながら、常に襟を正していかなければならないと考えております。その上で、片山大臣には、党の政調会長代理など様々な政策立案に携わってきた経験の上に、与えられた職責をしっかりと全うしてほしいと考えております。



○小池晃君 全然答えていないんですね。不信持たれているじゃないですか。山のように不信持たれているじゃないですか。それが許されるのかと聞いているんですよ。大臣として適格だと思いますか。これだけ不信を次々突き付けられている人が大臣であり続けることが適切だと総理はお考えですか。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) 御指摘の点等については、説明責任を果たしながら、常に襟を正していかなければならないと考えておりますが、その上で、党の政調会長代理などの経験を生かして、しっかりと職責を果たしてもらいたいと考えております。



○小池晃君 何度も何度も収支資金報告を書き換えなければいけない、まだ書き換えなきゃいけないことが残っていると、そういう人を大臣にしておいていいんですか、そのことを聞いているんですよ。襟正すといったって、ずっと正しっ放しじゃないですか。まだ全然正されていないじゃないですか、どうなんですか。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) 政治資金収支報告書の件については、ただいま片山大臣の方から当時の状況等も含めて説明があったと承知をしておりますが、しっかりと調べ直して対応していくものと考えております。



○小池晃君 大臣失格だということを申し上げたいと思います。

 安倍政権は、出入国管理法改定案を閣議決定しました。既に日本には百二十八万人の外国人が働いています。中でも外国人技能実習制度、大きな問題点が指摘をされておりますが、総理、現在の技能実習制度についてどう問題点を認識されていますか。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) この技能実習制度は、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的とする制度でありますが、一部の監理団体や受入れ企業において賃金不払や長時間労働等といった労働関係法令違反等の問題が生じていると承知をしておりますし、また、失踪する技能実習生が増加傾向にあり、技能実習制度の趣旨及び我が国社会への影響等に鑑みると、政府としてもこの事態を重く受け止めております。

 もし詳細な説明が必要であれば、また法務大臣から答弁させます。



○小池晃君 今、失踪者まで出るという話もありました。

 法務省、失踪者の調査しております。主な失踪理由は何ですか。



○国務大臣(山下貴司君) お答えいたします。

 これまでに、失踪した技能実習生及び関係者から事情を聴取するなどして、した調査では、主な失踪の動機としては、現状の賃金等への不満からより高い賃金を求めて失踪する者が約八七%、実習修了後も稼働したいとする者が一四%、また厳しい指導を理由に挙げる者が約五%などであることが判明しております。



○小池晃君 そのより高い賃金を求めてというのは、調査票でいう低賃金、契約賃金以下、最低賃金以下、これを合わせたものですね。



○国務大臣(山下貴司君) その三つを合わせたものでございます。



○小池晃君 より高い賃金を求めてって何かきれいな言い方していますけど、低賃金なんですよね。失踪者の八七%は低賃金を理由にしていると。こんな事態を放置して受入れを拡大するのは余りにも無責任だと思うんですよ。

 大臣ね、失踪者の調査項目、これ全ての集計結果を明らかにしていただきたい。



○国務大臣(山下貴司君) お答えいたします。

 先ほど申し上げた調査というのは、失踪した技能実習生のうち、不法残留等の入管法違反により入国管理局による違反調査を行った技能実習生から失踪の動機等の聴取を行ったものでございます。

 そして、その調査項目の中には、例えば就労場所であるとか失踪後の住居といった、内容によっては結果を公表することにより失踪技能実習生の傾向が明らかとなり、失踪を誘発するといった技能実習制度に対する悪影響を行いかねないものも含まれておるし、また個人情報に属するものもあり得るわけでございます。

 そのため、調査結果の公表に関しては、調査項目及びその結果の内容も踏まえ、公表を控えるべきである、項目の有無を含めて慎重に検討をする必要があると考えております。



○小池晃君 これだけ大問題になっているんですよ。個人情報は、それは出さなくたっていいと思いますよ。公表できるものは公表する、当然じゃないですか。



○国務大臣(山下貴司君) 公表に関しましては、調査項目及びその結果の内容も踏まえ、公表を控えるべき項目の有無を含めて慎重に検討する必要があると考えております。



○小池晃君 控えるんですか、公表するんですか、どっちなんですか。



○国務大臣(山下貴司君) 慎重に検討をしております。



○小池晃君 委員長、これ委員会として、これ重要な問題だと思いますよ、委員会に対して資料の提出を要求していただきたい。



○委員長(金子原二郎君) 後刻理事会で協議をさせていただきます。



○小池晃君 厚労省は毎年、技能実習生に対する監督指導を行っております。最近の労働基準関連法令の違反件数、それから主な違反事項、どうでしょうか。大臣。



○国務大臣(根本匠君) 労働基準監督署においては、技能実習生を雇用する約四万八千の実習実施者に対し重点的に監督指導を行っております。

 そして、今のお尋ねですが、平成二十九年の一年間、外国人技能実習生を雇用する五千九百六十六の実習実施者に対して指導監督を実施し、その結果、七〇・八%に当たる四千二百二十六事業場で労働基準関係法令違反が認められたため、是正指導を行いました。

 主な違反事項、これは、違法な時間外労働等の労働時間に関するもの二六・二%、機械を使用する際の安全基準に関するもの、これが一九・七%、賃金不払残業などの割増し賃金の支払に関するものなどでありました。また、重大、悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは三十四件でした。



○小池晃君 これ、技能実習生を受け入れている事業場四万と言われて、今お話がありましたが、そのうち四千を超える事業場で法令違反が見付かっているわけで、指摘されているわけですから、これ、一般の事業場に比べても圧倒的に、桁違いに多いわけですよ、これは。

 実際にはどのような法令違反があったのか、実例を紹介してください。



○政府参考人(坂口卓君) お答え申し上げます。

 今お尋ねの監督指導におきまして実際に認められた事例でございますけれども、先ほど御指摘ございました公表資料にも掲載しているところでございますが、例えば長時間労働等に関します情報が労働基準監督署に寄せられた事例といたしまして、事業所への立入調査の結果、技能実習生に対しまして一か月九十五時間程度の違法な時間外労働を行わせており、時間外労働に対しまして実習年数に応じ時間単価で四百円から六百円しか払っておらず、割増し賃金が不足しているなどの問題が認められたため、事業主に対しまして是正勧告を行ったという事例がございます。



○小池晃君 時間外賃金が時給で四百円、五百円、六百円。もう日本人労働者では考えられない事態ですよ。

 それから、今技能実習生で一番多いのはベトナム人、十二万人超えていますが、ベトナム語で対応できる労働基準行政の相談体制どうなっていますか。



○政府参考人(坂口卓君) お答え申し上げます。

 お尋ねのベトナム語を母国語といたします外国人労働者の方からの労働条件に関する相談でございますが、現在、東京労働局に外国人労働者相談コーナーを設置いたしまして、ベトナム語による相談に対応することができます外国人労働者労働条件相談員を配置の上、対応してございます。また、外国人労働者向け相談ダイヤルを設置いたしまして、先ほどの相談コーナーに来訪することができない方からのベトナム語による電話相談を受け付けているところでございます。

 なお、今申し上げましたベトナム語に対応しました相談コーナー、相談ダイヤルにつきましては、水曜日と金曜日の週二回、午前十時から午後三時まで実施しているというところでございます。



○小池晃君 十二万人のベトナム人技能実習生がいるのに、相談、申告を受ける際に労働基準行政の窓口でベトナム語で対応できる人は日本中でたった一人しかいないんです。しかも、週二回、十時から十五時まで。

 大臣、どうやってこれで人権侵害、労働条件に対応できるんですか。



○国務大臣(根本匠君) 外国人労働者からの相談については、外国人労働者からの相談が多い三十四か所の都道府県労働局及び労働基準監督署に外国人労働者相談コーナーを設置して、外国語による相談に対応することができる相談員を配置し、六言語で対応しています。

 今お話しの外国人労働者相談コーナーに来訪できない方が、相談ダイヤル、六言語対応していますが、今お話しのように相談できる曜日が限定されているということもありますから、相談体制を充実させること、これも検討していきたいと思います。

