2025年9月24日付
日本共産党は23日、党創立103周年記念講演会を党本部と全国をオンラインでつないで開催しました。田村智子委員長が「日本共産党はどういう党か―歴史的岐路での役割」と題して講演しました。冒頭、参院選の総括を踏まえた第6回中央委員会総会決定の実践に全力を尽くすと決意を表明した田村氏は、党のかけがえのない役割を縦横に語り、「戦争か、平和か、暗黒の政治か、希望への変革かが問われるいま、ともに学び、たたかい、連帯を広げる道を、ともに堂々と朗らかに歩もう」と呼び掛けました。7月の参院選で当選した小池晃書記局長、白川容子議員があいさつ。「オール沖縄」参院議員の高良さちかさん、無言館共同館主の窪島誠一郎さん、俳優・文筆家の睡蓮みどりさん、元文部科学事務次官の前川喜平さんがビデオメッセージを寄せました。講演会後、党本部会場で4人が入党を申し込みました。(関連記事)
![]() (写真)講演する田村智子委員長=23日、党本部 |
歴史的岐路とはどういうことか―。田村氏は参院選の結果にふれ、一方で自公が少数に転落し、他方で補完勢力、極右・排外主義の立場に立つ政党が議席を伸ばした中、自民党政治を終わらせて新しい政治へと向かうのか、それとも、より悪い方向へと向かわせてしまうのか、日本の政治が重大な分かれ道にあることだと指摘。こうした歴史的岐路のもと、全ての政党の真価が問われているとし、この観点から日本共産党そのものについて五つの柱で語りました。
第一に、日本共産党は「政治の行き詰まりと危機を国民との共同によって打開する立場を貫く党」だということです。田村氏は、市民と野党の共闘、国民のたたかいが自民党政治を末期的な行き詰まりに追い込んだ中、自民党、日本維新の会、国民民主党、参政党などが医療費大幅削減、大軍拡と改憲、自由を奪う「スパイ防止法」制定などで呼応していると警告。暗黒時代への逆行の危険が進んでいる時、立場や党派の違いを超えて国民的な共同で立ち向かおうとの日本共産党の呼び掛けに連帯と歓迎が寄せられているとし、新しい共同を大きく広げる決意を表明しました。
第二は、「財界・大企業最優先」「異常なアメリカいいなり」の自民党政治の「二つのゆがみ」を根本からただし、新しい政治へと改革する綱領を持っているのは日本共産党をおいてほかにないということです。
田村氏は「財界・大企業最優先」のゆがみに関し(1)所得の再分配の機能が壊されている(2)ひどい搾取によって所得そのものが奪われている―の視点で解説。日本共産党が消費税減税を迫る論戦で税制の不公正を暴き、経団連も富裕層への課税強化策を提案したことなどを紹介。税制の抜本的改革で、壊された所得再分配を立て直すことが国民多数の願いに応える道だと強調しました。ひどい搾取により所得が奪われている実態を具体的に明らかにし、「賃上げと一体に労働時間の短縮を」などの日本共産党の政策は「ひどい搾取をただして、富を働くものの手に」という労働者階級へのたたかいの呼び掛けでもあると強調しました。
「アメリカいいなり」のゆがみについて、大軍拡に対し多くの国民が抱える不安や疑問の声に正面から応えることができるのは、日米同盟絶対の政治から抜け出す展望を持つ日本共産党だと力を込めました。
第三は「極右・排外主義と正面からたたかい、人権の尊重を求める党」だということです。排外主義の根は新自由主義の行き詰まりと破綻であり、格差が広がるもとで人々の不満をのみ込むようにして台頭していると述べたうえで、欧州での排外主義とのたたかいを紹介しました。
排外主義とどうたたかうかの点で、23歳の男性との対話で不安を聞いてほしいとの姿勢を感じたとの経験を紹介し、極右・排外主義勢力がウソとデマで外国人差別をあおっている事実を伝えつつ、政治への怒りや生活の苦しみに耳を傾け「共感」し、どこに解決の方向があるのか「希望を届ける」という粘り強い対話の重要性を力説。対話と働きかけの挑戦が「極右・排外主義勢力への支持を根本的に崩すことができ、新しい政治への改革の側に人々を結集していくことができる」と語りました。
第四は「核兵器廃絶、平和の地域協力の構築へ、国際連帯を広げる党」ということです。
被爆80年の原水爆禁止世界大会の討論会で、田村氏が核兵器禁止条約批准のため「核抑止」論克服の具体的議論を呼び掛け、オーストリア外務省のアレクサンダー・クメント軍縮局長が「核抑止」論の克服を強調し、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のメリッサ・パーク事務局長も「核の傘」への依存は持続可能ではないと述べたと紹介。「この間の日本共産党の活動が世界の核兵器廃絶の運動の発展と響き合っていることを実感した」と語りました。
また、原水爆禁止世界大会を舞台に、イギリス、ベルギー、ドイツの国会議員、アメリカの代表、日本共産党の志位和夫議長という核兵器保有国とその核の傘のもとにある五つの国の代表が意見を交わし、連帯を確認したことなども紹介。「私たちの国際連帯は、国境も時代も超えて紡がれ、確実に世界を動かしている」と強調しました。
日本共産党が提唱した「東アジア平和提言」が大きな力となり平和の国際連帯を広げ、党の平和外交を発展させていることを、ドイツでの国際会議と左派政党との対話や、中国、韓国政府との対話の経験にふれながら紹介しました。
第五は「資本主義の『利潤第一主義』がもたらす害悪とたたかい、未来社会の展望を持つ党」です。深刻化する気候危機に対し、日本共産党は「気候危機打開2030戦略」を打ち出し対策を求めているが、この問題は資本主義の枠内でも解決のための最大の努力が必要だと強調しました。
資本主義というシステムをこのまま続けていいのかが問われる一方、社会主義・共産主義には「自由がない」というイメージが国民のなかに根強くある中、日本共産党が「人間の自由」こそ社会主義・共産主義の目的であり、最大の特質であると未来社会への展望を豊かに発展させたと指摘しました。その実践として、『資本論』を導きに資本主義の矛盾、未来社会への展望を対話のなかで語ることが刺激的で面白いことを実体験にふれ紹介。「『資本論』を力にして、自覚的な連帯・団結を広げていこう」と訴えました。
最後に、田村氏は「私にとって日本共産党は『あきらめない生き方』そのもので、『どんな困難も連帯の力でのりこえる』ことを教えてくれる場です」と語り、どんな困難や妨害があっても自民党政治を終わらせて新しい政治への希望を拓(ひら)くことを決してあきらめない日本共産党への入党を心から呼び掛けました。