赤旗2025年8月20日付
(写真)外務、厚労両省に要請書を手渡す「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」のメンバー。前列右から5人目は日本共産党の小池晃書記局長=19日、国会内 |
戦時中に山口県宇部市の長生(ちょうせい)炭鉱水没事故で犠牲になった朝鮮人ら183人の遺骨の収集などを進めている「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」(刻む会)は19日、厚生労働省と外務省に日本政府による遺骨収集への支援などを要請しました。
刻む会の井上洋子共同代表は、日韓国交正常化60年、戦後80年の今年、国策の犠牲となりいまだに日本の海に見捨てられている遺骨の収集に今こそ乗り出し、「日本政府は誠意を示さねばならない」と強調。2026年1~2月に世界的な潜水ダイバーが遺骨捜索に参加し、大規模な調査を行う予定だとして、調査の経費約3000万円を補正予算として計上するよう求めました。
厚労省が行う遺骨収集の支援に関する専門家の知見の聞き取りの進ちょく状況について、担当者が「新たな知見はない」と結論づけたのに対し、要請に参加した日本共産党の小池晃参院議員が「聞き取り調査開始から3カ月もたっている」と批判。聞き取った内容や日程などの詳細を明らかにするよう要求しましたが、担当者は公表を拒否しました。小池氏は、長生炭鉱の遺骨収集の知見は実際に潜水調査を行うダイバーの伊左治佳孝さんらが持っており、厚労省は現場を訪問すべきだと求めました。
要請後の記者会見で井上共同代表は、12日に韓国ソウルで遺骨収集に関する記者会見を行ったところ反響が広がり、韓国の国会で長生炭鉱の問題が取り上げられたと紹介。「日本の市民も含めて植民地主義の犠牲者への誠意を持った対応を日本政府に今後も求め続けていきたい」と語りました。要請には立憲民主党と社民党の国会議員も出席しました。