 なお、現在いる外国人労働者からの相談を全国で年間約一万件受け付けていますが、相談体制拡充していきたいと思います。



○小池晃君 いや、これからそうしたいというんじゃなくて、今はもうこれは対応できていないですね、どうですか。



○国務大臣(根本匠君) 今申し上げましたように、現在、外国人労働者からの相談、これは全国で年間約一万件受けている、これが事実でありますので、ただ、おっしゃるように、相談できる曜日が限定されている言語もありますから、これは相談体制をしっかりと充実させていきたいと思います。



○小池晃君 たった一人で対応できるわけないんですよ、日本中の十二万人のベトナム人技能実習生をね。だから、拡充すると言わざるを得ないということは、現状はもう足りないということじゃないですか。こういったことに手を打たずして拡大することが許されるのかということなんですよ。

 技能実習生の賃金についての調査はありますか、その結果は。



○政府参考人(吉本明子君) お答え申し上げます。

 技能実習生の賃金額につきましては、直近の平成二十九年度におきましては、公益財団法人国際研修協力機構におきまして、実習生を受け入れている企業に対しまして技能実習生の労働条件等に係る自主点検といった形で把握をしております。

 この実施結果によりますと、技能実習生の賃金額は、平成二十九年五月時点、時間給に換算した金額でございますが、七百十四円から八百円の間と回答した企業が五割超、八百一円から九百円の間と回答した企業が四割弱、九百一円から千円の間と回答した企業が一割弱といった状況でございます。



○小池晃君 政府としては調査していない、公益財団法人JITCOの調査なんですね。

 これ、七百十四円って何かというと、その前の年の都道府県別最低賃金の最低額が時給七百十四円。これ、アンケート調査ですから、最低賃金より低い回答は普通はしないと思うんですよ。結局、実態としてはもう最賃に張り付いていることは間違いない。

 総理、現状の外国人技能実習制度、さっき認識言われたけど、職場を選択する自由もなければ居住の自由もない、つらい労働に耐えかねて失踪者が続出して、そして捕まったら入管に拘束されると、基本的人権も個人の尊厳も認められていないですよ。しかも、今ある労働法制、労働基準法や最低賃金法も守られていないんですね。守らせるための労働行政の体制もなきに等しいです。

 総理、こうした現状を正すことなしに外国人労働者の受入れを拡大すれば、これ一層事態は深刻になって国際的な批判を招くのではないかと。いかがですか。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) それはそうではなくて、そうではなくて、むしろそうした状態、確かにそうした状態があるということを認めた上において、だからこそ今度は出入国管理庁というものをつくって、体制を強化して、そういうものにも対応していくということでありまして、もとより問題が起きないように制度及び運用の面で十分な取組を行うことが重要と我々も考えています。

 新たな受入れ制度においては、日本人と同等の報酬をしっかりと確保するとともに、受入れ機関又は登録支援機関による特定技能一号の外国人に対する各種支援の実施や、届出事項の拡充による支援の実施状況や外国人の活動状況等の的確な把握、関係機関とも連携した調査そして指導等を行うこととしております。

 こうした、今まで、今、小池委員が御指摘されたような様々な事態が起きないように、そうしたことを踏まえてこういう対応を取っていこうと、こういうことでございまして、これらを通じて的確に管理を行い、適切な支援がなされる仕組みとしていることから、かえってそれが大きくなっていくということではなくて、逆にしっかりと今までの問題点に対応していくことになっていくと期待をしております。



○小池晃君 問題があることは認めたわけです、総理も、現状に。それが来年四月に何で解決するんですか。来年四月に今言ったことが実現する、何でそんなことが言えるんですか。



○国務大臣(山下貴司君) まず、制度全体のファクトの問題として申し上げます。

 すなわち、二十九年、この技能実習で在留していた前年末の在留者数は二十二万人超、そして新規入国者数が二十九年で十二万超、そしてその中で失踪された方が七千八十九人でございます。そうすると、少なくとも九割をはるかに超える技能実習生の方々が技能実習計画に基づいてこの日本での実習にいそしみ、そしてそれを見守る方々がおられるという制度なんです。そのことを前提に考えなければならないと思っております。

 そして、これまで累次、技能実習において様々な問題が指摘されておりました。その指摘された問題を踏まえて技能実習法というのを定め、そして国会で御議論をいただいて、去年の十一月から施行されたわけでございます。そして、そこでの御議論をされた論点、そういったものも踏まえて、例えば今回の新たな人材受入れ制度について取り入れているものもあるわけでございます。先ほど、失踪の理由につきまして給料が安いという部分があったところについて、例えば日本人と同等の報酬というのを確保することなども、これは技能実習法にも入れておりますし、今回の新たな受入れ制度にも入れている、そうした形でしっかりと取り組んでまいっているということで御理解賜りたいと思っております。



○小池晃君 来年四月にできますかと聞いたこと、一言も答えていないですよ。総理。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、ですから、今、山下大臣がお答えをしたように、今までも九割の方々は、技能実習生、まさに目的に沿った形で日本で技能を身に付け、母国に帰ってその技能を生かして活躍しておられるんだろうと、こう思っておりますが、その中において、小池議員が指摘をされた問題、我々もそれを把握しておりますということを申し上げておきます。

 そこで、制度を見直し昨年十一月一日から施行されている新たな技能実習制度において、監理団体の許可制や技能実習計画の認定制の導入、外国人技能実習機構による実施、検査等を実施しております。また、技能実習生からの相談受付体制の整備等を規定し、これらにより制度の適正化及び技能実習生の保護を図っているところでございまして、引き続き、制度を共管する厚生労働省ほか関係機関、行政機関と連携しつつ制度の適正化に努めていきたいと、こう思っております。

 また、四月から実施する、今これから御議論をいただく新たな法制によってどういう対応を取っていくかということについては、先ほど私が申し上げたとおりでございます。



○小池晃君 来年四月に解決するということは、一切説明できないじゃないですか。

 何かうまくいっているかのように言うけど、七千人失踪したと、去年は。今年は半年で四千人超えているんですよ。増えているんですよ。八千人超えるかもしれないんですよ。このことに対して深刻な総括全くないですよ。そういう中で拡大したら本当に深刻な事態が生まれると。

 新たな制度ですけれども、これまでの実習制度と違い、技能移転ではない、人手不足対策だと。必要な人員が不足した分野で受け入れて、必要な人材が確保されれば受入れを停止すると。つまり、法務大臣、これは新たに在留資格を与える外国人は雇用の調整弁ということですね。



○国務大臣(山下貴司君) 今回の受入れ制度は、中小・小規模事業者を始めとした人手不足が深刻化している、それは委員もよく御承知だと思います。その我が国の経済社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が本当にリアルに出てきている。そういったことから、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが、そこまでの努力を行ってもなお困難な状況にある産業上の分野において、専門性、技能を有する外国人を受け入れていく制度でございます。

 したがって、生産性向上や国内人材の確保のための取組をしっかりと行っている、これが大前提でございまして、こうした取組を行わないまま、単に労働需要を見合わすために外国人材を受け入れるということができる制度ではないということをしっかりと御説明してまいりたいと思います。(発言する者あり)



○委員長(金子原二郎君) 速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば、外国人を調整弁として使おうという考えではなくて、確かに人材不足であります。そこで、人材がいない、人手不足がために倒産している会社も多々あるのも事実であります。深刻な問題になっている状況の中で、これは待ったなしであろうと思います。

 まず第一点は、まず第一点は、だからといってすぐに外国人の労働者を入れるということではなくて、先ほど山下大臣から答弁をさせていただきましたように、まず国内で何とか人材を確保できないかという努力を進めていく、次はIT等を活用した生産性の向上を図っていく、それでもなおこれは人手不足であるという状況のところについて対応していくということでありますが、では、そこで直ちに、例えば、新たな制度では、必要とされる人材が確保されたと認められる場合には、外国人の新規入国を一時的に停止することができるとしておりますが、その場合であっても既に在留する外国人材の在留を直ちに打ち切り帰国させるということは考えていません。

 特定技能の在留資格は、外国人と受入れ機関との間で雇用計画が締結されていることが前提となっているところでありまして、既に特定技能で在留中の外国人については、雇用契約が締結、継続していることなど、個別の在留状況をしっかりと把握した上で在留の許否を判断することとしております。



