日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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小池晃の活動報告

支え合う能登再建を 復興遅く、支援打ち切り相次ぐ 地震・豪雨被災地の現状 小池晃書記局長に聞く

2025年09月02日

赤旗2025年8月31日付

 昨年1月の大地震と、続く9月の豪雨で被災した石川県能登半島は、今月再び大雨で被災しました。地震発災から1年8カ月を経た被災地は、復興が進まず深刻な状況が続いています。震災、豪雨災害の調査をたびたび行い、今月下旬にあらためて被災地を訪れた日本共産党の小池晃書記局長に、現地の実態や課題を聞きました。(遠藤誠二)

 


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――地震発生直後の昨年1月11日に訪れて以来、昨年5、9両月、今年1月、参院選当時の7月、そして今回と合わせて6回訪問しています。今回は、堀川あきこ衆院議員、仁比聡平参院議員、藤野保史元衆院議員(能登半島地震被災者共同支援センター責任者)、佐藤正幸石川県議らと回りました。珠洲市の仮設住宅は震災後、昨年9月に床上浸水の被害に、そして今回は床下浸水に見舞われ、これまでの災害にはない繰り返しの被災となっています。

 

 復旧、復興の遅れは本当に深刻です。倒壊した家屋のがれきは取り除かれていますが、輪島市でも珠洲市でも更地が非常に目立ちます。液状化の影響だと思いますが、電信柱がいまだ斜めに傾いたままのところがあります。被災者の心が折れてしまうのではと心配です。

 

 東日本大震災や熊本地震の被災地も訪れていますが、比べものにならないぐらいに遅れているというのが実態ではないでしょうか。能登に戻って暮らしたいという被災者の思いは果たされていないとつくづく感じます。

 

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(写真)被災者から仮設住宅での暮らしぶりを聞く(左端から)藤野保史元衆院議員、堀川あきこ衆院議員、小池晃書記局長=20日、石川県珠洲市

医療・介護免除なし

 

――石川県保険医協会の調査では、医療費窓口負担と介護サービス利用の免除打ち切り(6月末)によって85・4%が「通院に影響がある」、63・2%が「介護利用に影響がある」と答えました。「生活を切り詰め医療費や介護利用料に回す」と答えた人が6割にのぼっており、影響がでているのだろうと思います。

 

 輪島市の民医連事務所で話を聞きました。輪島の診療所も、広域避難で金沢市内に避難している人が受診している城北病院も、無料低額診療制度の利用を促し、患者が負担なしで受診が続けられるようにしています。しかしこれは、民医連独自の努力でやっていることで、実際には多くの医療機関で受診できない人が生まれているのではと懸念しています。

 

 医療費免除制度は、富山、福井両県が継続しているのに、一番被害の大きい石川県がどうしてやめてしまうのか。国民健康保険と後期高齢者医療制度は対象から打ち切ったのですが、会社員などが加入する健康保険は継続しています。収入のある人は免除が続き、年金暮らしのような国保利用者にはどうしてやめるのかという声が多くあがっています。

 

 生活再建は始まったばかりです。この段階で、命綱である医療、介護の免除制度を断つことは、被災者から希望を奪い、さらなる苦境に落とし込むもので、復興の足かせにもなります。

 

受診料「返納」請求

 

――地震で家が全壊もしくは半壊した被災者には、医療費の窓口負担が免除されました。ところがその後、免除の要件を満たしていないとして、受診料の請求書が送られているケースがあります。私が実際に見たのは、4万円「返納」の請求書で、入院もされた方に対し8月8日付で28日までに振り込んでくれと。これはあんまりではないでしょうか。後期高齢者の対象だけで、5500人に計1億2700万円分の請求が送りつけられていることが分かりました。国保対象者はもっと多いと思います。

 

 罹災(りさい)証明の発行が遅れたこともありますが、血も涙もないやり方です。負担軽減や個別の事情に応じた対応とか、いろいろな救済手段があるはずです。

 

見守り支援続けて

 

――さらに深刻なのは介護の分野です。能登は高齢化が非常に進み、一つ一つの集落が孤立しています。お互いに温かく支え合う社会で、震災前までは比較的、要介護の認定率が低かったと聞きました。介護保険を使わなくてもお互いに支え合って生きていたのです。

 

 珠洲市の社会福祉協議会で話を聞きました。そこでは非常にきめ細かい支援活動をやってこられています。「ささえ愛センター」というところで、全国各地から支援にきているNPOのみなさんと連携しており、珠洲市の人口は約1万人ですが、その約25%、2500人ほどを対象に、見守り・相談支援の活動をしています。この見守り・相談支援事業への補助金が来年から縮小されるというのです。珠洲市では2億円かけてやっているので、大変深刻な事態になります。

 

 これから被災者が仮設住宅から復興公営住宅に移ると、ますます孤立化するということで、復興公営住宅入居後に活用できる新たな見守り・相談支援活動をつくってほしいと政府に要望しているそうです。

 

 私たちが社会福祉協議会のみなさんと懇談する前に、社協の人たちが会議を開いたというのですが、そこでは涙、涙で、「私たちの声が届いていないのでは」「人間の尊厳が問われている」という声があがったそうです。「能登はやさしや土までも」という言葉があります。免除が打ち切られるなか、あきらめのような声があると聞きました。そういった人たちを支える公的な仕組みが必要です。

 

温泉の復活はカギ

 

――能登半島には日本有数の温泉地、和倉温泉があります。震災発生直後の1月11日に訪れ壊滅的な被害を目の当たりにしました。今回訪れても、その時の光景と大きくは変わっていませんでした。海岸線に沿って高層の旅館・ホテルが立ち並び、そこではいま護岸工事が進められています。20あった旅館のうち営業再開しているのは6館、1300室あった客室が、いまでは200~300室の稼働という状況です。

 

 観光協会、温泉旅館協同組合のみなさんと懇談しました。これだけ長期に温泉観光地が被害を受けたのは前例がないと話していました。いま被災した建物の公費解体が始まったところで、来年、再来年までかかります。最後の旅館は2028年に再建する予定です。

 

 温泉宿泊業は「人と建物がすべて」と言っておられました。なりわい再建支援補助金の上限は1社あたり15億円ですが、資材高騰で建設費用が急騰し、なかなかきついと。1社あたり15億円なので四つの建物をもつ会社は厳しいとの話でした。

 

 みなさん、雇用を維持しようと努力していますが、雇用調整助成金が12月で切れてしまうので、建物の再建のめどがたつ再来年まで、なんとか2年間延長してもらいたいとの要望が寄せられています。

 

 農業、中小企業、観光業、漁業などの能登の生業(なりわい)をどう復興していくのかという課題も示されました。これらを支えるためにも、和倉温泉の復活は能登再建のカギを握ります。

 

国会取り組み全力

 

――今回の訪問では、最後に石川県庁を訪れ、馳浩知事に申し入れました。温かい支え合う社会がダメージを受けた能登の実態に即した復旧支援、復興に取り組んでほしいということで、被災者見守り・相談支援事業への補助延長、復興公営住宅入居後の新しい見守り・相談支援制度創設、医療・介護免除の再開、和倉温泉の雇用維持のための雇用調整助成金の延長を国に求める―ことなどです。共産党としては、今回の調査活動の成果もふまえ、国会での取り組みにも全力をあげたいと考えています。

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