赤旗2025年8月26日付
![]() (写真)発見した骨を前に記者の質問に答える(左から)井上、伊左治、金京洙、金秀恩の各氏=25日、山口県宇部市 |
![]() (写真)発見した骨を前に記者の質問に答える(左から)井上、伊左治、金京洙、金秀恩の各氏=25日、山口県宇部市 |
戦時中に水没した山口県宇部市の長生(ちょうせい)炭鉱で25日、潜水調査が行われ、事故犠牲者の遺骨とみられる骨が見つかりました。発見したダイバーによると、坑道内に少なくとも4人分の骨とブーツがあり、そのうち3本の骨を持ち帰りました。
長生炭鉱では、強制動員された朝鮮人労働者を含む183人が犠牲になった水没事故について、市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」と水中探検家の伊左治佳孝さんによる潜水調査が進められています。
昨年7月から6回目となるこの日の調査では、韓国「テック・コリア」所属ダイバーの金秀恩(キム・スウン)さんと金京洙(キム・ギョンス)さんが沖に突き出ているピーヤ(排気・排水塔)から水中の坑道に入り、呼吸用ガスのタンクを坑内に設置する作業を行っていました。
ダイバーによると、今月8日に伊左治さんが見つけた本坑道とみられる場所までたどり着いたところ、坑道の底にブーツを履いた状態の骨を発見。周囲を探索したところ4人以上の骨を確認しました。
持ち帰った骨は、股関節から膝までの大腿骨(だいたいこつ)(49センチ)、肩から肘までの上腕骨(じょうわんこつ)(29センチ)、肘から手首までの橈骨(とうこつ)(23センチ)とみられ、いずれも宇部警察署に引き渡されました。今後、科学捜査研究所で人骨かどうかが鑑定されます。
骨を手に持った同会の井上洋子共同代表は「長く待たせてごめんなさい」と涙ぐみ、「ダイバーのみなさんには感謝しかない」と述べました。けがのため潜水せずにダイバーへの指示や調整をした伊左治さんは「1年かけて積み上げてきたものがここまで届いたことはうれしい。(遺骨収容という)目標を達成できたことは感慨深い。遺族の持つ悲しい思いを少しでも安らげることができたのでは」と話しました。
26日は遺骨の捜索と測量などをする予定です。
政府は直ちに発掘調査を
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日本共産党の小池晃書記局長の話 「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」のみなさんが、クラウドファンディングで資金を集め、遺骨の収容に全力をあげてこられました。そしてついに、遺骨と思われる骨が発見されました。これまでの「刻む会」と関係者の必死の努力に心からの敬意を表します。
私は2回現地を訪れ、国会では石破茂首相に「国として発掘調査を始めるべきだ」と求めましたが、首相は「埋没位置、深度等が明らかではない」として、遺骨発掘は「困難だ」と拒否しました。しかし、遺骨が発見された以上、この言い訳は通用しません。
ただちに政府として全面的な発掘調査を開始し、83年間も冷たい海底に眠るご遺骨を、速やかにご遺族の元にお届けし、尊厳の回復を図るべきです。
長生炭鉱 山口県宇部市東部にあった長生炭鉱は、戦時中の1942年2月に水没事故が発生し、朝鮮人136人を含む183人が犠牲になりました。朝鮮人労働者の多くは強制動員された人たちです。事故後炭鉱は放棄され、現在まで犠牲者の遺骨は海底に取り残されています。地元では市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」が、追悼式の開催や遺骨収容などの活動を続けています。昨年10月に坑口が開かれて以降、遺骨の発見、収容にむけた潜水調査が断続的に行われています。今月上旬に行われた潜水調査では、遺骨が残っている可能性の高い本坑道への進入に成功しています。
長生炭鉱では、強制動員された朝鮮人労働者を含む183人が犠牲になった水没事故について、市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」と水中探検家の伊左治佳孝さんによる潜水調査が進められています。
昨年7月から6回目となるこの日の調査では、韓国「テック・コリア」所属ダイバーの金秀恩(キム・スウン)さんと金京洙(キム・ギョンス)さんが沖に突き出ているピーヤ(排気・排水塔)から水中の坑道に入り、呼吸用ガスのタンクを坑内に設置する作業を行っていました。
ダイバーによると、今月8日に伊左治さんが見つけた本坑道とみられる場所までたどり着いたところ、坑道の底にブーツを履いた状態の骨を発見。周囲を探索したところ4人以上の骨を確認しました。
持ち帰った骨は、股関節から膝までの大腿骨(だいたいこつ)(49センチ)、肩から肘までの上腕骨(じょうわんこつ)(29センチ)、肘から手首までの橈骨(とうこつ)(23センチ)とみられ、いずれも宇部警察署に引き渡されました。今後、科学捜査研究所で人骨かどうかが鑑定されます。
骨を手に持った同会の井上洋子共同代表は「長く待たせてごめんなさい」と涙ぐみ、「ダイバーのみなさんには感謝しかない」と述べました。けがのため潜水せずにダイバーへの指示や調整をした伊左治さんは「1年かけて積み上げてきたものがここまで届いたことはうれしい。(遺骨収容という)目標を達成できたことは感慨深い。遺族の持つ悲しい思いを少しでも安らげることができたのでは」と話しました。
26日は遺骨の捜索と測量などをする予定です。
政府は直ちに発掘調査を
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日本共産党の小池晃書記局長の話 「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」のみなさんが、クラウドファンディングで資金を集め、遺骨の収容に全力をあげてこられました。そしてついに、遺骨と思われる骨が発見されました。これまでの「刻む会」と関係者の必死の努力に心からの敬意を表します。
私は2回現地を訪れ、国会では石破茂首相に「国として発掘調査を始めるべきだ」と求めましたが、首相は「埋没位置、深度等が明らかではない」として、遺骨発掘は「困難だ」と拒否しました。しかし、遺骨が発見された以上、この言い訳は通用しません。
ただちに政府として全面的な発掘調査を開始し、83年間も冷たい海底に眠るご遺骨を、速やかにご遺族の元にお届けし、尊厳の回復を図るべきです。
長生炭鉱 山口県宇部市東部にあった長生炭鉱は、戦時中の1942年2月に水没事故が発生し、朝鮮人136人を含む183人が犠牲になりました。朝鮮人労働者の多くは強制動員された人たちです。事故後炭鉱は放棄され、現在まで犠牲者の遺骨は海底に取り残されています。地元では市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」が、追悼式の開催や遺骨収容などの活動を続けています。昨年10月に坑口が開かれて以降、遺骨の発見、収容にむけた潜水調査が断続的に行われています。今月上旬に行われた潜水調査では、遺骨が残っている可能性の高い本坑道への進入に成功しています。