○小池晃君 中身に入る前に、いや、安易にやるかどうかというのは別ですよ。そんなことを言っているわけじゃなくて、要するに、不足したら受け入れて、充足したら受入れを止めるんだから、これはもう調整弁と言うんじゃないですか。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) 調整弁という言葉を、これは、そういう言葉を使うことによって、相手がどう受け止めるかということもありますし。で、我々は、ただ、そのような機械の一部のように考えているわけでありません。外国人材の皆さんは人間として受け入れるわけでありますから、先ほど来答弁していたように、しっかりとその皆さんが、皆さんにとっても、日本へ来て働いてよかったなと思って帰っていただけるような対応を取っていきたいと、こう考えているところでございます。



○小池晃君 調節機能だったらいいですか。調整弁というのは、でも、経団連が言っている言葉ですからね。調節機能でしょう、これ。実際人材が足りなくなったら入れる、充足したら止める、調整、調整ですね。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) そういう機械の一部と捉えているかのような誤解を与えるかもしれない言葉は使うのは適切ではないと、こう思っておりまして、しっかりと日本で働きたいなと、こう思っている皆さんがやっぱり日本に来て働いて良かったと思って帰っていただける、そういう仕組みにしていきたいと、こう考えているところでございます。



○小池晃君 先ほどの答弁で、ちょっと聞きますけれども、必要な人材が確保されれば受入れ停止すると。それは新たに入国する外国人だけじゃないですよね、これ。だって、在留期間は、例えば特定技能一号では一年ごとに原則更新されるんだから、これは受入れが停止されれば帰国しなければいけないんじゃないですか。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、入ってこられる一号の方は、五年という在留資格が生じます。それとまた別途、会社と契約を、雇用契約が結ばれます。ですから、まず、雇用契約が結ばれている期間は当然そことの雇用関係がありますから、そうなってもその雇用期間はしっかりと達成されると、こう考えております。

 一方、一方、在留資格自体は残っておりますから、この人物が来た技能の中において、その当該受入れ企業等々との関係は契約が切れても、残りの、残余の在留資格等においてこれは継続、個別の、これは在留の許否をこれ判断をしていくわけでありますが、そこは雇用契約を別途結ぶ、その方が結ぶことができれば、残余の在留期間等についても在留することができると、こういうことでございまして、いずれにいたしましても、個別の在留状況をしっかりと把握した上で在留の許否を判断することとなるということでございます。



○小池晃君 残余の在留期間の問題じゃなくて、在留期間が切れたら帰らなきゃいけないですよねと言っているんですよ。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当然、五年ということでございますから、基本的にそう考えているところでございます。



○小池晃君 いや、一年ごとに在留期間、原則更新するんだから、それが切れたら帰らなくちゃいけないですよね。



○国務大臣(山下貴司君) 整理して申し上げます。

 すなわち、一号に関しては、在留期間の上限は通算五年ということでございます。そして、更新については一年ということを考えておりますけれども、しかしながら、雇用契約を一年を超えて契約するということは排除していないわけでございます。例えば、二年、三年、あるいは五年ということもあるでしょう。その場合には、在留期間の更新においてそういった長期の契約を持っているということは、やはり我々はしっかりと見ていくということでございます。



○小池晃君 そうすると、日本人の雇用に影響を与えないという説明があったんですけれども、もう充足していて、増えて、もうあふれているのに、雇用契約があればそのままいるということになるんですね。



○国務大臣(山下貴司君) 先ほど申し上げたように、これは生産性の向上、そして国内人材の確保を行ってもなお深刻な人材不足があるところに限っておるわけでございます。したがって、その見通しを持って受入れ規模を認めるわけですし、また、一時停止においても、この一定の人数が超えたから、はい、停止というのではなくて、今後の生産性向上であるとか国内人材がどれほど確保できるのかということも見据えた上で、その段階で発動するということでございますので、国内労働市場に対する影響というのは非常に極めて乏しいのではないかというふうに考えております。



○小池晃君 在留期間の更新の際に雇用契約が打ち切られれば、それは在留資格更新、認められないですね。



○国務大臣(山下貴司君) もとより、これは就労資格でございますから、ここの、やっぱり就労できない状況になったということであれば、更新は認められないということになろうかと思います。



○小池晃君 これ、ある意味で国家による整理解雇なんですよ、そういう事態になったらね。しかも、失職するだけじゃなくて、帰国しなきゃいけないんですよ。私は、本当にこれ人権侵害だと思います、この仕組みはね。

 しかも、今度の法案、法案の根幹部分が、法案成立後に閣議決定される基本方針、政令に委ねられています。

 聞きますが、新たな制度について、特定技能の在留資格を新設する意義はどこにあるんでしょうか。



○国務大臣(山下貴司君) これは、特定技能という在留資格を新設する意義につきましては、これはやはり、これまで例えば我が国の在留資格には技能資格というのがございます。これは、我が国の特殊の産業分野、なかなか我が国にはない産業分野において、外国調理人であるとかあるいは宝石の関係の職人であるとか、特殊な分野においてその高度の技能を持つ者を認めていた、そういったものでございます。

 しかしながら、我が国で通常ある分野なんだけれども、人手不足が本当に深刻で国内人材の確保もままならない、そういったところの熟練の技能を持つ者について、これが特定技能の二号と。そして、その熟練の技能まで至らなくても、これはもう一定の専門性、技能を持っているという資格について、本当に深刻な産業分野において認めるということ、それが特定技能一号ということになっております。



○小池晃君 今大臣が言ったことは法案のどこに書いてあるんですか。



○国務大臣(山下貴司君) これは、入管法の別表に在留資格が書かれております。そして、別表第一の二のところで、技能に並んで特定技能というところが書かれてあって、この特定技能の定義のところに特定産業分野ということで、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野として法務省令で定めるものをいうということでございます。そして、相当程度の知識又は経験を必要とする技能を有する業務に従事する活動を一号、そして、熟練した技能を要する業務に従事する活動を二号というふうに定めておるところでございます。



○小池晃君 基本方針の一項めが特定技能の在留資格に係る制度の意義に関する事項になっていますが、間違いありませんか。



○国務大臣(山下貴司君) 基本方針の骨子、これでありますけれども、そのように新たな外国人材受入れの趣旨、目的ということで骨子案を示させていただいたところでございます。(発言する者あり)



○委員長(金子原二郎君) 速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。



○国務大臣(山下貴司君) 失礼いたしました。

 質問をちょっと誤解しておりまして、基本方針の条項が二条の三というところに定めておりまして、その二項において、基本方針は次に掲げる事項について定めるものとするということで、特定技能の在留資格に係る制度の意義に関する事項ということが定めることになっております。



○小池晃君 つまり、法案には意義書いていないんですよ。法案は、法案成立した後で閣議決定する基本方針で意義を決めるんですよ。意義を決めていないような法案、何で閣議決定できたんですか。



○国務大臣(山下貴司君) そこの意義に関しましては、これは法律案の提案というか、この理由を説明する際に、中小・小規模事業者を始めとした人手不足が深刻化しており、我が国の経済社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきていると。このため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することが求められているということ、そういったことに関して閣議で御説明し、御了解を得たということでございます。



○小池晃君 だから、今言ったことが法案には書かれていないんですよ。その今言った中身は法案成立後に閣議決定するんでしょう。全然これは順序が逆じゃないですか。何で、新たな、国家にとって本当に新しい制度を入れるその意義が法案には書かれていないのに、それを閣議決定したんですよ。そんなことあり得ないじゃないですか。



○国務大臣(山下貴司君) その趣旨につきましては、そういった、その真に必要な分野について一定の専門性、技能を有する者を持つのだという提案理由の下で条文を構成しているわけでございます。

 そして、その趣旨を、例えば項の、基本方針の策定であるとか、あるいはこういった別表二の在留資格の記載、そういったものに落とし込んでいるということでございます。(発言する者あり)



○委員長(金子原二郎君) 速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。



○国務大臣(山下貴司君) これ、御説明いたしますと、基本方針というのは法律があって初めて策定が求められるものでございます。ですから、前提として法律がないと基本方針というのは定められないわけでございます。

 ですから、この基本方針に関する条項を作るのだということについてまず法律で定める、そしてそれを認めて、お認めいただいた上で基本方針を策定するということでございます。

 そして、この法案の趣旨につきましては提案理由などで説明しているとおりでございます。



○小池晃君 新たな制度を入れる意義がまずあって、それで法律を作って、その法律に基づいて基本方針を決めて具体化をする、これが普通のやり方じゃないですか。



○国務大臣(山下貴司君) まず、法律というのは、その提案理由ということで、こういった趣旨で作るのだということを御説明する、そしてその理念の下に条文というのを作るわけでございますけれども、その条文の中で、例えばこの法律が作る基本方針であるとかあるいは分野別運用方針であるとか、そういった様々なものを法律で位置付ける、それによって初めて基本方針や運用方針が法律に基づいたものになるわけでございます。そういった意味で今申し上げているところでございます。



