赤旗2025年9月19日付
戦時中に山口県宇部市の旧長生炭鉱で発生した水没事故について、犠牲者の遺骨収容を行っている「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会(刻む会)」と水中探検家の伊左治佳孝さんは18日、国会内で厚生労働省に対し遺骨収容に関する説明を行い、日本共産党の小池晃書記局長が同席しました。
8月の遺骨発見以降も政府は遺骨収容に極めて消極的な姿勢をとり続けていますが、その理由として事故発生時に炭鉱に流入した海水の影響で地層に生じた亀裂による危険があり、そのような場所での作業への支援はできないとしてきました。
「刻む会」は、長生炭鉱の地層は地下水を多く含み、淡水が湧出して坑道内を満たしているため、海水によって亀裂が生じることは考えにくいという専門家の見解を説明。同会の上田慶司事務局長も「坑口から40メートルほどまで坑道が真水に漬かっている現地の状況にも合致する」と述べ、厚労省側の想定は当たらないと指摘。これに対し厚労省の担当者は「崩落によって亀裂が生じた」と説明しましたが、小池氏は「今までの説明と違う。遺骨収容をしないという結論ありきではないか」と厳しく批判しました。
伊左治さんは、厚労省側が懸念する危険性について具体的な説明が得られないことから、「現地の実態を把握できていないのではないか」と指摘。潜水作業の安全性確保と、支援の可否についての政府側の正確な判断のためにも、ボーリング調査などを実施し現地の地層の現状を把握してほしいと要請しました。厚労省側は「持ち帰って検討する」と回答しました。