○小池晃君 分野別の運用方針とかは法律できてから閣議決定する、それは分かりますよ。

 制度の意義ですよ。何でこの制度を入れるのかですよ。それが法律に書いていないんですよ。こんなのあり得ないでしょうと言っているんですよ。



○国務大臣(山下貴司君) お答えいたします。

 この法律はあくまで入管法改正法でございまして、この入管法の枠組みの中で、例えば他の在留資格等に付け加えるものでございますから、他の在留資格と異なる扱いを入管法上するかどうかという問題がございます。そして、在留資格を新たに付け加える際に、この新たな意義を法案上、例えば目的条項に書き込むのかというと、今まで入管法はそういうふうなところを取っていなかったわけでございます。そういった入管法の言わば法律的な構造上ということで、今こうした御説明をさせていただいているわけでございます。(発言する者あり)



○委員長(金子原二郎君) 速記止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(金子原二郎君) 速記を起こしてください。



○小池晃君 私は、素朴な疑問を言っているんですよ。新しい在留資格という我が国にとって非常に大きな資格を入れるときに、それを決める法案になぜ入れるのかの意義が書いていないと、その意義は法律ができてから決めますと、おかしいんじゃないんですかと。入管法がどうのこうのという法律の形式の問題じゃない。新しい在留資格を入れるという法案なんでしょう。そこにその意義が書いていないということが問題だと言っているんです。



○国務大臣(山下貴司君) これにつきましては、やはり入管法改正案ということで、ほかの在留資格、これ新たな在留資格が追加されたときもそうでございます。それに一つ一つその意義を書き込んでいるかというと、そういった扱いはしていないわけで、この入管法というその法律の構造上、こうした扱いをさせていただく。ただ、その提案理由において、人手不足が深刻化しており、そういった産業分野において一定の専門性、技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていくという仕組み、これをつくるのだということを御説明させていただいています。



○小池晃君 総理、やっぱりこれ、新しいこういう国の進路に関わるような重大問題、入管法の改正という形でやること自体無理があるんじゃないですか。やっぱりこれ、根本的に考えた方がいいんじゃないですか、やっぱり。

 これ、国会でこの法案審議になったら、もう本当いろんな問題出てきますよ。私はそう思いますが、いかがですか。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々は、まさにこれは入国管理法の言わば改正ということで対応すべきだと、そういう判断をしたところであります。



○小池晃君 ちょっとこれは、法案の審議で多分これはいろんな形で問題になると思います。

 総理は所信表明で、群馬の中小企業で働いていたベトナム人の青年が日本人と同じ給料をもらいながら一緒に働いていたということを紹介されました。もちろんそういうケースもあるでしょうが、それはごく一部じゃないですか。

 ベトナムの、在ベトナム日本大使館のホームページにはこんな記事が出ています。十月十三日にベトナムで人材育成交流会があって、日本大使館の代表がこう挨拶しています。日越両国の交流の拡大は大変喜ばしいことであり、多くのベトナムの若者が日本で働いています。しかし、留学、技能実習の急増により問題も生じています。日越関係に影を落とすものです。技能実習生の失踪者数はワースト一位、全体の半数以上をベトナムが占めています。不法残留者も年々増加しています。そして何よりも、犯罪の増加が問題です。ベトナムの若者は夢や希望を抱いて訪日しており、決して最初から犯罪をしようと思って日本に行っているのではなく、犯罪をせざるを得ない状況に追い込まれています。多額の借金を抱え、日本に行っても借金が返せず犯罪に走る。ベトナムの若者の人生をめちゃくちゃにしています。日本におけるベトナムのイメージ、ベトナムにおける日本のイメージが悪化することを懸念しています。本問題は大使館にとって最重要課題の一つです。



〔委員長退席、理事二之湯武史君着席〕



 ベトナムの日本大使館でしょう、これ。ベトナムの日本大使館の方が、大使館にとって最重要課題だという認識をベトナム人の皆さんの前でしゃべっているんです、ついこの間。深刻な事態の解決は、これは日本の政府にとっても最重要課題じゃないですか。

 これ、大使館すら認めているこの重大問題、解決せずに拡大することが許されますか、総理、総理。



○国務大臣(河野太郎君) ベトナム国内で大変にベトナムの若者の夢を損なうようなブローカーがばっこしておりましたので、これは大変重要な課題だと認識し、ベトナムの大使館のホームページにそうしたブローカーの一覧表を載せました。そういうブローカーを通じて出されたビザの申請は全部お断りをする、そういう方針で今臨んでいるところでございます。

 また、ベトナム政府との間で、こうした留学生あるいは様々な技能実習生に関する覚書を取り交わし、こうした事態に両国として厳正にこれから対処してまいります。



○小池晃君 私が聞いたことは、大使館はこれ、この問題の解決は最重要課題だといって、まあ今言ったような対処。

 ただ、そういう事態がある中で、総理はだってベトナムの例を非常にいい例として挙げたけれども、大使館はこういう認識しているじゃないですか。こういう問題の解決なしに拡大するなど許されないのではないかと私言っているんですよ。こういう問題更に広げることになりませんかと言っているんですよ。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私が紹介したのは、クアン国家主席が日本に訪日をした際に、御自身が視察をされたところで、そこは日本人と同等の賃金で働いていたと、これは本人にとっても誇りだと、こうおっしゃっていた、私もそのことは私たちの誇りですと。言わばこのような形で受入れ体制をしっかりとしていきたいという思いを込めたわけであります。

 実態は様々な実態があり、先ほど河野外務大臣から答弁をさせていただいたように、こちら側で対応すること、あるいはベトナム側の言わばそういうブローカー的な業者をしっかりと排除をしていくということをしっかりとやっていくことによってこの現在の状況を変えていくことはできると、こう考えているわけでありますが、カネコ委員は、この状況に対するこの対応は……(発言する者あり)あっ、済みません、カネコじゃなくて小池さん、小池委員は、こういう対応はそのままの状況が続いていく中において拡大していくというふうに印象を持っておられますが、それは違うということは申し上げておきたいと思います。



〔理事二之湯武史君退席、委員長着席〕



○小池晃君 来年の四月までにこれだけ問題山積しているものが解決できるんですかと言っているんですよ。決意だけ語ったって、これ、しかも、この臨時国会でこんなぼろぼろな中で法案を通すなどということは許されないと。法案撤回を求めます。

 総理は、先月十五日、来年十月に消費税を一〇%に増税すると表明されて、その際、引上げ前後の消費を平準化するための対策を講じるとされました。

 要は、やっぱり駆け込み需要とその反動減という認識なんだと思うんですが、(資料提示)しかしこれ、前回二〇一四年四月の消費税増税後の家計消費見ると、その四年半、一月たりとも増税前の水準を上回ったことはありませんが、これ、駆け込み需要の反動減が四年半続いているという、総理、そういう認識ですか。総理。



○国務大臣(茂木敏充君) 前回、二〇一四年の消費税引上げ、四月からでありましたが、それから二四半期につきましては明らかに駆け込み需要に対する反動減があった。それ以後の動きについては様々な動きがあるわけでありますが、二〇一六年以降、恐らくその次の表でお示しをいただけるんだと思いますけれど、消費につきましては回復基調が続いていると考えております。



○小池晃君 総理は国会答弁でGDPベースを使ったので、そのことを今言われたんだと思うんですね。

 ただ、このGDPベースの実質民間最終消費だって、いろんなこと見えてきますよ。これ見ますと、まず落ち込むのは二〇〇八年です、リーマン・ショックです。その後持ち直しますが、二〇一一年、再び大きく落ち込みます。これは東日本大震災です。しかし、その後は回復して、消費税増税前までに震災前の一年の、一〇年平均の二十兆円上回るんですね。ところが、消費税増税でそれがまたがたんと落ちると。その後やっぱり低調に推移していって、結局、今年になってようやく増税前を二兆円ほど上回っているわけですね。

 だから、東日本大震災後の三年間では、震災前と比べて消費が二十兆円近く伸びているんですよ。ところが、消費税増税後の四年では、増税前から二兆円しか伸びていないんですね。消費税増税というのは、東日本大震災をはるかに上回る消費への打撃になっていると。これはいまだに回復していないということをこれは示しているんじゃないですか。

 だとすれば、こんなときに更に増税したらば、これは家計消費に打撃になって、景気に深刻な影響を与えるんじゃないですか。総理、総理。



○国務大臣(茂木敏充君) 先ほど私答弁させていただいたように、まさにその図で御覧いただきますと、消費税の引上げ前後の需要変動、二四半期にわたって顕著に見られております。その後、御覧いただきますと、アベノミクスの効果もありまして、消費、確実に回復基調をたどり、そして二〇一四年、引上げ前の水準を明らかに超えている。さらに、その景気回復を……(発言する者あり)二〇一三年、一三年を超えております。明らかに回復基調を持っているわけでありまして……(発言する者あり)聞いております、ちゃんと、それにお答えをいたしております。この回復基調をしっかりと続けてまいりたいと考えております。



○小池晃君 私の言ったこと聞いていないと思うんですけど、震災のときは二十兆円伸びたんですよ、三年間で、その後。ところが、消費税増税した後は二兆円しか伸びていないんですよ。この影響をどう考えるのかと、総理、聞いているんですよ。やっぱり消費税増税の影響というのは、単なる反動減じゃなくて、これはやっぱり所得を失わせるわけですから、長く影響が続いていくことは間違いないじゃないですか。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) そこで、そこで、こうした経験を踏まえて、そうした経験を踏まえて、その前の分析については必要であればまた茂木大臣から答弁をさせますが、そうした、そうしたことを踏まえつつ、踏まえつつ、確かに消費に影響を与えたのは事実でありますし、我々の言わば当初のもくろみよりも大きく消費に影響が与えられたと、こういう認識は持っております。

 その上で、今回は、前回は五分の一の還元にとどまったのに対して、今回は消費税率引上げ分の税収のうち半分を国民の皆様に還元をするわけでありまして、子育て世代に大胆に投資をし、来年十月一日から、まさに十月一日から幼児教育の無償化が始まるわけでありまして、言わばまさに子育て世代の皆さんにそこで相当のこれは負担減が行われるということにもなっていくということでありまして、また、軽減税率を導入していくと、消費税を八%のまま据え置いていく、さらには、引上げ後の一定期間に限り、中小小売業に対してポイント還元といった新たな手法による支援を行うなど、引上げ前後の消費を平準化するための十分な支援策を講じてまいります。そして、前回も大型耐久消費財の消費を中心に駆け込み需要と反動減ということになったことに鑑み、自動車や住宅といった大型耐久消費財について、来年十月一日以降の購入等にメリットが出るように、メリットが出るように、税制、予算措置を講じていきたいと、このように考えております。



○小池晃君 消費税の消費への影響が長引いたことは今お認めになりました。それに対して対策を打っているんだというふうにおっしゃるわけですが、前回も全額社会保障に使うんだとおっしゃっていましたし、それは子育て、女性、若者対策に盛り込むんだということを言っていたわけですよ。しかし、これだけ落ち込んだわけです。で、長引いているわけです。

 今お話ありましたポイント還元。総理、ポイント還元は中小小売業対策ですか。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) 社会保障に使うというのは同じなんですが、前回はそれが五分の一だったんですが、今度は半分になる、これは大きな違いですから、これ国民の皆様にそこを理解していただかなければいけないと、こう思ったところでございます。

 そこで、今のお答えで、ポイント還元についてでありますが、ポイント還元については、大企業は、これは消費税の引上げ後に自己負担でセールスなどを実施できるのに対して、中小小売規模の事業者は大企業と比べて体力が弱いわけでありまして、競争上の不利も考えられるためにポイント還元といった手法によって消費喚起を後押しをしていきたいと考えています。



○小池晃君 中小対策だということですね。

 先ほどの前段の話、社会保障財源化すると、全額を。社会保障財源化するということは国会で答弁されていますから、言っておきます。

 その上で、中小で、何でポイント還元が中小小売業対策になるのかなんですね。中小ではカード決済を行っていないところも多いです。それから、カード会社が課す手数料も決済額が小さい中小店舗は高く設定されていることが多いです。こんな制度は、中小小売業にとってみれば、これは支援どころか大変な迷惑ではありませんか。



○国務大臣(世耕弘成君) 消費税の後に需要が落ち込むような事態になったときに、これ、大手小売店であれば需要に応じて自らの経営判断で価格を下げるとかそういう対応ができるわけですけれども、やはり中小企業はなかなか難しいわけです。

 また、消費者のマインドとしては、それこそクーポン探して、チラシ見て、一円でも安いところで買おうとするわけでありますから、そういう中で中小・小規模事業者も大企業と同じようにしっかりと価格の引下げをポイント還元という形で実質的に行えるようにするということは、これは中小企業にとって大きなメリットがあると思っています。

 また、キャッシュレスも、これなかなか進んでいません、日本は。中小企業自らの力で今からやってくださいといってもなかなか難しい面もあるわけですけれども、例えばレジを締めて現金を数えるとか、そういったところで非常に大きなコストが掛かっているわけであります。キャッシュレス化を進めることによって、中小・小規模事業者の生産性を高めることにもつながると考えております。



○小池晃君 あのね、世耕さんね、今みたいなことを和歌山のぶらくり丁商店街で言ってみなさいよ。もう百倍反論返ってきますよ、もう中小業者の皆さんからね。これは、後でお金勘定する方がよっぽど慣れている仕事じゃないですか。そこにこんなことを押し付ける。

 ほかにも、問題いろいろありますよ。来年十月までに準備できるのか、そもそも中小小売業だけに限定できるのか、コンビニのフランチャイズと直営店、どう区別するのか、一定期間だと言うけれども、じゃ、そのために設備投資させるのか。もう本当にいろんな問題だらけだと。

 そうしたら、今度はプレミアム商品券なんですね。消費税を八%に増税したときもプレミアム商品券やっていますが、そのときの財政規模と消費喚起効果、これお答えください。



○政府参考人(田川和幸君) お答えいたします。
 前回のプレミアム付き商品券の発行でございますが、消費喚起だけではなく、地域の創意工夫を直接的に引き出し、地方創生に貢献することも目的といたしまして、平成二十六年度補正予算、地域住民生活等緊急支援のための交付金により、実施をされたものでございます。

 全ての自治体がこの交付金を活用しまして、プレミアム付き商品券の発行などの事業を実施した消費喚起、地方創生に取り組み、国費としては二千三百七十二億円の支出を行ったところでございます。

 また、各自治体が実施をいたしましたアンケート調査によりますと、この交付金事業全体でございますけれども、総額九千五百十一億円の商品券、サービス券が利用され、そのうち、商品券があったから新たに消費をしたという金額が、推計いたしますと、三千三百九十一億円となっているところでございます。そこから国の財政支出額二千三百七十二億円を控除いたしますとともに、いわゆる需要の先食い効果など、これはなかなかアンケート調査で除くことが難しいというところがございます。したがいまして、実質的な消費喚起効果は、その三千三百九十一億円から二千三百七十二億円を引いた内数というふうに推計をしたところでございます。



○小池晃君 要するに、分からないということなんですよ。内数なんですよ。引いただけじゃないんだと、その中から、ほかのものもあるんだと。いや、先食いある、横食いあるんですよ。経済効率悪いんじゃないですか、これ。

 総理、これ、低所得者対策ですか。



○国務大臣(茂木敏充君) 今回、消費税引上げ前後の需要変動、これに機動的に対応していく観点からあらゆる対策を取ってまいりますが、そこの中でのポイント還元につきましては、新たな手法による支援策、しておりまして……(発言する者あり)聞いてください。プレミアム商品券の発行などは所得の低い方を中心に支援措置を検討していく予定であります。



○小池晃君 だから、低所得者対策ですね。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) 低所得者対策として考えております。



○小池晃君 しかし、これ、低所得者というか、いろんな方から私、声聞いていますけれども、この商品券使って買物したらば、レジで私は低所得者ですと言っているようなことになるんじゃないかという、そういう声だって出ているわけですよ。

 これ、総理、それから、二万円分を購入できるようにすると言うけど、なかなかやっぱり二万円を買う、もちろんこれは買う方もいらっしゃるだろうけれども、このこと自体だって結構大変なことじゃないですか。私は、これは低所得者対策の名に値するのかと。大体、戻すぐらいだったら、最初から戻すぐらいだったら増税やめればいいじゃないですか。こういう愚策はやめるべきだと。

 さらに、インボイス。これ、複数税率導入に伴って取引にはこういうインボイスが必要になるわけですね。この赤で囲ってあるところ、番号、この税務署が出す番号が必要になるわけですよ。そのため、インボイス発行のためには課税業者にならなければならない。五百万と言われる免税業者は本当に大変なことになる。

 総理は、答弁でも、インボイス制度を導入すれば免税事業者が取引から排除されるのではないかなどと懸念する声もあると答弁されましたが、どの程度の被害を想定しているんですか。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) インボイス制度を導入すれば、免税事業者からの仕入れは、仕入れ税額控除ができないこととなるため、取引から排除されるのではないかなどと懸念する声があるのも事実でありまして、今御紹介いただいたところでありますが、そのため、政府としては、こうした事業者の皆様の御懸念に対応するため、免税事業者が課税事業者への転換の要否を見極めながら対応を決めていただけるように、インボイス制度の導入までに四年間の準備期間を設けるとともに、そこから更に六年間、更に六年間、免税事業者からの仕入れについて一定の仕入れ税額控除を認めることとしています。

 こうした経過措置を設けたことによって、個々の事業者への影響を極力緩和することができるものと考えております。



○小池晃君 影響が出ることは認めざるを得ないんですね。先送りしたからといったって、影響は影響じゃないですか。これ、今本当に、中小業者の皆さん、商店街、それだけじゃない、雇用契約を結んでいない働いている方も全部対象になってくるわけですね。もう本当に被害は大きく出てくると思いますよ。これも含めて大問題だと思います。

 こういう負担を押し付ける一方で、富裕層や大企業への優遇が行き過ぎているんじゃないかと。特に、アベノミクスの下で何が起こっているか。安倍政権の五年九か月、いわゆるビリオネアと言われるような超大株主が急増しています。保有株式時価総額一千億円を超える超大株主が、第二次安倍政権始まる前は十二人だったのが、今五十人超えています。保有する株式時価総額は三・五兆円から十七・六兆円に、五倍に膨れ上がっています。

 総理、やっぱりこういう超富裕層に応分の負担を求めるべきじゃないですか、格差是正のためにも必要じゃないですか。総理。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) 格差が固定しない、あるいは許容し得ない格差が生じない社会を構築していくことは重要な課題だと我々も考えています。

 これまで安倍内閣において、税制について、再分配機能の回復を図るため、所得税や相続税の最高税率引上げ、所得税の基礎控除の見直し、金融所得課税の見直し等の施策を講じてきたところでございまして、今後の税制の在り方については、これまでの改正の効果を見極めるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ検討する必要があるものと考えているところでございますので御理解をいただきたいと、このように思っております。



○小池晃君 見直した結果、これなんですね。年間所得が一億円を超えるところがピークで、ここ超えると所得税の負担率下がっていくんですね。こういう逆転現象があるわけですよ。

 財務大臣に聞きますが、何でこういう逆転現象が起こるのか、財務大臣、説明してください。



○国務大臣(麻生太郎君) その前の表も一緒に並べておいていただくと助かるんですけれども、基本的にはそういった形になっているのは事実だと思いますので、それは大門先生、両方並べておかれた方が小池さんの要望に沿えると思いますけれども。そこまで手伝ってやる必要は全然ないんですけれども、そうしておいていただいた方が分かりやすいんだと思いますけれども。

 少なくとも、今言われましたように、年間所得が一億円を超える方々が増えていくという一応大きな最大の理由は、持っておられる所得の内容に占めます株式保有比率が高いからということでしょう。その株が上がったということですよね。株が上がった分だけ、その分だけ所得が増えたということになっている、株式配当も増えておりますからというのがその大きな背景だと思っております。

 したがいまして、政府としては、この株式を持っている金融配当に対する課税も上げさせていただいたというのがこれまでの経緯だと存じます。



○小池晃君 いやいや、だから、上げた結果こうなっているでしょうと、それ何でこうなっているのかと聞いているんですね。



○国務大臣(麻生太郎君) 今申し上げましたように、税というものに対して、配当課税につきましては倍に上げさせていただいた形になったのは事実であります。

 しかし、同時に、株はもっと上がっていったということは、七千円だった株だったのが、それが二万二千円まで上がっていますから、株は約三倍に上がった形になりますから、その分だけそのまま配当比率も高くなったんだということだと思いますが。



○小池晃君 要するに、超富裕層は金融所得の比率が高くて、株式譲渡益、配当益に対する税率二〇%だからということでこうなるわけでしょう。OECDも経済同友会も、これ見直すようにと、金融所得税率引き上げるように言っているじゃないですか。

 財務省もこれ検討していたと報道されているわけですよ。大臣、そうなんですか、今、うんと言ったけど、検討していたと。



○国務大臣(麻生太郎君) 人を指さすのやめた方がいいって何回も言ったじゃないか。いいかげんにしておいた方がいいですよ、もう、それ、指さすの無礼だから。(発言する者あり)そうかね。指さす方がよほど無礼なんじゃないの。

 少なくとも、その点に関しましては、我々はこれ倍に上げさせていただいたばかりでありますので、今後ともこの点に関しましては検討せねばならぬということが、財務省の中でいろいろ検討させていただいているというのは事実です。



○小池晃君 検討していたけれども見送ることになったわけですね。何で見送るのかなんですよ。

 これ、総理、格差の是正にも効果あるわけじゃないですか、税収も増えるじゃないですか。やはり、富裕層に応分の負担を求める税制改革こそ最優先の課題なんじゃないですか。総理、お答えいただきたい。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) 金融所得課税については、平成二十六年から、上場企業の株譲渡益等については、先ほど財務大臣から答弁をさせていただいたように、税率を一〇%から二〇%、倍にしました。これによって、高所得者ほど所得税の負担率が上昇する傾向が見られ、所得再分配機能の回復に一定の効果があったのではないかと考えているわけであります。

 金融所得に対する課税の在り方については、平成三十年度与党税制改正大綱において、家計の安定的な資産形成を支援するとともに税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から、関連する各種制度の在り方を含め、諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ総合的に検討するとされているところでありまして、引き続き慎重かつ丁寧な検討が必要と考えております。



○小池晃君 私は、今こそこういうことに踏み切ることこそ政治の最優先課題だと思いますよ。消費税を、こういう中で、本当にひどい対策、もう問題だらけの対策の中で増税するというんじゃなくて、やっぱりこういったことを見直すことこそ税制の最優先課題だということを申し上げたいと思います。

 改めて、消費税の一〇%増税は中止すると、このことを強く求めます。

 沖縄を始めとして、全国で米軍航空機による事故が起こっております。

 今年一月、普天間基地のヘリが沖縄で不時着を繰り返した際に、当時の小野寺防衛大臣は、一月三十日の国会で我が党の赤嶺政賢衆議院議員の質問に対して、米側が実施した点検や整備の状況については、今週後半にも、専門的、技術的な知見を有する自衛官を現地に派遣し、米側が実施した点検や整備について確認することを検討していると答弁しました。

 それから九か月が過ぎました。自衛官による普天間基地の立入調査は行われましたか。



○国務大臣(岩屋毅君) お答え申し上げます。

 本件については、本年二月に実施しようとしていたところ、米側から更なる準備が必要なため延期をしたい旨の連絡があったことから、これを延期したものでございます。

 私も就任してからこれを速やかに実施するように指示をしているところでありまして、近々何らかの形で実施できる方向で現在最終調整中であるという報告を受けております。



○小池晃君 これ、名護市長選挙の直前に今週後半にやると言って、九か月ですよ。まあ何か近々にやると言っていますけどね、これ一体どうなっているのかと思いますよ、この間の経過。

 パネルにあるように、これは沖縄だけじゃないんです。全国各地で事故が起こっているんですね。こういう航空機の事故原因の究明、調査のために防衛省が米軍基地に立入調査したこと、かつてありますか。



○国務大臣(岩屋毅君) これは、当局間の取決めによりまして、相手方の同意なく米軍機の事故調査を私どもがすることはございませんが、情報を提供していただいております。防衛省が事故原因の調査のために米軍基地に立ち入るということはございません。



○小池晃君 今まで一度もやっていないと。

 警察、どうですか、米軍による事故、犯罪に関わって米軍基地に立入調査を行ったことはありますか。



○国務大臣(山本順三君) お答えをいたします。

 警察としては、個別の事案ごとに必要に応じ、基地の内外を問わず米軍の協力を得て対応していると承知しておりますけれども、警察庁がその協力の状況の逐一について把握しているわけではございません。

 その上で申し上げるならば、既に公知のものとしては、昨年十二月に沖縄県宜野湾市の小学校敷地内に米軍機の窓枠が落下した事案、もう一件、本年六月に沖縄県名護市内の農作業小屋において銃弾様のものが発見された事案、この二件に関しましては、沖縄県警察がそれぞれ米軍基地内において所要の事実確認を行ったという例があると承知をいたしております。

 なお、個別の事案の詳細についてはお答えを差し控えたいと思います。



○小池晃君 例外、極めて例外的だというふうにも報道されています、二件。しかも、普天間第二小学校の事故では、ヘリの窓を米軍基地に返しに行っただけだと。関係者への聞き取りもやられていません。名護市の流弾の問題でも、いまだに米軍は資料の提出に協力せずに、捜査進んでおりません。

 総理、一昨年十二月、アメリカ海兵隊のオスプレイが名護市安部の海岸に墜落した際の事故の際には、海上保安庁が捜査協力を申し入れました。しかし、米軍は無視して、物証となる機体を回収しました。

 総理、何で日本は捜査に加わらないんですか、加われないんですか。総理、お答えいただきたい。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) 御指摘の平成二十八年十二月の事故については、海上保安庁において、不時着水の情報を入手後、機体を含む現場の状況確認や写真撮影などの捜査を実施するとともに、我が国の捜査協力の申入れに対し昨年九月に米国側から提供された事故調査報告書の内容を精査するなど、米国側の協力を得ながら所要の捜査を継続しているものと承知をしているところでございまして、捜査できないとの御指摘は当たらないと考えているところでございます。



○小池晃君 いやいや、そのときは全く中に入れられなかったわけでしょう。で、機体を持っていっちゃったわけでしょう。今、不時着水と言ったけど、ばらばらになっているんですよ、機体は。それ、米側が勝手に回収したじゃないですか。

 何でそういうのを手をこまねいて見ていなければいけなかったのかと聞いているんですよ。なぜ米軍はそれに対して協力しないのかと言っているんです。



○国務大臣(河野太郎君) 日米地位協定では、その第十七条において、米軍が施設・区域の外部で必要な警察権を行使することを日本側当局との連絡を前提として一般に認めた上で、その際に従うべき条件を、米軍による警察権の行使の範囲を当局間の取決めによって絞り込むことを規定をしております。

 そのような当局間の取決めとして、日米地位協定第十七条10 の(a)及び10 の(b)に関する合意議事録や刑事裁判管轄権に関する合同委員会合意がございますが、航空機事故に際し、米軍は、秘密保全及び事故原因調査等の目的のため、必要な限度において、それぞれの取決めの範囲内で航空機の機体を含む米軍財産の捜索、差押え、検証を行うことを認めております。



○小池晃君 本当に腰が引けていると思いますよね。だって、基地の中じゃないんですよ。日本の住民が暮らしている、平和に暮らしているところで事故が起こっても、指一本触れることができない、米軍が全部回収していってしまうと、こういう事態なわけですよ。地位協定だって、基地の外での警察権は日本にあるとしているんですよ。ところが、全くこれを行使できない。何も手が出せない。

 昨年十月には、沖縄県東村高江で米軍のCH53Eヘリが、これ墜落、炎上です、間違いなく。民間の牧草地です。私、行きました。西銘さんの御家族、地権者の西銘さんの御家族から話も聞きました。

 米軍は、西銘さんの許可も得ずに勝手に規制線を引いて、警察どころか、地権者である、そこの牧草地の持ち主である西銘さんすら入れずに、機体の残骸だけではない、土地を、土を勝手に掘り出して持っていった。沖縄県と沖縄防衛局が規制線の中での土壌調査を許可されたのは、事故から六日後です。そのときには深さ五十センチまで土は持ち去られた後でした。私も現場へ行きました。ブルーシート、かぶせてありました。もう全部土は持っていった後なんですよ。米軍は、被害者である西銘さんに事故原因の報告すらしていないんですよ。これ、もう全部事実です。私も実際に見てきた。政府も認めている事実です。

 総理、これで国民の命や権利守ることできるんでしょうか。日米地位協定だ、合意議事録だ、そのことを口実にして、これをそのまま見逃していいんですか。私、総理に聞いていますから。総理、日米地位協定を抜本的に改定すべきじゃないですか。総理、お答えいただきたい。



○国務大臣(河野太郎君) 米軍機事故に当たっての調査につきましては、日米地位協定第十七条10 の(a)及び10 の(b)に関する合意議事録で、米軍機の機体のような米軍財産は原則として米軍がこれを取り扱うということを定めております。この規定は、米軍財産にはその性質上、高度な軍事性や機密性を有する場合があることや、その捜索や検証が徹底的かつ綿密に行われるためには、当該財産を所有し、それを熟知した米軍が一義的に取り扱うことが適当であるという旨、であるからでございます。

 日米地位協定におきましては、効果的かつ最も機敏にできるような対応をしながら、一つ一つの個別の問題に当たっていく所存でございます。



○小池晃君 米軍に一切手を出すなと私言っていないんですよ。日本が何で関われないのかと言っているんですよ、日本はなぜ排除されるのかと。

 総理、合意議事録があるからだというふうに言うわけですよ。やっぱり、こういう状態解決するためには、日米地位協定の改定、やるべきじゃないですか。総理、総理です。もういいですよ。総理。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) 地位協定については、大きな法的枠組みでありまして、政府として、事案に応じて、最も適切な取組を通じて具体的な問題の対応に当たってきているところでございまして、今までも、環境補足協定、あるいは軍属に関する補足協定等々、国際的な約束の形としては初めて日米との間でこうしたことを成し遂げて、成果として成し遂げてきたわけであります。これは地位協定を締結して初めてのことでございますが、こうした努力を積み重ねていきたいと、このように思っております。



○小池晃君 初めて初めてと言うけど、ドイツは三回、韓国は二回改定していますよ。

 しかも、この補足協定の実態どうか。環境補足協定結んだと言うけれども、普天間飛行場が発がん性も指摘されている有害物質、PFOS、PFOAで汚染されていたことが地元紙沖縄タイムス紙の情報公開請求で先月末に明らかになりました。以前から、沖縄県の調査によって周囲の民間地域で汚染水が確認されていました。沖縄県は汚染原因の確認を求めてきました。しかし、面会すら拒否されてきました。

 環境補足協定を結んだと言うけれども、これは、じゃ、外務大臣に聞きましょう、ここは。環境補足協定を結んだと言うけれども、米軍は立入調査はおろか、疑問に答えることすら拒否している。この事実認めますよね。



○国務大臣(河野太郎君) 通告いただいておりませんので、把握しておりません。



○小池晃君 通告といったって、だって環境補足協定を結びましたという答弁するから、だからその実態を聞いているんじゃないですか。

 じゃ、答弁、責任持ってくださいよ。環境補足協定は全く環境を守る役割を果たしていないんじゃないですかと、この一例を見てもと言っているんです。総理、じゃ、どうですか。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) その例について、果たしてどうなのかということを事前に通告していただければ、我々も調べてどうだったかということでお答えはできるということでございます。



○小池晃君 環境補足協定は、立入調査を求める自治体の申請があっても、米軍が妥当な考慮を払うとされているだけなんです。受入れの義務はないわけです。しかも、それを、軍の運用を妨げるかどうかなどを判断して調査が、実行可能な限り速やかに回答すると。あくまで米軍の裁量次第です。こういう規定になっていることはお認めになりますよね。



○国務大臣(河野太郎君) 日本政府として、自治体としっかり協議をしながら、必要なことを米軍にしっかり求めてまいりたいと思います。



○小池晃君 しっかりしっかりと言ったって、米軍次第なんですよ、仕組みは。

 それから、軍属の補足協定だって、軍属の範囲が明確になって、軍属に該当しない者は日本の刑事裁判手続が完全に適用されて犯罪防止につながるんだというようなことを言っていますが、米軍は、協定締結一年後の段階で軍属から除外された者は一人もいなかったと報告しているわけです。

 全国知事会は、全会一致で地位協定の改定を決議しました。全国の知事の多くは、自民党が応援して当選して、自民党が与党の知事だと思います。その提言は、政府・与党にとっても重い意味を持つと私は思います。

 その全国知事会が、米軍基地負担に関する研究会、その資料、お示しをしております。これ、日本、ドイツ、イタリアの地位協定を比較しています。

 基地の管理権について、日米地位協定では立入り権が明記されていませんが、ドイツはボン補足協定で立入り権が明記され、イタリアの地位協定では米軍基地はイタリア司令部の下に置かれて、立入り権も明記されています。訓練、演習についても、日本は規制権限がないどころか詳細な情報も通報されない。これに対して、ドイツはドイツ側の許可、承認、同意が必要だと、イタリアではイタリア軍司令官への事前通知、調整、承認が必要。警察権は、日本は合意議事録で捜索、差押え、検証を行う権利を行使しないとしているのに対して、ドイツでは米軍基地内での任務遂行権限を明記、イタリアもイタリア司令官による全ての区域・施設への立入り権を明記しています。そして、国内法について、日本は原則不適用、ドイツ、イタリアは国内法の適用を明記しています。

 総理、これは全国知事会が出している資料です。そのままを今日お持ちしました。これを見れば、余りに日米地位協定は他国と比べて屈辱的な中身になっているのではないか。これで主権国家と言えるんですか。



○国務大臣(河野太郎君) NATOの加盟国の一員として加盟国間の相互防衛の義務を負っている国と、それと異なる義務を負っている日本の間で地位協定が異なるということは、当然にあり得ると思います。



○小池晃君 いやあ、びっくりですね。この屈辱的な中身は当然であると。これが安倍政権の見解なんですか。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) この言わば地位協定においては、大きなこの枠組みの中で決まっている、地位協定は大きな法的枠組みであって、これは細部の取決め、実際の運用や背景等も含めた全体像の中で検討する必要があるわけでありまして、その大きな全体像の一つの中として、今、河野外務大臣から答弁をさせていただいたように、ドイツやイタリアはNATO加盟国でありますが、NATOの設立根拠条約たる北大西洋条約は加盟国の間での相互防衛義務を定めております。他方、我が国の場合は、日米安保条約は米国への基地提供義務を定めていまして、これは米国の対日防衛義務に対応する義務として我々が基地提供義務を負っているという、そういう形になっているわけでございまして、そうした背景も考えながらこの地位協定を比較しなければならないと、こういうことではないかと思います。



○小池晃君 私は国家の主権の問題として言っているんですよ。しかも、この間、だって、安保法制で何やってきたんですか、もう。アメリカと肩を並べて戦争できるようにすると。我々猛反対したけども……(発言する者あり)



○委員長(金子原二郎君) 御静粛に。



○小池晃君 そういうことをやりながら、こういうときになったらば、これは違うんだと、NATOと違うんだと。とんでもない話だと思いますね。私は、主権もくそもないということだと思いますよ。こんなことをそのまま甘受していていいのかと。

 さきの沖縄県知事選挙で佐喜眞淳候補は、国と連携をして不平等な日米地位協定を改定させますと公約をした。与党は全力で支援したわけですね。

 官房長官、選挙中、何回、沖縄、応援入りました。



○国務大臣(菅義偉君) 選挙の告示前、告示後、告示、選挙中入れて、三回であります。



○小池晃君 もう一生懸命応援したわけですよ。

 その候補者は、国と連携しですよ、不平等な日米地位協定を改定させますと約束したんですよ。

 総理、地位協定改定、これ公約の柱ですよ。これを掲げた佐喜眞氏を全力支援したんですから、その公約を実行する責任は私は与党にはあると思いますよ。これは地方選挙の結果への評価とは別問題ですよ。いかがですか。総理。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) 佐喜眞候補が選挙の際にそうした公約というか、御自身の考え方を披瀝したということは承知をしているところでございますが、その上で申し上げますと、先ほども御説明をさせていただいたとおり、このイタリア、ドイツと比べて異なる義務を負う防衛体制の下での接受国と派遣国との関係や米軍基地の在り方については、相互防衛義務を負うNATO諸国での在り方と一律に比較することはそもそも難しいわけでありますが、そこで、私たちはその中でも様々な努力を積み重ねていきたいと思うわけでございますし、目に見える取組を一つ一つ積み上げていきたいと、こう考えております。



○小池晃君 この公約を掲げていることを承知していたと今おっしゃったんでしょう。日米地位協定の改定ということを公約の柱に掲げていた人を全力で支援したんですよ。だったらば、何でこの改定を否定するんですか。これは沖縄県民に対するそのときだけの口からの出任せだったということになりませんか。私は、自民党は選挙公約には責任を持たない政党なんですか。これだけ応援したんであれば、責任を持ってやりましょうよ、地位協定の改定を。どうなんですか、総理。総理。



○国務大臣(河野太郎君) 地位協定に関する一つ一つの事案については、政府として最も適切に対応してまいりたいと思います。



○小池晃君 何が適切だと。

 外務大臣、先ほどから地位協定の改定は必要ないんだということを繰り返している。あり得るんですか。(発言する者あり)あり得るんですか、今、自民党席からあった。地位協定の改定はあり得るんですか。



○国務大臣(河野太郎君) 地位協定に関する事案に関しましては、最も適切な取組を通じ、現実的に対応してまいりたいと思います。



○小池晃君 改定はどうなんですか、じゃ、河野大臣の見解は。地位協定改定すべきだ、すべきか、すべきでないか、どうなんですか。



○国務大臣(河野太郎君) 地位協定の問題に関しましては、一つ一つの事案に即しまして、最も適切な取組を通じて具体的に対応してまいりたいと思います。



○小池晃君 答えてくださいよ、地位協定の。



○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに、河野外務大臣が述べたことは、例えば、日本側に第一次裁判権がある犯罪の被疑者たる米軍人軍属の拘禁についても、日米合意に基づいて実際に起訴前に日本側への移転が行われてきているわけでございます。

 そしてまた、先ほど、私どもの成果である環境や軍属に関する補足協定について非常に低い評価をされましたが、まさに、例えば環境においても、我々がしっかりと米国、また米軍と話合いをしていく基礎となるものでもあるわけであります。

 同時に、軍属についても、米側としても軍属の範囲が広がっていることによって彼らのこの負担も広がっていくということにもなるわけでございますし、これは今までになかったものであることは事実だろうと思うわけでありますし、これは国際約束の形式で得たわけでございまして、これは日米地位協定の締結から半世紀を経て初めてのことでありまして、我々としては、現実的に適切に効果的に対応し、一つ一つ積み上げていきたいと、こう考えております。



○小池晃君 全く答えになっていないと思います。

 今から十五年前、自民党国会議員でつくる、日米地位協定の改定を実現し日米の真のパートナーシップを確立する会という議員連盟が地位協定の改定案を全会一致で決定をし、米軍の訓練は原則提供施設・区域内で実施、国内の港湾、空港を使用する際は日本国内の法令に従うなどとしていました。これは、議員連盟の幹事長は河野太郎さんです。

 当時の新聞にはこんな記事が出ています。副会長の岩屋毅氏は、改定案を政権与党の側から提案することに意義がある、多くの議員の力添えで改定を実現したい。

 日米地位協定の改定を強く要求してきた二人が外務大臣と防衛大臣になったんです。政治家として信念があるなら、臆することなく、そのことを堂々と主張するべきじゃありませんか。



○国務大臣(河野太郎君) 地位協定に関する問題につきましては、一つ一つの事案に応じ、最も適切な取組を通じて具体的に解決してまいりたいと思います。



○国務大臣(岩屋毅君) 地位協定そのものについては是非外務大臣に聞いていただきたいと思いますが、総理からも答弁がありましたように、これまで二つの補足協定を作るなど、日本政府としては努力をしてきていると思います。その努力をこれからも継続をしていくべきだというふうに考えております。



○小池晃君 日米地位協定の改定が必要だと堂々と主張していた幹事長と副会長が、情けない話じゃないですか。

 ドイツでは、これ地位協定、議会で承認していますが、日米地位協定は国会でまともに議論されたこともなく、これ強行採決されたわけです。その上、日米合同委員会という密室で様々な密約もされています。これこそ、総理、押し付けじゃないですか、アメリカによる。

 政府と国会が一体となって、堂々と議論して、日米地位協定の改定を実現しようじゃないですか。これこそが真の戦後レジームからの脱却なんじゃないですか。そのことを訴えて、質問を終わります。

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